担当授業のこととか,なんかそういった話題。

主に自分の身の回りのことと担当講義に関する話題。時々,寒いギャグ。

渦の巻き方。

2013-03-24 13:56:51 | どっちだっけ?
日本の天気の話で,高気圧の中心から吹き出す風や低気圧の中心に吹き込む風の向きが,上から(宇宙から地球を見下ろす視点で)見た時,「の」の字のように渦巻いているのか,それとも「の」を鏡に映した字のように渦巻くのか,どっちだったかいつもわからなくなる。

風は気圧の高いところから低いところへ吹くから,気圧の勾配 (gradient) の向き,つまり等高線に垂直に吹くはずである。ところが現実はそう単純ではない。確か地球の自転の影響だったと思うが,風は等高線に垂直に吹かずに,ややずれた角度で吹くものらしい。その結果,吹き出しや吹き込みの流れが渦上になるわけである。

ここで理科クイズ。次の2枚の写真のうち,どちらが日本付近の台風でしょうか。

写真1

写真2


写真をここに並べて載せたかったが,著作権のことが心配なのでリンクにとどめた。

台風の渦巻き具合を覚えている自信がなくとも,テレビ等の気象情報で台風の衛星写真を何度となく目にしたことがある人ならば,どちらかの写真に違和感を覚えると思う。

なお,サイトの URL や写真に書き込まれている文字情報などからどちらが台風の写真でどちらがそうでないのか推定できてしまうが,このクイズはそういう推理力を試すものではない。渦巻いた雲の様子だけから答えていただきたい。


皆さん,写真は選びましたか?


では答えを発表します。


正解は・・・

写真2

です!


写真1は,ニューカレドニアの衛星写真だそうで,NASA の提供によるものである。

ニューカレドニアは南大西洋の島国であり,南緯21度30分に位置している。つまり南半球にある。

北半球と南半球とでは大気の渦の巻き方が逆になるというのは有名な話として知ってはいたが,こうして写真で違いを目の当たりにしたのは,僕自身初めての経験だったかもしれない。

台風の写真を探していたとき,検索結果の写真を見て一枚だけ強い違和感を覚えた。それが写真1との出会いだった。

一ヵ月ほど前に,わざわざオーストラリアの Bureau of Metorology(日本の気象庁にあたる機関であろう)でオーストラリアの風の向きのデータがないか探したりしたのだが,等圧線との関連がわかるようなデータは見当たらなかった。日本ではアメダスのデータが公開されているが,日本全土にびっしり生えた風速を表すベクトルが細かすぎて使いづらく感じた。それに,天気図の画像に重ねて解析するのは大変そうであった。

けれどもようやく,風の向きは雲の渦巻具合から読み取れるのではと気づき,台風の画像を検索したというわけである。

台風は日本のそばにやってくる。日本に馴染み深い。だからひらがなの「の」の字の形に渦巻いている。あるいはカタカナの「ノ」の字に沿って風が吹く,なんてこじつければ覚えられそうだ。もちろん,「の」と「ノ」のいずれにせよ,書き出しは気圧の中心にとることも合わせて覚えておこう。

なお,「の」の字であることは高気圧と低気圧の区別はない。高気圧はのの字に沿って風が吹き出し,低気圧は逆に吹き込むというように,「中心から周辺へ」か「周辺から中心へ」かが変わるだけである。
風の吹いている様子を撮ったビデオ映像を逆再生したものを,そのことを知らされないまま見せられた人は,高気圧と低気圧とを実際とは逆に認識するだろうが,北半球が写っているのか南半球が写っているのかは間違えないはずである。ただ,映像は非常に短い期間を撮影したものにしておかないと,逆再生したことがバレてしまうだろうが。


今回の調査で,気象衛星の画像にもお世話になった。地域を「全球」にして,種類を「可視」や「水蒸気」に変えて,過去24時間のデータを1時間ごとの区切りでコマ送りするアニメーションを見てみると,画像が白くちらつくこともあるが,まるで宇宙船から地球を眺めているような,得も言われぬ気分になって,いつまでも見飽きない。いい気分転換になる。


ちょっと宇宙の話が出たついでに,ぐるぐる渦巻いている天体の代表例,銀河の写真についても,「の」の字回りと反「の」の字回りのどちらが多いか,なんて調べてみるとよいかもしれない。調査の目的を忘れて,壮大な写真に心を奪われること,請け合いである。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今年は何年? | トップ | 電波受信しました。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

どっちだっけ?」カテゴリの最新記事