川本ちょっとメモ

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安倍研究(7) 吉田松陰の日本国防策、そして滅びた明治維新型日本

2015-04-12 23:09:12 | Weblog


<吉田松陰が思い描いた日本国防策 ―「幽囚録」から ―>

安倍首相が「松陰先生」と尊敬している吉田松陰は、「幽囚録」に日本国防策を書き残しました。その部分を以下に転記します。

<「幽囚録」現代語訳から>

 太陽は昇っているのでなければ西に傾いているのであり、月は満ちているのでなけれは欠けつつあるのである。同様に国も隆盛でなければ衰えているのだ。だから、よく国を保持するというのは、ただたんにそのもてるところのものを失わないというのみではなく、その欠けるところを増すことなのである。

 いま急いで軍備を固め、軍艦や大砲をほぼ備えたならば、蝦夷の地を開墾して諸大名を封じ、隙に乗じてはカムチャツカ、オホーツクを奪い取り、琉球をも諭して内地の諸侯同様に貢納させ、会同させなければならない。また、朝鮮をうながして昔同様に貢納させ、北は満洲の地を割き取り、南は台湾・ルソンの諸島をわが手に収め、漸次進取の勢いを示すべきである。

 しかる後に、民を愛し士を養い、辺境の守りを十分固めれば、よく国を保持するといいうるのである。そうでなくて、諸外国競合の中に坐し、なんらなすところなければ、やがていくばくもなく国は衰亡していくだろう。
         ―― 「吉田松陰 孔孟余話ほか」(中公クラシックス)P199


<そして、明治維新型日本は滅びた>

上は吉田松陰「幽囚録」、現代語訳の一部です。吉田松陰は明治維新の原動力となった長州人材の思想的指導者です。

その吉田松陰はわが日本を列強の侵略から守ることを考えると同時に、日本を守るためにはカムチャッカ、オホーツク、満州、朝鮮、沖縄、台湾、ルソン(=フィリピン)をわが国の支配下に置くことが必要だ、と考えていました。

侵略されないために自国の国防を強化するには、他国を侵略することが必要という考え方です。

明治~昭和20年の天皇以下日本の指導者は次々に戦争をくり返しつづけて、結果的にカムチャッカを除く地域の支配権をわが物としました

。吉田松陰の国防策を実現しました。

吉田松陰の国防策を実現したのですが、昭和20年敗戦ですべてを失いました。ひとくちに徳川300年と呼ばれる平和な時代の領土に、日本はもどったのです。

その後、昭和20年敗戦以後の70年間、日本は平和な時代でありつづけてきました。こんなにありがたいことはありません。


安倍首相の言う戦後レジームから脱却した国の形は、1945年(昭和20年)に日本を滅ぼした明治維新型日本のリメーク版ではありませんか。

明治維新型日本はアジア全域を戦場と化し、アジアの人々を戦火で苦しめ、わが日本を敗戦の焦土に変えました。

何百万もの日本国民が、アジアの山野に野ざらしの遺棄戦死体と化し、遠く南海の底に溺死体と消えました。さらに皇国の国土である東京、沖縄、広島、長崎では、それぞれ十万人という単位で数えるほどの多くの出征兵士の家族や親族が、アジア諸国民の平凡な家族の運命を追うかのように、戦禍に逃げ惑いながら生涯を終えました。



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<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。


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