1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「仮想儀礼(上)」(篠田節子)

2009-08-10 22:30:40 | 
 「仮想儀礼(上)」(篠田節子)を読みました。上下巻900ページの大作。上巻は、
昨日から一気に読んでしましました。読み物としては、とてもおもしろいです。
 信者が三十人いれば、食っていける。五百人いれば、ベンツに乗れる。職を失った、
30代後半と40代の二人の男が、宗教をビジネスとして立ち上げるお話。マンションの
一室でたった二人で始めた宗教団体は、生きづらさを感じている若者や、現世利益を
求める中年婦人、利潤という魔物に追い立てられる中層企業の経営者、宗教団体をく
いものにしようとする商売人などを取り込みながら、順調に大きくなっていきます。
今は、7,000人になっています。
 組織が大きくなるにつれて、現世利益を求める人たちといやしを求める若者たち
との組織内での対立や、政治家をバックに持つ他の宗教団体との軋轢など、いろんな
問題が生まれてきます。そして、一人歩きしはじめた組織との違和感を教祖自身が感じ
はじめます。どの組織にも、当然起こる問題だけれど。

「これは自分が作り出した虚構世界ではないか、と次の瞬間、我に返る。一人歩き
した虚構世界が、まがい物の真言を唱えるうちに、自分の心を取り込んでいく」

今、税法上の利益のために、休眠中の宗教法人を買収するかどうか、主人公が悩んで
いるところだけれど、日本には法人登録されたものだけで185,000の宗教団体がある
のですね。教祖の数は140万人。すごい数です。

それでは、引き続き下巻を読みます。しかし、最近のこの手の本は、とにかく分厚いなぁ