財務論(1):お金には色も匂いもないのか?
今回から財務論に入る。私にとっては、いまだに最も苦手なテーマ。
それでも、10年以上前のFESCO創業時は、今以上に何も知らず、よくもそれで会社を立ち上げたものだと、今更ながら汗顔の至りである。
それでも、当時なりに書物などで勉強はしたつもりであるが、やはり実践の場を経験しないとすべてのことが臨場感を持てず、要はまったく分かってなかったということか。
会社の立ち上げには、資金が必要である。当時は、法的にも1000万円ないと株式会社はできなかった。今は1円でも株式会社は作れるので、隔世の感は否めないが。
まず、創業資金をどう集めるかということに、会社設立のポリシーが必要だという基本が理解できていなかった。
その会社の支配権、経営権、立ち上げ後の経営方針、その後の成長戦略、上場を目指すのかどうかなど、さまざまな経営に関わる重要事項を熟慮の上、最初の資金計画が立案されるべきである。
創業資金の調達には、大きく二種類しかない。借入と資本である。当時は、余程のことがない限り、創業時の借入は不可能であったことから、残りの手段は資本調達しかない。
ここで「資本政策」ということが重要になってくる。
私も創業後にいろいろなファイナンス関係者から、「貴社の資本政策はどうなっていますか?」という問いを頻繁に受けたが、恥ずかしながら当時の私には、この「資本政策」という言葉の本当の意味が分かっていなかった。また、私の周りにも、それを私の立場に立って親身に考えて、アドバイスしてくれる人もいなかった。
とにかく自分の事業計画に賛同していただける人や組織から、出資いただければ良いという単純かつ純粋な気持ちで、必死に説明に回ったことだけを記憶している。
その時は、コンソーシアムの立ち上げと会社の創業資金集めをほとんど同じ次元で捉えており、「お金には色も匂いもない」という根拠のない確信に満ちていた。
しかし、この言葉がまったく間違いであったことに気付くのは、上場などが視野に入り始めた頃のことであり、時すでにおそしであった。
間違いなく「お金には色と匂いがある」のである。
(次回に続く)
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