今日のうた

思いつくままに書いています

椿の庭

2022-09-28 10:21:06 | ④映画、テレビ、ラジオ、動画
テレビで気になるCMがある。
70代後半の女優Yが、どうみても20代か30代にしか見えない姿で、
婉然たる笑みを浮かべてビールの宣伝をするのだ。
今は技術が発達してどのようにも見せることが出来るようだが、
私はこのCMを観るといや~な気持ちになる。

政治家もそうだが、永い間イエスマンに取り囲まれていると
自分を客観視できなくなるのだろうか。
あるいは70代か80代になるであろう古くからの
ファンが、女優Yの老いを許さないのだろうか。
それとも彼女がそう思い込んでいるだけなのだろうか。
いずれにせよ、どの世界でも力を持つ人に周りは何も
言えなくなるようだ。

そんなことを考えている時に、『椿の庭』という映画に出会った。
2021年公開の上田義彦監督、富司純子(ふじすみこ)主演の
この映画は映像が素晴らしい。(後で上田監督が写真家であることを知る)
海の見える高台に建つ古民家を移築したこの家は自然の美しさの中にあって、
四季折々の花々を楽しむことができる。
ここでの生活を楽しんでいたであろう夫の四十九日から映画は始まる。
説明やせりふは極力省かれているが、富司純子のふとしたせりふや表情から、
亡き夫との生活が伝わってくる。

富司純子の存在感が素晴らしい。
しわや首のたるみまで品があり、これまでの凛とした彼女の生き方を
伺い知ることができる。
毅然としているがゆえの亡き娘との葛藤が、ちいさなベビーシューズや
出さずに保管されていた古い手紙などから伝わってくる。
そしてゆったりとその世界に浸ることができる。

夫の弟役の清水紘治が、兄さんの家でいつもかかっていたと語る
ブラザース・フォアの「Try to Remember」のレコードが切ない。
         ↓
https://www.youtube.com/watch?v=KAn4L0l_-SU

沈恩敬(シム・ウンギョン)の透き通るような素足と椿。
せりふではなく映像がここでの生活を雄弁に語っている。
このような素晴らしい映画が日本では評価されずに外国で評価される。
このことが一映画ファンとしては悲しい。
日本の映画界は政治の世界同様、力が支配しているのだろか。

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