川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
★自分用メモは、新聞・Webなどのノート書きです。

わたしたちは戦争加害者の子孫である――日中韓平和のために

2014-12-28 15:01:13 | Weblog



日本は軍事力によって朝鮮を占領支配、大日本帝国領にして植民地統治をしていました。他国の領土を軍事力をもって自国領土にする行為は「侵略」です。侵略したことは歴史的事実であって、わたしたち日本人は1945年(昭和20年)敗戦以後に生まれた日本人であっても、先人たちの過ちはくり返さないと韓国の人たちに謝って当然でしょう。

1931年(昭和6年)、日本軍は満州(現在の中国東北部)を占領し、その後満州国が建国されました。満州国は大日本帝国の植民地国家でした。1937年(昭和12年)、日中戦争が始まりました。これは1945年(昭和20年)の日本敗戦までつづきました。

中国との戦争は、終始、中国領土内で行われました。これは侵略戦争そのものであり、中国側から見れば「抗日戦争」です。中国領土内で中国人と戦争をするのですから、中国兵だけでなく、100万単位の一般中国人も死にました。死んだというより、殺されたという表現が正しい。砲撃や空爆で死んだ人々は日本兵が銃撃したわけではないので、日本側から見れば殺したという感覚がないかもしれません。しかし、日本軍の攻撃で死んだのですから、中国側から見れば「殺された」ということになります。

日本だって、沖縄壊滅、東京大空襲、広島原爆、長崎原爆と、この四つの死傷者だけでも膨大な数に上るのですから、中国全国の戦場で百万単位の人が死んだというのは納得できる数字です。

 中国を侵略したことは歴史的事実であって、1945年(昭和20年)敗戦以後に生まれた日本人であっても、わたしたちが先人たちの過ちをくり返さないと中国の人たちに謝って当然でしょう。中国全土で戦争をして多くの中国人を殺したことにまちがいないのですから。

韓国については慰安婦問題で、有ったとか無かったとかで韓国を責めている人たちがいます。しかし、韓国を軍事力で征服支配したことは歴史的事実です。敗戦日本の米軍上陸につれて、多くの若い日本女性が米軍兵士のお伴をしたということや日本政府がそれを準備・黙認したことから、わたしたちは韓国人慰安婦の存在を類推することができます。行政当局や軍当局が直接手を下していないとしても、当局が、慰安施設経営や慰安婦募集をした民間業者を使って統制していたのは事実です。軍につきまとう世界共通の問題だといって居直る論者もいますが、それで免罪されることではありません。

南京大虐殺については死者数の多い少ないで中国を責めている人たちがいます。私は、中国人の首をぶらさげて自慢げな日本軍人の報道写真を本で見たことがあります。軍刀を下げていたので、将校だったのかもしれません。中国領土内で戦争をしているのだから、兵装をしていなければ兵士と民間人の区別はつきません。中国民間人で殺された人の数は膨大であったに違いありません。大都市・南京の争奪戦と占領掃討戦などで殺された民間人が3万人であったか、10万人であったか、20万人であったか、その数の多寡によって侵略日本軍の罪が許されるものではないでしょう。

 わたしたちは日常生活の経験で、なにかのことでひどい目にあったことはしつこく覚えているものです。楽しかったこともそうなのですが、被害経験も忘れようとしてもなかなかできません。しかし、こちらにとって忘れたくても忘れられないあいつ、当の加害者は、そんなできごとをすぐに忘れてしまいます。

韓国も中国もいつまでイヤガラセをするのか、と非難がましく言う日本人がいます。それは、罪を犯した加害者が、罪を問う被害者を叱りつけている居直りの構図だと言えるでしょう。

私の育ての父は中国(北支)で従軍していました。学生出身の速成将校で、凄絶な戦闘は経験していないようでした。育ての父から3つの話を聞いてはっきり記憶しています。

一つ目の話は、万里の長城(どのような場所かは聞いていません)で撃たれて落下した。夜になって日中両軍の戦場掃除が始まって、負傷した父を味方が回収してくれた。どういう事情なのかはわかりませんが、父は「将校だから助かった、兵隊だったら放っておかれたと思う」と私に話しました。

二つ目の話は、あるとき中国人(人と言ったのか兵と言ったのか忘れました)の捕虜が一人、父の小隊に預けられた。その捕虜が父の弟にそっくりでした。捕虜は銃剣刺突の練習台で殺されるのはわかっている。それで父は捕虜を逃した、と話してくれました。どのように逃がしたのかは聞いていません。

三つ目の話は、陸士出の隊長につかまったらみんな死んでしまう。連中はとにかく「突撃っ、突撃っ」だからたまらんよ。ぼくは部下に、「無理するなよ、無理するなよ」だったから弱い隊長だった。――そう話した父は小隊長でしたから、上官の中隊長や大隊長に士官学校出がいたのでしょう。でも、そんな隊長の下では兵士の死傷者が増えたことでしょうが、それ以上に中国人の死傷者は多かったことと思います。中国戦線で日本はそんなに負けていなかった、という話も聞いていますので。

わたしたちは韓国に対しても中国に対しても、すなおに過去日本の罪を認めて、「再びそのようなことはしません」と表明し誓うことは戦争加害者の子孫であるわたしたちの務めであると思います。

 川本追記2019.8.29.
日本は1941年12月にアメリカと戦争を始めると同時に、東南アジア(現在11カ国)や西南太平洋の領域で大戦争をやりました。日本兵の敗残記録をいくつか読んで、この惨状は地獄の相であると思いました。それと同時に同じ領域で暮らしている人たちも、日本人が持ちこんだ戦争のおかげで、ひどい目にあったに違いないと想像しておりました。

 『シンガポール華僑粛清――日本軍はシンガポールで何をしたのか』(林 博史 著、高文研 2007.6.25. 第1刷、全262ページ)は始めから終わりまで事実ばかり詰めこんで、事実の紹介に徹しています。巻末参考文献一覧に、①未公刊資料:シンガポール1件、イギリス2件、日本4件、②日本語文献79件、③英語文献36件、④中国語文献12件を記載して信頼に足るものです。

この本を元にして、下のブログ記事を構成しました。日本人による戦争のおかげでひどい目にあったのは、中国大陸や朝鮮半島だけではないことがよくわかります。

 2019-08-13
東アジア 日本が目ざすべきは――日韓台の友好結束と対米中ロ韓北5カ国平和外交と対北朝鮮防衛武備充実
2019-08-17
満州事変1931年から敗戦1945年まで日本軍による斬首や銃剣刺殺は日常茶飯事でした
2019-08-20
日本軍、シンガポール占領3年半 (1942.2.~1945.8.) 華僑粛清(1)
2019-08-22
日本軍、シンガポール占領3年半 (1942.2.~1945.8.)  華僑粛清(2)
2019-08-27
日本軍、シンガポール占領3年半 (1942.2.~1945.8.)  華僑粛清(3) 第25軍軍律
2019-08-29
日本軍、シンガポール占領3年半 (1942.2.~1945.8.)  ここでも日本軍慰安所



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肺炎になりました

2014-12-12 20:52:31 | Weblog


肺炎になりました。しばらく休養いたします。熱は最高で7度くらい、なんとなく体がだるく、咳だけがひどくて夜もしばしば目覚めるほどでした。それが大方10日つづいて、肺炎ということになりました。高熱がなくとも、みなさまもご注意のほどを願います。

過去記事の「憲法につきまとう復古(ナショナリズム)勢力」をクリックしてお読みくださればありがたいです。いまの安倍自民党はこの復古勢力にあたります。

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これこそ安倍首相のねらい シミュレーション・ストーリー(NSC法と特定秘密保護法と集団的自衛権)

2014-12-08 21:57:52 | Weblog



 政府の外交・安全保障政策の司令塔となる「国家安全保障会議」(日本版NSC)創設関連法が2013年(平成25年)11月27日の参院本会議で成立しています。

 NSC法は、外交・安全保障政策の迅速な意思決定や情報の一元化を図るため、首相と官房長官、外相、防衛相による「4大臣会合」を2週間に1回程度開催し、内閣官房に事務局の「国家安全保障局」(安保局)を新設するのが柱。

 NSCは米国や英国など各国の情報機関と緊密に連携して情報交換を行うため、政府は機密を漏らした公務員らへの罰則強化が不可欠と判断。同2013年(平成25年)12月6日、特定秘密保護法が成立しました。

すでに成立したNSC法と特定秘密保護法、それに閣議決定済みの集団的自衛権が実際に運用されると、こんな感じですというのが下に記載するシミュレーション・ストーリーです。まだ重要案件の決定が行われたことがないので、このストーリーの細部について、「現実的でない」と批判することはいくらでもできるでしょう。

でも、「このようなもの」というイメージをつかむことは、私たちにとって大いに有益です。このストーリーは、古賀茂明著「国家の暴走」から転載しました。古賀氏は元経済産業省のキャリア官僚ですから、このストーリーは「このようなもの」というには十分なストーリーと考えます。

「国家の暴走」(角川oneテーマ21)は新書版で読みやすいものです。本の前半は安全保障分野(≒集団的自衛権、軍事)、後半は経済と雇用について書かれています。手軽に読める内容ですので、このたびの衆院選の参考にお読みになることをお勧めします。

   ◇   ◇   ◇

<シミュレーション・ストーリー>

◎総理 「ホワイトハウスから、中東のⅩ国に対して米国の自衛のために先制攻撃をするから日本も参戦してくれと言われた。ぜひ参戦したい。集団的自衛権の行使だ」

◎A大臣 「しっかりした根拠がなければ、国民に説明できません」

◎総理 「大丈夫だ。根拠を聞かれたら『特定秘密だから明かせない』と言えばいい」

◎A大臣 「あとでガセだとわかったらどうするんですか。イラク戦争の時もそうだったんですよ、総理。とてももちませんよ。

◎総理 「だから、秘密はいつまでも延長できるようにしてある。30年後に内閣で見直すといっても、そこで延長すれば60年秘密にできる。その頃には、我々は皆、死んでるよ」

◎A大臣 「私は反対です。間違って日本が戦争に巻き込まれて多くの死傷者を出したら大変ですよ。それに、国会の情報監視審査会で、米国の情報を提出するように言われますよ」

◎総理 「そういう時のために、情報監視審査会の勧告には強制力を持たせないことにしたんだ。出せと言われても無視すればいいんだ」

◎A大臣「こんな重要なことを四人だけで決めるべきではありません。ただちに閣議を招集して下さい」

◎総理 「何を言っているんだ。そんなことをしたら公明党のⅩ大臣が反対するし、いろんな議論が出て大変だ。そもそも簡単に決めるためにこのNSCを作ったんじゃないか」

◎A大臣 「しかし、戦争開始には野党が大反対でしょう。国会が動かなくなりますよ」

◎総理 「みんなの党や次世代の党は賛成してくれるさ。維新も乗ってくれるんじゃないか。民主だって、賛否が割れるだろう。野党のご理解も頂いたと言って進めればいい」

◎A大臣「それにしても、国民は黙ってませんよ。選挙も近いですし」

◎総理「大丈夫だよ。国民は少し時間が経てば忘れるよ。今までもいつもそうだっただろう? それに、石油が止まったら国民生活が大打撃を受ける! 中小企業が倒産する! 北国の人達が冬を越せなくなる! と10回叫べば、国民はついて来るんだよ。世論といったって、反対するのは、朝日と毎日と東京だろう。気にすることはないよ」

◎A大臣 「(事務方の方を向いて)私の反対意見はちゃんと記録してくれよ」

◎事務局 「これは単なる個人メモです。議事録ではありません」

◎B大臣 「Aさん、非公開の会議の議事録は、今でも。都合の悪いところはいつも事務方でうまくカットしてくれてましたよね。ご自分もそうやって来られたんじゃないですか。今回だけ、全部正確に書けといっても、大臣、それは無理ですよ」

◎A大臣 「総理! 議事録に私の発言を正確に記録するように指示してください」

◎総理 「こういう大事なことは官僚諸君に任せた方がいいと思いますよ。議事録は作るかどうかだけの議論で終わってよかったね。録音や録画をしろと言われてたら厄介だったな」

◎A大臣 「こんなことじゃ国民をだましていることになりますよ。大嘘つきじゃないですか」

◎総理 「馬鹿なことを言っちゃ困るよ。私がいつ嘘をつけと言いましたか。単に議事録は事務方に任せると言っただけですよ。結果的に、国民が読みやすいように、多少の整理とか取捨選択というのはあるかもしれないけど、噂つき呼ばわりされるのは心外だな」

◎A大臣 「それでは私の信念にもとります。そこまで言われるなら、会議終了後に、私はこの会議で参戦に反対したことを記者会見で発表させていただきます」

◎総理 「今日の会議でどんな議論をしたかを明らかにすると、わが国の安全保障に著しい支障をきたす恐れがあるから、議論の内容は特定秘密に指定することにした。だから、そういう議論があったことを喋るだけでも、君は懲役10年の重罪を犯すことになるよ。そんなことだけはさせたくないんだ。ここはおとなしく従ってくれ」

◎A大臣 「そんな脅しには屈しませんよ。(他の閣僚に)こんなことでいいんですか? みんなで共同記者会見を開いて、この議論を国民に伝えましょう」

◎総理 「Aさん、そう興奮しないで。この会議の内容は、全面的に特定秘密に指定します。私の判断です。ですからこれは外に出してはいけないんです。冷静に聞いてください」

◎A大臣 「別に興奮なんかしてません。B大臣、どうですか、やっぱりおかしいでしょ。一緒に記者会見で真実を伝えましょう」

◎総理 「A大臣、それを言ったら、特定秘密漏洩の教唆または共謀罪ですよ」

 総理がドアの方を見て、事務方を促す。ドアから私服警察官が登場。

◎警察官 「A大臣、特定秘密保護法第25条の罪(特定秘密漏洩の共謀教唆煽動)で現行犯逮捕します」

◎A大臣 「ふぎけるな。そんなことに従う義務はない!」

◎警察官 「お話は、署の方でゆっくりうかがいます」

 A大臣が警察官に連行される。

◎総理 「皆さん、今のやり取りもA大臣逮捕の理由も、すべて特定秘密ですから口外しないように。もし喋ったら、A大臣と同じ運命が待っていますよ」

 翌日、朝刊の一面に大きな見出しが躍った。
「A大臣更迭 原発問題で対立か」
 そして、1週間後の記事。「A前大臣、収賄容疑で取り調べ」

 その後、日本は米国とともにⅩ国と戦争をする世界で唯一の国となった。米国の他の同盟国は、米国の要請に対して、戦争の必要性、正当性に疑問が残るとして参戦を拒否した。この戦争でⅩ国の多数の民間人が犠牲になるが、のちに、米国が提供した情報が、Ⅹ国亡命者による捏造情報だったことが判明。それ以降、日本はテロリストに狙われる国になり、各地でテロが頻発。東京は世界で最もテロの危険性が高い都市となり、オリンピックが安全に開催されるかどうかも危ぶまれるようになってしまった――。

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<私のアピール>

2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。第2次大戦後の日本において安倍政権は最も危険な政権です。安倍内閣サヨナラの声を盛り上げていきましょう。


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NHK経営委員、役割は? (新聞記事から転載)

2014-12-07 17:58:38 | Weblog



質問なるほドリ NHK経営委員、役割は?=回答・有田浩子
毎日新聞 2014年02月26日 東京朝刊


 ◇会社で例えれば「社外取締役」 経営方針、編集の基本計画を決定

 なるほドリ NHKの経営委員(けいえいいいん)の発言がニュースになっているけど、経営委員ってNHKの役員なの?

 記者 普通の会社でいうところの社長がNHK会長だとすると、経営委員はNHKの業務を監督する社外取締役みたいなものです。

 経営委員は1950年制定の放送法で「公共の福祉に関し公正な判断ができる」者と定められました。戦前の反省に立ち、NHKの自主性を保障するために設けられた制度です。

 委員会は委員長を含む12人で構成され、常勤の監査委員1人以外は非常勤(ひじょうきん)です。月に2回定例会があり、報酬(ほうしゅう)は委員長が年間619万2000円、委員は495万3600円となっています。任期は3年です。

 Q 経営委員はどんな仕事をするの?

 A NHKの経営方針や事業計画、番組編集の基本計画などを決めます。また会長の任免権もあり、経営委員会はNHKの最高意思決定機関とされています。

 委員の権限は抽象的にしか規定されていませんが、かつて古森重隆経営委員長が、選挙期間中の歴史番組について「微妙な政治問題に結びつく可能性もある。ご注意願いたい」と述べ、現場を萎縮させかねないと言われました。

 このため2008年4月の改正放送法では、経営委員による個別番組への干渉が禁じられました。ただ、番組の感想を言うことはかまわないとされていて、干渉にあたるかどうかの線引きは微妙です。

 Q 委員はどうやって選ばれるの?

 A 教育、文化、科学、産業などの分野や地域バランスを考慮して総務省が人事のリストを作り、衆参両院での同意を得て、首相が任命することになっています。罷免も同様の手続きで身分はしっかり守られています。

 Q 今の経営委員が「安倍カラー人事」って言われるのはなぜなの?

 A 昨年11月に選ばれた4人がいずれも安倍晋三首相に近い人物とみられているからです。この指摘に対して菅義偉(すがよしひで)官房長官は「首相が信頼している人にお願いするのは当然」と述べています。

 特に東京都知事選の応援演説で他候補を「人間のくず」と発言した作家の百田尚樹氏や、右翼活動家の拳銃自殺を礼賛するような追悼文を寄せた哲学者の長谷川三千子氏は、安倍首相の応援団を自任しています。

 不偏不党、公正中立というNHKの理念が疑われかねないため、経営委員会は「一定の節度」を持って行動するよう異例の申し合わせをしました。(学芸部)

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<私のアピール>

2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。第2次大戦後の日本において安倍内閣は最も危険な政権です。

安倍内閣が倒れるまで、与党であれ野党であれ、安倍首相と同じ考えの人を選挙で落としましょう。

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安倍首相によるNHK間接支配(下) 百田尚樹語録 国防軍は戦争を抑止する一番の力、土井たかこは売国奴

2014-12-06 11:24:45 | Weblog



2012年(平成24年)9月、自民党総裁選挙の結果、安倍晋一・第25代自民党総裁に選ばれました。「2012年安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」はこの総裁選挙に際して、安倍自民党総裁誕生を後押しをしました。

NHK経営委員の長谷川三千子氏、百田尚樹氏は共に、この「民間人有志の会」の発起人です。安倍首相は、「民間人有志の会」から2人をNHK経営委員に送りこみました。長谷川氏の思想傾向を証するものについては前回に書きました。

今回は、百田尚樹NHK経営委員について書きます。百田経営委員は今年2014年2月都知事選で、田母神俊雄候補と共に街宣カーに乗って街頭演説をしました。彼の思想傾向は既によく知られていますが、この街頭演説を下に採録しました。ご覧ください。

彼の思想傾向は、安倍首相に重なります。安倍首相は長谷川三千子氏や百田尚樹氏をすばらしい人材として推せんしています。それに、これまでの政治活動や自民党の新憲法草案を見ても、安倍首相は12月選挙で多数を取れば、憲法9条の改正に踏み込むでしょう。

百田尚樹氏の人となりを見るものとして、土井たか子(元社民党党首・元衆院議長)訃報に際してのツィッターも採録しました。ご覧ください。

   ◇   ◇   ◇

■2014年2月3日 秋葉原にて

<第1回演説 部分抜粋 ① 国防軍は戦争抑止力 憲法改正>

とにかく関西にいて思うことは、今回の都知事選、都知事になるには、田母神さんしかいません。それ以外の候補、まあ10人以上は泡沫ですが、何人かの重要な候補と言われている人間ですが、私から見れば人間のクズみたいなもんです。

遠く関西から見ていますと、田母神さんに対する誹謗中傷が非常にひどいです。
田母神さんが都知事になれば日本は戦争するんじゃないかと。
どうして東京が戦争できるんですか。あほなこと言うなと思うんですが。

実は憲法改正の話をちょっと言いますと、私は憲法改正派です。

と言いますのは、今の憲法は、戦争が起こってほしくないなぁと、ただそれを願っているだけの憲法だと、私は作家としてそう解釈しております。それをどう変えるか、絶対に戦争を起こさせない、そういう憲法に変えるべきだと僕は思っています。

よく安倍さんがいわゆる国防軍にしたい、と。安倍さんは戦争をやりたがっているのか。とんでもないです。戦争を起こさせないために軍隊が必要なんです。

軍隊は今、戦争を抑止する一番の力です。

そして今日本人で絶対に戦争を起こしてほしくないと思っている人は誰か。

これは実は自衛隊員です。
自衛隊の隊員達は、絶対に戦争起こってほしくないと思ってます。
何故なら、もし戦争が起これば彼らは真っ先に死ぬからです。
しかし、彼らはそれを恐れておりません。

決してあってはならないことですけれども、もし戦争が起これば自衛隊の皆さんは、国のために命を捧げることを恐れておりません。


<第1回演説 部分抜粋 ② 自虐史観を排した教育>

それともう一つ、お話させていただいて素晴らしいなと思うのは、(田母神さんが)日本の教育をしっかりしたいと、そう心から思っておられることです。

実は日本のいろんな大きな問題、様々な問題、マスコミ関係いろんな問題の多くが、実はこの戦後の教育が間違っていたからなんです。

実は日本の左翼教育は長い間子ども達に何を教えてきたのか、代々。日本は非常に悪い国家であった。非常に間違った国家だった。日本人は世界の国にさんざん悪いことをした。迷惑をかけた。こればっかり教えてきたんです。とんでもない話です。

たとえば侵略戦争一つとってもそう。日本はアジア諸国を侵略した、と。とんでもない、これは大嘘です。世界の国は日本を非難している、これも嘘です。そういう人たちに聞くと、誰が非難しているかというと、中国、韓国。これだけなんです。中国、韓国を世界というのは、これは大嘘です。

(東日本大震災や阪神大震災後の人々の助け合いを称揚して紹介したあと)子ども達には、まず日本人として生まれたこと、日本人は素晴らしい国家である、これを教えてもらいたい。何も知らない子ども達に自虐史観を与える必要はどこにもない。


<第2回演説 部分抜粋 中国は世界のガン、中韓に弱気は売国奴>

これまで日本はある意味、ぬるま湯に浸かってきました。1980年代90年代、日本を取り巻く国は脅威ではありませんでした。しかしながら、21世紀になってから国際状況は、刻々と非常に悪く変化してます。

はっきり言いますと、中国です。中国は世界のガンです。本当に非常に厄介な国になってます。だが厄介な国と戦争するわけにはいきません。

しかしながら本当に中国とうまく外交を、或いは国際的にやっていかないと日本は本当に飲み込まれます。非常に危機的状況です。

その時に、日本のために闘える政治家、戦えるというのは戦争じゃないですよ。ある意味外交的に力強く戦える政治家、僕はこれは安倍総理と、田母神敏雄さんやと思ってます。

中国、韓国の顔色を見ながら政治をするような政治家は、もう今や日本には全く不必要です。彼らは売国奴です。

   ◇   ◇   ◇

■百田尚樹氏ツイッター

元社民党党首で衆議員議長を務めた土井たか子氏の訃報に接して――

土井たかこが死んだらしい。彼女は拉致などない!と断言したばかりか、拉致被害者の家族の情報を北朝鮮に流した疑惑もある。まさしく売国奴だった。 (2014年9月27日 23:35)

「死者の悪口を言うな」とのリプライに対して――

土井たかこを批判したら、何人かの人から「死者の悪口を言うな」とのリプライをもらった。他人に人格を説く人たちに聞きたい。政治家は死ねば批判から免れるというのか。もう一つ言いたい。他人に品格を要求するくらいなら、あなたたちも私も批判するな。  (2014年9月28日 19:45)

   ◇   ◇   ◇

■毎日新聞読者投稿欄から

<「永遠の0」の作者に違和感 生身の本人の方が真実なのだ>
毎日新聞 2014年03月14日 「みんなの広場」

 (神戸市垂水区)

 友人に薦められて昨年、百田尚樹氏の小説「永遠の0(ゼロ)」を読んで感動した。優秀な腕前を持つものの、無謀な戦いは避けるため臆病者と陰口をたたかれるゼロ戦のパイロット。彼はなによりも命を大切にする。国で待つ妻のもとに生きて帰ることを約束したからである。戦争の悲惨さや特攻作戦に対する疑問も描かれている。

 その百田氏が安倍晋三首相の“お友達”としてNHKの経営委員に選ばれたと報道された時、違和感を覚えた。そして、東京都知事選で特定候補を応援し品性下劣な発言を行った。批判されるとクビにしたらいいと開き直りのような姿勢。

 私の頭は混乱した。あの読後の感動は何だったのか。あのような人間が書いたとは、どうしても思えない。もう一度読み返してみようと思った。が、やめた。小説はフィクションである。生身の本人の方が真実なのだ。


<百田尚樹「永遠の0」 特攻隊、感動の創作と区別を>
毎日新聞 2014年09月07日 「みんなの広場」

 (神奈川県逗子市)

 百田尚樹氏の「永遠の0」がドラマ化されるという。小説も映画も鑑賞したが、あくまでも創作であることを踏まえないと誤解を生みかねないことを懸念する。

 確かに特攻隊も知らない若い世代が知るきっかけになる作品としての価値はあるが、それと架空の主人公の存在とは、切り離して読まねばならない。

 この主人公には、人物像と最後の決断に一貫性がない。この作品が歴史や近代の人間存在の葛藤と闘おうとして書かれたものではなく「感動」重視で書かれたものだからだろう。本来の主人公の人間像ならば、どんな手を使ってでも生きることを選ぶべきで、それを悔やみながらも生きる中にこそ文学的価値もあろう。

 しかし、そうした人物像は「感動」を呼ばない。だが若いまま「死ぬ」ことで神格化され「感動」を呼ぶことができるのだろう。

 まさに、この小説がベストセラーになる日本の構造こそが、若者を特攻隊に送り込んだ構造そのものなのではないだろうか。

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<私のアピール>

2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則の緩和、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。第2次大戦後の日本において安倍政権は最も危険な政権です。安倍内閣打倒の機運を盛り上げていきましょう。与党であれ野党であれ、安倍首相と同じ考えの人を選挙で落としましょう。



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安倍首相によるNHK間接支配 (中) 天皇は現御神(アキツミカミ)であると言う長谷川NHK経営委員

2014-12-04 21:27:41 | Weblog



1993年10月20日、右翼団体「大悲会」の野村秋介元会長の拳銃自殺事件がありました。自身の政治団体「風の会」を週刊朝日のイラストで「虱(しらみ)の党」とやゆされたとして抗議。朝日新聞東京本社15階応接室で拳銃自殺を図り、死亡しました。右翼人生の掉尾を飾る舞台として、朝日新聞東京本社を選んだのでしょう。以後、同年の文芸春秋社長宅発砲事件など言論テロが続きました。

昨年2013年10月には野村秋介追悼20年の会が開かれ、NHK経営委員の長谷川三千子氏は記念文集に追悼文を寄せました。この追悼文を読んで驚きました。旧仮名づかいは別として、戦後教育で育った人の中に、人間天皇をそのまま神であるという思想を持つ人がいることに驚きました。長谷川三千子氏は、埼玉大学名誉教授であり、哲学者とされていて、安倍首相がNHK経営委員に推せんした人物です。

長谷川氏はまた、「2012年安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」発起人で代表幹事を務めていました。次回に述べる百田尚樹NHK経営委員も、この「民間人有志の会」の発起人の一人です。


◇右翼人礼讃、天皇利用、憲法否定の思想

追悼文の中で長谷川氏は、「野村秋介氏の自殺は神に命をささげた行為であり、たとえ昭和天皇が人間宣言をされた後であっても、現行憲法にどのような規定があっても、その瞬間に今生きておられる天皇がそのままの姿で神になった」と書いています。

昭和天皇自身が1946年(昭和21年)1月1日付の詔書のなかで、天皇を現御神(アキツミカミ)とするのは架空の観念であると述べて、自らの神性を否定しているにもかかわらず。


追悼文の中の「『人間宣言』が何といはうと、日本国憲法が何といはうと」という言葉は、昭和天皇と今の天皇の人間天皇としてのあり方を否定し、自分の思想のために利用する行為です。さらに、「人間宣言」を前提とした憲法を否定しています。

長谷川三千子氏はまた、日本会議の代表委員の一人でもあります。日本会議は右翼的活動団体として日本社会に幅広く裾野大きく活動している団体です。この団体と関連団体等をウィキペディアで概観されるようおすすめします。日本社会でよく知られた人名や団体名を見ることができます。

安倍首相は長谷川三千子氏のような思想傾向の人たち、また日本会議を構成する人たちを自らの政治基盤としていて、そのような人たちをわが国の中枢に送りこんでいます。安倍内閣にも多数、日本会議のメンバーが入っています。

次に、長谷川氏による野村秋介追悼文を掲載します。報道写真から文字化しました。

追悼文の次に、この件に関する新聞記事を転載しました。併せてお読みください。

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長谷川三千子(埼玉大学名誉教授)

 ■追悼文(「野村秋介追悼二十年 群青忌」の文集に掲載)

 神にささげるお供へもののほとんどすべては、人間がもらっても嬉しいものばかりである。上等の御神酒は言ふに及ばず、海山の幸やお菓子の類―。或るとき神社の奉納のお祭りをごく真近で拝見する機会があったとき、ちゃうどお昼を食べそこねて空腹で、目の前を運ばれてゆくお供物に思はず腹が鳴って恥ずかしかった記憶がある。ああ、さぞや神さまも美味しく召上るだらうなあ、と思ったものである。

 しかし神にささげることはできても、人間に供することは決してできないものがある。自らの命である。よく陳腐な口説き文句に「君のためには命をささげる」などといふセリフがあるが、言ふ者も聞く者も、そんなセリフを文字通りに信じはしない。もしも本当にさう言って、女の前で割腹自殺する男がゐたら(よほどの毒婦でないかぎり)喜ぶ女はゐないであらう。下手をしたら、精神的打撃をかうむったと言って遺族に賠償を請求するかも知れない。人間は、人の死をささげられれば、それ以上の奉納はありえない。それは絶対の祭りとも言ふべきものである。

野村秋介氏が二十年前、朝日新聞東京本社で自裁をとげたとき、彼は決して朝日新聞のために死んだりしたのではなかった。彼らほど、人の死を受け取る資格に欠けた人々はゐない。人間が自らの命をもって神と対話することができるなどといふことを露ほども信じてゐない連中の目の前で、野村秋介は神にその死をささげたのである。

「すめらみこと いやさか」と彼が三回唱えたとき、彼がそこに呼び出したのは、日本の神々の遠い子孫であられると同時に、自らも現御神(アキツミカミ)であられる天皇陛下であった。そしてそのとき、たとへその一瞬のことではあれ、わが国の今上陛下(※きんじょうへいか=今の天皇)は(「人間宣言」が何と言はうと、日本国憲法が何と言はうと)ふたたび現御神(アキツミカミ)となられたのである。

 野村秋介氏の死を追悼することの意味はそこにある。と私は思ふ。そして、それ以外のところにはない、と思ってゐる。


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長谷川NHK経営委員 新聞社拳銃自殺事件を礼賛
毎日新聞 2014年02月05日 02時30分(最終更新 02月05日 03時35分)


 1993年に抗議先の朝日新聞社で拳銃自殺した右翼団体元幹部について、NHK経営委員の長谷川三千子埼玉大学名誉教授(67)が昨年10月、この自殺を礼賛する追悼文を発表していたことが分かった。メディアへの暴力による圧力には全く触れず、刑事事件の当事者を擁護したと読める内容で、NHK経営委員の資質を問う声が出ている。

 自殺した元幹部は新右翼「大悲会」の野村秋介・元会長(当時58歳)。警視庁公安部などが銃刀法違反容疑で同氏の自宅などを家宅捜索した。長谷川氏は元幹部の没後20年を機に発行された追悼文集に「人間が自らの命をもつて神と対話することができるなどといふことを露ほども信じてゐない連中の目の前で、野村秋介は神にその死をささげたのである」と礼賛。野村氏の行為によって「わが国の今上陛下は(『人間宣言』が何と言はうと、日本国憲法が何と言はうと)ふたたび現御神(あきつみかみ)となられたのである」と憲法が定める象徴天皇制を否定するような記載をしていた。

 また長谷川氏は、朝日新聞について「彼らほど、人の死を受け取る資格に欠けた人々はゐない」と不信感をつづっている。

 追悼文は昨年2013年10月18日に東京都内の会合で参列者に配布された。政府は同25日、衆参両院に長谷川氏ら4人をNHK経営委員会委員とする同意人事案を提示、11月8日に正式同意されている。

 長谷川氏は毎日新聞の取材に「非常勤のNHK経営委員には自らの思想信条を表現する自由が認められている。自らの仕事として精神思想史の研究を行ったり、民族主義者の追悼文を書いたりすることは、経営委員としての資格とはまったく無関係のこと。経営委員には番組作りに関与する権限はなく、追悼文を書いたからといって意図的な特集番組を放送することはありえない。経営委員は常にルールに従って行動している」としている。

 NHK経営委員の政治的な発言を禁じる規則はない。しかし放送法31条は、同委員の資格として「公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者」と定めており、議論になりそうだ。


 ◇資質疑う声も

 経営委員会は事業計画や毎年の予算の議決、会長の任命・罷免などを行うNHKの最高意思決定機関。委員12人(任期3年)は衆参両院の同意を得て首相が任命する。委員には政党役員や同一政党に所属する者が5人以上いてはならない。

 長谷川氏は昨年11月、作家の百田尚樹氏らとともに選ばれ「安倍カラー人事」と言われた。百田氏は3日、東京都知事選で田母神俊雄候補(無所属)の応援演説に立ち、南京大虐殺はなかったなどと歴史認識に関する持論を展開、波紋を広げた。

 放送法では個別番組の編集などに関与することはできないとされている。ただし経営委員会事務局によると、個人の思想・信条に基づいた行動は妨げられないとしている。

 服部孝章・立教大教授(メディア法)は「長谷川氏は言論機関に拳銃を持ち込み、発射したというテロ行為とみなされる刑事事件を何ら批判せず、むしろ礼賛している。このような人物をNHK経営委員に任命した責任を政府は問われなければならないし、国会は同意した責任を問われなければならない」と指摘した。

 作家の柳田邦男さんは「品格と見識を疑われるような言説だ。経営委員は、不偏不党が求められるNHKのあり方を左右する立場だ。その職に、こうした人物が選ばれることに時代の危機を感じる」と語った。


 ◇長谷川三千子(はせがわ・みちこ)

 1946年生まれ。埼玉大名誉教授、哲学者。「2012年安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」の代表幹事。少子化対策として、女性が家庭で育児に専念し、男性が外で働くのが合理的という趣旨のコラムを1月に発表、議論になった。


 ◇野村秋介氏拳銃自殺事件

 右翼団体「大悲会」の野村秋介元会長が、自身の政治団体「風の会」を週刊朝日のイラストで「虱(しらみ)の党」とやゆされたとして抗議。1993年10月20日、朝日新聞東京本社15階応接室で拳銃自殺を図り、死亡した。以後、同年の文芸春秋社長宅発砲事件など言論テロが続いた。

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<私のアピール>

2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則の緩和、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。第2次大戦後の日本において安倍政権は最も危険な政権です。

安倍内閣打倒の機運を盛り上げていきましょう。与党であれ野党であれ、安倍首相と同じ考えの人を選挙で落としましょう。


コメント

安倍首相によるNHK間接支配 (上)

2014-12-01 11:30:27 | Weblog



前2回の記事――『自民党 参院選で一時、「公平性を欠いている」として取材拒否 (2013年7月)』と『自民党がテレビ局報道姿勢に注文(原文掲載) テレ朝が評論家の出演取り消し』は、安倍総裁傘下の自民党によるテレビ報道への圧力についての記事でした。今回は安倍首相によるNHK支配についての記事です。


安倍首相系人脈5名のNHK経営委員国会同意人事について2013年11月9日、朝日新聞は次のように伝えました。この委員4名の新任と委員1名の再任によって、当時の松本NHK会長の続投困難という記事です。現在の籾井NHK会長登場の前段階でした。

経営委員の任命は、放送法第31条で「両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。」と規定されています。


<朝日新聞 2013-11-09 05:00>

 NHK会長の任免権限を持つNHK経営委員に作家の百田尚樹氏ら5人を充てる国会同意人事案が8日、衆参両院の本会議で可決された。歴史認識などで安倍晋三首相に近い人物が目立ち、NHKと政権との距離が問われかねない人選だ。安倍政権内からは「報道内容への不満」などを理由に会長交代を求める声も出始めており、来年1月に任期が切れる松本正之会長の続投は厳しい情勢になりつつある。

 会長任命には定数12の経営委員のうち9人以上の賛成が必要だ。つまり4人以上が反対すれば任命できないため、松本氏の続投は厳しい情勢になっている。

 作家の百田氏は保守系論壇誌に「安倍晋三論」を書き下ろし、「再び日本は立ち上がるだろう。安倍晋三はそのために戻ってきたエースである」と首相を称賛した。日本たばこ産業顧問の本田勝彦氏は首相の元家庭教師。哲学者の長谷川三千子氏も安倍首相の再登板を支援した。

 安倍政権が会長交代を望んだ場合、5人が続投に反対する可能性は高い。

   ◇   ◇   ◇

日本経済新聞は2013年12月20日、NHK会長人事について、日本ユニシスの籾井勝人(もみい・かつと)特別顧問(70)が次期会長に就くとNHKが発表したと伝えました。。


<日本経済新聞新聞 2013/12/20 21:23 >

 NHKは20日、情報サービス大手、日本ユニシスの籾井勝人(もみい・かつと)特別顧問(70)が次期会長に就くと発表した。任期は来年1月25日から3年間。3代続けて外部から経済人を登用する。与党内にはNHKの報道ぶりが政権に批判的だとの声がある。籾井氏は「不偏不党を確実に実行する」と語る。今後の報道や事業運営の行方で政権との距離を問われそうだ。

 「一丸となって公共に役立つNHKにしていきたい」。20日、会長選出に伴う記者会見で籾井氏は意気込みを述べた。

 NHKの最高意思決定機関で会長任命権をもつ経営委員会の委員は首相が任命する。今秋から年末にかけて任命された委員5人は安倍晋三首相や首相のブレーンと関係が深いとされる経済人や学識経験者、作家。今秋、政府が国会に経営委員の同意人事を提示した際、菅義偉官房長官は「(首相)自らが信頼し評価している方にお願いする」と語った。

 経営委員会には受信料の引き下げや職員給与削減などを進めた松本正之・現会長の続投を求める声もあった。だが、原発の反対意見や、日本の戦争責任を強調するなど報道に偏りがあるとの声が与党内であがる。松本会長は今月5日、続投の意思がないと表明。経営委員会の浜田健一郎委員長が「想定外」と記者団に漏らす一幕もあった。

 籾井氏の名前が浮上したのはその前後。今月13日の経営委員会に会長候補として籾井氏を推薦したのは今秋以降に選ばれた委員が中心だったとされる。籾井氏は首相に近い経済人と交流もある。

   ◇   ◇   ◇

NHK経営委員会の権限は、「放送法第29条」、「経営委員会規程第3条」に定められています。

放 送 法
(経営委員会の権限等)
第29条 経営委員会は、次に掲げる職務を行う。
一 次に掲げる事項の議決
イ 協会の経営に関する基本方針
ロ 監査委員会の職務の執行のため必要なものとして総務省令で定める事項
ハ 協会の業務の適正を確保するために必要なものとして次に掲げる体制の整備
(1)会長、副会長及び理事の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
(2)会長、副会長及び理事の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
(3)損失の危険の管理に関する体制
(4)会長、副会長及び理事の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
(5)職員の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
(6)協会及びその子会社から成る集団における業務の適正を確保するための体制
(7)経営委員会の事務局に関する体制
ニ 収支予算、事業計画及び資金計画
ホ 第72条第1項の業務報告書及び第74条第1項に規定する財務諸表
ヘ 放送局の設置計画並びに放送局の開設、休止及び廃止(放送局の開設、休止及び廃止にあつては、経営委員会が軽微と認めたものを除く。)
ト テレビジョン放送による国内基幹放送(電波法の規定により協会以外の者が受けた免許に係る基幹放送局を用いて行われる衛星基幹放送に限る。)及び協会国際衛星放送の開始、休止及び廃止(国際放送及び協会国際衛星放送の開始、休止及び廃止にあつては、経営委員会が軽微と認めたものを除く。)
チ 番組基準及び放送番組の編集に関する基本計画
リ 定款の変更
ヌ 第64条の受信契約の条項及び受信料の免除の基準
ル 放送債券の発行及び借入金の借入れ
ヲ 土地の信託
ワ 第20条第9項に規定する基準
カ 第21条第2項及び第23条第1項に規定する基準
ヨ 第26条第1項に規定する基準及び方法
タ 第61条に規定する給与等の支給の基準及び第62条に規定する服務に関する準則
レ 役員の報酬、退職金及び交際費(いかなる名目によるかを問わずこれに類するものを含む。)
ソ 収支予算に基づき議決を必要とする事項
ツ 重要な不動産の取得及び処分に関する基本事項
ネ 外国放送事業者及びその団体との協力に関する基本事項
ナ 第20条第8項の総務大臣の認可を受けて行う協定の締結及び変更
ラ 第20条第10項の総務大臣の認可を受けて行う業務
ム 第22条の総務大臣の認可を受けて行う出資
ウ 第85条第1項の総務大臣の認可を受けて行う放送設備の譲渡等
ヰ 情報公開及び個人情報保護に係る審議を行うため協会が設置する組織の委員の委嘱
ノ イからヰまでに掲げるもののほか、これらに類するものとして経営委員会が認めた事項
二 役員の職務の執行の監督
【則】第17条
《全改》平19法136
《改正》平22法065
《改正》平26法096
2 経営委員会は、その職務の執行を委員に委任することができない。
《全改》平19法136
3 経営委員会は、第1項に規定する権限の適正な行使に資するため、総務省令の定めるところにより、第64条第1項の規定により協会とその放送の受信についての契約をしなければならない者の意見を聴取するものとする。

経営委員会規程
第3条(権限)
1 経営委員会は、次の事項について審議し、議決する。
① 定款第13条第1項第1号に定める事項
② 会長、監査委員および会計監査人の任命
③ 副会長および理事の任命の同意
④ 中央放送番組審議会委員および国際放送番組審議会委員の委嘱の同意
⑤ 会長、監査委員および会計監査人の罷免
⑥ 副会長および理事の罷免の同意
2 経営委員会は、役員(経営委員、会長、副会長および理事をいう。以下同じ。)の職務の執行を監督する。
3 経営委員会は、その職務の執行のため必要と認めるときは、会長に対し、協会の業務に関し、会議に出席して説明を行うことを求め、または資料の提出を要請することができる。
4 経営委員会は、その職務の執行を委員に委任することができない。
5 委員は、放送法または放送法に基づく命令に別段の定めがある場合を除き、個別の放送番組の編集その他の協会の業務を執行することができない。
6 委員は、個別の放送番組の編集について、放送法第3条の規定に抵触する行為をしてはならない。

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<私のアピール>

2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則の緩和、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。第2次大戦後の日本において安倍政権は最も危険な政権です。

安倍内閣打倒の機運を盛り上げていきましょう。与党であれ野党であれ、安倍首相と同じ考えの人、同じ路線の人をを選挙で落としましょう。

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