よっぽどの豪雨でないかぎり、山歩きは、雨の日も楽しいもので、初夏から初秋にかけては雨合羽のフードに滴る雨しずくのを聴きながら山道を下り、麓の温泉で汗をながし、冷たいビールで咽を潤し、熱いラーメンをいただきながら次の山のことを考えていた40代前半のころの記憶が、この梅雨の季節に甦る。
その原因は、今朝のEテレ趣味の園芸の「ヤマアジサイ」の薄紫。いったい、おいらは、薄紫の野生の花をこよなく愛している。スミレ、シラネアオイ、ラショウモンカズラ、ハクサンフウロ、ミヤマリンドウなどなど。そしてこの梅雨の季節といえばアジサイ。野生種は、毬のようなアジサイではなく、ガクアジサイやヤマアジサイのような花の周りに美しい飾りをたずさえた美女。その白から薄紅、水色から青、そして薄紫に変化する水しずくの似合う愛しの麗人。決して高山ではなく下山道の薄暗がりにひっそりと咲く花。
この季節に山を降りると、きまってこの薄紫の美女が出迎えてくれていた、(様な気がする。ひとりよがりか。)
オイラは、ねこ科なので集団に属することを極力嫌うが、青森県の八戸労山だけは4年間、脱退することもなく除名になることもなく加盟していて、ほぼ毎週のように山に出かけていた。東北ならばガクアジサイなのだろうが、その後、全国の山も歩いたからヤマアジサイの薄紅など乙女にも出会ったのかもしれない。
いずれにせよ。山のアジサイは、ことのほか愛する。
その、八戸労山からは、この石垣島のアパートに今でも毎月のように「山だより」が届く。あのときのメンバーが今でも地元の八甲田や岩手県北の山々を謳歌しているのをうらやましくも思いながらページをめくっている。
一際目立つのはNさん。仙台でもご一緒させていただいたが、無類の山好きと思われ、「月の三分の二以上は」山に登っている。もう、60代も後半に属するのだろうが、そのバイタリティに言葉もない。もちろん、年金の範囲で遊んでいるのだろうが、くいのない老後を選択したものと感心している。
さて、オイラ、もちろん「年金の範囲で」いかに老後を過ごすのかを、そろそろ計画している。初孫にやんややんやと小遣いを上げている自分は思いつかない。さらば、旅なのであるが、山ばかりでなく島や里山にも深い旅情を感じる。手段は、徒歩ばかりではなく自転車も頭にある。各駅の鉄道も頭にあるが、自動車は頭にない。酒が飲めないからだ。(自転車もなのだが)
さて、Nさんのように奇特な後半戦が送れるか。来週の徳之島や来月の野沢温泉とかにしっかりケリをつけてのことであるが。本日も雨で少しバイクのタイヤを試しただけ・・・