再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

原点回帰の読書

2013-10-20 10:19:47 | 読書感想
9月から始まっている当社の今期の経営スローガンは、「原点回帰」とした。

創業7年目に入り、もう一度、創業時の原点に戻って、自らと自社の有り様を真摯に振り返る。

なんのために創業したのか。

なにを目指して始めたのは。

創業時の思いを振り返り、6年の歳月によって、なにが変わったのか、あるいは変わらないままなのか。

昨年度の苦しく苦く辛かった経験を通じて、自然ともう一度、原点を見つめたいと思うようになった。

初心忘るるべからず!

ということで、読書においても、長年積上げた書架を眺めながら、ふっと目に入ってきた昔読んだ本を数冊取り出して、もう一度読むことにした。

1冊はビジネス書。

「なぜマネジメントは壁に突き当たるのか(田坂広志著)」

田坂さんは、私のビジネスマンとして遥か昔に別の道を歩んだにも関わらず、今だに畏敬する上司であり、永遠の師匠である。

その本のタイトルがなぜか目に飛び込んできた。

読み始めると懐かしいような、厳しかった日々が思い出されつつも、その一言一言が昔以上に身にしみわたる。

若輩の折には理解できなかった師匠の言葉の深い意味が、今やっと分かったような気がしたということか、実に未熟な部下であったものだ。

もう1冊は歴史書。

「蒼穹の昴(浅田次郎著)」

こちらはやはり浅田氏の最高傑作であることを再確認した。まだ、読み始めて三分の一ほどではあるが、時を忘れて浅田ワールドに引き込まれてしまう。

最後のクライマックスでは、10年前は確か涙が止まらなかった記憶があるが、今回もその終末に向けて一気に読み進めている。

人間の天命とは? 人はなんのために生きるのか?

10年の歳月が自分自身の感性をどう変えたであろうか、あるいは変わらないままなのか。

今から楽しみにしている。

読書による原点回帰。

実は今まであまり経験したことがないことではあるが、本当はこれからこそ、最も必要なことかもしれないと思おう今日この頃である。



若き起業家の二冊

2013-06-30 09:18:38 | 読書感想
「起業家・藤田晋著」と「不格好経営・南場智子著」

どちらも創業起業家であり、藤田氏は現在でもサイバーエージェントの社長、南場氏はDeNAのファウンダーである。

サイバーエージェントは、1998年の創業で、2000年に東証マザーズに上場。一方のDeNAは、1999年の創業で、2005年に同じく東証マザーズに上場している。

そして、今ではどちらの会社もすでに4桁億円を超える売上を誇る大企業に成長しているが、本書ではその創業期から現在に至るまでの創業社長としての悪戦苦闘の日々が生々しく描かれている。

会社の成長は、社長の器以上には大きくならない。

この定石が語る意味を見事に証明してくれている。まったくその通りであることが、両書の端々から読み取れる。

やはり、両人とも素晴らしい社長である。一言一言が心に染み入ってくる。

一方で、読み進めながら、限りなく悔しい思いが去来するけれど、この結果としての現実の差は認めるしかない。

屈辱感と敗北感が入り交じった複雑な感覚と同時に、心の底から沸々と熱い思いが湧いてきた。

まだ自分も起業家なのだ。

とても未熟で小さな存在ではあるものの、自分の力でこの世の中を少しでも良きものにしたい。

一緒に働く社員全員を幸せにしたい。この会社で働いて良かったと言ってもらいたい。

協力をしてくれる様々な企業の方々と、一緒に稼ぎたい。あいつらと一緒に仕事ができて良かったと言ってもらいたい。

もう一度、起業家魂を呼び覚まして、新たな挑戦をし続けていきたい。

若き起業家から、こんな熱いエネルギーをもらった二冊であった。

これから起業をと考えている人には、必読の書であろう。



憂鬱でなければ、仕事じゃない 見城徹・藤田晋著

2012-01-07 12:14:51 | 読書感想
電子書籍で思わずダウンロードし、読み始めた一冊。

電子書籍では、「立ち読み」という機能があり、目次やまえがきが簡単にもちろん無料で確認できる。本書のことは、これまでどこかの店頭で見たような記憶があったが、その時は著者の藤田氏の名前を見ただけで、その中身を見ることをしなかった。

藤田晋氏とは、サーバーエージェントというネット広告ビジネスの若手経営者であり、某女優との結婚と離婚で名を売ったことぐらいしか知らなかった。

このようなある種の偏見が店頭での「立ち読み」を妨げたのであろうか。業界がITであり自分の業界と異なること、さらには自分より若造であるということなどが、絶対に役に立つ本のはずがないと判断したのであろうか。

いずれにしても、こうした誤った先入観は、この「電子立ち読み」によって、一瞬にして打ち砕かれ、思わず続きが読みたくなった。

この本のポイントは、幻冬舎という出版社を立ち上げた見城社長である。全体の構成は、見城氏の語る人生観、仕事感などが込められた短い言葉・メッセージが紹介され、その言葉についての見城氏自身の情熱的な解説があり、その後に藤田氏がそこから学んだことや自分自身の経験との対比などを紹介していく。

内容自体は、決して軽いテーマを扱っていないにもかかわらず、非常に軽快なリズム感があって、飽くことなく次々とページをめくりたくなる本である。

藤田氏のように、まさに自分自身の経験や考え方と重ね合わせながら読むとさらにおもしろくなる。なるほどと目からうろこが落ちることも多々ある。

若手でも年長者でもビジネスを志す者であれば、それぞれの立場に応じて大変ためになる一冊である。

確かに、仕事とは辛くて苦しくて憂鬱になることが多いものである。楽しく楽な仕事など、本当の仕事ではないのかもしれない。

ただ私のような未熟なビジネスマンは、こうした本当の仕事を通じてしか、自分自身を成長させることはできない。

本当の仕事をやり切った時のみ、その結果が成功か失敗かにかかわらず、より大きな成長の喜びを得ることができるものなのであろう。

未熟な自分自身には、残念ながら未踏の境地ではあるが・・・。でも、まだあきらめてはいない。



世界を知る力~日本創生論~ 寺島実郎著

2011-08-20 10:46:05 | 読書感想
久しぶりに読書感想を書きたくなった。

寺島氏の「世界を知る力」は、2010年1月にその第一弾が発刊された。それはそれで氏の幅広い知見と見識を示す良書であったが、今回はそのシリーズの第二弾であり、3.11の出来事を契機として発行されたものである。

あらためて氏の構想力の大きさと論理立てた主張には、敬服するばかりである。

以下に本書の序文より引用する。

人間は、日本が今直面しているような苦難な状況に置かれると、根拠のない楽観と悲観の狭間に揺れ動きがちになる。

震災後にやたらにテレビCMで流れた「日本は強い国」「ガンバレ日本」のメッセージのごとく、意味もない激励と鼓舞のなかで陶酔し、結束と団結を訴える空気が醸成される一方で、「日本は終わった」「これまでの社会のあり方全体を反省すべし」といった全否定の空気が交錯することになる。

根拠のない楽観と悲観は「思考停止」という意味において共通している。

今、日本人に問われているのは、「根拠のない自己過信」や「無原則な一億総懺悔」ではなく、筋道立った思考の再起動である。

うんー、実にするどい言説ではないか。

これまでもやもやしていた自分自身の頭をガッーンと一発やられたような、ある種爽やかさも感じる洞察ではないか。

さらに第四章の「日本再生の目指すべき方向性:真の復興構想とは何か」も、すばらしい着眼と発想だと思う。

それに続く第五章の「新しい国家エネルギー戦略の考え方」は、基本的に私の考えと同じであり、激励を受けたように感じた。

その中でも、原子力エネルギーについては、副次的と位置付けながらも、真正面から向き合っていくべきとのこと。

私も世界全体の状況から俯瞰した場合、日本人こそが、原子力から逃げるのではなく、先頭に立って取り組んでいくべき問題であると思っている。

ただし、氏の指摘するように、今のような閉鎖的・独善的な体制ではなく、もっと開かれ、かつ国家の責任が明確な形での推進が必要となることは言うまでもない。

そして、再生可能エネルギーの推進も合わせて強化すべきであり、さらには、その前提として一層の需要抑制・省エネルギーがなければならない。

資源のまったくない日本のような国に住む日本人こそが、自然の脅威と悲惨な光景に立ちつくし自らの思考を停止することなく、真のエネルギーのベストミックスの達成に向けた新しいエネルギービジョンと戦略を立案すべきである。そして、その実現に向けて極度の楽観にも悲観にも陥ることなく、腹を据え覚悟を決めて、日々悩み苦しみつつ各自の務めを果たして行く。それこそが日本人である私にも課せられた使命なのだ。

そうあらためて気付かせてくれた良書でした。



国家の命運・薮中三十二著

2010-11-06 09:00:03 | 読書感想

久しぶりに骨のある本で出合った。

「国家の命運」

著者の薮中氏は、北朝鮮との六カ国協議などでテレビにも良く出ていた薮中三十二氏である。この間まで、外務事務次官を務めており、退任後の著作となる。

尖閣の問題や北方領土の問題など、最近、わが国の外交の弱腰が批判されている中での、時期を得た書でもある。

さすがに事務次官まで上り詰めたトップキャリア官僚らしく、日本外交の実体験に基づく率直かつ明快な解説と自説が入った大変説得力のある本である。

こうした憂国の士が単に天下りで余生を過ごすのではなく、これだけの知見と経験の持ち主には、ぜひとも日本国の再生に活躍していただきたいものだ。まだ62歳という若さである。

今後の薮中氏の動向を注目したい。