キリスト教がわからないと、現代日本社会もわからない――。
イエスは神なのか、人なのか。
GODと日本人の神様は何が違うか?
どうして現代世界はキリスト教由来の文明がスタンダードになっているのか?
知っているつもりがじつは謎だらけ……
日本を代表する二人の社会学者が徹底対論!
第一講義 ヨーロッパ文明とキリスト教――イエスの父はヨセフか、それとも神か
第二講義 宗教改革とアメリカの行動原理――ウォール街の“強欲"をどう考えるのか
第三講義 イスラム文明の世界――イスラム教は平和のための宗教
第四講義 ヒンドゥー教とインド文明――カーストは本質的に平等
第五講義 中国文明と儒教・仏教――儒教はなぜ宗教といえるのか
第六講義 日本人と宗教――カミと人間は対等の関係にあり
葬式仏教と揶揄されたり、「禅問答」のように、
やたら難解なイメージがつきまとったりの、日本の仏教。
もともとの仏教はでも、自分の頭で考え、行動し、道を切り拓いていく、
合理的で、前向きで、とても自由な宗教だった!
日本を代表する二人の社会学者が、ジャズさながらに、 抜群のコンビネーションで縦横に論じ合う、仏教の真実の姿。
日本人の精神に多大な影響を与えてきた仏教を知れば、
混迷のいまを生きるわれわれの、有力な道しるべが手に入る!
◆仏教よ、お前は何者なのか?◆
ソクラテスからカント、ウェーバー、パーフィットまで、
時空を軽々と飛翔して、その論点を比較・検討し、
仏教にいだいていたイメージを一新する宗教対談。
〔本書で話題にのぼる哲学者・宗教者・宗教学者・社会学者・生物学者・政治学者〕
ソクラテス、プラトン、エピキュロス、ルクレティウス、ムハンマド、フランチェスコ、デカルト、ジョン・ロック、バークリー、カント、ウェーバー、ユクスキュル、カッシーラー、ヴィトゲンシュタイン、エリアーデ、バーリン、ドゥルーズ、デリダ、パーフィット……
ヴィトゲンシュタインの“言語ゲーム”をモデルに、仏教をひとつの運動として記述する「仏教の言説戦略」。大乗教を“基本仏教を部分ゲーム(=小乗)とする、悟りのゲーム”としてとらえる「大乗教試論」。―仏教の分析に“言語ゲーム”論を適用するこの独創的な2つの論文を中心に、日本の社会学を牽引してきた著者が、1980年代前半に執筆した論文10編を収録。30年の時を経てもなお輝き続ける、著者の先駆的な研究に触れることは、多角的な宗教理解のための新しい基盤となるだろう。
4月から消費税率が8%に上がり、「負担増の時代」が幕を開ける。だが、負担は超高齢化社会で報われるのだろうか。社会保障の現場から報告します。
沖縄県北部にある老人ホームに、がらんとして薄暗い一角がある。鉄筋2階建てのうち2階の半分を占める養護老人ホームだ。
「昔はね、満室だった。毎日カラオケをしてにぎやかだった。すっかり人も減って。寂しいね」。サノさん(89)がぽつりと言う。
定員は50人なのに入所者は28人しかいない。30室ある一人部屋はほとんど空室で、4畳半にベッドがぽつんと置かれているだけだ。
養護老人ホームは、貧しかったり身寄りがなかったりして自力で暮らせない高齢者(65歳以上)を受け入れる。老後の安心を守る最後のとりでだ。介護が必要な高齢者が介護保険を使って入る特別養護老人ホームと違い、自治体が「措置」という名で入所を決め、費用をすべて負担する。
サノさんが入る養護とは逆に、1階と2階の残り半分を占める特養は満室だ。「養護は市町村が措置しなくなって減るばかり。特養は100人以上が入所待ちなのに」と施設長は言う。
ここの養護では、名護市などから高齢者を受け入れてきた。かつては満床に近かったが、この数年は新たな入所がなくなった。自治体による「措置控え」だ。
入所者を追い出す「措置外し」さえある。
2011年6月、沖縄県南部にある養護にいた女性(90代)の親族に、南城市から文書が送られてきた。「介護の認定をさせるように」という要請だった。
親族は市に呼び出され、「特養がいいですよ」と勧められた。いきなり環境が変わるのを心配したが、女性は措置を解除され、住み慣れた養護を後にした。
前年には、糸満市がこの養護にいた別の女性(80代)の措置を外した。息子から虐待を受け、保護されて入所したのに、再び一緒に暮らしているという。
いま、沖縄県全体で養護の入所者は定員の7割しかいない。「養護1人で生活保護4人分の財源がなくなる。措置を求められても、国が主に負担する生活保護や介護保険を利用してもらう」。県北部の市の担当者はそう打ち明ける。
措置控えは全国に広がっている。「21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会」(大阪市)が、全国の養護の施設長に昨年9月に聞いたアンケート(301施設が回答)では、60%が「定員割れ」と答えた。その原因として「行政による措置控え」という答えが29%と最も多かった。
「市の担当者から今後は措置しないと明言された」(岡山)、「予算が計上されていないと断られた」(神奈川)、「介護保険を使って在宅を続けるよう勧めている」(福岡)、「まさに責任放棄だ」(群馬)。施設長からは、生活に困る高齢者を放り出す自治体に疑問の声があがる。
王/輝
1930年天津市生まれ。解放前、高校生で共産党の地下活動に参加。解放後、天津市党委員会弁公室などで、行政を担当。文化大革命のあいだも、文革後も、職務を継続する。南開大学社会学専業班を経て、天津社会科学院院長、同院教授に就任。1998年に退職
橋爪/大三郎
1948年神奈川県生まれ。1972年東京大学文学部社会学科卒業。1977年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、東京工業大学名誉教授。社会学者
張/静華
1955年天津市生まれ。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。現在、解剖学者。博士(医学)
中路/陽子
1981年神奈川県生まれ。2008年東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻修士課程修了。2009年清華大学公共管理学院碩士(修士)課程修了。現在、東京工業大学大学院社会理工学研究科価値システム専攻博士課程在学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
本木雅弘が、1996年に青木新門・著『納棺夫日記』を読んで感銘を受け、青木新門宅を自ら訪れ、映画化の許可を得た。その後、脚本を青木に見せると、舞台・ロケ地が富山ではなく、山形になっていたことや物語の結末の相違、また本人の宗教観などが反映されていないことなどから当初は映画化を拒否される。
本木はその後、何度も青木宅を訪れたが、映画化は許されなかった。「やるなら、全く別の作品としてやってほしい」との青木の意向を受け、『おくりびと』というタイトルで、『納棺夫日記』とは全く別の作品として映画化。映画公開に先立って、小学館でさそうあきらにより漫画化されている。このコミック版では建築物の細部まで多くの描写が映画と共通しているが、主人公の妻の職業などいくつか差異がある。
介護老人福祉施設とは、心身の病気や障害により自宅で自力で生活することが困難であり、家族による在宅介護を受けることができない状況であり、在宅介護サービス事業者による介護が困難であり、在宅介護サービス事業者による介護よりも施設入所のほうが要介護者のクオリティ・オブ・ライフ (QOL) にとって望ましい場合、食事・排泄・入浴・就寝・健康管理などの日常生活の介護、心身の機能維持、通院への付き添い、急性の病気・負傷時の病院への搬送・付き添い、介護保険が適用されるサービスに関する相談などを行なうことを目的とする施設である。通称で特別養護老人ホームまたは特養と表現される。
孤独死とは主に一人暮らしの人が誰にも看取られる事無く、当人の住居内等で生活中の突発的な疾病等によって死亡する事を指す。特に重篤化しても助けを呼べずに亡くなっている状況を表す。
なお関係する語としては後述する孤立死(こりつし)が公的にも使われるが、ほかにも単に独居者が住居内で亡くなっている状況を指す独居死(どっきょし)のような語も見いだせる。
五十万円ずつ預けている。
都監察医務院によると、一昨年、区部で孤独死した高齢者は二千七百二十七人。前年より百人以上増えた。都の人口がピークを迎える六年後には、三百二十一万人の高齢者の四分の一が独り暮らしになると見込まれる。老後の安心は都民の大きな関心事だ。
言葉が出にくかったり、同じ音を繰り返したりする吃音(きつおん)のある男性(当時34)が昨年、札幌市の自宅で自ら命を絶った。職場で吃音が理解されないことを悩んでいたという。自ら望んだ看護師の職に就いて4カ月足らずだった。100人に1人とされる吃音の人を、どう支えればいいのか。学会が創設され、議論が始まっている。
男性は昨年3月に看護学校を卒業し、札幌市内の病院で働き始めた。
幼いころから吃音で、話し始める時に言葉がなかなか出てこない「難発」と呼ばれる症状があった。「ん……」と無言が続き、足踏みを繰り返すなどの「随伴(ずいはん)症状」もあった。緊張すると症状はよりひどくなった。
家族によると、男性は病院で吃音が理解されずに苦しんでいたという。男性は自己紹介の用紙に自分の症状について書き、職場で理解してもらおうとしていた。「大声を出されると萎縮してしまう」「話そうとしているときにせかされると、言葉が出なくなる」
だが、伝わらなかった。男性が残した手帳には、追い詰められていく様子が書き込まれている。「どもるだけじゃない。言葉が足りない。適性がない」「全てを伝えなければいけないのに、自分にはできない」。その字は、次第に乱れていく。親友には「続けられないかもしれない」とメールを送っていた。
昨年7月末、病院からの連絡で母が駆けつけると、男性は自宅で死亡していた。携帯電話には家族宛ての未送信メールが残っていた。「相談もせずに申し訳ありません。誰も恨まないでください。もう疲れました……」。後になって、男性が昨年6月ごろからパソコンで「吃音と薬」「新人看護師と死」などを検索していたことも分かった。
小津安二郎監督による『東京物語』(1953年松竹)のリメイクであるが、広島側の舞台が尾道から豊田郡大崎上島町に変更され撮影されている。キャッチコピーは「おかしくて、かなしい。これは、あなたの物語です。」。
もともとは2011年12月公開予定であったが、東日本大震災によって公開が延期となった。それとともに脚本の一部を改訂し、主演の老夫婦の配役を菅原文太と市原悦子から、橋爪功と吉行和子に変更。また長女役も室井滋から中嶋朋子に交代した。
全国317スクリーンで公開され、2013年1月29、20日の初日2日間で興収2億961万6,000円、動員動員19万4,902人になり、映画観客動員ランキング(興行通信社調べ)で初登場第2位となった。