再び原点回帰なり!

未熟なビジネスマンの心のつぶやき

これでいいのか日本の基本姿勢は?

2009-03-28 07:27:14 | コラム

日本が2020年までに温室効果ガスを何%削減するかを検討している中期目標検討委員会(座長:福井前日銀総裁)で、削減目標毎に経済に影響を与えるであろう試算結果が明らかにされた。

この試算は、政府系の研究機関がおこなったそうであるが、GDPを押し下げる効果が「最大で現時点から2020年までの累計で6%、年平均0.5」ということのようである。さらにご丁寧にも、世帯当たりの可処分所得の減少まで示されていた。

25%の削減目標だと、22万から77万円の減収だそうである。

そして上記の検討委員会では、この試算結果を基にして、日本の中期目標を決めると報じられている。

そもそもこの政府系研究機関の試算の前提は何かと思い、報道資料を詳細に見ると、「現在の産業構造を前提とした」とあった。

これは一体どういうことなのか?ある種の怒りと失望を感じるのは、私だけでしょうか?

地球温暖化対策としてCO2等を削減する努力をしていくと、経済成長を圧迫する。つまり、環境と経済は両立しないと宣言しているのである。その前提は、現在の産業構造のままだという。

こうした試算し公表する意図はなにか?うがった見方をすれば、「だから削減目標はなるべく低くすべきでしょう」と国民を納得させるものでしょうか?

それとも、だからこそ産業構造を大胆に変更して、高い削減目標を掲げつつ、経済を成長させる必要があると主張したいのでしょうか?

後者であることを切に願うものの、報道だけからの印象では、どうも前者のようである。私もこの記事を最初に読んだ時、決して前向きな気分にはなれず、ある種の怒りすら感じたくらいです。

最近は政治家や官僚などの中にも、「環境と経済の両立」を謳う人が出てきつつあり、ある種の同志としての親近感を持っていた者として、こうした人たちは、このようなプロセスをどう感じているのかお聞きしたいものである。

今まさに「環境と経済の両立」をするためには、今後どうしていくべきなのか?

グリーンニューディール政策とは、そもそもそのためのビジョンではないのか。

この国には、今こそこの分野での真のリーダーシップが必要だと痛感している次第です。このままでは、本当に世界の大きな潮流から取り残されてしまうでしょう。そんな危機感と失望感にあふれた発表でした。

小さな自分に何ができるか?その無力感にだけは、勝たなければと思う。


諸行無常の三原則

2009-03-21 05:58:32 | チャット

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり

かの有名な平家物語の一節。

この「諸行無常」について、宗教学者の山折哲雄氏は、以下の三原則として解説されております。

.地上に永遠なるものはない!

.形あるものは、必ず滅びる!

.人間は生きてそして死ぬ!

そして、平家物語は、次のように続きます。

沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらはす

おごれる人も久しからず ただ春の夜の夢のごとし

たけき者もつひには滅びぬ ひとへに風の前の塵に同じ

われわれの精神性の原点は、まさにここにあるのではないでしょうか。

その上で、「今この時を生き切る」という覚悟が必要なのでしょう。


米国の動き

2009-03-14 05:35:21 | チャット

米国のエネルギー事情はオバマ政権になってから、急速に変わってきているようです。

その変化の方向は、まさに原点回帰。80年代に全米を席巻したDSMが復活しているのです。

DSMとは、Demand Side Management略語で、需要側のエネルギー管理という意味です。つまり、省エネルギーです。

エネルギーを使う量を減らすことと、エネルギーの使う効率を良くすること。この2点が省エネの基本ですが、それらをしっかりと管理していこうという考え方です。

そしてDSMの目的は、増加する需要に供給側(Supply Side Management)の増強ではなく、省エネによって対応するというもので、そのどちらに投資した方が投資リターンが大きいかで判断するというかなり合理的なものです。

今、このDSMサービスを住宅から事務所ビルや工場までに提供しようという新しい業態がベンチャーとして生まれているようです。まさに20年前のESCOブームと同じでしょう。

その時と決定的に違うのは、温暖化問題の深刻さとITの技術革新という社会情勢です。

金融危機の発祥の地として落ち込んでいるかと思えば、すでに新しいベンチャーの胎動が沸々と出てきている。これが米国の底時からであり、ダイナミズムなのかもしれません。

そんな状況を日本にいても肌で感じるようになりました。今こそ、米国から学ぶべきものはたくさんあるような気がしています。

久しぶりに行ってみたくなりました。彼らのエネルギーをもらいに。


省エネ産業に関する研究会終了

2009-03-07 17:04:18 | コラム

先週、経済産業省資源エネルギー庁主催の「省エネ化と省エネ産業の展開に関する研究会」が終了した。本研究会は、昨年10月よりスタートし、都合7回の会合があったが、なんとか皆勤できた。

本研究会のテーマは、省エネ産業をいかに育成していくかというかなり広範かつ遠大なものであり、さまざまな立場の委員によるプレゼンテーションと意見交換が行われた。

その中でも、省エネ産業化の先頭を切るべきESCO事業が注目を集めており、この種の研究会としては異例なことに、ESCO関係者が委員の四分の一ほどを占めるというものであった。それだけESCOに対する国の期待が大きいということかと、大いに責任を感じた次第である。

この最終報告書については、3月末ぐらいまでにはネットで一般公開されるであろうから、興味のある方はそちらをご覧いただきたい。

私としては、「省エネの基本は見える化」であり、「見える化をできるだけ安価にできる社会システムづくりが、世界をリードする省エネ立国には不可欠」という2点を強調することができ、最終報告書にもそれなりに盛り込んでいただけたことは成果があったと思っている。

その他にも、省エネのビジネス化に関するかなり具体的かつ踏み込んだ表現がされており、資源エネ庁省エネ対策課の坂本課長をはじめ、事務局スタッフの皆様の熱意と努力に感謝と敬意を表したい。

ぜひとも、この報告書が次なる省エネ政策に展開していけるように、頑張っていただきたいものである。民間として、可能な限り協力をしつつ、自らのビジネスの発展にもつなげていきたい。

いずれにしても、日本版グリーンニューディールの基本は、「新エネ」ではなく「省エネ」であろう。なぜなら、世界の中で日本だけが、省エネの重要性と地味ではあるがその効用の大きさを肌で感じているからである。これこそが、これから始まる国際的なグリーンビジネス競争の中で、最大の武器になることは間違いないのである。