一身二生 「65年の人生と、これからの20年の人生をべつの形で生きてみたい。」

「一身にして二生を経るが如く、一人にして両身あるが如し」

エミタイ 1971 セネガル

2016年12月11日 | 映画

Emitai
ドラマ
1971/103min/セネガル
監督/脚本:ウスマン・センベーヌ (Ousmane Sembene)
製作 ポーラン・スマヌー・ヴィエイラ (Paulin Soumanou Vieyra)
出演:ロベール・フォンテーヌ、ミシェル・ルノドー、ピエール・ブランシャール、アンドジョ・ディアウ
言語:ディオラ語、フランス語

1940年代初期、フランス支配下のセネガル南部カザマンス地方。第2次世界大戦中でフランスはドイツと戦っており、この村からも若い男性は強制的に徴兵されてしまった。村に残っているのは長老、女性、子どもだけとなり、長老たちは祭壇に生贄を捧げ神に祈り続ける日々を送っていた。しかし、神へ祈りは届かず、フランスから来ていた大佐から兵員用の米までも徴収すると新たに言い渡される。ディオラ族にとって米は主食であるだけでなく、神聖なものであり、命令を拒んだ。その結果、妻や子どもたちが人質に取られてしまう…。

「エミタイ」とは“雷神”のことであり、雷神信仰のある村を舞台にしている。神に祈るための生贄の儀式が興味深い。アフリカ人監督が描くことに意義がある作品。背景にあるのは戦争と植民地軍による非人間的な態度であり、米を徴収されるぐらいなら死んだ方がマシだという誇り高きディオラ族の団結力には心打たれる。

結末に触れています。
軍に屈服し、米を運び出す男たちに訴えかけるような妻たちの歌声が響く。妻たちの蜂起する姿は力強い。妻たちの歌声で我に帰り、米の篭をおろしてしまった男たちの結末は虐殺であった。一列に並ばさせ、射撃されるシーンに直接描写はなく、ブラックアウトした画面に射撃の音が響きわたる。凄惨さがストレートに訴えかけてくる。

<鑑賞> 英語字幕 2011/5/26