川本ちょっとメモ

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安倍研究(13止) アトランダムなまとめ――天皇と伊勢神宮を精神世界の頂点に置く

2015-06-23 11:55:24 | Weblog



安倍晋三という政治家の傾向性をアトランダムにまとめてみます。

1.岸・佐藤と比較にならず
優れた学業とはまちがっても言えません。安倍首相は成蹊小学校・中学校・高校・大学と、エスカレーターコースで、1977年に成蹊大学を卒業。同年渡米して南カリフォルニア大学入学、しかし卒業はしていません。勉強の点では自慢の祖父・岸信介元総理、佐藤元総理の足元にも寄れず、比較にもならない。英語もスピーチを聞くかぎり、渡米遊学したけれど達者ではない。

2.狡さ
一国の指導者として勉強と思索の貧しさを感じます。そこからくる狡さを感じます。国会でそれが表れています。野党の質問にはまともに答えず、関係のないことを得々と話して、わざと時間を浪費して終わらせます。しかし、安保法制に関しては憲法上の正当性がまったくないこと。安保政策の提案という観点では、多数国民を説得できるだけの政策上の材料もないことが、なによりの理由でしょう。

3.円安株高・消費増税・医療社会保障切り下げ
経済政策は円安一本です。円安はとっくに、野田政権までの極端な円高を是正するというラインを超えています。円安効果は輸出産業にプラス、輸入産業にはマイナス。輸入の多い食品を含む生活関連品の値上がり、円安分だけ原油支払いが増えてエネルギー費支出が高騰するなどマイナスも大きい。そのマイナス面とのバランスについての説明は、ありません。

そのほか、株高維持のために日銀国債買い増し・年金資金投入、医療社会保障費切り下げなど、国民一般にはメリットが感じられないことオンパレードです。

4.品性と知性で劣る
さらに一国の指導者として品性とか知性で劣るところがあります。報じられている、「日教組はどうした」とか、「早く質問しろよ」とかいう首相のヤジは、安倍首相の本来の姿を表す象徴的なできごとです。

5.苦労知らずで大人になりました
苦労知らずで大人になりました。1979年、神戸製鋼入社。1982年、外務大臣秘書官(外務大臣は父・晋太郎)。1993年、父の地盤を受け継ぎ衆院選当選。成蹊コースで大学まで行ったので受験勉強の苦労をしていない。アメリカ遊学でも勉強にうちこんだ形跡はない。神戸製鋼入社は事実の証明がなくとも、誰もがコネ入社だと思うでしょう。初出馬の衆院選は急死した父・晋太郎の跡を受けて、周辺が若殿をかついで奮戦してくれたことでしょう。

6.岸信介を鑑とするエリート主義
政治家として行動の鑑にしているのは、祖父・岸信介です。政策や思想を学ぶというよりも、行動様式を鑑としています。国のために正しいと思うことは、どれほど反対が大きくとも、突き進んでやり遂げるべきだ。60年安保を切り抜けた祖父の行動様式を金科玉条にしています。昨年来の安保方針閣議決定や今の安保法制国会審議では、常に故・岸信介首相と話し合っているのではないでしょうか。国民と話し合う姿勢はまったく見えません。安倍首相にとって国民は教導する対象で、これはエリート主義です。

7.吉田松陰
彼が敬愛しているのは吉田松陰です。明治維新の原動力になった長州人としての誇りに浸りきっていて、吉田松陰への敬愛は理性的なものでなく、安倍首相の情念と言えるでしょう。しかし実際は東京育ちの東京人であるところが滑稽ですが、維新長州の松下村塾生に自分の姿を重ねて、我こそが日本を救うのだという思いでいるのでしょう。放送中のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」は松下村塾が舞台です。安倍首相が、松下村塾と女性をテーマにした大河ドラマを、NHKに要望したという説があります。

8.美しい日本
「美しい日本」は第一次安倍政権時の政策スローガンです。「美しい」とは、情念的形容です。日本会議が進めている「美しい日本の憲法をつくる国民の会」にも、「美しい日本の」という情念的な形容詞がつけられています。この会のリンクラベルは、神道政治連盟のホームページに
も貼られています。日本会議にしても神道政治連盟にしても、目指すところは「美しい日本」というイメージでくくることができます。


9.安倍首相が描く「国のカタチ」
  天皇と伊勢神宮を精神世界の頂点に置く

安倍首相が思い描いているあるべき日本。それが「美しい日本」です。安倍首相の「美しい日本」は、吉田松陰の世界であり、天皇を絶対的な価値の中心に置く世界観であり、天皇の祖先神が拠る伊勢神宮を絶対的なものとして精神世界の中心に置くことや、天皇のために死を捧げた人を祀る靖国神社を特別な神社として崇める世界です。そうした精神世界を満足させる方向へ社会組織や体制を整備し、日本国民の道徳とすることが、「美しい日本」への道なのです。これはデモクラシー日本にとって、危険な道です。「美しい日本」とは「明治維新型日本」への先祖返りと言えるでしょう。安倍首相は現代日本の指導者というより、維新長州の後継者なのです。

10.伊勢志摩サミットと伊勢神宮
伊勢志摩は観光施設も整っていていいところです。子どもが小さいころ、毎年、志摩相差の千鳥ヶ浜海水浴場に連れて宿泊しました。余り知られていない日本の一面を知ってもらうには、伊勢神宮はふさわしい所でしょう。

来年の主要国首脳会議の開催地が伊勢志摩に決まった6月13日、産経新聞は次のように伝えています。
 ――来年の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)開催地に決まった三重県の鈴木英敬知事は13日、伊勢市の伊勢神宮で高城治延少宮司と会談し、サミット受け入れ準備で連携を図ることを確認した。
 ――安倍晋三首相は開催地を発表した際に「伊勢神宮の荘厳で凛とした空気を共有したい」と述べ、各国首脳の訪問に期待感を示している。

サミット開催地を伊勢志摩に安倍首相にとってはそれ以上の思い入れがあります。吉田松陰にとって、天皇は絶対的に尊崇するべき存在として自明のことでした。幕末の勝利者・明治日本の建設者、吉田松陰系の長州人にとっても同じです。そして安倍首相の精神世界にとっては、長州と伊勢神宮は拠るべき故郷なのです。

11.戦後レジームからの脱却 = デモクラシー日本を否定
安倍首相の言う「戦後レジームからの脱却」の底には、「美しい日本」という形が秘められています。それを一言で表すならば、戦後70年もの間、平和を作り育ててきた「デモクラシー日本」を否定して、78年間戦争つづきであった「明治維新型日本」の再興を企図するものです。

「明治維新型日本」は、1868年戊辰戦争以後、1945年敗戦までの78年間、戦争つづきでした。西南戦争などいくつかの内乱、日清・日露戦争、第一次世界大戦参戦、満州事変に始まるアジア太平洋15年戦争と、戦争をつづけてきました。


12.日本会議、神道政治連盟が目指しているもの
安倍晋三内閣の成立で、日本会議や神道政治連盟はさらに活動の勢いを増しています。彼らが目ざす国のカタチは安倍首相の目ざすものと同じです。戦後レジームからの脱却、即ちデモクラシー日本の否定、即ち明治維新型日本の復活再興。そして日本会議のイデオローグで安倍首相肝いりの長谷川三千子NHK経営委員の「自決=死をささげることによって天皇は現御神(あきつみかみ)となった」という思想こそ、彼らが目指しているものです。これについては2014年12月4日付記事、「安倍首相によるNHK間接支配(中)天皇を現御神(アキツミカミ)とする長谷川三千子NHK経営委員」をご覧ください。


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きょうは「沖縄慰霊の日」です。2005年の過去記事、「きょうは『沖縄慰霊の日』です」をご覧いただければ嬉しく思います。

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<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来年7月参院選で自民党に“No”を!

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