1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「キャラメル」

2009-08-01 11:13:15 | 映画
 雨ですね・・・今日もひきこもり生活中です。「キャラメル」というDVDを見ました。
始めてみるレバノン映画。ナディーン・ラバキーという36歳の女性が、主演、監督、
脚本を行っています。
 
 ベイルートのエステサロンに勤める女性と、そこを訪れる人たちの物語です。
妻子ある男性との不倫の恋に苦しむ者、結婚を前に処女膜の再生手術を受ける者、
レズビアンの女性、子供二人を抱えてCMフィルムに出演するために何度もオーデ
ションを受ける者。そして姉の介護をしながら小さな仕立て屋をいとなんでいる女性
の老年期の恋。

愛、結婚、離婚、子育て、中年期の危機(若さが失われていくことへの怖れ)、老い、
介護。ライフサイクルを通して、女性が直面する課題に焦点を当てながら、物語は
進んでいきます。

アラビア語とフランス語、キリスト教とイスラム教、マネキュアや毛染めに代表される
ヨーロッパ的なモダニズムとブブカに代表されるイスラムの伝統。相対立する価値観
が存在するレバノン社会の中で、肩を寄せ合いながら生きている女性たちの姿が
とても印象的な作品でした。

年老いた姉妹がしっかりと手をつないでベイルートの街を歩いて行くラストシーンを
見ながら、先週読んだ「出てゆく」の青年たちの姿を、おもいだしていました。ここ、
ベイルートで力を合わせて生きていくのだという思いと、何があってもモロッコから
出ていくのだという思い。この二つの思いの間で、揺れ動いているのでしょうね、
アラブ世界の人たちは。

ベイルートの風景って、茶色と緑なんですね。