再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

八ツ場ダム中止に思う

2009-09-26 09:58:07 | チャット

本件の中止表明に対して、群馬県の地元町役場に4000件以上のメールが殺到しているとのこと。その大半は、誹謗中傷を含めた批判的な内容だとか。同様の電話もかなりあって、役場の職員が対応に四苦八苦とか。

このニュースを聞き、とても心寂しい気持ちになった。

60年近い長い間、国の政策に翻弄され続けた地元住民を批判や非難できる人間がいることが信じられない。

やっとの思いで建設受入れという苦しい決断をしたものの、突然にはしごをはずされる。身体の底から湧き出る怒りとやるせなさに、身を震わす思いをされているのではないか。

この問題に比べれば、まったく取るに足らないことではあるが、今私自身の仕事上でも、前政権下での補正予算関連で、多少なりとも「はしごはずし」のなんとも言えないやるせない感覚を味わっている。それが60年近い年月にわたったダム問題となると、想像に絶するものがある。

この大変な住民の思いを最も正面から受け止めて理解しているのが、実は前原大臣なのだと思う。だからこそ、時間をかけて話し合いをしたいという大臣としても苦しくも適切な判断をしている。

ただし、その感情論とこの公共工事を中止するという判断とは、切り離して考えるべきであり、その意味では大臣が当初方針にぶれることなく、中止を前提とした話し合いの場を設け続けたいとしていることは評価できる。

前原氏は、今回の試練の乗り越え方次第では、彼の政治生命がかかっているであろう。この難しい事案を軟着陸させることができれば、日本国の次世代リーダーへの道が開けるであろう。ぜひとも、そのように成長していって欲しいものだ。

あくまで傍観者であるわれわれにできることは、じっと推移を見つめ、軟着陸を願うことしかできない。苦しい決断をしようとしている人を見守る強さと優しさを持ちたい。少なくとも、一方を無責任に誹謗中傷するなど、とんでもない行為である。

ただ、もし権力側にある前原大臣が、苦しさに耐えかねて拙速な解決を図ろうとしたら、あるいは住民側が理不尽な行動に出るようなことがあれば、その時こそ、その行為に対してわれわれは大いに批判すべきかもしれない。しかし、現状はまだその時ではない。

政権交代による方針の転換と今までの政策とのバランスをどう取るか。この問いは、永遠に答えの出ないものかもしれない。

ただ、時のリーダーは、その答えのない問いに、ある答えを出さなくてはならないのだ。この種の難しい判断をする時は、その判断の結果の是非を問うよりも、判断をする時の「心の在り方」が重要なのだとあらためて思う。


リーダーは半歩前を歩け

2009-09-20 09:36:04 | 読書感想

「リーダーは半歩前を歩け」

この本の著者は、政治学者の姜尚中(カン・サンジュン)氏であり、前著の「悩む力」がおもしろかったこともあり、日経広告を見て即注文した。

新しい切り口のリーダーシップ論として、こちらも大変興味深く一気に読み終えました。

今のような混迷の時代だからこそ、「リーダーシップ」という古くて新しい問題を問い直す意味がある。というのが、筆者の問題提起である。

日本人をある意味冷静に見ることのできる著者だからこそ、今の日本のリーダーシップ論を鋭い洞察と批判に満ちており、納得するところも多かった。

小泉元首相のリーダーとしての厳しい分析と評価については、日本人および日本社会全体への大いなる警鐘にも思える。

われわれ自身が、ただ劇を見るように観客としているだけでは駄目であり、自ら能動的に行動していくことの必要性をあらためて感じさせてくれる。

今求められるリーダーシップとは、超人的なものではなく、まさに半歩前を歩く属人的なものであり、同時にリーダーシップは、先天的なものではなく、後天的なものである。

私のような日常の瑣末なことに日々格闘している平凡なビジネスマンにも勇気を与えてくれる書である。


1990年比25%削減の実現性

2009-09-13 08:30:16 | ニュース

今回も民主党のことを書きます。

彼らの政権公約(マニフェスト)では、温暖化ガス排出削減の2020年中期目標を1990年比25%削減としており、先日、鳩山代表がその目標を世界に向けて正式に表明しました。

首相就任後の国連総会でも、同種のスピーチをするということです。

国内では、産業界を始めとして、この実現性に疑問を呈するコメントが多数出されており、国民負担の増大と企業競争力の減退につながるというのが、反対論の主旨です。

確かに現政府案の90年比8%減(排出権クレジットや森林吸収を含まず)と比べて、圧倒的に厳しいものです。現時点では、京都議定書の約束である90年比6%減(排出権と森林吸収分5.2%含む)すら、その実現が危ぶまれているのです。

あと10年で25%減ではなく、すでに12%程度増加した状態なので、合計すると40%程度の削減となります。もちろん、排出権や森林吸収分など含めてのことでしょうが、それでも生易しい値ではありません。

ただ私の個人的な意見としては、この宣言は正しいと思います。また、決して長い目で見れば、国益を損なうものではないと信じています。

実は地球全体で見れば、日本の排出総量は、たった4%程度にしか過ぎません。つまり、日本がどんなに削減しようとも、地球温暖化を止めることなどできない程度なのだという事実です。

つまり、地球温暖化問題においては、わが国は小国にすぎません。だからやってもやらなくてもいいという投げやりな意見もあるかもしれませんが、本当にそれでいいのでしょうか。

小さな割合に過ぎないからやらないのではなく、世界の温暖化議論のまとめ役をやるために、まず自ら努力をしていく。リーダーとしての最低の姿勢は、困難なことに対して、常に率先垂範であるべきだというのが、私の信条でもあります。

世界の国々にわれわれの背中を見せる。

この気概こそが、小国のわれわれにこそ、今求められる矜持と覚悟なのではないでしょうか。

その結果として、温暖化対策先進国として、世界各国から尊敬され、模範とされる国としての未来の日本像が見えてくるのではないでしょうか。

そうあった欲しいと願っておりますし、そうあるために今できることにまい進したいものです。


民主党への提言

2009-09-05 12:26:27 | コラム

総選挙は予想通り、民主党の圧勝となった。これで日本はどう変わるのか?もちろん、今よりも良くなる方向に進むことを切に願いたい。

本格的な政権交代を経験したことのないわれわれには、まだその波及効果が見えていない。おそらくプラス効果のみならず、マイナスの効果も徐々に出てくるであろう。

政策の一貫性の問題が大きなテーマの一つであろう。

外交では継続性を重視しているとしているものの、内政では、補正予算の執行停止など、これから大きな営業が出るかもしれない。

特に、景気低迷の中、国の機能が思考停止になることだけは避けたいものだ。

例えば、今年度の補正予算による諸事業について、民主党は政権交代の実を早くアピールしたいがために、執行を停止するというような暴挙に出る可能性が高い。ほんとうにムダであることが明らかな事業であればやむを得ないが、景気、雇用、地球温暖化対策等に絶対に必要な事業も含まれている。

それらすべてを一括りに停止となれば、国の機能がストップするだけではなく、国に対する信頼性そのものも失われ、結果として政権交代という政治的イベントへの忌避につながる。

民主党はそのあたりも十分に配慮した上で、独自性を出すべきであろう。マスコミ受けだけを狙ったような、あるいはマスコミの非難を回避する目的で、強引なことをやれば、結果として自らの政権基盤を危うくすることになる。

やはり、内政においても、すでにスタートしている事業については、ある程度の継続性が前提とすべきであり、民主党が本当に勝負するのは、過去ではなく現在から未来のことである。

民主党の良識と見識を信じたい。