今日のうた

思いつくままに書いています

二十一世紀に生きる君たちへ

2015-07-14 09:40:20 | ②一市民運動
明日(7月15日)、安保関連法案が強行採決されるかもしれないと思うと、
気持ちがザワザワしてくる。
将来、派兵されるかもしれない若者も、若いママたちも、「戦争法案反対!」と
声を上げている。
その可否を決める多くの国会議員は、絶対に派兵されることのない60代、70代である。

『司馬遼太郎が考えたこと14エッセイ』の中に、「二十一世紀に生きる君たちへ
(『小学国語6』)」が入っている。
司馬遼太郎さんは、1923年(大正12年)に生まれ、1996年(平成8年)に
お亡くなりになっている。
東日本大震災も、特定秘密保護法も、集団的自衛権も知らずに逝去された。
司馬さんは、まさかこのような時代がくるとは想像していなかったのではないだろうか。
子どもたちに未来を託す司馬さんの心意気に、読みながら涙が出た。
一部を引用させて頂きます。

 ただ、さびしく思うことがある。
 私が持っていなくて、君たちだけが持っている大きなものがある。未来というものである。
 私の人生は、すでに持ち時間が少ない。例えば、二十一世紀というものを見ることができ
 ないにちがいない。
 君たちは、ちがう。
 二十一世紀をたっぷり見ることができるばかりか、そのかがやかしいにない手でもある。

 もし「未来」という町角で、私が君たちを呼びとめることができたら、どんなにいいだろう。
 「田中君、ちょっとうかがいますが、あなたが今歩いている二十一世紀とは、どんな世の中
 でしょう」
 そのように質問して、君たちに教えてもらいたいのだが、ただ残念にも、その「未来」と
 いう町角には、私はもういない。
 だから、君たちと話ができるのは、今のうちだということである。
 もっとも、私には二十一世紀のことなど、とても予測できない。
 ただ、私に言えることがある。それは、歴史から学んだ人間の生き方の基本的なことども
 である。

 むかしも今も、また未来においても変わらないことがある。そこに空気と水、それに土な
 どという自然があって、人間や他の動植物、さらには微生物にいたるまでが、それに依存し
 つつ生きているということである。
 自然こそ不変の価値なのである。なぜならば、人間は空気を吸うことなく生きることがで
 きないし、水分をとることがなければ、かわいて死んでしまう。
 さて、自然という「不変のもの」を基準に置いて、人間のことを考えてみたい。
 人間は―くり返すようだが―、自然によって生かされてきた。古代でも中世でも自然こそ
 神々であるとした。このことは、少しも誤っていないのである。歴史の中の人々は、
 自然をおそれ、その力をあがめ、自分たちの上にあるものとして身をつつしんできた。
 その態度は、近代や現代に入って少しゆらいだ。
 ―人間こそ、いちばんえらい存在だ。
 という、思いあがった考えが頭をもたげた。二十世紀という現代は、ある意味では、自然
 へのおそれがうすくなった時代といっていい。

 同時に、人間は決しておろかではない。思いあがるということとはおよそ逆のことも、あ
 わせ考えた。つまり、私ども人間とは自然の一部にすぎない、というすなおな考えである。
 このことは、古代の賢者も考えたし、また十九世紀の医学もそのように考えた。ある意味
 では平凡な事実にすぎないこのことを、二十世紀の科学は、科学の事実として、人々の前に
 くりひろげてみせた。
 二十世紀末の人間たちは、このことを知ることによって、古代や中世に神をおそれたよう
 に、再び自然をおそれるようになった。
 おそらく、自然に対しいばりかえっていた時代は、二十一世紀に近づくにつれて、終わっ
 ていくにちがいない。

 「人間は、自分で生きているのではなく、大きな存在によって【生かされている】」
 と、中世の人々は、ヨーロッパにおいても東洋においても、そのようにへりくだって考え
 ていた。
 この考えは、近代に入ってゆらいだとはいえ、右に述べたように、近ごろ再び、人間たち
 はこのよき思想を取りもどしつつあるように思われる。
 この自然へのすなおな態度こそ、二十一世紀への希望であり、君たちへの期待でもある。
 そういうすなおさを君たちが持ち、その気分をひろめてほしいのである。
 そうなれば、二十一世紀の人間は、よりいっそう自然を尊敬することになるだろう。そし
 て、自然の一部である人間どうしについても、前世紀にもまして尊敬し合うようになるのに
 ちがいない。そのようになることが、君たちへの私の期待でもある。(平成元年5月)
 (引用ここまで)

心が洗われる言葉である。
政治家は目先の危機ばかり煽るのではなく、今一度視線を上げて、10年後・20年後・
50年後・100年後・・・の日本のビジョンを、謙虚に考え直して欲しいと切に願います。
そうすれば防衛も原発も、違った道が見えてくるはずです。
今の政治には、「おごり」しか感じることができません。

※気になる情報がネットに流れています。
 数日前からジャーナリストの安田純平氏がシリアで拘束されたようです。
 ISとは違うイスラム過激派組織のようですが、政府は情報を否定しているそうです。
 もし安保関連法案の採決に影響があるという考えでしたら、絶対に許せません。
 後藤健二さんのようなことは、二度とあってはならないことです。

●【#本当に止める】 6分でわかる安保法制・・・SEALDsが作った動画です。
 とても解りやすくできています。
 面倒だから人まかせ=独裁政治でもかまわない。
 面倒でも何らかの形で参加=民主主義を選ぶ。 だと、私は思います。
 ブックマークに入れましたので、是非、ご覧ください。
(2015年7月17日 記)

※どうしたのでしょう。上の動画が削除されていました。
(2015年7月18日 記)





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