1日1日感動したことを書きたい

本、音楽、映画、仕事、出会い。1日1日感動したことを書きたい。
人生の黄昏時だから、なおそう思います。

「ルーブル美術館展-17世紀ヨーロッパ絵画―」

2009-08-13 23:11:54 | 美術館
 京都市美術館で開かれている「ルーブル美術館展-17世紀ヨーロッパ絵画―」を見てきました。ルーブル美術館所蔵の17世紀絵画が71点。飢えに耐えながらつつましく暮らす農民たち、パブで飲んだくれる人々、華美を極めた上流階級の姿、新世界に出港していくオランダの帆船、領土拡張戦争と東方(トルコ)の戦士たち、スペインの没落を象徴するようなマルガリータの青白い顔、近代哲学のもとを築いたデカルトの肖像画と錬金術師などなど、絵を通して、近代へと向かう17世紀ヨーロッパの多様な姿を見ることができました、



     ル・ナン兄弟「農民の家族」


 この展覧会、ラトゥールの「大工ヨセフ」が来るときいてとても楽しみにしていました。ルーブルに行った時、この絵を見落としていたのです。とはいうものの、この回きた作品の中で、フェルメールの「レースを編む女」とベラスケスの「マルガリータ王女」、レンブラントの自画像以外の作品は、ぜんぜん記憶に残っていませんでしたが(^^;。
 ラトゥールの大工ヨセフ、期待にたがわず、とても良い絵だと思いました。ろうそくの光に照らされた大工ヨセフの憂いに満ちた瞳。ろうそくの光が透けて見えるような幼いイエスの左の手。このろうそくは、幼いイエスの命の灯りなのでしょうね。静謐さと神々しさと、自らの悲劇をまだ十分に理解し得ないイエスの健気さが、伝わってきました。



   ラ・トゥール「大工ヨセフ」

 もちろんフェルメールの絵もよかったです。ラトゥールのろうそくの光と対照的な室内に差し込むあわい光。細かくて緻密な描写。絵具をぶちまけたような赤い糸。指先に宿る魂。ルーブルで見たときよりも、今回の方が感激しました。ルーブルで見た時はとなりにフェルメールの天文学者の絵があって、この絵の小ささだけに目が奪われていたからかもしれません。



  フェルメール「レースを編む女」

 ラ・トゥールとフェルメール。ふたつの絵を見れて、とても満足。やっぱりこの二つの絵が、際立っていたかな。今日の展覧会では。