川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
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<加計学園問題> 今になってわかる安倍官邸の怖さ (2) ――衝撃走る「総理のご意向」文書報道 対抗する読売「出会い系バー」報道

2017-07-29 17:21:44 | Weblog

2017-05-28
<安倍親友 加計学園> 「前川ショック」官房長官 記者会見 5/17~5/26 文字起こし
2017-07-26
<加計学園問題> 今になってわかる安倍官邸の怖さ (1) ――文科省天下り摘発の動機は獣医学部特区の厄払いだったのかもしれない
2017-07-29
<加計学園問題> 今になってわかる安倍官邸の怖さ (2) ――衝撃走る「総理のご意向」文書報道 対抗する読売「出会い系バー」報道
2017-08-14
加計戦略特区ダイアリー 今治市獣医学部新設を巡る経緯
2017-09-07
<加計学園> 今になってわかる安倍官邸の怖さ(3)――文科省を懲らしめ、前川次官を貶め、官邸関係有識者群で追い打ち





朝日新聞5月17日 加計学園問題報道 衝撃走る

加計学園獣医師学部の国家戦略特区問題は3月、4月に国会審議報道など散見できる程度でした。今治市の加計学園は安倍首相の親友で、これは金額的にももっと大きな問題だと言われていました。けれども、3月、4月はまだ森友学園の国有地不正払下げ疑惑のさなかにありました。

<朝日新聞2017.5.17.>
安倍晋三首相の知人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について、文部科学省が、特区を担当する内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと言われたとする記録を文書にしていたことがわかった。

朝日新聞朝刊1面で、文部科学省内部文書8枚の存在が報じられ、そこには「これは総理のご意向だと聞いている」という文章の外、岡山理科大学(加計学園)獣医学科新設に関わる内部事情が記されていました。
→クリック <安倍親友 加計学園> あなたは安倍首相がクリーンであると信用できますか? 「総理の意向」 文科省内部メモ文書リーク全文文字起こし

同5月17日午前、衆議院文部科学委員会。この一連の内部文書について民進党の玉木議員、つづいて平野議員が政府を追及しています。さらに平野議員の次に共産党・大平議員もこの内部文書について、政府を追及しました。午後には他紙やテレビ局も同様文科省文書を入手して、一斉に「総理のご意向」報道が始まりました。

国家戦略特区諮問会議議長である安倍首相と、獣医学部新設希望の岡山理科大学、経営母体である加計学園理事長の安倍親友・加計孝太郎氏。森友学園の国有地格安払下げ問題に引き続いて疑惑が一気に高まります。

リーク文書のことで矢面に立つ文科省は防戦一方。官邸は強気一本で、リーク文書が出所不明の怪文書だという扱いです。

官邸や文部科学省は、リークの出所を全力で探していたでしょう。その結果、リークしたのは前川氏とにらんだという説がありますが、リーク主が誰なのか、今も明らかになっていません。

文書をリークしたのは前川氏か? 記者の質問を受けたそのとき、前川氏は「それはノー・コメントです」と、落ちつきのある力のこもった声で答えています。前川氏にはイエスと言う勇気もノーと言う勇気もあるでしょう。しかしそれを明確にすれば、前川氏ではないリーク主への探索の輪が縮むことを慮ってのことではないかと、わたしは善意に捉えています。


読売新聞5月22日 官邸救援―唐突だった「出会い系バー」報道

<読売新聞2017.5.22.>
○前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中
 文部科学省による再就職あっせん問題で引責辞任した同省の前川喜平・前次官 (62) が在職中、売春や援助交際の交渉の場になっている東京都新宿区歌舞伎町の出会い系バーに頻繁に出入りしていたことが関係者への取材でわかった。
 教育行政のトップとして不適切な行動に対し、批判が上がりそうだ。
 関係者によると、同店では男性客が数千円の料金を払って入店。気に入った女性がいれば、店員を通じて声をかけ、同席する。
 女性らは、「割り切り」と称して、売春や援助交際を男性客に持ちかけることが多い。報酬が折り合えば店を出て、ホテルやレンタルルームに向かうこともある。店は直接、こうした交渉には関与しないとされる。

前川前文科次官は省ぐるみ天下り規制違反のトップで、責任を取って1月20日に辞任しました。辞職から4カ月たったとはいえ、読売記事が言うように、教育行政のトップとして不適切な行動に対し、批判が上がっても仕方ありません。

この記事の中身は、「出会い系バーに頻繁に出入りしていた」という事実です。しかし、出会い系バーがいかなるものかという説明を加えることによって、援助交際や買春をしていたという連想を呼ぶ文章になっています。

ところがこれは、読売報道の後追いをした「週刊文春」始め、複数の週刊誌取材記事によって、援助交際や買春の事実がなかったとされています。リテラ2017.06.01は、フジテレビ「直撃LIVEグッディ」5月30日放送、「FLASH」(光文社) 6月13日号の「出会い系バー」取材で、前川氏の評判が悪くなかったと伝えています。


「あったものをなかったものにできない」からもらった勇気

この前川前次官への人格評価を貶める読売報道に対抗して、前川氏を評価し擁護する人も現れました。「『あったものをなかったものにできない。』からもらった勇気」という記事を「キッズドア 渡辺由美子 オフィシャルブログ」に書いた渡辺由美子氏です。渡辺さんは2007年にキッズドアを立ち上げて、貧困による教育格差に取り組む社会運動をされています。今ではこのキッズドアの社会運動に関係して、内閣府と厚生労働省の会議メンバーにもなっています。

<キッズドア 渡辺由美子 オフィシャルブログ>
<2017.5.22.>
 実は、前川氏は、文部科学省をお辞めになった後、私が運営するNPO法人キッズドアで、低所得の子どもたちのためにボランティアをしてくださっていた。素性を明かさずに、一般の学生や社会人と同じようにHPからボランティア説明会に申し込み、その後ボランティア活動にも参加してくださっていた。
 私は現場のスタッフから「この方はもしかしたら、前文部科学省事務次官ではないか」という報告は受けていたが、私が多忙で時間が合わず、また特になんのご連絡もなくご参加されるということは、特別扱いを好まない方なのだろう、という推測の元、私自身は実はまだ一度も直接現場でお目にかかったことがない。


読売「出会い系バー」のネタ元は官邸筋という観測

森友学園の「総理夫人お声がかり」国有地格安払下げ問題。加計学園の「総理のご意向」戦略特区指定問題。この二つの問題で「記録は棄てた」「記憶はない」が、安倍内閣御用達のことばになりました。

国会答弁を見ていれば、記憶にないとか、記録が無いとかを、どんな人でも「ウソ」だと思うに違いありません。ウソの底が誰にでも見通せるようなことを、言い続ける袋小路に追い込まれている官僚たちはいかほどの苦衷にあることでしょうか。

私情を満たすために国家を使い、そのため無理強いに大臣以下の政治家や官僚たちを服従させる安倍首相の官僚支配を怖いと思います。

不自然な読売「出会い系バー」報道。このことについて週刊朝日が伝えています。

<週刊朝日2017.6.9.号>
 読売新聞は5月22日、前川氏が文科省時代に東京・歌舞伎町の「出会い系バー」に通っていたという“スキャンダル”を突如として報じた。少し前から文科省の内部文書のネタ元が前川氏ではないかといううわさが飛び交っていたため、政府筋による“意趣返し”のリークがあったのではないかという観測が広がった。
 この報道について前川氏は5月25日の会見で、店に行ったことは認めながらも、女性や子供の貧困について話を聞くのが目的だったと説明。「極めて個人的な行動をどうしてあの時点で報じたのか、私にはまったくわかりません」と語った。


官房長官記者会見 読売記者の「あうんの呼吸」質問

「出会い系バー」報道のあと、官房長官記者会見で読売記者がこの話題で質問をくり返しています。前川氏は無職の退職官僚ですから、「出会い系バーと前川氏」のテーマはゴシップニュースの分類に入るもので、常識的には官房長官記者会見のテーマになり得ません。そこにあうんの呼吸で官邸にすり寄る姿勢が見えます。

5月22日午後の記者会見のQ1.A1.は「出会い系報道」のネタ元が官邸ではなくて、読売独自の取材結果だと世間に周知せしめるためにする質問です。

<官房長官記者会見 2017.5.22.(月)午後>

Q1.読売新聞の○○です。文科省の再就職問題で引責辞任をされた前川前事務次官がですね、在職中に売春援助交際の場になっている出会い系バーに頻繁に出入りしていたということが(※読売新聞の)取材で明らかになっています。官邸としてはこうした事実を把握されていたんでしょうか?

A1.菅長官――そういう報道は承知しておりますが、政府としてその事実は承知しておらず、政府としてコメントは控えたいという風に思います。ただ、いずれにしても、国家公務員というのは国民全体の奉仕者であって、公共の事業のために勤務し、かつ職務の遂行にあたっては全力で公務に専念しなきゃならない。こんな風に思っております。

Q2.読売新聞の○○です。前川氏はすでに辞職されているわけですけれども、在職中のできごととして、官邸として今後何らか調査したり聞き取りをしたとかする考えはありますか?

A2.菅長官――まあ、詳細については承知いたしておりません。いずれにしても文部科学省の方で適切に対応するんだろうと思います。


<官房長官記者会見 2017.5.25.(木)午後>

Q1.読売新聞の○○です。文科省の前次官の前川氏についてお伺いします。前川氏は現職当時に出会い系バーというところに出入りしていたことを認めておりますが、政府としてこうした事実の把握をされていたんでしょうか? 

A1.菅長官――わたしは、以前の会見でも質問がありましたけれども、そうした事実は確認はしておりません。

Q2.前川氏は朝日新聞のインタビューでは認めていて、昨年の秋に官邸の幹部からそうした所へ出入りしているということに注意を受けたと言っているんですが、注意をしたという事実はあるんでしょうか?

A2.菅長官――わたしの方から注意をしたということはありません。

Q3.長官以外の幹部から注意したということはないんでしょうか?

A2.菅長官――それ以外のことについて、わたくしは承知していません。


<官房長官記者会見 2017.5.26.(金)午後>

Q1.読売の○○です。前川氏はきのうの会見で、出会い系バーに出入りしていた目的について、貧困問題の調査のためだったとのことでした。今朝の会見で府議た副長官からこの店への出入りを以前、注意したという報告を長官も受けたということでしたけれども、この注意を杉田副長官からした際も、前川さんから「調査のためだった」という説明があったのでしょうか?

A1.菅長官――わたし、承知してません。これ、調査だったら1回か、2回じゃないですか?

Q2.この1回か2回ということは、注意をしたと言っても、1回や2回の出入りじゃなかったということでしょうか?

A2.菅長官――いや、あのう、よく知りませんけれども、ああいうところに調査に行くんでしょうか? 常識的に。


安倍首相国会答弁「読売御用新聞のススメ」が示す御用新聞性質

安倍首相は7月23日、横浜市であった日本青年会議所主催イベントに出席して、「秋の臨時国会に自民党憲法改正案を提出する」とスピーチしています。安倍首相は5月の憲法記念日ごろから一貫して、自身の改憲日程を示しています。

5月8日の衆議院予算委員会。民進党の長妻議員が、安倍首相が外部の憲法集会などで話している内容について、安倍首相の考えを質しておりました。しかし、国会外や政府会合以外の外部集会などで話した改憲に関わる安倍首相の考えを聞かれて、国会に立っている自分は内閣総理大臣なのだから、自民党総裁として話したことには答えないという姿勢を示します。そして安倍首相は、読売新聞を熟読するよう長妻議員に答弁しました。

<2017.5.8. 衆議院予算委員会>
○安倍内閣総理大臣
 今、繰り返しになるんですが、私は、ここは内閣総理大臣として立っており、いわば私が答弁する義務は、内閣総理大臣として義務を負っているわけでございます。
 自民党総裁としての考え方は相当詳しく読売新聞に書いてありますから、ぜひそれを熟読していただいてもいいんだろうと。 ―略― いわば党総裁としてはそこで述べていますから、ぜひ党総裁としての考え方はそこで知っていただきたい。

この答弁は問題になりました。第一に、国会で安倍首相の考えを聞かれて、「説明するのが面倒だから、その代わりに読売新聞を熟読して勉強してください」という答弁は、ほとんど前例を見ない国会軽視の態度です。質疑した国会議員に対して、勉強不足なのでもっと勉強して出直してきなさいという言外の意味さえ読み取れる、とんでもない暴言回答です。

第二に、読売新聞を買って読め、ということが問題になりました。国会議員は読売新聞を買って読まなければ、安倍首相の考えを聞くことはできないのか。
ここに表れている安倍首相と読売新聞の密着度を見れば、読売新聞5月22日「出会い系バー」報道のネタ元が官邸筋だという説を、ありそうなことと納得できます。

(次回3につづきます)



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<加計学園問題> 今になってわかる安倍官邸の怖さ (1) ――文科省天下り摘発の動機は獣医学部特区の厄払いだったのかもしれない

2017-07-26 23:38:05 | Weblog

2017-05-28
<安倍親友 加計学園> 「前川ショック」官房長官 記者会見 5/17~5/26 文字起こし
2017-07-26
<加計学園問題> 今になってわかる安倍官邸の怖さ (1) ――文科省天下り摘発の動機は獣医学部特区の厄払いだったのかもしれない
2017-07-29
<加計学園問題> 今になってわかる安倍官邸の怖さ (2) ――衝撃走る「総理のご意向」文書報道 対抗する読売「出会い系バー」報道
2017-08-14
加計戦略特区ダイアリー 今治市獣医学部新設を巡る経緯
2017-09-07
<加計学園> 今になってわかる安倍官邸の怖さ(3)――文科省を懲らしめ、前川次官を貶め、官邸関係有識者群で追い打ち




天下り慣行は全国で続いている

天下りは、行政権力を持っているグループ、あるいは行政権力を利用し得るグループに所属する者だけに与えられた特権です。国家公務員から地方公務員に至るまで、そして日本の端々に至るまで昔から行われている慣行であって、天下りは今も続いています。

天下り再就職が問題視されるのは、役所の業務職掌と関連のある所に再就職が保証されているからです。再就職先の中には素人目にもこんなのいらないだろうと思える役所関連団体があります。役所の業務管掌と関連のある民間企業も天下り再就職先の常連であります。

過去のことになりますが、奈良県内のある業界団体では事務局長職が定年県職員の再就職指定席でした。確か3年ごとに交代していたと思いますした。もう一つ、同様に過去のことですが、県PTAの事務局長も定年県教委職員が務めていたことを知っています。


国家公務員の天下り抑制は積極的に成されてこなかった

国家公務員については、監督する役割の官庁と再就職先が癒着する温床になるなどとして、官僚の天下りを規制。職員が他の職員やOBに営利企業などへの再就職をあっせんする行為を国家公務員法が禁止しています。

天下りを根本的に抑制するには、65歳年金受給開始までの公務員の生活収入に関する制度づくりが必要になるでしょう。65歳年金支給年齢に接続できるところまで定年を延長するか、あるいは年金支給開始を早めて60歳定年に接続できるようにするか…。とりわけ、早期退職勧奨を含む人事体系の改革を急がねばなりません。これは時の総理大臣がいつでも着手することができます。

ところが、地方と国とを問わず、そのような天下り防止の基本的な対策は成されておりません。国家公務員の天下りを取り締まり監視するための組織として政府の再就職等監視委員会が2008年に発足しましたが、発足後にその存在意義を発揮しておりません。


1月18日「文部科学省の天下り摘発」報道

2017年1月18日、政府の再就職等監視委員会が文部科学省の天下り調査を始めたことを、毎日新聞は下のように報道しています。

<毎日新聞2017.1.18.>
 文部科学省が2015年、元幹部を早稲田大に再就職させる「天下り」をあっせんしていた疑いがあり、政府の再就職等監視委員会が文科省幹部らから事情を聴くなど調査をしていることが18日、関係者の話で分かった。人事課が関与した組織的なあっせんとみられるという。あっせんを禁じた国家公務員法に違反する可能性があり、同委は関与した幹部の厳正処分を求める「勧告」を行うことも検討している。

 勧告が行われれば、08年の同委発足以来、初めて。

 菅義偉官房長官は18日の記者会見で、同委が調査していることを認め、「(あっせんが)実際に行われていたとすれば、極めて遺憾なことだ」と述べた。

天下りが今も行われていることは東京の政官界では周知のことです。官房長官が個別の天下り案件を知らないことはあるでしょう。しかし省庁の天下り慣行が連綿としてつづいていることを菅官房長官が知らないということはあり得ません。


1月19日「前川事務次官が引責辞任を表明」報道

文部科学省の天下り問題が公になった1月18日報道の翌日、1月19日。前川喜平文部科学省事務次官が、早くも引責辞任を表明します。天下り問題初報道翌日の事務次官辞任表明で、その余りの速さにわたしは驚きました。同時に、このたびの文科省天下り問題がそれほどに深刻なんだという印象を受けました。

<毎日新聞2017.1.19.>
 文部科学省が幹部の再就職を組織的にあっせんした疑いが浮上した問題で、文科省の前川喜平事務次官 (62) が責任を取って辞任する意向を固めたことが関係者への取材で分かった。問題を調査している政府の再就職等監視委員会は19日中にも調査結果をまとめ、関与した文科省の幹部職員らの処分を求める方針。官僚の天下りを巡る一連の問題は事務方トップの事務次官辞任に発展する見通しになった。



天下り批判高まる 鳩山政権で半減 今倍増

<東京新聞2017.1.20.>
 文部科学省が元高等教育局長に早稲田大教授への天下りをあっせんしたとして国家公務員法違反の疑いがもたれている問題を受け、政府内に全府省庁で天下り調査を実施すべきだという認識が広がっている。国家公務員の一般職で管理職(課長、企画官相当職以上)の再就職は2011年度以降、5年連続で増加。2010年度の733件から、2015年度は1668件で2・3倍に増えた。

 省庁と密接な関係がある企業などへの再就職、いわゆる「天下り」は、監督官庁との癒着の温床になるとして、批判を浴びてきた。規制の動きは2006年ごろ、防衛施設庁(当時)や日本道路公団(同)などで談合事件が続き本格化した。2009年9月、政権に就いた当時の民主党・鳩山由紀夫首相は「天下りのあっせん根絶を図る」と表明。翌2010年度の再就職は、2009年度の1413件から半減した。

 しかし、2011年度からは増加に転じた。天下りに人を押し出す要因の早期退職の慣行は依然として残り、根絶に向けた機運が後退した可能性がある。2015年度の再就職が省庁別で最も多かったのは財務省の416件。国土交通省の346件が次ぎ、文科省は47件だった。

最多の財務省、次の国土交通省に手をつけず、なぜ最少の文部科学省だけ摘発したのか?

財務省では、森友学園国有地格安払下げ事件と安倍昭恵首相夫人の仲介疑惑を国会答弁で拒絶しきった佐川理財局長が、7月5日付で国税庁長官に栄転しました。

加計学園獣医学部新設について官邸の意向に抵抗しつづけた文部科学省では、天下り案件の徹底的な摘発を受け、事務次官が引責辞任しました。

安倍首相は天下りについて2月6日、全省庁の徹底的調査を明言しました。しかしその後の進展はゼロ。財務省と文部科学省の差は明らかです。


1月20日、前川事務次官引責辞任を閣議承認・新事務次官就任
 2月6日、安倍首相が全省庁で「天下り」徹底調査を明言

1月19日辞任表明の翌日、1月20日、政府は前川次官の辞職を閣議で認め、戸谷一夫文部科学審議官が新しい次官に就任しました。

1月18日新聞報道からわずか3日目のことです。官邸は前川次官の迅速な辞任表明がなければ早期辞任をさせる準備をしていたのではないか。

1日目、天下り報道―2日目、前川事務次官の辞任表明―3日目、辞任承認と新事務次官任命。驚くほどのこのスピードは、官邸側が予測して準備していたことをうかがわせます。

安倍首相は2月6日の政府・与党連絡会議の席上、全省庁での「天下り」徹底調査を明言しました。時事通信が簡潔に伝えています。

<時事通信2017/02/06-13:06> 天下り、全省庁で徹底調査=安倍首相
 安倍晋三首相は6日の政府・与党連絡会議で、文部科学省が天下りあっせんに関する調査結果を公表したことに関し、「全省庁でも同様の事案がないか徹底的に調査していく。必要なことは何でもやるとの考え方で、国民の信頼を確保していきたい」と述べた。

 公明党の山口那津男代表も「政府・与党としても国会論議を通じて実態解明と信頼確立に努める決意だ」と語った。

安倍首相の「全省庁で天下り徹底調査」は、その後どうなっているのか? 半年近く過ぎた今、政府発表ゼロ。報道ニュース、ゼロ。天下り摘発は、「文部科学省狩り」だけで終わっているのです。


森友学園問題報道

一方で2月9日、「大阪の国有地 隣地の1割で払下げか? 『森友学園』理事長は日本会議役員、 名誉校長に安倍首相夫人」という朝日新聞報道が伝えられました。これが、森友学園問題のメジャー報道の初出だと思います。

森友学園問題は大阪府豊中市の国有地をなぜ通常価格の1~2割で売払い譲渡したのかという問題です。国との橋渡し役が安倍昭恵夫人で役所側の主役は財務省です。安倍昭恵首相夫人がどういう役を果たしたのか? 財務省はなぜ格安で売払い譲渡したのか? 格安の根拠は何か? 5月終わりまで、国有地不正問題に関わるニュースをふんだんに読むことができました。

6月に入ると、森友学園の不正行為に関わるニュースが主流になり、安倍昭恵夫人と財務省に関わる国有地格安払下げニュースが姿を消していきます。

(次回につづきます)

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「ビギン・ザ・ビギン」の思い出とディズニーシー「ステップ・トゥ・シャイン」

2017-07-16 23:33:05 | Weblog


今夜、息子から電話がありました。

わたし 「ユーチューブで見たよ。音楽がええなあ、ジャズやなあ」

息子 「うん、ミッキーがタップダンスするところはビギン・ザ・ビギンゆう曲やねん」

わたし 「おおっ、知ってる知ってる。死んだおばあちゃんがレコード買うてきてなあ。イギリスのテッド・ヒース楽団や。おばあちゃんといっしょによう聴いた」 ……これ、わたし中学生のときのお話です。おばあちゃんというのは、わたしの母のこと。

ユーチューブで見たのは、ディズニーシーの7月新作「ステップ・トゥ・シャイン」。息子はTDLの社員で、これの制作に関わっています。音楽の編曲や演奏を手がけているのはすべて、それぞれの分野でアメリカを代表するメンバーだと言います。

音楽的な素養ゼロの情けなさ
「ステップ・トゥ・シャイン」の音楽に、ディズニーシーで人気の「ビッグバンド・ビート」の味わいを見つけたところまでは良かった。しかし「ビギン・ザ・ビギン」はイントロのメロディーを口ずさめるほどに知っているのに、ミッキーのタップダンス・シーンで「ビギン・ザ・ビギン」が流れていることに気づかなかった。

もう一度、イヤホンで注意して聴きました。確かに、タップダンス曲は「ビギン・ザ・ビギン」です。スイングジャズはもともと軽快で楽しいのですが、今風にぐんと、アップテンポになっています。そのうえ、ミッキーほかのセリフや動きにマッチングした編曲がされています。

動画を見流して(聞き流して)、ダンスやせりふに気をとられて、タップダンスの曲が耳に入って「ええなあ」と思っていながら、「ビギン・ザ・ビギン」だと、キャッチできていなかった。なんで? そのていどのスイングファンなんだと、自分で情けなく思いました。わたしは音楽的な素養がゼロなんです。

母といっしょに聴いたビッグバンド(LP盤)
母が洋楽好きでした。演歌は聴きも歌いもしなかった。だから、わたしもそのように育ちました。わたしが中学生のころ、母は自分の好きな洋楽のLPを時々買ってきて、応接間でコーヒーを飲みながら、親子で聴きました。あのころは、回転するLP盤を傷つけないようにレコード針をそっと降ろすのも、レコードを聴く味わいのうちでした。

グレンミラーのファンになったのは、母といっしょに聴いたLP盤レコードがきっかけです。グレンミラーだけでなく、母はほかのビッグバンドのLPも買ってきました。映画音楽のLPも買ってきました。いろんなLPの1枚に英国のテッド・ヒース楽団というビッグバンドがあって、「ビギン・ザ・ビギン」はその中に入っていました。なぜだか、はっきりと記憶に残っています。

ラジオ京都と十字屋楽器店
ジャズを聴いていた中学生のころの思い出が広がります。中学生のころに、ラジオ京都で「ジャズ講座」のシリーズがあって、ウェスト・コースト・ジャズという言葉を覚えました。「ジーン・クルーパー」なんていう名前も、知り初めはラジオ京都でした。

京都・三条の十字屋楽器店に行って、映画音楽の楽譜と歌詞を載せている本を買いました。歌詞はすべて外国語でした。ハーモニカとレコードでメロディーを覚えて、辞書を引けばわかる英語の歌を一人で歌いました。サイン風に大きくGene Krupaと文字入れしたドラムセットが、十字屋楽器店のショーウィンドウにあったのを覚えています。

 <クリックしてご覧ください>
 ○ ステラ・ルー登場の「ステップ・トゥ・シャイン」スニーク 
 ○ 英国テッド・ヒース楽団「ビギン・ザ・ビギン」 
 ○ あの感傷的で美しいスタンダードソングたち…「ビギン・ザ・ビギン」


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<森友学園> 大阪府議会参考人招致に合わせた不審な読売報道 「学園が申請書類に1億3400万円で購入した国有地の資産価値を13億円と記載していた」

2017-07-09 23:17:19 | Weblog

明日7月10日、大阪府議会が森友学園問題で籠池前理事長を参考人招致して、質疑が行われます。このタイミングで、YOMIURI ONLINEのニュースが、森友学園の新たな不正発覚を伝えています。

読売新聞は政府擁護の姿勢が強い
読売新聞は加計学園の文部科学省文書に絡んで、前川喜平前次官の過去の出会い系バー通いを新聞一面記事で大々的に報道しました。その内容、タイミング、一面で大きく報道した取り扱い方を、政府の宣伝機関かと非難を浴びました。文科省文書問題では、その後も、読売記者が官房長官記者会見などで政府擁護的な質問をしています。

下に転記した7月9日読売記事にも、森友学園の悪事を絶え間なく報道することによって、安倍昭恵首相夫人や財務省の不正から目を逸らそうとする悪意を感じます。

<読売新聞 2017年07月09日 07時06分 記事>
学校法人「森友学園」(大阪市)が大阪府豊中市で計画していた小学校の設置認可を巡り、学園が2016年11月に府に提出した会計書類で、1億3400万円で購入した国有地の資産価値を「13億円」と記載していたことが、府への取材でわかった。府はこの書類をもとに、学園の財務状況が認可基準を満たすと判断しており、府のチェックの是非が問われそうだ。



「13億円」不正記載という申請書通過が信じられない
「1億3400万円で購入した国有地の資産価値を『13億円』と記載していた」ということですが、これは本当だろうかと疑問に思います。

2016年6月20日、近畿財務局と森友学園の間で土地の売買契約が成立しています。この契約は「10年分割払い」と「買戻し特約」という条件付きの契約です。これらの条件は不動産登記に記載されます。当然、売買金額も想定できる内容が記載されます。不動産登記は、法務局で誰もが閲覧できます。 (参照)森友学園ダイアリー (2終)

土地の売買契約が2016年6月。読売報道によれば、「13億円」と記載したのは、2016年11月に大阪府に申請した書類です。こういう行政当局への申請には、土地の所有権その他の申請内容を証明するものとして、「登記事項証明書」原本添付が必須とされています。

小学校用地の所有ほか、森友学園の財務状況については、私学審議会で毎回疑問視されていました。当時の所管部署である大阪府私学・大学課が書類受付審査でチェックしなかったとか、だまされたとか、そんなことはあり得ません。

「2016年11月記載書類で認可判断」はうそっぱち
「府はこの書類をもとに、学園の財務状況が認可基準を満たすと判断しており、」という読売記事は、うそっぱちです。

森友学園の「瑞穂の國小学院」新設認可に関して、大阪府私学審議会は2015年12月22日、「継続審議」と正式答申しています。そして、2016年1月30日に「条件付き認可適当」の正式答申をしました。 (参照) 森友学園ダイアリー (1)

結論
読売報道にある2016年11月時点で、小学校用地売買契約済みであり、法務局で登記事項閲覧可能であり、土地に関する申請事項には登記事項証明書原本添付が必須で不正虚偽価格が通過することはあり得ず、森友学園の小学校新設認可は「条件付き認可」が確定済みである。従って読売は、事実でないことを報道していることになります。


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