2017-05-28
<安倍親友 加計学園> 「前川ショック」官房長官 記者会見 5/17~5/26 文字起こし
2017-07-26
<加計学園問題> 今になってわかる安倍官邸の怖さ (1) ――文科省天下り摘発の動機は獣医学部特区の厄払いだったのかもしれない
2017-07-29
<加計学園問題> 今になってわかる安倍官邸の怖さ (2) ――衝撃走る「総理のご意向」文書報道 対抗する読売「出会い系バー」報道
2017-08-14
加計戦略特区ダイアリー 今治市獣医学部新設を巡る経緯
2017-09-07
<加計学園> 今になってわかる安倍官邸の怖さ(3)――文科省を懲らしめ、前川次官を貶め、官邸関係有識者群で追い打ち
■朝日新聞5月17日 加計学園問題報道 衝撃走る
加計学園獣医師学部の国家戦略特区問題は3月、4月に国会審議報道など散見できる程度でした。今治市の加計学園は安倍首相の親友で、これは金額的にももっと大きな問題だと言われていました。けれども、3月、4月はまだ森友学園の国有地不正払下げ疑惑のさなかにありました。
<朝日新聞2017.5.17.>
安倍晋三首相の知人が理事長を務める学校法人「加計学園」(岡山市)が国家戦略特区に獣医学部を新設する計画について、文部科学省が、特区を担当する内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」などと言われたとする記録を文書にしていたことがわかった。
→クリック <安倍親友 加計学園> あなたは安倍首相がクリーンであると信用できますか? 「総理の意向」 文科省内部メモ文書リーク全文文字起こし
同5月17日午前、衆議院文部科学委員会。この一連の内部文書について民進党の玉木議員、つづいて平野議員が政府を追及しています。さらに平野議員の次に共産党・大平議員もこの内部文書について、政府を追及しました。午後には他紙やテレビ局も同様文科省文書を入手して、一斉に「総理のご意向」報道が始まりました。
国家戦略特区諮問会議議長である安倍首相と、獣医学部新設希望の岡山理科大学、経営母体である加計学園理事長の安倍親友・加計孝太郎氏。森友学園の国有地格安払下げ問題に引き続いて疑惑が一気に高まります。
リーク文書のことで矢面に立つ文科省は防戦一方。官邸は強気一本で、リーク文書が出所不明の怪文書だという扱いです。
官邸や文部科学省は、リークの出所を全力で探していたでしょう。その結果、リークしたのは前川氏とにらんだという説がありますが、リーク主が誰なのか、今も明らかになっていません。
文書をリークしたのは前川氏か? 記者の質問を受けたそのとき、前川氏は「それはノー・コメントです」と、落ちつきのある力のこもった声で答えています。前川氏にはイエスと言う勇気もノーと言う勇気もあるでしょう。しかしそれを明確にすれば、前川氏ではないリーク主への探索の輪が縮むことを慮ってのことではないかと、わたしは善意に捉えています。
■読売新聞5月22日 官邸救援―唐突だった「出会い系バー」報道
<読売新聞2017.5.22.>
○前川前次官 出会い系バー通い 文科省在職中
文部科学省による再就職あっせん問題で引責辞任した同省の前川喜平・前次官 (62) が在職中、売春や援助交際の交渉の場になっている東京都新宿区歌舞伎町の出会い系バーに頻繁に出入りしていたことが関係者への取材でわかった。
教育行政のトップとして不適切な行動に対し、批判が上がりそうだ。
関係者によると、同店では男性客が数千円の料金を払って入店。気に入った女性がいれば、店員を通じて声をかけ、同席する。
女性らは、「割り切り」と称して、売春や援助交際を男性客に持ちかけることが多い。報酬が折り合えば店を出て、ホテルやレンタルルームに向かうこともある。店は直接、こうした交渉には関与しないとされる。
この記事の中身は、「出会い系バーに頻繁に出入りしていた」という事実です。しかし、出会い系バーがいかなるものかという説明を加えることによって、援助交際や買春をしていたという連想を呼ぶ文章になっています。
ところがこれは、読売報道の後追いをした「週刊文春」始め、複数の週刊誌取材記事によって、援助交際や買春の事実がなかったとされています。リテラ2017.06.01は、フジテレビ「直撃LIVEグッディ」5月30日放送、「FLASH」(光文社) 6月13日号の「出会い系バー」取材で、前川氏の評判が悪くなかったと伝えています。
■「あったものをなかったものにできない」からもらった勇気
この前川前次官への人格評価を貶める読売報道に対抗して、前川氏を評価し擁護する人も現れました。「『あったものをなかったものにできない。』からもらった勇気」という記事を「キッズドア 渡辺由美子 オフィシャルブログ」に書いた渡辺由美子氏です。渡辺さんは2007年にキッズドアを立ち上げて、貧困による教育格差に取り組む社会運動をされています。今ではこのキッズドアの社会運動に関係して、内閣府と厚生労働省の会議メンバーにもなっています。
<キッズドア 渡辺由美子 オフィシャルブログ>
<2017.5.22.>
実は、前川氏は、文部科学省をお辞めになった後、私が運営するNPO法人キッズドアで、低所得の子どもたちのためにボランティアをしてくださっていた。素性を明かさずに、一般の学生や社会人と同じようにHPからボランティア説明会に申し込み、その後ボランティア活動にも参加してくださっていた。
私は現場のスタッフから「この方はもしかしたら、前文部科学省事務次官ではないか」という報告は受けていたが、私が多忙で時間が合わず、また特になんのご連絡もなくご参加されるということは、特別扱いを好まない方なのだろう、という推測の元、私自身は実はまだ一度も直接現場でお目にかかったことがない。
■読売「出会い系バー」のネタ元は官邸筋という観測
森友学園の「総理夫人お声がかり」国有地格安払下げ問題。加計学園の「総理のご意向」戦略特区指定問題。この二つの問題で「記録は棄てた」「記憶はない」が、安倍内閣御用達のことばになりました。
国会答弁を見ていれば、記憶にないとか、記録が無いとかを、どんな人でも「ウソ」だと思うに違いありません。ウソの底が誰にでも見通せるようなことを、言い続ける袋小路に追い込まれている官僚たちはいかほどの苦衷にあることでしょうか。
私情を満たすために国家を使い、そのため無理強いに大臣以下の政治家や官僚たちを服従させる安倍首相の官僚支配を怖いと思います。
不自然な読売「出会い系バー」報道。このことについて週刊朝日が伝えています。
<週刊朝日2017.6.9.号>
読売新聞は5月22日、前川氏が文科省時代に東京・歌舞伎町の「出会い系バー」に通っていたという“スキャンダル”を突如として報じた。少し前から文科省の内部文書のネタ元が前川氏ではないかといううわさが飛び交っていたため、政府筋による“意趣返し”のリークがあったのではないかという観測が広がった。
この報道について前川氏は5月25日の会見で、店に行ったことは認めながらも、女性や子供の貧困について話を聞くのが目的だったと説明。「極めて個人的な行動をどうしてあの時点で報じたのか、私にはまったくわかりません」と語った。
■官房長官記者会見 読売記者の「あうんの呼吸」質問
「出会い系バー」報道のあと、官房長官記者会見で読売記者がこの話題で質問をくり返しています。前川氏は無職の退職官僚ですから、「出会い系バーと前川氏」のテーマはゴシップニュースの分類に入るもので、常識的には官房長官記者会見のテーマになり得ません。そこにあうんの呼吸で官邸にすり寄る姿勢が見えます。
5月22日午後の記者会見のQ1.A1.は「出会い系報道」のネタ元が官邸ではなくて、読売独自の取材結果だと世間に周知せしめるためにする質問です。
<官房長官記者会見 2017.5.22.(月)午後>
Q1.読売新聞の○○です。文科省の再就職問題で引責辞任をされた前川前事務次官がですね、在職中に売春援助交際の場になっている出会い系バーに頻繁に出入りしていたということが(※読売新聞の)取材で明らかになっています。官邸としてはこうした事実を把握されていたんでしょうか?
A1.菅長官――そういう報道は承知しておりますが、政府としてその事実は承知しておらず、政府としてコメントは控えたいという風に思います。ただ、いずれにしても、国家公務員というのは国民全体の奉仕者であって、公共の事業のために勤務し、かつ職務の遂行にあたっては全力で公務に専念しなきゃならない。こんな風に思っております。
Q2.読売新聞の○○です。前川氏はすでに辞職されているわけですけれども、在職中のできごととして、官邸として今後何らか調査したり聞き取りをしたとかする考えはありますか?
A2.菅長官――まあ、詳細については承知いたしておりません。いずれにしても文部科学省の方で適切に対応するんだろうと思います。
<官房長官記者会見 2017.5.25.(木)午後>
Q1.読売新聞の○○です。文科省の前次官の前川氏についてお伺いします。前川氏は現職当時に出会い系バーというところに出入りしていたことを認めておりますが、政府としてこうした事実の把握をされていたんでしょうか?
A1.菅長官――わたしは、以前の会見でも質問がありましたけれども、そうした事実は確認はしておりません。
Q2.前川氏は朝日新聞のインタビューでは認めていて、昨年の秋に官邸の幹部からそうした所へ出入りしているということに注意を受けたと言っているんですが、注意をしたという事実はあるんでしょうか?
A2.菅長官――わたしの方から注意をしたということはありません。
Q3.長官以外の幹部から注意したということはないんでしょうか?
A2.菅長官――それ以外のことについて、わたくしは承知していません。
<官房長官記者会見 2017.5.26.(金)午後>
Q1.読売の○○です。前川氏はきのうの会見で、出会い系バーに出入りしていた目的について、貧困問題の調査のためだったとのことでした。今朝の会見で府議た副長官からこの店への出入りを以前、注意したという報告を長官も受けたということでしたけれども、この注意を杉田副長官からした際も、前川さんから「調査のためだった」という説明があったのでしょうか?
A1.菅長官――わたし、承知してません。これ、調査だったら1回か、2回じゃないですか?
Q2.この1回か2回ということは、注意をしたと言っても、1回や2回の出入りじゃなかったということでしょうか?
A2.菅長官――いや、あのう、よく知りませんけれども、ああいうところに調査に行くんでしょうか? 常識的に。
■安倍首相国会答弁「読売御用新聞のススメ」が示す御用新聞性質
安倍首相は7月23日、横浜市であった日本青年会議所主催イベントに出席して、「秋の臨時国会に自民党憲法改正案を提出する」とスピーチしています。安倍首相は5月の憲法記念日ごろから一貫して、自身の改憲日程を示しています。
5月8日の衆議院予算委員会。民進党の長妻議員が、安倍首相が外部の憲法集会などで話している内容について、安倍首相の考えを質しておりました。しかし、国会外や政府会合以外の外部集会などで話した改憲に関わる安倍首相の考えを聞かれて、国会に立っている自分は内閣総理大臣なのだから、自民党総裁として話したことには答えないという姿勢を示します。そして安倍首相は、読売新聞を熟読するよう長妻議員に答弁しました。
<2017.5.8. 衆議院予算委員会>
○安倍内閣総理大臣
今、繰り返しになるんですが、私は、ここは内閣総理大臣として立っており、いわば私が答弁する義務は、内閣総理大臣として義務を負っているわけでございます。
自民党総裁としての考え方は相当詳しく読売新聞に書いてありますから、ぜひそれを熟読していただいてもいいんだろうと。 ―略― いわば党総裁としてはそこで述べていますから、ぜひ党総裁としての考え方はそこで知っていただきたい。
第二に、読売新聞を買って読め、ということが問題になりました。国会議員は読売新聞を買って読まなければ、安倍首相の考えを聞くことはできないのか。
ここに表れている安倍首相と読売新聞の密着度を見れば、読売新聞5月22日「出会い系バー」報道のネタ元が官邸筋だという説を、ありそうなことと納得できます。
(次回3につづきます)