おつきさま こっちむいて (幼児絵本 ふしぎなたねシリーズ)片山令子福音館書店このアイテムの詳細を見る |
今晩は、予報では雨だった。でも、さっき、窓に月光が射していた。
月は不思議な力を持っていると言われてきた。潮の満ち引きを起こし、もしかしたら、人間の心にもその力を及ぼしているかもしれない。でも、その考えは、科学的ではないけれどもね。
星月夜を観る子どもたちは、どれくらいいるのだろうか。夜空を見上げなくても、生活は続いていく。中学生だった宮沢賢治は、よく屋根の上に登って夜空を観ていたという。食事を知らせる家族の声がかかるまで。何を観て、何を感じていたのだろう。プラネタリウムでは、『銀河鉄道の夜』が、今年も続映されることになった。リアルな星空と、丸天井の星空、そしてカンパネルらとジョバンニと共に乗り込む岩手軽便鉄道のかたちを列車の旅。外に出れば、本当の空が、僕を見下ろしている。
文部科学省のおかしなゆとり教育のせいで、小学生の理科の教科書の月齢は、2つか3つだけ教えればよいということになったのは、つい最近のこと。
おかしいよね。教えられる月の変化がそれでいいんだから。でも、夜空を観る子どもたちは、教科書に関係なく、月の顔の変化なんて、自然に覚えるよ。
この絵本の幼い「ぼく」も、夜空の月を観ながら、こっちを向いてと呼びかけている。ほそいほそいおつきさまは、お腹を空かしているんだ。ぼくとおなじ。毎晩、お月さまを観るんだ。でも、なかなか、ぼくのほうをむいてくれない。飛行機をみている夜もね。だんだん、ふとっていくおつきさま。いろいろな顔をみせてくれるおつきさま。ぼくの声がきこえるのかな。雲にかくれても、ぼくはみつけるよ。
そしてまんげつのよる、やっと、ぼくにむいてくれたね。いつもよりあかるいおつきさま。ずいぶんたかくのぼったね。おやすみなさい おつきさま。