川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
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安倍首相「わが軍」発言――胸中はすでに「国防軍」

2015-03-31 23:41:07 | Weblog
政治家の発言のうち、うっかり漏れ出ることばがあります。それが「失言」です。この失言を訂正して謝って波風をおさめる場合もあり、こじつけの強気な説明で済まされてしまう場合もあります。

しかしどちらであっても、政治家の失言が本音の表れであることは誰もが知っています。

安倍首相の「わが軍」発言について、毎日新聞は次のように伝えています。

 安倍晋三首相は30日の衆院予算委員会で、自衛隊を「わが軍」と呼んだ自らの国会答弁について「全く問題ないと今でも思っているが、大切な予算委員会の時間がこんなに使われるのであれば、そういう言葉は使わない」と述べた。同時に「共同訓練の相手である他国の軍と対比するイメージで述べた」と重ねて釈明した。 (毎日新聞 2015年03月30日 16時14分)

 国会答弁で安倍首相はついうっかりと、わが自衛隊と言うべきところを「わが軍」と言ってしまいました。政治家の失言が本音の表れであることは誰もが知っています。この失言は、自衛隊行事における下記内閣総理大臣訓示の発言に符合しています。「自衛隊の最高指揮官」という表現は歴代訓示同一の定型文句ですが、そのほかのことばには歴代総理にない自衛隊への思い入れを感じさせます。

   ◇   ◇   ◇

<安倍首相 言行録> ※官邸ホームページより 


① 自衛隊の最高指揮官である内閣総理大臣として、改めて諸君の活動に深甚
  なる敬意を表します。
② 私は、諸君の先頭に立ち、国民の生命・財産、我が国の領土・領海・領空
  を断固として守り抜く決意です。
       ――2013.1.20. ゴラン高原PKO(UNDOF)隊旗返還式
               安倍内閣総理大臣訓示

③ 諸君の規律正しく、凛々(りり)しい勇姿に接し、自衛隊の最高指揮官と
  して、心強く、頼もしく思います。
④ 今、この瞬間も、諸君の先輩は 、荒波を恐れず、乱気流を乗り越え、泥
  にまみれながらも、極度の緊張感に耐え、強い誇りを持って、任務を立派
  に果たしています。私は、その先頭に立って、国民の生命・財産、我が国
  の領土・領海・領空を守り抜く決意であります。
⑤ 私と日本国民は、常に、諸君とともにあります。
  ――2013.3.17. 平成24年度 防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示

⑥ 私は、諸君の先頭に立って、国民の生命・財産、我が国の領土・領海・領
  空を断固として守り抜く決意です。
⑦ 私と日本国民は、常に、諸君をはじめ全国25万人の自衛隊と共にありま
  す。
  ――2013.9.12. 第四十八回自衛隊高級幹部会同 安倍内閣総理大臣訓示

⑧「本日の観閲式に臨み、士気旺盛な隊員諸君の勇姿に接することができ、
  観閲官として大変うれしく思います。この場に立つと、諸君の最高指揮官
  として、改めて身の引き締まる思いです。
⑨ 私は、諸君と心を一つにして、国民の生命と財産、そして我が国の領土・
  領海・領空を、断固として守り抜く決意であります。
  ――2013.10.27. 平成25年度自衛隊記念日観閲式 安倍内閣総理大臣
    訓示

⑩ 諸君の、誠に凛々しく、希望に満ち溢れた勇姿に接し、自衛隊の最高指揮
  官として、心強く、頼もしく思います。
⑪ 緊張感の高い現場で、今この瞬間も、士気高く任務にあたる自衛隊員の姿
  は、私の誇りであります。
⑫ 私も、最高指揮官として、大切なお子さんを自衛隊に送り出してくださっ
  た皆さんに、この場を借りて、心から感謝申し上げたいと思います。
  ――2014.3.22. 平成25年度 防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示

⑬ 本日、防衛省・自衛隊60周年記念航空観閲式にあたり、高い練度を有す
  る隊員諸君の勇姿に接し、観閲官として、また、自衛隊の最高指揮官とし
  て、心強く、頼もしく思います。
⑭ 60年間に及ぶ、諸君と諸君の先輩たちの弛まぬ努力に、自衛隊の最高指
  揮官として、深甚なる敬意を表します。
⑮「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民
  の負託にこたえる」。諸君の、この宣誓の重さを、最高指揮官として胸に
  深く刻みながら、諸君と共に、いかなる事態にあっても、国民の生命と財
  産、我が国の領土・領海・領空を守り抜いていく決意であります。
  ――2014.10.26. 防衛省・自衛隊60周年記念航空観閲式 安倍内閣総
    理大臣訓示

⑯「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民
  の負託にこたえる」。この宣誓の重さを、私は、最高指揮官として常に、
  心に刻んでいます。
⑰ 御家族の皆様。皆様の大切なご家族を、隊員として送り出して頂いたこと
  に、自衛隊の最高指揮官として、感謝に堪えません。
  ――2015.3.22. 平成26年度 防衛大学校卒業式 内閣総理大臣訓示


「わが軍」うっかり発言は、安倍首相の目指すところが現在準備中の安全保障法制改変にとどまらないことを暗示しています。安倍首相にとっては、昨年の7・1閣議決定から関連法整備に至る過程も、その次へのステップに過ぎません。

安倍首相の胸中では、下記の自民党憲法草案にある日本国防軍の活躍する姿が現実のものとして見えているのでしょう。それが、「わが自衛隊」と言うべきところを、「わが軍」と言ってしまった背景にあります。


<自民党憲法草案 (国防軍)第九条の二>
(国防軍)
第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。

2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調し て行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。

4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する 事項は、法律で定める。

5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところによ り、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。 ―自民党憲法草案から―

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<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。





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日米同盟政策提言 アーミテージ・ナイレポート(3了)

2015-03-24 13:05:49 | Weblog




アーミテージ・ナイレポート(3了)では、その『INTRODUCTION(はじめに)』邦訳文を掲載します。邦訳の出所は、http://ch.nicovideo.jp/iwj/blomaga/ar90847 です。小見出しと※①~⑥は、川本が付けました。

アーミテージ・ナイレポートは米国政府の報告書ではありません。ですからこれをもって、日本政府の外交方針が大きく左右されるというわけではないでしょう。

しかしながら、情勢分析や行動指針として、安倍首相が価値観を共有していることはまちがいないところと思います。安倍政権がこの報告書の影響を受けたというよりもより積極的に、安倍首相が待ち望んでいたことかもしれません。

レポート「INTRODUCTION」にある「一流国家」への誘いは、日本人の心をくすぐります。しかしアーミテージ氏やナイ氏、安倍首相が描く一流国家のカタチは武力(軍事)偏重とは言えませんか? 武力で一流国家に成りたいと思う国民は、どれほどいるのでしょうか? 

中国台頭に対して日米安保(武力)立て直しを急ぐ日本政府を見ていると、民生、文化などの交流から成長してゆく安全保障の側面が置き去りにされている感があります。

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<■INTRODUCTION>

◇基本認識――危機にある日米同盟

 この日米同盟報告書は、日米関係が漂流している時期(※2012年8月)に発表される。日米両国の指導者たちが無数の他の課題に直面しているとき、世界で最も重要な同盟の1つの健全性が危機に瀕しているのである。米国務次官補カート・キャンベルと、両政府内の彼の同僚たちによって、同盟の安定は大方保たれてきたが、同盟地域内外における今日の課題と機会に対処するには、それ以上のことが必要である。※①日米双方は、中国の再台頭とそれに伴う不安定要素、核能力と敵対的意図をもつ北朝鮮、そしてアジアのダイナミズムの兆しに直面している。※②他にも、グローバル化した世界とますます複雑化する安全保障環境には多数の困難な課題が存在する。※③このような今日の大問題に適切に対処するには、より強力でより平等な同盟が必要である。

 ※① 日米同盟の関与命題を明示 → 朝鮮半島有事、中国の台頭とアジア海域
   の安保問題
 ※② 日米同盟の関与命題を明示 → 北アフリカ、アラビア半島、イランなど
   貿易シーレーン
 ※③ 日米同盟の質的改革を勧めている

◇日本は一流国家を選のか、二流国家を選ぶのか?

 上記のような同盟が存在するためには、米国と日本が一流国家の視点をもち、一流国家として振舞うことが必要であろう。我々の見解では、※4一流国家とは、経済力、軍事力、グローバルな視野、そして国際的な懸念に関して実証された指導力をもつ国家である。同盟の支援に関して米国側に改善点はあるが、米国が一流国家であり続けることには寸分の疑いもない。しかしながら、日本には決定しなければならないことがある。つまり、日本は一流国家であり続けたいのか、 それとも二流国家に成り下がって構わないのか? 日本の国民と政府が二流のステータスに甘んじるなら、この報告書は不要であろう。この同盟に関する我々の評価と推奨事項は、日本が大きな貢献を果たせる世界の舞台で完全なパートナーであることに依拠している。

 ※④ 一流国家の条件を明示。これが日本に求める姿、要求条件です。

 我々は、今日の世界における日本の影響と役割を混乱させている諸問題を認識した上で、上記の質問を投げかけた。日本の人口は劇的に老齢化し、出生率は低下している。日本の債務対GDP比は、200パーセントである。日本では、6年間に6人の首相が交代した。そして、多数の若い日本人の間に厭世観と内向性が増大している。しかし、日本の重要性の低下は運命ではない。日本は、一流国家であり続ける十分な能力がある。要は日本がどのような傾向をもつかという問題にすぎない。

◇「日本は一流国である」という理由

 日本は多数の課題に直面しているが、日本の国力と影響力には、同様に多くの過小評価され十分に活用されていない側面が存在する。日本は世界第三位の経済圏であり、中国の2倍の消費者セクターをもつ。日本は、改革と競争によって解き放たれる可能性のある巨大な経済的潜在力をもち続けている。自由貿易と移民に対する開放性と女性の職場進出が増大すれば、日本の国内総生産(GDP)は著しく成長するだろうう。日本のソフト・パワーも注目に値する。日本は、国際的に尊敬される国としてトップ3にランクされ、「国家ブランド」としては世界第一位である。日本の自衛隊(JSDF)は、現在の日本で最も信頼されている機関であるが、※⑤時代錯誤の制約を軽減できれば、日本の安全保障と評判の向上により大きな役割を果たせる態勢にある。

 ※⑤ 専守防衛、日本近海という行動領域など、従来の日本の武力行使制限か
   ら自衛隊を解放して、中国大陸近海、太平洋、中東で米軍と統一行動で
   きるならば……。

 日本は、世界の平穏な地域に位置する、取るに足りない国ではない。アジア太平洋地域の安定した戦略的平衡のための海の要、国連(UN)と国際通貨基金(IMF)など主要多国籍機関に対する2番目に大きな貢献者、世界で最もダイナミックな半球のためにシーレーンをオープンに保つ米軍のホストとして、米国とその他の国々は日本に頼っている。

◇日本は強い米国を必要とする 米国は強い日本を必要とする

日本が強い米国を必要とするに劣らず、米国は強い日本を必要とする。そして、この観点から、我々は日米同盟とそのスチュワードシップの問題を取り上げる。※⑥日本が米国と肩を並べ続けていくには、米国と共に前進する必要がある。日本は、今までアジアのリーダーであったが、今後もそうあり続けることができるのである。

 ※⑥ 米国が求める姿通りの日本でなければ、日本はアジアのリーダー国の地
   位から転落するだろう……ということ。

以下の報告は、日米同盟に関する超党派研究グループのメンバーの大多数の見解を示すものである。この報告では、特に、エネルギー、経済、世界貿易、隣国との関係、そして安全保障に関する問題を取り上げる。これらの分野において、研究グループは、日本と米国に対して、短期および長期に渡る政策の推奨事項を提言する。これらの推奨事項は、アジア太平洋地域およびそれ以外での平和、安定、繁栄のための力としての日米同盟を支えることを目的としている。

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<参照先>
・邦文全訳
 http://ch.nicovideo.jp/iwj/blomaga/ar90847
・アーミテージ・ナイレポート(海上自衛隊ホームページ)
http://www.mod.go.jp/msdf/navcol/SSG/topics-column/col-033.html
・英語原文
http://csis.org/files/publication/120810_Armitage_USJapanAlliance_Web.pdf

<邦訳 追加>
上記の邦文全訳では、「Conclusion」の節が省略されていますので、拙ないものですが和訳を付しておきます。
   ◇
●結論
日本における論議は現状において、「危機」、「挑戦」、および「優柔不断さ」という言葉づかいにより悩まされている。これらの言葉は国の衰退を示唆しているのかもしれないが、我々はそれがお定まりの結論であるとは信じていない。我々は、日本がきわどく重大な接合点にいると見ている。日本には、戦略的に重要なときに、自己満足とリーダーシップの間で決断する力がある。アジア太平洋地域を通じて起きているダイナミックな変化につれて、日本がこれら地域の運命を導くよう手助けする機会を持つことはないだろう。リーダーシップを取る中で、日本は一流国家としての地位と同盟の対等のパートナーとしての必要な役割を確保することができる。

このような漂流の時期に、しばらくの間トモダチ作戦が米日同盟を手中にした。トモダチ作戦は、ここ3年間の特異な政治的不一致を受けて至急必要とされていた意義と価値を同盟にもたらした。 しかしこの作戦は、直面する種々の挑戦を通じて同盟を押し進めるには十分とは言えないだろう。急速に進展する戦略的状景と巨大な予算への挑戦が、米国と日本の側によりスマートでより適応性のある結びつきを求めている。このリポートに含まれている提言は、米国と日本が敬意を払って前進することができるところの重要な地域に対する試みである。同時に大切なことは、両国の側が継続することだ。

だから最終的な提言として、米日同盟の向上にもっぱら専念する責任者を選任することによって同盟への関与を証明するよう、我々は米国・日本の双方に促すものである。同盟にふさわしい配慮を必要としている。

Conclusion
Current discourse on Japan is plagued with diction on “crises,” “challenges,” and “indecision.” While these words may suggest a nation in decline, we do not believe that is a foregone conclusion. It is our view that Japan is at a critical juncture. Japan has the power to decide betweencomplacency and leadership at a time of strategic importance. With the dynamic changes taking place throughout the Asia-Pacific region, Japan will likely never have the same opportunity to help guide the fate of the region. In choosing leadership, Japan can secure her status as a tier-one nation and her necessary role as an equal partner in the alliance.

In this period of drift, Operation Tomodachi bought the U.S.-Japan alliance some time. It gave the alliance the meaning and value it urgently needed following the idiosyncratic political discord of the last three years. But, that will not be sufficient to carry the alliance through the challenges it faces. The rapidly evolving strategic landscape and tremendous budgetary challenges require smarter and more adaptive engagement on the part of the United States and Japan. The recommendations contained in this report are an attempt to highlight areas in which the United States and Japan can move forward in that regard. Equally important will be follow-through on the part of both nations. So, as a final recommendation, we urge both the United States and Japan to evi-dence their commitment to the U.S.-Japan alliance by appointing a policy director dedicated solely to the betterment of it. The alliance is deserving and in need of this attention.

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<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。

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安倍政権の外交・安全保障政策に生き写し――日米同盟政策提言 アーミテージ・ナイレポート(2)

2015-03-18 19:04:00 | Weblog



防衛省海上自衛隊幹部学校のホームページ(コラム033 2012/08/28) http://www.mod.go.jp/msdf/navcol/SSG/topics-column/col-033.html から分割転載2回目(了)は、「アーミテージ・ナイレポート」のうち、「提言」の訳文を掲載します。原文を参照対比できるよう同時掲載いたします。

CSIS(Center for Strategic & International Studies 戦略的国際研究センター)のこのアーミテージ・ナイレポートは2012年(平成24年)8月公表、安倍晋三総理誕生は同年12月26日、ワシントンのCSISでの安倍総理講演は就任2か月後の2013年(平成25年)2月22日です。

下の転載記事に下線を施した部分は、現在、政府が提案して自公協議中の軍事案件に関連するところです。

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2 提言事項(全27件)

 本報告書の巻末に列挙された提言事項は以下のとおりである。


・日本への提言(9項目)

(1)原子力発電の慎重な再開が日本にとって正しくかつ責任ある第一歩である。原発の再稼動は、温室効果ガスを2020年までに25%削減するという日本の国際公約を実現する唯一の策であり、円高傾向の最中での燃料費高騰によって、エネルギーに依存している企業の国外流出を防ぐ懸命な方策でもある。福島の教訓をもとに、東京は安全な原子炉の設計や健全な規制を促進する上でリーダー的役割を果たすべきである。
  Cautious resumption of nuclear power generation is the right and responsible step for Japan. Restarting nuclear reactors is the only way to meet Tokyo's ambitious carbon dioxide emis-sions cuts of 25 percent by 2020. A restart is also sensible to help ensure that high energy costs coupled with a high-valued yen do not drive vital energy-dependent industries out of Japan. Taking on board lessons from Fukushima, Tokyo should resume a leadership role in promoting safe reactor designs and sound regulatory practices.

(2)日本は、海賊対処、ペルシャ湾の船舶交通の保護、シーレーンの保護、さらにイランの核開発プログラムのような地域の平和への脅威に対する多国間での努力に、積極的かつ継続的に関与すべきである。
 Tokyo should continue active engagement in multinational efforts to combat piracy, protect Persian Gulf shipping, secure sea-lanes, and confront threats to regional peace, such as those posed by Iran's nuclear program.

(3)環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加に加え、経済・エネルギー・安全保障包括的協定(CEESA)など、より野心的かつ包括的な(枠組み)交渉への参加も考慮すべきである。
 In addition to entering TPP negotiations, Japan should examine more ambitious and compre-hensive negotiations, such as the proposal for a CEESA, described in this report.

(4)日本は、韓国との関係を複雑にしている「歴史問題」を直視すべきである。日本は長期的戦略見通しに基づき、韓国との繋がりについて考察し、不当な政治声明を出さないようにするべきである。また、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)や物品役務相互提供協定(ACSA)の締結に向けた協議を継続し、日米韓3か国の軍事的関与を継続すべきである。
 For the alliance to realize its full potential, Japan should confront the historical issues that continue to complicate relations with ROK. Tokyo should examine bilateral ties in a long-term strategic outlook and avoid issuing gratuitous political statements. To enhance trilateral defense cooperation, Tokyo and Seoul should work to conclude the pending GSOMIA and ACSA de-fense pacts and continue trilateral military engagements.

(5)日本は、インド、オーストラリア、フィリピンや台湾等の民主主義のパートナーとともに、地域フォーラムへの関与を継続すべきである。
 Tokyo should continue engagement in regional forums and with democratic partners, particu-larly India, Australia, the Philippines, and Taiwan.

(6)新しい役割と任務に鑑み、日本は自国の防衛と、米国と共同で行う地域の防衛を含め、自身に課せられた責任に対する範囲を拡大すべきである。同盟には、より強固で、均等に配分された、相互運用性のある情報・監視・偵察(ISR)能力と活動が、日本の領域を超えて必要となる。平時(peacetime)、緊張(tension)、危機(crisis)、戦時(war)といった安全保障上の段階を通じて、米軍と自衛隊の全面的な協力を認めることは、日本の責任ある権限の一部である。
 In a new roles and missions review, Japan should expand the scope of her responsibilities to in-clude the defense of Japan and defense with the United States in regional contingencies. The allies require more robust, shared, and interoperable ISR capabilities and operations that extend well beyond Japanese territory. It would be a responsible authorization on the part of Japan to allow U.S. forces and JSDF to respond in full cooperation throughout the security spectrum of peacetime, tension, crisis, and war.

(7)イランがホルムズ海峡を封鎖する意図もしくは兆候を最初に言葉で示した際には、日本は単独で掃海艇を同海峡に派遣すべきである。また、日本は「航行の自由」を確立するため、米国との共同による南シナ海における監視活動にあたるべきである。
 At the first rhetorical sign or indication of Iran's intention to close the Strait of Hormuz, Japan should unilaterally send minesweepers to the region. Japan should also increase surveillance of the South China Sea in collaboration with the United States to ensure freedom of navigation.

(8)日本は、日米2国間の、あるいは日本が保有する国家機密の保全にかかる、防衛省の法律に基づく能力の向上を図るべきである。
  Tokyo should enhance the legal abilities of the MOD to protect bilateral and national security secrets and confidential information.

(9)国連平和維持活動(PKO)へのさらなる参加のため、日本は自国PKO要員が、文民の他、他国のPKO要員、さらに要すれば部隊を防護することができるよう、法的権限の範囲を拡大すべきである。
 To enable fuller participation in PKO, Japan should extend the latitude of peacekeepers to include protecting civilians and other international peacekeepers, with force, if necessary.


・日米同盟への提言(11項目)

(1)福島の教訓から、日米の原子力研究及び開発協力の再活性化を図るとともに、安全な原子炉の設計と地球規模での健全な規則の実施を図るべきである。
 Taking on board lessons from Fukushima, Tokyo and Washington should revitalize nuclear energy research and development cooperation and promote safe nuclear reactor designs and sound regulatory practices globally.

(2)米国と日本は、天然資源にかかる同盟を結ぶべきである。また、メタンハイドレートや代替エネルギー技術の開発にかかる協力を促進すべきである。
  As part of the security relationship, the United States and Japan should be natural resource allies. Japan and the United States should enhance cooperation in the research and development of methane hydrates and commit to development on alternative energy technologies.

(3)米国、日本及び韓国は、「歴史問題」にかかる非公式の協議を促進し、その繊細な問題にどのようにアプローチすべきかコンセンサスを得るとともに、それぞれの政府のリーダーに示唆と提言を与えるべきである。この努力は、困難な問題における交流のための「最適な」規範と原則を追求していくものであるべきである。
  Washington, Tokyo, and Seoul should expand track 2 dialogue on historical issues, seek con-sensus on how to approach these sensitive matters, and take suggestions and recommendations derived from dialogue to political and government leaders for action. This effort should seek agreement on “best practice”norms and principles about interaction on these difficult issues.

(4)日米同盟は、中国の再興への対応するための能力とポリシーを構築しなければならない。日米同盟は、平和的で繁栄を謳歌している中国からは得るものは多いが、高い経済成長と政治的安定の継続は不確実である。同盟のポリシーと能力は、中国の核心的利益の拡大の可能性や、軌道変更、そして予測し得る幅広い範囲の未来に対し適応できるものであるべきである。
 The alliance must develop capabilities and policies to respond to China's re-rise. The alliance has much to gain from a peaceful and prosperous China, but continued high economic growth and political stability are not assured. Allied policies and capabilities should be adaptable to China's possibly expanding core interests, changing trajectory, and a broad range of possible futures.

(5)人権に関する具体的なアクションアジェンダの構築は、賞賛に値するゴールであり、特にビルマ(ミャンマー)、カンボジア、そしてベトナムなどは、共同による関与により、国際人道法と市民社会を促進させることができる。さらに、北朝鮮との関係に関しては、韓国との同盟をもって、食糧安全保障、災害救難及び公衆衛生、加えて非核化と拉致問題の解決等を含む人権問題の全ての範囲の問題に取り組むべきである。
 Developing a concrete action agenda on human rights is an admirable goal, especially in Burma (Myanmar), Cambodia, and Vietnam, where allied commitments can advance interna-tional humanitarian law and civil society. With regard to North Korea, the alliance with ROK should address the whole range of humanitarian issues, including food security, disaster relief, and public health, in addition to denuclearization and abductees.

(6)米国と日本は、これまで高官レベルの関心が十分ではなかった、役割、任務、能力に関する協議を通じて、(米国の)「エア・シーバトル構想」と(日本の)「動的防衛力」などといったコンセプトの連携を行うべきである。新しい役割と任務の見直しは、軍事、政治、そして経済にかかる国力をすべて包含する協力と同様に、より幅広い範囲の地理的視点をも含むべきである。
 The United States and Japan should align concepts such as Air Sea Battle and Dynamic Defense through the Roles, Missions, and Capabilities dialogue, which has received insufficient senior-level attention to date. A new roles and missions review should include a broader geographic scope as well as an all-inclusive combination of allied military, political, and economic national powers.

(7)米陸軍及び海兵隊と陸上自衛隊との協力は、相互運用性の向上と、水陸両用で機敏かつ展開容易な部隊への進化を、発展させるものであるべきである。
  U.S. Army/Marine Corps cooperation with JGSDF should make progress toward interoperabil-ity and move toward an amphibious, agile, and deployable force posture.

(8)米国と日本は、民間空港の活用、「トモダチ作戦」の教訓検証、そして水陸両用作戦能力の向上により、共同訓練の質的向上を図るべきである。また、米国と日本は、二国間あるいは他の同盟国とともに、グアム、北マリアナ諸島及びオーストラリア等での全面的な訓練機会の作為を追及すべきである。
 The United States and Japan should improve the quality of their bilateral defense exercises by utilizing rotating civilian airports, testing lessons learned from Operation Tomodachi, and enhancing amphibious capabilities. The United States and Japan should make full use of training opportunities in Guam, CNMI, and Australia, both bilaterally and with other partners.

(9)米国と日本は、将来兵器の共同開発の機会を増やすべきである。短期的には共通の利益や作戦上の要求に沿った特別の計画について考慮すべきである。一方で日米同盟は共同開発にかかる長期的な運用要求を共有すべきである。
 The United States and Japan should increase opportunities for joint development of future weaponry. A near-term armament program should consider specific projects of mutual interest and operational requirements. The alliance should also identify long-term operational require-ments for joint development.

(10)米国と日本は、同盟における米国の拡大抑止にかかる信頼と能力についての信頼を構築できるよう、拡大抑止に関する対話(おそらく韓国と共同による)を再び活気づかせるべきである。
 The United States and Japan should reinvigorate the extended deterrence dialogue (perhaps in conjunction with ROK) to ensure equal confidence in the credibility and capability of U.S. extended deterrence over its key allies.

(11)米国と日本は、共通の情報保証基準にかかる研究開発に資する「ジョイント・サイバー・セキュリティー・センター」を設立すべきである。
 The United States and Japan should establish a Joint Cyber Security Center for research and implementation of common information assurance standards.


・米国への提言(7項目)

(1)米国は、「資源ナショナリズム」を訴えるべきではなく、またLNGの輸出における民間部門の計画を抑制すべきではない。危機(crisis)の時代において、米国は同盟国に継続的かつ安定的な供給量を提供するべきである。議会は法律を改正し、日本へのLNG供給を容易にするべきである。
 The United States should not resort to resource nationalism nor inhibit private-sector plans to export LNG. At a time of crisis, the United States should provide its ally with a constant and stable flow of LNG. Congress should amend the law to remove the FTA requirement for an automatic energy permit, putting Japan on an equal footing with other potential natural gas customers.

(2)米国は、TPP交渉におけるリーダーシップを発揮し、交渉の過程と協定草案の内容について明らかにすべきである。日本のTPP参加は米国の戦略目標としてとらえるべきである。
 With its leadership role in TPP negotiations, the United States should shed more light on the negotiation process and drafting of agreements. Japan’s participation in TPP should be viewed as a strategic objective of the United States.

(3)米国は、日本と韓国の間にある微妙な「歴史問題」について見解を示すべきではない。米国は、緊張を静めるためにあらゆる外交的努力を払い、2つの国家の核心的な安全保障上の利益に再び注目するべきである。
 The United States should not render judgment on the sensitive historical issues between Japan and ROK. The United States should, however, exert full diplomatic efforts to diffuse tensions and refocus attention to the two nations’ core national security interests.

(4)在日米軍は、日本の防衛に関し特別の責任を持つべきである。米国は在日米軍の任務に関し、より大きな責任と使命感を割り当てる必要がある。
 USFJ should have specific responsibilities assigned for the defense of Japan. The United States needs to allocate greater responsibility and sense of mission to USFJ.

(5)米国は、「武器輸出三原則」の緩和を好機ととらえ、日本の防衛産業に対し、米国のみならずオーストラリアなど他の同盟国に対しても、技術の輸出を行うように働きかけるべきである。米国は、時代にそぐわない障害と化している有償軍事援助調達(FMS)手続きを見直さなければならない。
  The United States should take advantage of the relaxation of the “Three Principles on Arms Exports”and encourage the Japanese defense industry to export technology not only to the United States, but to other allies such as Australia. The United States must review its own ar-chaic and obstructive FMS process.

(6)米国は、将来の共同技術研究開発にかかる協力の促進に向け、また、兵器売買に関わる官僚組織の仕事を合理化し、タイムリーかつ戦略的に一貫した意思決定が成し得るようにするため、「科学技術フォーラム」と政策中心の「安全保障協議委員会」の組織を統合し、活性化させるべきである。
 The United States should better integrate and invigorate the Sciences and Technology Forum with the policy-centered Security Consultative Committee structure to further promote joint research and development and technology cooperation and should work to improve and streamline the defense sales bureaucracy to ensure timely and strategically consistent decisions.

(7)米国は、大統領による政治任用の人材を選出し、その者に日米同盟深化の責任を持たせるべきである。日本についても同様の任用について考慮することを望んでいる可能性がある。
 The United States should select a presidential appointee and charge that individual with responsibilities for the enhancement of the U.S.-Japan alliance. Japan may want to consider a similar designation.

 ――次回につづく

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<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。






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安倍政権の外交・安全保障政策に生き写し――日米同盟政策提言 アーミテージ・ナイレポート(1)

2015-03-15 16:46:03 | Weblog



防衛省海上自衛隊幹部学校のホームページ(コラム033 2012/08/28) http://www.mod.go.jp/msdf/navcol/SSG/topics-column/col-033.html から分割転載します。全文を一気に読みたい方は防衛省ホームページをご覧ください。

記事によると、ワシントンのCSIS(戦略的国際研究センター)在籍のアーミテージ、ナイの両氏による政策提言は2012年(平成24年)8月15日公表となっています。安倍総理は2012年(平成24年)12月26日に総理大臣就任記者会見を行い、2か月後の2013年(平成25年)2月22日にワシントンのCSIS(戦略的国際研究センター)で講演をしています。アーミテージ氏と安倍首相は密接な関係にあると言えるでしょう。

興味がおありの方は、http://csis.org/event/statesmens-forum-he-shinzo-abe-prime-minister-japan でビデオをご覧ください。

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 ロンドンオリンピックの興奮冷めやらぬ8月15日、米国のアーミテージ元国務副長官及びジョセフ・ナイ元国務次官補(現ハーバード大学教授)を中心とした超党派の外交・安全保障研究グループが、日米同盟に関する報告書 “The U.S-Japan Alliance ANCHORING STABILITY IN ASIA”(日米同盟-アジアの安定を繋ぎ止める-)を公表した。

 本報告書は、2000年10月2、2007年2月3に公表されたものに続く3番目のものであり、アジア太平洋地域に顕在する様々な問題を踏まえ、今後の米国、日本、そして日米同盟の在り方について、グループの分析評価結果を具体的な政策提言の形で明示したものである。


1 本報告書の概要

 本報告書は、グループの研究結果について、アーミテージ氏とナイ氏の共著の形で記述されている。

 序章では、総論として、かつて第1次報告書で読者の耳目をさらった「同盟の漂流」というキーワードを再び用い、中国の隆盛と不透明性、北朝鮮の核や敵対的活動、アジアのダイナミズムの兆候等、今目前にある情勢を踏まえつつ、世界で最も重要な同盟関係である「日米同盟」が瀕死の状態にあるとし、力強くかつ対等な同盟の復活が要求されているとした。

 特に、日本が今後世界の中で「一流国」(tier-one nation)であり続けたいのか、あるいは「二流国」(tier-two nation)に甘んじることを許容するのか、国際社会での日本の在り方にかかる真意を単刀直入に問いただす、極めて強い表現を用いている。ただし、米国としては、日本の現状、すなわち少子高齢化、財政状況、不安定な政治、若者のメンタリティー(悲壮感と内向性)等の「現実」は適切に認識した上で、それでも日本は今後とも「一流国」として国際社会で一定の役割を果たすべきであるとの見解を明示している。

 また、日本の「信頼性」についても言及されており、特に自衛隊は日本で最も信頼に足る組織であるとの評価を明言する一方、「時代遅れの抑制」を解消することで、アジア太平洋地域における海洋安全保障上の戦略的均衡の要になり得るとの評価をしている。

 次に、日米同盟の在り方に関する各論的記述として、「エネルギー安全保障」、「経済と貿易」、「近隣諸国との関係」それぞれについて、どのような取り組みが同盟堅持に寄与するものであるか、原子力政策や天然資源に関する新たな同盟の締結、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)並びに経済・エネルギー・安全保障包括的協定(CEESA:Comprehensive Economic, Energy, and Security Agreement)締結への努力等、個別具体的な政策を提示している。

 特に、「近隣諸国との関係」では、韓国及び中国との関係に着目し、はじめに日米韓3か国の強固な関係構築の必要性から、日韓に顕在するいわゆる「歴史問題」の解決に向けた努力を促すとともに、判断を下す立場にないとエクスキューズしつつも、当該問題の解決(和解)に向け、米国があらゆる外交努力を払うべきであると訴えている。また、北朝鮮の脅威へ対抗するため、日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)及び物品役務相互提供協定(ACSA)締結交渉の加速化をも促している。一方、昨今の中国の再興に対しては、強固な日米同盟こそが必須であり、「関与」と「対処」をもって対処すべきとしている。

 さらに、本年4月30日に公表された「日米共同宣言:未来に向けた共通のビジョン」をとりあげ、世界に顕在する人権問題と日米同盟との関係について、特に日本と北朝鮮との間の問題をも踏まえながら、日米の緊密な連携の必要性を訴えている。

 次に、新しい安全保障戦略に向けた様々な取り組みについて提案がなされている。  例えば、日本はARFやAPECといった地域フォーラムにおいてそれらの民主主義パートナーとの連携を深め、中国海軍の増強と行動範囲の拡大すなわち「接近阻止・領域拒否」(A2AD)戦略には、日米の「エア・シーバトル構想」及び「動的防衛力」をもって対峙する必要性を説いている。

 さらに、よりオペレーショナルな範疇に踏み込み、ホルムズ海峡におけるイランの動向に鑑み、封鎖の意図(兆候)が明らかとなった際には、日本は単独で海上自衛隊の掃海艇を派遣し、当該海峡の通航の安全を確保することや、南シナ海の平和と安定を維持するため、日米共同で監視活動を実施すること等を訴えている。

 その他、インターオペラビリティーのさらなる向上や共同技術開発の推進、同盟に欠かせない信頼関係の構築に資する「拡大抑止」にかかる認識の統一、そして先に出された2つの報告書に示された「武器輸出三原則」緩和及び「集団的自衛権」容認の必要性等について言及している。

 一方で、国連平和維持活動への参加については、日本に対し過去の2つの報告書では「種々の制約の撤廃」と記述していたが、本報告書では更に細部に踏み込み、派遣された部隊の法的権限の拡大(文民のみならず、他国のPKO要員、要すれば部隊の防護を可能とする権限付与)について言及している。

 最後に、「結言」として、冒頭に述べられた「同盟の漂流」について言えば、昨年発生した東日本大震災における「トモダチ作戦」が、それまでの3年間で生じた特異な政治的不調和を早急に改善し、それによって「漂流」は終焉を迎えつつあるとの認識を示している。そして、第2次報告書と同様に提言事項(全27件)を列挙し、全32ページに及ぶ一連の報告を終えている。

――次回につづく

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<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。


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