再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

エナジーショックとどう闘うか-10‼️

2022-11-26 04:31:00 | 日記
前回はデータドリブン脱炭素経営のスタートラインに立つためのインフラとして、EMS(エネルギーマネジメントシステム)導入の必然性を説いた。
ここで最近注目度が急速に上昇してきた「データサイエンス」に関して言及しておく。
そもそもデータサイエンスとは何か?その分野を専門家として操るデータサイエンティストとは、なにをするのか?私なりの考えを記しておく。
ある時、データサイエンスの概要を知りたいと思い、某大学の連続講義プログラムを受けようと申し込んだことがある。
その第一回目の講義でプログラムの全体像を聞き、即その後の受講継続をキャンセルした経験がある。
なぜなら全ての講義が、データの統計的な分析処理手法の解説に偏っていたからである。
もちろん、データサイエンスの中核的なテーマの一つは統計学的なものであろう。
しかしながら、自分自身の実務経験上の感覚からは、なにか大きく欠けるものを感じたことを記憶している。
私なりにデータサイエンスの全体像を整理すると、以下のように三つの段階に分かれると思っている。
第一に、対象となる現場から、あるいは対象とする事象から、各種データをどう収集するかである。
現状のデータがどう存在するのかなどを正確に把握すると共に、そのデータをいかにデジタライズし、継続的にかつ経済的に収集できるか。そのためには通信に関する技術的な知見が不可欠である。また、昨今ではデータセキュリティをどう確保するのかも、重要な問題となる。
そして第二段階が、収集したデータをどう料理するかであり、ここで初めて統計学など各種分析手法の知見が不可欠となる。前回紹介したBIツールなどを使いこなすことも必須の能力であろう。
最終の第三段階は、様々な分析により見えた状態から、分析結果の意味を読み解き、問題や課題を抽出し、それらを解決するためのソリューションを考え、分かりやすく提案し、実行し、改善結果を出すことである。
第一段階がエンジニアリング(理系)、情報通信工学であり、第二段階が数理科学(理系)、数理統計学であり、第三段階が社会科学(文系)、ビジネス・経営学となる。
実に学問分野横断的な総合科学ではないか。
こんな全ての領域に長けたスーパーマンなど実際に存在するのだろうか、とも思うが、それほどデータサイエンスティストとは魅力的で価値の高い職能である。
今後、多くの若者にこのような人材像を目指して欲しいものだ。
プロのデータサイエンティストは、データドリブン脱炭素経営には不可欠な存在であり、特に経営者は中長期的な視点に立って、このような人材を育成するための戦略立案と実行を期待したいものである。



エナジーショックとどう闘うか-9‼️

2022-11-19 06:31:00 | 日記
EMS(Energy Management
System)という自動データ収集、分析装置を現場に導入すると、ここからが本格的なデータドリブン脱炭素経営がスタートする。
そこで自動的に収集される各種データ類をどう取り扱うか。
まずやるべきことは、ダッシュボード作りである。ダッシュボードとは、集まってくるデータ類をできるだけ分かり易い形で、かつ一定の間隔で視覚化された画面である。
最近では、BIツールという優れたソフトウェアが低価格で活用できる。BIとは、Business Intelligentの略であるが、もっと分かりやすく言えば、表計算ソフトのエクセルがより高度でビジュアルになったもの。
このような優れたツールを活用し、それぞれの現場で管理すべき箇所なり、プロセスを定点的かつ連続的に可視化する。
従来のように、人的な分析では決して見ることができなかった現場の実態が確認でき、そこから3Mと言われる「ムダ、ムラ、ムリ」がそれほど手間をかけずに見えてくる。
いよいよ本格的なエネルギーマネジメントの開始である。

エナジーショックとどう闘うか-8‼️

2022-11-13 06:32:00 | 日記
このエナジーショックへの闘いの巧拙は、何で決まるか?
当たり前のことで、それがなかなか進まないことは、まず最初に自らの現状、エネルギー使用状況を正確に把握すること。
その把握も単にある特定の日時の状態ではなく、常に連続して把握できる仕組みを導入すること。
さらにその仕組みに人的なリソースを割かないこと、つまり自動的なデータ収集システムが必須のツールである。
これこそがデジタルの力を最大限活用すべきところであるが、この最初のスタートがなかなか切れない企業が多いのが現実でもある。
確かに、いわゆるデータ把握により見える化ができたとしても、それだけでエネルギー使用量やコストの削減につながる訳ではなく、それでは社内での投資稟議が難しいとなる。
実際、この最初のハードルがデータドリブンな脱炭素経営に転換、トランスフォームするための大きな壁になっているようだ。
一定の投資には、その効果を算定し、何年で元が取れるのか。確かにこの理屈付けは企業であれば必須のことであろう。
では、様々なデータ類がリアルタイムで把握できると、それでどんな効果が期待できるのか⁉️
まず大切なことは、このような効果を出すためには、実際の現場の方々の理解と努力が必須となること。
さらにその前提として、これまでデータの収集や加工に現場で結構な時間を費やしてきたが、この点が自動化されれば、データの分析やその分析に基づいた削減行動に時間を使うことができる。
これこそがデジタライぜーションの大きな効用の一つである。
こうなれば、データの分析・利活用により、それまでのエネルギーコストの5〜10%削減は可能となる。これは私の長年の経験値であり、最近は確信になっている。
これだけの効果が期待できれば、費用対効果を明示することができ、社内稟議もクリアできるのではないか。
この効果を実際に出すためには、現場の方々のやる気が肝になり、こうした現場力を引き出し、モチベーションを高めることが、経営者の役割である。
経営と現場が一体化すること、これがデータドリブンな脱炭素経営への転換のスタートとなるのである。

エナジーショックとどう闘うか-7

2022-11-06 05:29:00 | 日記
データドリブンな企業経営体制を構築するたまには、まずは現状をできるだけ精緻に、かつリアルタイムに把握することである。
ただし、この作業に多大な現場の労力を割くことは、本末転倒になりかねない。
むしろ、現場の負担をできるだけ軽減しつつ、あらゆるデータが一元的に集まり、しっかり分析、活用される管理体制が必要になる。
そのためには、事業プロセス全体のデジタル化は必須となり、このためのある一定の投資は継続的に必要になる。
昨今、日本企業でもDXと称したデジタル化への取組みがやっと動き始めたが、この期にさらなる加速を促したい。
ただこのデジタル化にも段階があり、まずは各日常業務自体をデジタル化するDegitaizationが出発点である。
そして、次のDegitalizationの段階では、業務全体プロセスをデジタル化すること。
それらの積み重ねにより、会社全体がデジタル化により、新しく生まれ変わること、それこそが真のDegital Transformation、DXである。
この一連の企業革新を進めるためには、まずは経営トップの頑固たる信念に基づいたコミットメントが不可欠であり、同時に現場サイドの末端までが腹落ちした納得感に基づいた日々の活動が必須になる。
残念ながら、多くの日本企業は、この真のDX対応にかなり遅れをとった。最近良く喧伝される「失われた20年あるいは30年」の一因は、このDXへの対応の遅れであると断言したい。
今回のエナジーショックを逆手に取って、DXを旗印とした企業革新に取り組んでもらいたいものである。
過去の様々な苦難の歴史を振り返っても、逆境に強い日本人が真価を発揮する時ではないかと期待し、その一隅を照らす思いである。