帝政や王政が世界を支配していた長い長い時代に、王や貴族は芸術家を囲いこんで支援してきました。彼らはそれぞれの時代に、それぞれの領域で政治権力者であると同時に大資産家でありました。彼らのことをパトロンと言う。
現代のアメリカでは、自ら選んだ特定の政治家を強力に資金的後援する大資産家やその人が支配する企業グループのことを「パトロン」としているようです。
政治権力者であるか、大資産家であるか、その両方を兼ね備えているか、そういう人がパトロンになり得る人だということになります。
政治権力者をパトロンにしているのが地域新党です。「大阪維新の会」に鞍替えした議員やそこから立候補したいと思っている人は、橋下大阪府知事の人気や権力にすがって再選を果たしたい、初当選を果たしたいと願っていることでしょう。橋下人気こそ浮かび上がるチャンス! 私は、そう思っています。『橋下パトロン党』です。河村名古屋市長の「減税日本」に群がる人たちは、同様に『河村パトロン党』です。ボスである橋下さんや河村さんは大変な情熱をお持ちでしょうが、そこへ群がる人たちは信用できません。
京都党というのが京都市中心部の区から統一地方選に若い候補者を出すそうです。すでに議員である人もそのグループに一人います。結党メンバーには、最高顧問として堀場製作所のオーナー「堀場雅夫」さんが入っています。これはもう堀場財力と堀場人脈に支えられた『堀場パトロン党』と言えます。松下政経塾の亜流です。
松下幸之助さんの「松下政経塾」は、松下幸之助さんの人徳で評判がよかったのですが、これとて大資産家による生活丸抱えです。なにしろ宿舎を与えられ、給料をもらえたのです。『松下大パトロン党』です。特定の大資産家のお抱えになるという手っ取り早い方法で、功利的に政治家人生を手に入れようという人の心根を、私は信用できません。
若い有能な人が大志を抱いて政治の分野に乗り出すこと自体は歓迎するべきことでしょう。でも、その道を志す手始めに、強力なパトロンに頼るという手っ取り早く功利的な手段を選ぶ人を、私は信用しません。そうした京都党の政治業界志望ヤングたちを、私は信用できません。
これらパトロン党から地方選に出たいという新人たちの真の動機は、「社会的名誉」と「議員権力」を手に入れたいという立身出世願望であることでしょう。