川本ちょっとメモ

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安倍研究(9) 思想的バックボーンは「維新長州」、 心の支えは祖父・岸信介

2015-04-15 15:25:59 | Weblog



安倍首相がひた走りにめざしている日本の姿は、一度滅びた「明治維新型日本」のお化粧直し、リメーク蘇生です。これが「戦後レジームからの脱却」という価値観政策の本質であり、「戦後70年間の平和」を創造しつづけてきた日本社会のあり方を根本的に否定するものです。それは、自民党の憲法草案に表れています。 (※安倍首相2本柱のもう一つは「積極的平和外交」という抑止力増強政策です。)

その構想の思想的バックボーンは「維新長州」という一言で表せます。吉田松陰であり、松下村塾や塾生であり、高杉晋作であり、変革への情熱です。

しかし「維新長州」の負の側面は、戦争をくり返したことです。その末に、昭和20年敗戦で、「維新長州」が作り上げた日本のあり方は滅亡しました。


<安倍首相は「維新長州」成りきり少年、心の支えは祖父・岸信介>

安倍首相は、徳川幕府の弾圧にも負けず、藩政府の弾圧にも負けず、文字通り命がけで自らの理想世界の実現に突き進んだ「維新長州」に自らの姿を重ねあわせています。子どもっぽい言い方になりますが、安倍首相は「維新長州に成りきっている」少年のように見えてしかたありません。

そして心の支えは祖父・岸信介です。1960年(昭和35年)当時の内閣総理大臣。国民の猛反対に耐え、信念を貫いて、安保条約改定を成立させ、成立後に辞任しました。

自分の祖父であることを誇りに思う岸信介は、安倍晋三にとって政治家の鏡、
総理大臣の鏡です。祖父は国が騒然となるほどの反対に負けず、総理大臣の権力を使い切りました。安倍晋三も祖父と同じように、日本国家の将来のために正しいと信じる政策を実現しようと考えています。

国会は自民一強。千載一遇そのときに、内閣総理大臣である安倍晋三は、「戦後レジームからの脱却」という価値観政策、「積極的平和外交」という抑止力増強政策を、なんとしても実行しようと考えています。彼にとっては、それが自分に与えられた「歴史的使命」なのです。

1960年(昭和35年)当時、岸首相は日米安全保障条約の改正に政治生命を賭していました。全国を席巻した「60年安保闘争」は、戦後大衆政治闘争分水嶺をなすものでした。全学連(学生団体)反対運動の核の一つであり、総評(労働組合)全国時限ゼネストを行いました。それだけでなく、商店会で一日閉店ストをするところが現れ、「アンポハンタイ」と遊びでまねる子どもが現れるほどに、国民的な反対運動へ広がりを見せました。

1960年(昭和35年)は世情騒然。6月、国会に押しかけた全学連の東大学生が圧死。岸首相は安保条約成立辞任後の7月、暴漢に太腿を刺されて2ヵ月の傷を負いました。10月、日比谷公会堂で登壇演説中の社会党委員長・浅沼稲次郎が衆目の前で刺殺されました。

安倍首相はそのような時代を乗り切って信念を貫いた祖父・岸信介を尊敬し、反対に囲まれても正しいと信じることを実現して歴史の評価を得たい、それが正しいことだという一念で固まっています。

「自ら反みて縮くんば、千万人と雖も吾往かん」
 (自らかえりみてなおくんば、、千万人といえどもわれゆかん)
  この孟子の言葉を胸に、私は、これまで、常に、国家国民のためであれ
 ば、批判を恐れずに行動する、「闘う政治家」でありたいと考え、実践して
 きました。
  ――2013(H25).4.3. 第47回 国家公務員合同初任研修開講式 安倍内閣総理大臣訓示

私の祖父の岸信介の座右の銘は、「自ら顧みてなおくんば千万人ともいえ
 ども我行かん」。これこそ長州人の心意気ではないかと思い、私もこれから
 の政治に取り組んでいきたいと思うのであります。
          ――2014(H26).7.19. 長州「正論」懇話会後援会


<祖父・岸信介を尊敬し、国のゆくえに関わる名族の当代を自負する>

父・安倍晋太郎のエピソードも加えて下記のスピーチ引用 ③~⑨ をご覧ください。そこには、国のゆくえに係る日本の名族を誇りに思う気持ち、その当代としての自負心がうかがえます。

祖父の岸信介が、かつて、「もう一度総理大臣になれたら、もっとうまく
 やるのに」と、よく語っていました。一度目の失敗は、私の胸に深く刻み込
 まれています。
  ―― 2013(H25).12.19. 日本アカデメイア 安倍内閣総理大臣スピーチ(政策抱負)

④ メンジーズ首相は、戦後初めて、日本の首相をお国に迎えます。57年前の
 ことでした。通商協定が成立し、日本と豪州の、いまに続く繁栄の道が始ま
 りました。結んだのは岸信介、私の祖父であります。
  これがきっかけとなって、豪州の石炭が、鉄鉱石や、天然ガスが、日本に
 入ってきました。戦後日本産業の復興は、豪州という隣人を得て、初めて可
 能になりました。
  祖父がお国の、メンジーズ首相と成し遂げたように、私はトニー・アボッ
 ト首相と、真新しい礎を、新たに定めようとしています。
       ―― 2014(H26).7.8. 豪州国会両院総会 安倍内閣総理大臣演説

⑤ 志定まればという松蔭先生の言葉をは好んで使っていた。この言葉を使
 っていた。私も消費税を引き上げた際、経済を成長させることを約束し記者
 会見で引用しました。
       ―― 2014(H26).7.19. 長州「政論」懇話会講演会 於・山口県

⑥ ちょうど、日本と豪州が戦争が終わり、新たな関係をスタートさせたのは
 1957年でありました。この時豪州に行き、両国の協力協定を調印したの
 が祖父の岸信介です。アボット首相はそのとき調印している写真と実物を模
 写したコピーを私に見せました。57年前はサインはちゃんと、毛筆のサイ
 ンなんですね。おそらく筆と墨を持って行ったのだろうと思います。そうす
 ると筆力が分かってしまうので。私は祖父の字と比べられると少し、恥ずか
 しいので私は万年筆で署名した。(※豪州訪問時のエピソード)
       ―― 2014(H26).7.19. 長州「政論」懇話会講演会 於・山口県

⑦ 今御紹介いただきましたように、第1回には、私の祖父・岸信介が出席さ
 せていただき、また、私の父・安倍晋太郎も、かつて、この場に立たせてい
 ただきました。    ―― 2014(H26).9.19. 内外情勢調査会講演

私の祖父、岸信介は、60年の日米安保条約改定を行った総理として、多
 くの方々に記憶されていますが、実際には、商工省の経済官僚です。当然、
 得意分野は「経済」です。
  ですから、祖父が総理に就任した時、秘書官だった私の父・安倍晋太郎
 は、「得意な経済で勝負しましょう」と強く進言したそうです。しかし祖父
 は、「確かに経済政策は重要だ。しかし、同時に安全保障は国の基本であ
 り、やり遂げなければならない。政治家以外には誰もチャレンジできないの
 だから。」と答えたそうです。 ―― 2014(H26).9.19. 内外情勢調査会講演

⑨ 加盟が許された日、重光葵外相は国連で演説し、「日本が持つ全ての手段
 をもって、国連憲章が掲げる義務を遂行する」と宣言しました。
  重光を継いで外相となった岸信介―私の祖父でありますが、国会の演説
 で、「常時、国連の権威向上と国連を通じての世界平和の確保のため、応分
 の寄与をなす心構えが必要」だと強調しています。
    ―― 2015(H27).3.16.
        国連創設70周年記念シンポジウムにおける安倍内閣総理大臣スピーチ



<安倍研究シリーズ・リンク>
2015-04-02
安倍研究 (1) 政治の混乱の中で生まれた安倍総理就任記者会見
2015-04-03
安倍研究 (2) 日本防衛の対象は遠くインド・中東、アデン湾・ホルムズ海峡・インド洋・太平洋・南シナ海まで
2015-04-06
安倍研究 (3) 安倍首相の「積極的平和主義」は「強い日本」を志向する
2015-04-07
安倍研究 (4) 「積極的平和主義」への安倍首相の使命感は自衛隊に向う
2015-04-08
安倍研究 (5) 首相外交演説で「祝詞(のりと)ことば」! そこに安倍晋三の本性を見る
2015-04-11
安倍研究 (6) 東京育ちの長州人――敗戦で滅びた明治維新型日本のリメーク版をめざす
2015-04-12
安倍研究 (7) 吉田松陰の日本国防策、そして滅びた明治維新型日本
2015-04-13
安倍研究 (8) 「戦後レジームからの脱却」は「戦後70年の平和からの脱却」だ
2015-04-15
安倍研究 (9) 思想的バックボーンは「維新長州」、 心の支えは祖父・岸信介
2015-04-17
安倍研究 (10) 安倍首相は神道政治連盟会長、神道政治連盟と神社本庁と伊勢神宮の関係
2015-06-16
安倍研究 (11) 安倍首相―長谷川NHK経営委員―日本会議
2015-06-17
安倍研究 (12) 安倍「神道」政権そのもの――日本会議をご紹介
2015-06-23
安倍研究 (13止) アトランダムなまとめ――天皇と伊勢神宮を精神世界の頂点に置く



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<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。




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