けんけんブログ -guide diary-

国際山岳ガイド近藤謙司の冒険案内記!
“ハイキングからチョモランマまで”

たくさんの被災者のご冥福をお祈りします。

2015-04-30 00:12:32 | エベレスト&ローツェ&ロブチェ登山隊2015
けんけん@エベレストBCです。
ご心配かけています。

25日の大惨事から4日たちました。

本当に恐ろしい出来事でした。
未だかつて経験したことの無い感覚で、
地震と言うか氷河地盤沈下が起こると言うのか、
この世の終わりだと思いました。

数秒後に現れた白い爆風にキャンプは襲われ全壊して、
隣の低地にある他のチームのプジャ祭壇の陰に転がり込んで
窒息しないように手で鼻と口を押さえてなんとか生き延びようとして…。

遅れて逃げ込んできた隊員に続き
「バラサーブ!」とキッチンのディケが泣いて抱きついてきた…頭から出血していて僕のベストは血だらけになった。
「大丈夫!大丈夫だ!」って彼を抱きしめた。

他の隊員やスタッフが気になっていたが、
そこから動くことすら僕はできなかった。
ただ身を潜めてプジャ台に掲げられたラマ僧の写真に祈っているだけだった。


白い嵐が通り過ぎ、咳込む音と名前を呼び会う声が聞こえて…

それでも僕らは数分後には全員が命に別状は無いことがわかり泣いて抱きあった。

そして逞しくもすぐに自分たちの安全確保とライフラインの復旧、
怪我したスタッフの手当てと飛散した装備の収集を
隊員とスタッフたちが協力して頑張ってしてくれた。


僕は隣のメディカルキャンプに行き、
運ばれてくる怪我人の方達のケアと搬送のサポートをした。

血だらけでその修羅場のような戦場のような環境の中で、
ハッと気づくとバリアグローブをしてないのは僕とネパールスタッフだけ。

欧米のサポーターはちゃんと対応ができてるんだと落ち込みもしたが、
それを取りに行く時間も余裕もなかった。

メディカルキャンプの要救者と機能は全て搬送して、
比較的ダメージのないアメリカチームに移された。

ここではスタッフとパワフルなヤンマーが大活躍してくれた。

サポートを終えて抜け殻になった血だらけの壊れたメディカルキャンプに戻ると泣けてきた。

この日はヘリのレスキューはエベレストベースキャンプにはほとんど来なかった。

カトマンズや他の地域でも大変な状況なのだろうと思った。




翌日26日にやっとヘリがけたたましく飛び交うようになったアメリカチームに
差し入れを持ってサポートに行くと、
ブルーシートに包まれたご遺体が何体も置かれていた。

昨日に僕と会話した内臓破裂とみられる中国人女性、
会話すらできなかった下半身重篤のインド系の男性…
無事にどこかの病院にはこばれていてくれと強く祈った…。

カトマンズでは、また他の山岳地域ではどんな災害が起きているか想像を絶している。




翌27日は、上部キャンプに取り残されていたほとんどの登山者がヘリレスキューされた。
そのヘリのタッチアンドゴーの飛行は見事なものだった。

この国のヘリレスキュー技術の進化は著しく
世界最高水準に近づいている。

ベースキャンプでの要救者もほとんど治療と搬出がされたが、
昨日からある包まれたブルーシートはそのまま置き去りになっていて…

前を通る度に手を合わせた。




昨日28日と今日29はヘリの回数も余震の回数も少なくなったけど、
雪崩や氷河の崩落の回数は例年通りには落ちているか。

それでも例年より気になり、すぐにテントの外に飛び出て音のする方向に目をやる。

隊員たちもスタッフも他のチームもかなりナーバスになっているのがわかる。

AG隊のキャンプはキッチンもダイニングテントも失い、
隊員が揃って顔を合わせる場所が無い。

こんな事態だし、午後には雪が降り天気も悪くポーターも揃わず、
ロブチェBCに下山して態勢を整えることもできずにいる。

なので、

ある程度のレスキューが完了して落ち着き始めたので、
昨日から飛散した物資の収集をする事にした。

言葉の上でコミュニケーションが取りにくい日本人にできるコツコツとした作業だ。

AG隊のものはもちろんだが、日本語の書いてあるものは特に気をつけて収集している。

翌日には完全撤退してしまった隊もあるので、
飛散物は氷河中に広がっていて僕たちだけでは手に負えないし場所によっては危険でもある。

できる限りの範囲で頑張らせてもらっている。

AG隊の食料カートンはバラバラになって200m以上も離れたアイスフォールの中で昨日僕が発見した。

バンバンは、それ以上遠くの氷河上からおしるこを発見したと元気に今日報告してきた。

実は昨夜から熱が出て僕は寝込んでしまい、
情けないが今日の捜索活動には行けてない。

バンバンは僕の伝達役となり優しく介抱してくれ、梶は頼もしくみんなをまとめリードしてくれている。

あんなに元気で頼もしかったヤンマーも実は激しい喉の痛みのためダウンしてしまった。

まさかの2人が、いま戦力外である。


ここにきて、皆隊員は疲れてきている。
王子も歯痛と風邪の症状が進み気になる。


AG隊の心身の健康を維持するためにも早期にリセットできる機会と場所が欲しいと思うが、

この国の大変な状況を考えるとなかなかそうもいかない。


せめて、ルクラで足止めされているAGロブチェ隊がそこから脱出して
カトマンズ、そして日本へ戻れることを切に願う。


明日はどうなるのだろう。


新たな試練を乗り越えられるように。
そして、さらに強く生きられるように。


では。
またまた報告が出来る時に…。

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23 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
近藤さんありがとう (けいちゃん )
2015-04-30 06:15:31
みんな生きててありがとう。今日の報告読んでドキドキして涙出てきた。無事に帰って来て下さいU+1F340近藤さんやんまあさん少し休んで元気になって下さいU+1F340ばんばんの活躍うれしいU+1F451U+1F346さん今はネパールの人たちの応援お願いU+1F340山の神さまにいつもお願いしています。近藤さん信じてます。余震が小さくなってほしい。私は恐ろしかった地震のありさまを知ることしかできない。みなさん頑張って下さいU+1F340みんな生きててありがとう     
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とにかく生きて! (りょうこ)
2015-04-30 07:12:16
大変な状況であること、ブログの言葉で心に深く感じます。負傷や体調不良などで、後ろ向きな気持ちになるかもしれませんが、どうかここはみんなで協力しあいながら、日本やネパールの家族のもとへ戻れる日までなんとか耐えてほしい!!!神さまに強く祈ってます。
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Unknown (ニット)
2015-04-30 07:44:39
少しでも休みなさい。
大変な状況なのは日本への報道でもわかるよ、
体も頭も疲労のピークを越えちゃったんだよ。
AGのスタッフもロブチェ隊もBCマネも頑張ってるよ。
皆さん、エベレストにいくために一緒に準備してきたんだから、頼りになるメンバーだよ。
少し休めU+2757そしていつものケンジに戻れ。
信じて待ってルぞ。
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時々空を見上げて、笑いを忘れないで!め (もこぱぱより、)
2015-04-30 07:49:29
メッチャ大変だな、20年前の神戸の地震がよみがえります。結局時が解決してくれると信じて辛抱、努力やね、がんばU+26A1。けんさん、かじさん、たかちゃん、なすびさん、ばんばん、やんまーさん、じつかわさん、みなさんのごぶじをいのってます。ゆっくりはやくかえってください!!!4444
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Unknown (ぶた)
2015-04-30 08:38:00
少し頑張り過ぎかな。
そんな時は眠る。難しいけど一時、何も考えず眠ってください。
日本で「けんじは、だいじょうぶだ!」って笑っているみんなの顔を思い浮かべてね。
けんじくんは、だいじょうぶだよ。
あたし達が見守っているから。
だから、けんじくんはみなさんをしっかり守ってください。
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ガンバ! (ヤス)
2015-04-30 08:48:52
大変さが伝わりました。
新たな試練を乗り越えられるように。
そして、さらに強く生きられるように。
皆さんの無事を祈っています。
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絶対に! (Atsuko)
2015-04-30 08:54:08
AG隊ほんとに無事で良かったです。今は寝てください、ちょっとの心の休憩が必要です。そして絶対に帰って来てください。
私達は祈る事しか出来無いけど.....。
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安心しました (さちえ)
2015-04-30 09:31:02
先生、
ゆっくり眠れますように
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Unknown (ローゼ)
2015-04-30 09:53:01
本当に、どんなに怖かったことでしょう。ただただ亡くなられた方々のご冥福をお祈りし近藤さんをはじめ頑張っていらしゃる皆さんに
心から感謝です。私たちも世界のボランティア活動を通して少しでもご支援できたらと思い始めています。皆さんの無事の帰国をおいのりします。又皆さんで食事にいらして下さい。
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リセットを!! (MAC)
2015-04-30 09:53:48
動かない岳友と過ごす、キャンプ。
下山させた重傷の岳友の安否。
自身の生活環境の確保。
未曾有の大遭難事故です。

新たなに訪れる、精神状態・・・休養と会話が必要かもしれまん。緊張状態が切れた時も、です。

とりとめもない、言葉ですが、隊員の皆さん現地スタッフが無事安全に帰宅されることを祈ります。

追記:ランタンも大変な様です。トレッカー200人が不明・・・・ネパール山岳協会・CNN。
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