机の片隅に5,6冊の本がずっと積み重なっています。
本棚から取り出されて、そのうちに読もうと手近に置いといたつもり。
ですが、もう4,5年もそのままなのであります。
でもって、ふとその気になって埃りを払い拾い出してみた1冊は、
「小説の周辺」藤沢周平。
途中まで読んで、まあそのうちぼちぼちと、という感じで放ったままでした。
周平さんの小説はほとんど全部読みました。読み漏れがあるかもしれませんけど。
その全部を読み切る終わりころになると、
そのあとの楽しみが失われてしまいそうで何だか寂しい心持ちでしたな。
随筆・エッセーの類は次へ次へという催促感がありませんから、
こうして読まずじまいの本もいくつかあります。
せっかくだからと手に取って読みだすと、結局最後まで読み切り、
周平さんの佇まいが何とも懐かしくなって、
「父、藤沢周平との暮らし」(遠藤展子)、「半生の記」
も、本棚から探し出して、一気に読み直してしまいました。
一世代、二世代も前の山形の田舎の風情が浮かんできます。
娘さんもまたその文章の控えめであって品の良さ。よろしいこと。
さてまた勢いに乗ってその小説でも再度読み直そうかと思ったのですが、
その本のほとんどが数冊を残してすでに断捨離されておるのであります。
娘さんが一番好きな父の小説として挙げていた「橋ものがたり」、
どれどれと思っても本棚からは消えております。
断捨離の選択を誤ったかと思いながらもやむを得ないこと。
またぼちぼちとブックオフで買い直してみるかと思ったりするのであります。
「鷦鷯(みそさざい)」という短編小説がありましたな。
近郊のお山でその囀りを聞いてこの鳥をちょうど覚えたころですから、
印象が強く残っていますよ。
周平さんは69歳没。こちらはもうその4年も長く生きてしまっています。
山形もまたいつか旅行したいとも思ったりするのですが、さて。
気温がいくらか下がったかと思うと、黒雲が湧いて不穏なお天気。
湿度も高く少しも涼しくありません。秋の気配にはまだ遠そうです。
引き籠りの日々ね。やれやれですよ。