川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
★自分用メモは、新聞・Webなどのノート書きです。

<専制国家中国の姿> 古いニュースを振り返る 香港銅鑼湾書店店長・林栄基氏釈放記者会見 この事件と国家安全の関係

2020-07-30 23:09:31 | Weblog
    中国共産党中央指導部の汚職・恋愛・家庭など中国発禁本が中国国民に大人気だった

2020-07-05
<専制国家中国の姿>「声を上げ続けなくては」 拷問された中国の元弁護士 =BBC NEWS JAPAN 2015.11.24.
2020-07-17
<香港接収> 資料掲載 『香港特別行政区国家安全維持法』 全66条 中国国営新華社通信日本語訳
2020-07-23
<香港接収> 資料掲載 香港特別行政区政府新聞公報 2020.7.6.「香港特別行政区国家安全維持法第43条実施細則」
2020-07-25
習近平中国政権の実質的香港接収に見る中国対外膨張政策と国内抑圧政策の両輪
2020-07-27
<専制国家中国の姿> 古いニュースを振り返る香港・銅鑼湾書店関係者5人消息不明、中国指導部のスキャンダルを出版 =BBC NEWS 2016.1.11.




  失踪書店主が釈放、香港で記者会見、中国政府の強要を暴露
          https://www.youtube.com/watch?v=3H8QUBUcto8
          新唐人 NTDTVJP 2016年6月19日 youtube文字化
     新唐人=米NYに本部を置く中国語衛星TV http://jp.ntdtv.com/


 中国国内で不当に逮捕拘禁されていた香港の銅鑼湾書店の店長・林栄基氏が6月16日に記者会見を開き、逮捕拘禁中に「文書に署名したうえでテレビ出演し、罪を認める」よう強要されたことを暴露し、「中国政府の行為は一国二制度に反する」と厳しく批判しました。

 林氏を含む銅鑼湾書店関係者4人は昨年2015年10月、中国の国家安全局員に逮捕拘禁され、今週(2016年6月)釈放され、香港へ戻りました。

 林氏によれば、2015年10月24日に特別捜査班に強制連行され、今年3月まで寧波ニンポーに拘禁されていました。24時間常に監視下に置かれ、1日20回~30回、1回30分~45分間の尋問を受け、大きな精神的苦痛を味わいながらも、中国と香港の法律を犯したことはないと、主張しつづけました。

 「彼らがいったい何をもって私を罪に問おうとしているのか、見当もつきませんでした。私は中国や香港の法律を犯したこともないし、またその証拠もなかったのだから」

 林氏はまた、彼らのうち数人が今年2月にテレビ出演し、罪を認めた一幕について、「すべてプロデューサーが言わせたセリフ。台本通りに読まないと何回もやり直しさせられました」と言いました。

 また、香港へ戻り、顧客と禁書の作者のリストを渡すよう要求されましたが従わなかった、ということです。

 アラン・リョン香港民党党首は「これが真実であれば一国二制度を著しく侵害するものであり、民主派議員は来週の立法会で緊急質疑を提出し、この問題について香港特別行政区政務室長および関係部門と話し合うと述べています。


香港の書店主らが行方不明になっている。どうやら中国政府当局関係者によって香港域外の中国本土に連れ去られたらしい。このニュースは日本でもかなり取り上げられて、私もよく覚えています、

そのときの感覚は、中国はえげつない国や、一国二制度や外国の評判なんかお構いなしや……といった単純なものでした。

しかし今にして思えば、中国は国際的な反発や香港人の反発を含めて考量したうえでのことだったのです。中国国内では情報の流通は監視下にあります。どこの政府組織が監視しているのか私は知りませんが、政府が好まない情報がネットから削除されたり、日本NHKのような海外放送の、政府が気に入らない部分は音声映像が切れます。

中国政府はそれを隠さず明るみの下で、ネットコンテンツの削除や海外放送の鋏入れを日常作業として行っています。これは私たち日本人にとっては耐え難いことです。


 ◆自由と民主主義を求めて抵抗する人々
 ◆北京天安門の記憶と香港の記憶

同じように香港人にとっても耐え難いことであることは、雨傘運動以来のこれまでの経過が示しています。中国人の中にも何千万人、1億人2億人という想像以上の多数の人々が息を殺して耐えているのだろうと想像します。

1989年6月、北京天安門広場を埋めた大人数の人々の気持ちは自由を求める気持ちだけで、反乱や騒乱といった気持ちはこれっぽっちもなかったにちがいありません。事実として、とんでもない大人数が集まったけれども、デモをしたり集会をしたりという平和的なものでした。

しかし中国共産党指導部はこれを恐れた。「騒乱」であるとして人々に軍隊を差し向けて制圧し、後顧の憂いを絶つ、という考え方でした。

戦車・装甲車多数を動員した人民軍による民衆掃討が1989年6月3日の夜更けに始まり、4日夜明けに終わりました。夜闇のうちに事を済ませる掃討作戦でした。夜の北京天安門広場では、民衆が投げた火炎瓶で燃えた装甲車もありました。射殺された人は驚くほど多数。戦車に轢かれて紙のようにぺちゃんこになっている赤いものがありました。私は天安門事件のことをきのうのことのようによく覚えています。


 ◆一国二制度といえども、香港は中国の不可分の一部分 
 ◆国家の指導者を大事にしなければ国家犯罪になる?

統治される民衆の側と統治する側では、往々にして思いが異なるものです。

天安門事件の翌年、1990年4月4日、第7期全国人民代表大会第3回会議で、香港特別行政区基本法が採択されました。

この基本法第1条条文は、「香港特別行政区は中華人民共和国の不可分の一部分である」、です。

2015年7月1日施行になった「中華人民共和国国家安全保障法」第11条条文は次の通りです。

第11条 中華人民共和国の市民、すべての国家機関と軍隊、すべての政党と国民組織、企業と機関、およびその他の社会組織は、国家安全保障を維持する責任と義務を負っている。 
 中国の主権と領土保全は侵害されたり、分裂したりすることはできない。国の主権、統一、および領土保全を守ることは、香港、マカオ、台湾の同胞を含むすべての中国人の共通の義務である。

第11条前半にあるように、中国では民間企業であっても企業内共産党組織を作るよう望まれています。さらに第11条後半では、国家の主権、統一性、安全を守ることは、すべての国民の義務であると明記されています。

中国共産党中央指導部から見ればこのように、一国二制度とはいえ、それよりも党中央・国家中央の方が上位にあります。

ですから、香港の法律優先であるにもかかわらず、香港法を無視して香港法の最上位である基本法第1条、国家安全保障法第11条を、法的裏付けにしたと考えると、香港からは無法に見えても、党中央・政府中央の立場では「香港の書店関係者誘拐」の法的裏付けを付することができる。

ただ、この場合でも香港国家安全維持法第1条に並置している、 ①国家分裂、 ②国家政権転覆、 ③テロ活動、 ④外国または域外勢力と結託して国家の安全を害する、等の容疑が成り立つという前提がいるだろう。

では、今回問題になった香港銅鑼湾書店が出版あるいは販売している本の何が、国家の安全を害すると言うのか?

対象になる本の性質はいずれも共産党中央の指導的メンバーに係わるゴシップです。賄賂、家族・親族・知人らが名義人を務める賄賂や不動産取引、企業経営や金融・経済取引。女性関係や家族問題。これが香港域外から香港を訪ねる中国人に大人気でよく売れました。

これらの本には、事実であることもたくさん詰まっているのでしょう。だから、秘密警察のような機関が関係者を誘拐して懲らしめるというわけです。

でも、ここで注目すべきは、共産党中央や政府中央や軍中央などの大実力者を批判したり、嘲笑の対象にしたりすれば、「国家を弱める大罪」という扱いをされることです。これはすなわち、国家の指導者を大事に扱え批判は許さぬと、国民に示しているのです。国民を脅迫しているのです。


  習近平氏の“陰口”家族とも禁止 中国、共産党員の統制強化
                      共同通信 2020/06/26 17:19


 【北京共同】 中国の習近平指導部が共産党・政府の機関に勤める党員に対し、家族との会合を含むプライベートの時間に習総書記(国家主席)の地位をおとしめたり、党・政府に批判的なウェブサイトを閲覧したりすることを禁じる内部通知を出していたことが26日、分かった。中国筋が明らかにした。
 党は近年、習氏の思想を学ぶスマートフォンアプリの利用を促すなど9千万人を超える党員への思想統制を強化している。新型コロナウイルス対応や米国との関係悪化、香港の混乱を巡って指導部の政権運営への不満が高まり、面従腹背や習氏と距離を置く派閥形成の動きが出ることを警戒している可能性がある。


朕は国家なり。――これはフランス国王ルイ14世のことばとしてよく知られています。これを単純化して中国に言い換えれば、習近平は国家なり。ロシアなら、プーチンは国家なり。北朝鮮なら、金正恩は国家なり。こういう警戒を要する指導者が支配する国々に、日本は囲まれています。


しかし、中国には北京天安門に群集した人々のように、そして2019年から2020年7月までの香港人のように、自由と民主主義を望んで意思表示した驚くほど多数の人々が雌伏しています。

私たちは国家指導者たちが自己都合に合わせて作り上げる愛国像にあおられることなく律していきたい。彼ら自由と民主主義を待ち望んでいる人々を私たちの友人として遇していきたい。自由と民主主義を自己都合に利用するだけの専制的指導者の体制とは、油断なく向き合っていかねばなりません。

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<専制国家中国の姿> 古いニュースを振り返る 香港・銅鑼湾書店関係者5人消息不明、中国指導部のスキャンダルを出版 =BBC NEWS 2016.1.11.

2020-07-27 16:52:41 | Weblog
              本を手に取るでもなく陳列棚を見回している二人連れ





BBC NEWS JAPAN 2016.1.11.
 香港で中国政府に批判的な本を扱う「銅鑼湾書店」の店主など関係者5人が昨年2015年10月以降、相次ぎ失踪しており、香港で波紋を広げている。

 中国公安当局が拉致して中国本土まで連れ去ったのだとするなら、香港の人たちにとって何を意味するのか。ルーパート・ウィングフィールド=ヘイズ記者がリポートします。

 香港のこの通りは今や深まる謎の中心地です。10月以降、この小さな書店兼出版社で働いていた男性5人が相次いで行方不明になっているのです。

この書店で扱う話題は中国政治家の汚職や権力争い、中国最高指導者たちの色恋沙汰にまで及びます。このような話題は中国本土では出版できません。

2015年12月30日にはオーナーのポール・リーさんも行方不明となりました。リーさんの友だちフーさんはここにある本を何冊か書いています。

香港にいてまだ安全と思うか聞いてみました。
「そうは思いません。明日には自分が捕まるかも…。私が6人目になるかもしれません。」

私たちが話していると、本土から来た中国人男性2人が店に入ってきました。観光客の服装や行動ではありません。

これは中国指導部のスキャンダルを出版する小さな書店だけの問題ではありません。香港と中国本土の根本的な違いの問題です。もし今推測されている通り、オーナーが店の前で拉致され、国境を越えて中国本土へ連れ去られたのだとしたら、ここ香港で中国公安の手から逃れられる人は誰もいないかもしれないのです。

こんなはずではありませんでした。香港が18年前にイギリスから返還されたとき、中国は香港市民に政治や法律制度を押し付けないと約束したのです。イギリスのハモンド外務大臣は香港返還に際して、中国にこの点を念押ししました。「香港の法律違反は香港で香港の司法制度によって解決しなければなりません」。

この点について中国の反応はこうでした。中国外交部のフア・チューイン報道官は記者会見で「余計なお世話だ」と決めつけました。彼女は「香港の問題はあくまでも中国国内の問題だ。外国に干渉する権利はない」と話しました。

しかしアンソン・チャン元香港政府政務室長は異を唱えます。彼女は香港の行政を10年近く担当した人です。

「拉致が本当なら一国の司法制度の終わりを意味します。香港では安心して発言して、正当な権利や自由を行使するだけのことができなくなる。香港は今も華やかな場所です。イギリスからの返還後も繁栄が続いています。しかしこの繁栄を支える自由は今、かつてないほど危険にさらされています」

This is BBC NEWS in HongKong.



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習近平中国共産党政権の実質的香港接収に見る中国対外膨張政策と国内抑圧政策の両輪

2020-07-25 18:26:38 | Weblog
         写真はBBC NEWSによる2020年6月香港デモのカット
       警官隊に捕らえられうつ伏せにされながらカメラを凝視して
           世界に伝えてくれと何かを訴えている香港青年





習近平中国の膨張政策と香港接収の時系列

2012-11
中国共産党中央委員会全体会議で習近平氏、党総書記並びに党中央軍事委員会主席就任 

2013-03-14
全国人民代表大会で習近平氏、国家主席並びに国家中央軍事委員会主席に就任 

2013-09
習近平国家主席、カザフスタンのナザルバエフ大学で 「シルクロード経済ベルト」構想を発表

2013-10
習近平国家主席、インドネシア国会で 「21世紀海上シルクロード」建設構想を提案

2014-05-15
フィリピン外務省が時系列写真を証拠として、フィリピン領海である南シナ海ジョンソン南礁を中国が埋め立てたと発表。中国は、その島は中国領土であるとして相手にせず。

2014-11-01
中華人民共和国の「反スパイ法」が施行され、これに応じて1993年2月22日から続いていた国家安全保障法が廃止になりました。 

2015-02
中国政府に「一帯一路」建設工作領導小組が発足

2015-07-01
新たに、「中華人民共和国国家安全保障法」施行

2015-07-09
中国で人権派弁護士ら300人以上の一斉拘束が始まった。
新「中華国家安全保障法」施行に呼応したもの。

2015-10-24
香港で銅鑼湾書店店主ほか店員ら4人の失踪事件発生。
わかってみれば同日、彼らは中国の国家安全局に香港で逮捕され、中国本土の寧波ニンポーで拘禁されていた。

2016-06 銅鑼湾書店関係者(香港)、釈放
2016-06-16 林栄基・銅鑼湾書店主が記者会見

2016-12-13
米国CSIS(戦略国際問題研究所)によって、中国が南沙諸島で埋め立てた7つの人工島すべてにおいて航空機攻撃用の高射砲や巡航ミサイル迎撃用の「近接防空システム (CIWS) 」を配備したとする衛星写真に基づく分析結果が公表された(※出典Wikipedia)。

2019-02-13 香港政府が逃亡犯条例改正案提起
2019-10-23 林鄭月娥香港行政長官が逃亡犯条例改正案正式撤回

2020-07-01 香港特別行政区国家安全維持法施行


習近平中国の対外膨張性格

上の時系列を見てみましょう。2012年11月、習近平氏は中国共産党の総書記、党中央軍事委員会主席に就任。4カ月後の2013年3月、国家主席と国家中央軍事委員会主席に就任。習近平氏が独裁権力基盤を獲得しました。

それから半年後の2013年秋、習近平主席は「一帯一路構想」を発表して、推進していきます。

これに並行して、南シナ海の岩礁を何カ所も埋め立てて軍事基地を作りました。航空基地になり得る飛行場を完成しています。南シナ海はフィリピン、インドネシア、ベトナムの領海が絡む領域ですが、中国は自国領海だとして相手にしません。

中国の海洋進出について、明の永楽帝の時代、鄭和の艦隊が有名です。中華民族という表現で言えば漢民族ということになりますが、中国の歴代王朝は異民族であることが多いのです。世界史上最大の版図を広げた元はモンゴル民族です。

元軍は鎌倉時代に日本に侵攻しましたが、元軍の構成は、元に征服された南宋の漢人主力軍と、元王朝属国の高麗王朝韓人軍でした。

習近平中国を謳歌している人々は、明王朝永楽帝の栄華を思い起こして奮い立っている様子です。しかし、習近平中国の強権政治の性格は(共産党独裁はいつでもどこでも強権政治ですが)、「一路一帯」の「一帯」の方が近いという感があります。

すなわち元王朝の方に近親的である感がします。中国王朝の外国支配の方法は、朝貢貿易です。朝貢という臣従外交関係はこちらが弱みを見せれば、「属国」という関係になり、もっと弱味を見せればチベットのように併合されて、独立国でなくなります。

このたびの香港特別行政区国家安全維持法施行による事実上の香港接収は中国国内のことですが、香港返還に伴う一国二制度50年維持という国際公約を公然と破る行為です。


国内抑圧政策

「一帯一路」膨張政策がレールに乗り始めた2015年7月、一帯一路に符節を合わせるかのように、「国家安全保障法」が中国で施行されました。

これは国内抑圧政策です。弁護士300人以上が、2015年7月一斉に拘禁されました。

同2015年10月には香港・銅鑼湾書店の関係者5人が行方不明になりました。香港警察が承知していたのかどうかわかりませんが、香港特別行政区域外の中国治安機関によって連れ去られて、彼らは寧波に拘禁されていました。

銅鑼湾書店店主が翌2016年に釈放されて記者会見したのですから、中国政権は、一国二制度に基づく香港の警察権をわざわざ踏みにじって、香港内外に見せつけたのでしょう。

これら中国国内弁護士の大量拘禁や銅鑼湾書店関係者の不法連れ去りを香港人は見知っています。2019年2月の逃亡犯条例改正案に対して100万人といわれる規模の大デモが起きました。イギリス植民地という制限がどこかにあったはずの香港人にとってはそれでも、母国中国の不自由さより良いということなのでしょう。

逃亡犯条例改正案は、香港における犯罪人あるいは犯罪容疑者の中国本土送致が含まれていました。この改正法案は香港法を順守する体裁を取りながら骨抜きにするものでした。

それは見透かされて余りに反対が多く、外国の視線も強くなったので、習近平政権は改正案を10月、香港行政長官に撤回させました。このままで済むだろうかと思っていたら、習近平中国政権は一気に跳躍しました。もはや香港や台湾や英国ほか外国の反発にかまっていられないと決断しました。

それが、「香港特別行政区国家安全維持法」7月1日施行です。


香港圧制接収――対米国内結束を急いだため

日本人が香港のこれからの成り行きをしっかり見守っていくことは、習近平中国が根っこのところで専制国家であるという実態を知ることにつながります。私は自由と民主主義の良さを広げる国の善き人として、専制国家の壁に捉われることなく、自由と民主主義を求めるアジアの人たちと手をつないで生きたいと思います。

全国人民代表大会常務委員会は今年2020年6月30日まで、香港人にも香港行政機関にも議会にも全く内容を知らせないまま、香港国家安全維持法を可決、成立させました。

これは、中国国内、香港特別行政区内、諸外国のどのような反発も受け入れないという習近平政権の強固な意思表明でした。

2020年7月8日、「駐香港国家安全維持公署」の開所式が行われました。これは香港特別行政区国家安全維持法48条~61条に規定されているもので、中央人民政府直属の治安機関です。

今後の香港で政権批判や国政批判をしたり、抗議活動をすることは、中国本土内と同様に、香港国家安全維持法第20条~30条にある「国家分裂罪」「国家政権転覆罪」「テロ活動罪」「外国と結託する罪」に問われる危険性があります。

これらの罪の厳密な基準は今のところ公表されていません。そして適用認定するのは治安機関です。香港人といえども過剰に自粛して身の安全を守らねばならなくなります。

香港銅鑼彎書店関係者や中国国内人権派弁護士は或る日、秘密裏に拘束されて行方不明になりました。治安当局はその後に少し月日を置いてから逮捕拘禁を公開して見せしめとし、国民が萎縮しておとなしくなるのを待つのです。もちろん見せしめに拘禁して見せるのは、政権批判をしたり、しようと思っている人達に対するもっとも優しい処置です。


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<<資料掲載 香港接収関連2> 『香港特別行政区国家安全維持法第43条実施細則』(香港特別行政区政府新聞公報 2020.7.6.)

2020-07-23 12:56:48 | Weblog
          写真はBBC NEWSによる2020年6月香港デモのカット
        警官隊に捕らえられうつ伏せにされながらカメラを凝視して
            世界に伝えてくれと何かを訴えている香港青年




 中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法

 第43条 香港特別行政区政府警務処の国家安全維持部門が国家の安全を
 害する犯罪事案を処理するときは、香港特別行政区の現行法が、警察な
 どの法執行部門が重大な犯罪事案を調査するときに取ることを認めてい
 る各種の措置を取るとともに、以下の措置を講じることができる。

  一 犯罪の証拠が残っている可能性のある居所、車両、船舶、航空機
   およびその他の関係する場所と電子設備を捜査する。

  二 国家の安全を害する犯罪行為を実施した疑いのある人員に旅行証
   の提出を求め、またはその出国を制限する。

  三 犯罪に用いまたは用いることを意図した財産、犯罪により得た収
   益などの犯罪に関係する財産を凍結し、制限令、抵当令、没収令及
   び公有化を申請する。

  四 情報の発出者または関連のサービスプロバイダーに対し、情報の
   削除または協力の提供を要求する。

  五 外国及び域外の政治的組織、外国及び域外の当局または政治的組
   織の代理人に対し、資料の提供を要求する。

  六 行政長官の承認を経て、国家の安全を害する犯罪を実施したこと
   を疑う合理的理由のある人員に対し、通信傍受と秘密監察を行う。

  七 捜査に関係のある資料を保有し、または関連のデータを管理・所
   有していることを疑う合理的理由のある人員に対し、質問に回答
   し、資料またはデータを提出するよう求める。

  香港特別行政区の国家安全維持委員会は警務処の国家安全維持部門な
 どの法執行機構が本条第1項に規定する措置を講じることに対し、監督
 責任を負う。

  香港特別行政区行政長官に対し、香港特別行政区国家安全維持委員会
 と合同して、本条第1項に規定する措置を講じるため関連の実施細則を
 制定する権限を授ける。
 




 ■■■ 上記、香港国家安全維持法第43条の実施細則を下に掲載します 


香港特別行政区政府新聞広報 2020年7月6日 https://sc.isd.gov.hk/TuniS/www.info.gov.hk/gia/general/202007/06/P2020070600748.htm 掲載「香港特別行政区国家安全維持法第43条実施細則」の百度自動翻訳による日本語訳を掲載します。

百度の中国語自動翻訳の精度は90数%以上という評価がありますが、自動翻訳の結果には正確さに欠けるところも散見できます。そういう前提のうえで、それでも今は資料として有益だと思っております。



   ----------------------------------------------------------

(香港特区国家安全維持法第43条実施細則)


中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法第43条実施細則(「実施細則」)は本日(7月6日)の刊行憲法を公布し、7月7日に発効した。

 全国人民代表大会常務委員会(全人代常務委員会)は6月30日、「中華人民共和国香港特別行政区維持国家安全法」(「国安法」)を正式に採択し、「基本法」第十八条の手順に従って、「基本法」の別添3に組み入れた。

 香港特別行政区(香港特別行政区)政府は同日夜11時に憲法で施行されると発表した。「国安法」第四十三条は、特区政府の警務処が国家安全部門を維持し、国家安全犯罪に危害を及ぼす場合にとることができる各種措置を定め、香港特区行政長官が香港特別行政区維持国家安全委員会(国安委)と第四十三条に規定された措置をとるために関連実施細則を制定するよう香港特区行政長官に授権する。

 行政長官は今日初めて開かれた国安委会議で、国安委員会と「国安法」第四十三条に授与された権力を行使し、国家安全部門などの法律執行機関を警務処に維持し、第四十三条に規定された措置を使用する関連実施細則を制定する。「実施細則」は関係者のためにこの特定の措置を講じて国家の安全犯罪を防止、制止及び処罰する時の細則と、有効な措置を確保するために必要な関連犯罪と罰則を含み、特区が国家の安全を守る執行メカニズムを完備する。

 政府報道官は、上記の関係者が各規定措置を行使するために定められた「実施細則」について、各措置を明確かつ詳細に実行するための手順要求、必要に応じた状況と審査の条件などを明記し、関係者が「国安法」を実行する際に、「国安法」第四十三条を行使する権利と措置を確保することが目的であると指摘した。国家の安全行為と活動に危害を与える目的を防止し、制止し、処罰することは、「国安法」の総則の下で人権を尊重し、保障し、法に基づいて各権利と自由を保護する要求にも合致する。

 「実施細則」は法律効力を有し、詳細は以下の通りである。

1.証拠検索のために関係先を捜査する
 関連細則は、複数の現行法例における特殊な事情に関して緊急捜査を許す条文を参照し、「火器及び弾薬条例」(第238章)及び「輸出入条例」(第60章)などを含む。

 国家の安全に危害を及ぼす犯罪を捜査するために、警察官は裁判官に対して手の命令を申請して関係のあるところに入ることができます。特別な状況(緊急の場合)において、補佐処長級または以上の警察官は、その人員に権限を与えて、許可なしに関係地方に入って証拠を調べることができます。

2.調査を受ける人が香港を離れることを制限する
 現行の「賄賂防止条例」(第201条)を参照して、調査者の出国を制限する条文を参照してください。

 細則は警察官に許可して、国家の安全を損なう犯罪を犯した疑いがあるとして、調査を受けた人に旅行証を提出し、香港を離れることを制限します。旅行証明書を提出した人は、書面で警察事務所の部長または裁判官に旅行証明書の返納と承認を申請して香港を離れることができます。

3.凍結、制限、没収及び没収及び没収及び没収と国家の安全犯罪に関わる財産
 現行の「組織及び重大犯罪条例」(第455章)及び「国連(テロ対策)条例」(第575章)関連権力と規定を参考にして手配します。

 保安局局長は、ある財産が国家の安全犯罪に関わる財産であると合理的な理由があれば、書面で通知し、その財産を処分してはいけないと指示します。

 元の訴訟の法廷は律政の司長の申請のもとでできて、犯罪の関連している財産を公金にするように命令します。

 いかなる人も、いかなる財産が国家の安全犯罪に関わる財産であることを知っていたり、疑ったりする場合、確実に実行可能な状況で速やかに警察に開示する責任があり、また他の人に対していかなる相当な損害または上記の開示によって行われる任意の調査の資料を開示してはいけない。

 律政司長はまた、元の訴訟裁判所に対して制限令または押印令を申請し、いかなる人でも現金化可能財産を処分することを禁止し、または現金化可能財産を指定して押印して政府に担保として支払うことを命じ、国家の安全犯罪の没収益を裁判所に申請することができ、予約期間内に追討金額を適切に支払うよう命じます。

4.国家の安全を損なう情報の除去と協力の要請
 もし警務処長が合理的な理由で電子プラットフォーム上に発表した電子情報が国家の安全を害する犯罪または国家の安全を害する犯罪を構成する可能性が高いと疑われている場合、保安局局長の許可を得て、指定された警務処員に対して、関係者、プラットフォームサービス業者、ホストサービス業者及び/またはネットサービス業者に国家の安全を害する危害を除去するよう要求することができます。

 すべての情報;誰でもこの情報にアクセスすることを制限または停止し、または誰でもプラットフォームまたは関連部分に接続することを制限または停止する。必要な科学技術が発行者や関連サービス業者に合理的に得られるものでない場合、または関連サービス業者が関連要求に従って第三者に相当程度の損害を与えたり、第三者の権利を損なうリスクがある場合、合理的に弁解することができる。

 関連情報発信者が即時に協力していない場合、関連情報はインターネットで引き続き重大な影響を与える。警察官は裁判官に電子機器の検査を要請し、速やかに削除するように行動する。関係者は指定された状況で裁判官に命令を出して、警察官を授権して、関係サービス業者に状況に応じて関連身分記録を提供したり、解読協力を求めたりすることもできます。

5.外国及び台湾の政治的組織及び代理人に香港活動に関する資料提供を要求する
 警察事務所の部長は合理的に国家の安全に危害を及ぼす犯罪を防止及び偵察するために必要であると信じています。

 保安局の局長の承認のもと、ある外国の政治的組織または台湾の政治的組織、あるいはある外国の代理人または台湾の代理人に書面で通知し、当該グループの知識または代理人が指定期限内に、指定の方式で警察事務所の部長に指定資料を提出することができます。香港での活動及び個人資料、資産、収入、収入源及び支出を含む。

 この細則は、既存の「社団条例」(151条)を参考にして、社団事務主任が社団に資料提供を要求する条文があります。

6.通信傍受及び秘密監察の授権申請を行う
 国家の安全に関わる資料の機密性を効果的に防止し、検出し、保護するために、すべての通信及び秘密監督行動の申請は行政長官の許可を得なければならない。

 授権当局は秘密行動が「適合性」と「必要性」の検証基準に合致することを確認し、授権することができる。「国安法」第四十三条に基づき、国安委員会は警察事務所に対して規定された措置に対し監督責任を負い、実行細則に基づき、行政長官は独立人士を任命し、国安委に上述の監督責任を履行するよう協力することができる。

 また、保安局局長も「運営原則と指導」を発令し、警察職員に関連申請や権限行使についての運営原則と指針をどのように提供するかを規定し、警察事務所の職員が関連職能を執行する時は遵守しなければならない。「運営原則及びガイドライン」については、「実施細則」と同時に憲法を発行します。

7.資料の提供と提出資料
 国家の安全に危害を及ぼす犯罪の捜査を協力するために、または犯罪に関連して得られた利益のために、律政司長または警察官は法廷に承認を申請し、関係者に指定された時間内に問題を回答するよう求めたり、関連資料や資料を提供したり、引き渡したりすることができます。条文については、現行の「組織及び重大犯罪条例」(第455条)及び「国連(テロ対策)条例」(第575条)の関連権力と規定を参考にする。

 上記の関連措置が効果的に実施されることを確保するために、「実施細則」も必要に応じて規定違反に関する罰則を定めている。

 例えば、合理的な弁解がない場合、情報発信者は警察に従って国家の安全を損なう情報要求を除去していない、有罪判決を受けたら、罰金100,000香港ドル及び禁固1年を科すことができます。

 もしサービス業者が除去または制限に従わない場合、国家の安全を損なう情報またはプラットフォームを停止したり、協力の要求を提供したり、有罪判決を受けたら、罰金100,000香港ドル及び禁固6カ月を科すことができます。

 また、外国及び台湾の政治的組織又は外国及び台湾の代理人が要求通りに警察に資料を提供していない場合、全力を尽くした或いは制御不可能な原因が証明されない限り、有罪となると、罰金100,000香港ドル及び禁固6ヶ月を言い渡されます。

 虚偽、不正または不完全な資料を提供する場合、罰金100,000香港ドル及び禁固2年を科されます。

 合理的な弁明であるためには、関係資料が真実であり、正確であり、完備していねあければならない。その他の各項については、関連する犯罪及び免責弁護(定めがあれば)は、参照されている既存の法律条文とほぼ同じである。適切な場合には弁明書を要求し、要求に従わない人は口頭で弁明することができる。

 上記の実施細則は「国安法」及び「基本法」の規定に適合し、人権の尊重と保障に関する規定を含む。


政府代表は明日(7月7日)、立法会保安事務委員会、司法及び法律事務委員会及び政制事務委員会連合会議に出席し、議員に「国安法」及び「実施細則」の内容を説明する。

以上

2020年7月6日(月)香港時間 20時16分


コメント

<資料掲載 香港接収関連1> 『香港特別行政区国家安全維持法』 66カ条 中国国営新華社通信 日本語訳

2020-07-17 00:20:01 | Weblog
          写真はBBC NEWSによる2020年6月香港デモのカット
        警官隊に捕らえられうつ伏せにされながらカメラを凝視して
            世界に伝えてくれと何かを訴えている香港青年




(お知らせ)
1. 『香港国家安全維持法』につき、中国国営新華社通信が7月2日日本語訳を伝
  えたものを、毎日新聞 2020.7.14. 16:31 が掲載していました。これを当ブロ
  グに新規掲載します。
2. 従いまして、7月7日付け当ブログ記事、『<専制国家中国の姿2> 資料掲
  載 【香港国家安全維持法 全文66カ条】  日本語訳 ニュースソフィア編集部』
  を削除しました。



(毎日新聞記事  2020.7.14. 16:31 )
中国が香港への統制を強化する「香港国家安全維持法」(国安法)が6月30日、中
国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会で可決、成立したのを受け、香港政府は同日深夜、国安法を公布、施行した。これにより、香港は中国の治安維持体制に事実上、組み入れられ、反体制活動は取り締まりの対象となった。中国国営新華社通信が7月2日に日本語で配信した国安法の全文についての記事は次の通り。

 【新華社北京7月2日】
 第13期全国人民代表大会常務委員会第20回会議で6月30日に可決された中華人民
 共和国香港特別行政区国家安全維持法の全文は次の通り。



   -------------------------------------------------------------------

 
  (資料)

 
 中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法

                   中国国営通信新華社 2020.7.2.日本語訳公開
            毎日新聞 2020.7.14. 16:31 新華社通信日本語訳掲載



 【 目 次
 
 第1章  総則
  
 第2章 香港特別行政区の国家安全維持の職責及び機構
 
   第1節 職責
   第2節 機構
 
 第3章 犯罪行為及び処罰
 
   第1節 国家分裂罪
   第2節 国家政権転覆罪
   第3節 テロ活動罪
   第4節 外国または域外勢力と結託して国家の安全を害する罪
   第5節 その他の処罰規定
   第6節 効力の範囲
 
 第4章 事案の管轄、法律の適用及び手続き
 
 第5章 中央人民政府の駐香港特別行政区国家安全維持機構
 
 第6章 付則
 
 
 
 
 
  第1章 総則
 
 
 第1条 「1国2制度」、「港人治港」
(香港住民による香港管理)、高
 度の自治の方針を揺るぎなくしかも全面的かつ正確に貫き、国家の安全
 を守り、香港特別行政区に関連する国家分裂、国家政権転覆、テロ活動
 の組織・実施及び外国または域外勢力と結託して国家の安全を害する等
 の犯罪を防止し、阻止し、処罰し、香港特別行政区の繁栄と安定を維持
 し、香港特別行政区住民の合法的権益を保障するため、中華人民共和国
 憲法、中華人民共和国香港特別行政区基本法及び香港特別行政区におけ
 る国家安全維持の法制度及び執行メカニズムの導入・整備に関する全国
 人民代表大会の決定に基づいて、この法律を制定する。
 
 第2条 香港特別行政区の法的地位に関する香港特別行政区基本法第1条
 及び第12条の規定は、香港特別行政区基本法の根本的条項である。香港
 特別行政区のいかなる機構、組織及び個人も権利と自由を行使すると
 き、香港特別行政区基本法第1条及び第12条の規定に違反してはならな
 い。
    (参考) 香港特別行政区基本法
     第1条  香港特別行政区は中華人民共和国の不可分の一部分である。
     第12条 香港特別行政区は高度の自治権を享有する中華人民共和国の
        地方行政区域であり、中央人民政府が直轄する。
 
 第3条 中央人民政府は香港特別行政区における国家の安全に関わる事
 柄に根本的責任を負っている。
 
  香港特別行政区は国家の安全を守る憲政制度上の責任を負っており、
 国家の安全維持の職責を履行しなければならない。
 
  香港特別行政区の行政機関、立法機関、司法機関はこの法律及び他の
 関係法律の定めるところによって、国家の安全を害する行為と活動を効
 果的に防止し、阻止し、処罰しなければならない。
 
 第4条 香港特別行政区は国家の安全を守るとき、人権を尊重、保障
 し、香港特別行政区住民が香港特別行政区基本法及び「市民的及び政治
 的権利に関する国際規約」(
※国連条約です)「経済的、社会的及び文化的権
 利に関する国際規約」(※国連条約です) の香港に適用される関係規定に基
 づいて有する、言論・報道・出版の自由、結社・集会・行進・示威の自由
 を含む権利と自由を法によって保護しなければならない。
 
 第5条 国家の安全を害する犯罪を防止し、阻止し、処罰するときは、
 法治の原則を堅持しなければならない。法律で犯罪行為と定められてい
 るときには、法律によって罪を定め刑に処する。法律で犯罪行為と定め
 られていないときには、罪を定め刑に処してはならない。
 
  何人も司法機関によって有罪とされるまでは無罪と推定される。犯罪
 容疑者、被告人その他の訴訟参加者が法によって有する弁護権とその他
 の訴訟上の諸権利は保障される。何人も司法手続きを経てすでに最終的
 に有罪が確定しまたは無罪を言い渡されたときには、同一の行為につい
 て再びこれを裁判にかけまたは処罰してはならない。
 
 第6条 国家の主権、統一及び領土保全を守ることは、香港同胞を含む
 全中国人民の共通の義務である。
 
  香港特別行政区にあるいかなる機構、組織及び個人もこの法律と香港
 特別行政区の国家安全維持に関する他の法律を順守しなければならず、
 国家の安全を害する行為や活動に従事してはならない。
 
  香港特別行政区の住民は選挙に立候補しまたは公職につく際、法に
 よって、中華人民共和国香港特別行政区基本法を擁護し、中華人民共和
 国香港特別行政区に忠誠を尽くす確認文書に署名しまたはその旨の宣誓
 をしなければならない。
 
 
 
  第2章 香港特別行政区の国家安全維持の職責及び機構
 
 
    第1節 職責
 
 第7条 香港特別行政区は香港特別行政区基本法に定められた国家安全
 維持立法を早期に完了し、関連法律を整備しなければならない。
 
 第8条 香港特別行政区の法執行、司法機関はこの法律および香港特別
 行政区の現行法中の、国家の安全を害する行為や活動の防止、阻止及び
 処罰に関する規定を確実に執行して、国家の安全を効果的に守らなけれ
 ばならない。
 
 第9条 香港特別行政区は国家の安全維持及びテロ活動の防止業務を強
 化しなければならない。学校、社会団体、メディア、インターネットな
 どの国家の安全に関わる事項について、香港特別行政区政府は必要な措
 置を講じ、宣伝、指導、監督及び管理を強化しなければならない。
 
 第10条 香港特別行政区は学校、社会団体、メディア、インターネット
 などを通じて国家安全教育を進め、香港特別行政区住民の国家安全意識
 と順法意識を高めなければならない。
 
 第11条 香港特別行政区行政長官は香港特別行政区の国家安全維持問題
 について中央人民政府に責任を負い、かつ香港特別行政区における国家
 安全維持の職責履行状況について年次報告書を提出しなければならな
 い。
 
  中央人民政府が要求した場合、行政長官は国家安全維持の特定の事項
 について速やかに報告書を提出しなければならない。
 
 
    第2節 機構
 
 第12条 香港特別行政区に、香港特別行政区における国家安全の維持問
 題を担当し、国家安全維持の主要な責任を引き受け、かつ中央人民政府
 の監督と問責を受ける国家安全維持委員会を設置する。
 
 第13条 香港特別行政区国家安全維持委員会は行政長官が主席(議長)
 を務め、メンバーには政務司長(政務官)、財政司長(財政官)、律政
 司長(司法官)、保安局長、警務処長、第16条に定める警務処の国家安
 全維持部署責任者、入境事務処長、税関長及び行政長官弁公室主任が含
 まれる。
 
  香港特別行政区国家安全維持委員会の下に、秘書長の指導する秘書処
 (事務局)を置く。秘書長は行政長官が指名し、中央人民政府に任命を
 求める。
 
 第14条 香港特別行政区国家安全維持委員会の職責は以下の通りとす
 る。
 
  一 香港特別行政区の国家安全維持情勢を分析・評価し、関連の業務
   を計画し、香港の国家安全維持政策を策定すること。
 
  二 香港特別行政区の国家安全維持の法制度と執行メカニズムづくり
   を進めること。
 
  三 香港特別行政区の国家安全維持の重点業務と重大行動の調整にあ
   たること。

  香港特別行政区国家安全維持委員会の業務は香港特別行政区の他のい
 かなる機構、組織及び個人の干渉も受けず、業務情報はこれを公開しない。
 香港特別行政区国家安全維持委員会が行った決定は司法審査を受けない。
  
 第15条 香港特別行政区国家安全維持委員会に国家安全担当顧問を置
 き、中央人民政府が指名派遣し、香港特別行政区国家安全維持委員会の
 職責履行に関連する問題について意見を出させる。国家安全問題顧問は
 香港特別行政区国家安全委員会の会合に列席する。
 
 第16条 香港特別行政区政府警務処に国家安全維持の部署を設置し、法
 執行陣を配備する。
 
  警務処の国家安全維持部署の責任者は行政長官が任命する。行政長官 
 は任命に先立ち書面によって、第48条に定める機構の意見を求めなけれ
 ばならない。警務処の国家安全維持部署の責任者は就任にあたって中華
 人民共和国香港特別行政区基本法を擁護し、中華人民共和国香港特別行
 政区に忠誠を尽くし、法律を順守し、秘密を守ることを宣誓しなければ
 ならない。
 
  警務処の国家安全維持部署は、香港特別行政区以外から適格な専門家
 と技術者を招へいして、国家安全維持関連任務の遂行に協力させること
 ができる。
 
 第17条 警務処の国家安全維持部署の職責は以下の通りとする。
 
  一 国家の安全に関わる機密情報・情報を収集・分析すること。
 
  二 国家安全維持のための措置と行動を手配し、調整し、推進すること。
 
  三 国家の安全を害する犯罪事案を調査すること。
 
  四 反干渉調査を行い、国家安全審査を進めること。
 
  五 香港特別行政区国家安全維持委員会から渡された国家安全維持業
   務を引き受けること。
 
  六 その他この法律に必要な職責を執行すること。
 
 第18条 香港特別行政区律政司に、国家の安全を害する犯罪事案の起
 訴・告発(検察)業務その他の関連法律問題を担当する、国家安全犯罪
 事案起訴・告発の専門部署を設置する。同部署の起訴・告発官(検察
 官)は律政司長が香港特別行政区国家安全維持委員会の同意を得て任命
 する。
 
  律政司の国家安全犯罪事案起訴告発部署の責任者は、行政長官が任命
 する。行政長官は任命に先立ち書面によって、第48条に定める機構の意
 見を求めなければならない。律政司の国家安全犯罪事案起訴告発部署の
 責任者は就任にあたって中華人民共和国香港特別行政区基本法を擁護
 し、中華人民共和国香港特別行政区に忠誠を尽くし、法律を順守し、秘
 密を守ることを宣誓しなければならない。
 
 第19条 香港特別行政区政府財政司長は行政長官の承認を得て、政府一
 般歳入から特別の金銭を支出し国家安全維持に関する支出に当て、かつ
 関連人員編成を許可しなければならない。これは香港特別行政区の現行
 関連法律規定の制限を受けない。財政司長は当該金銭の制御と管理につ
 いて毎年立法会に報告書を提出しなければならない。
 
 
  
  第3章 犯罪行為及び処罰
 
 
    第1節 国家分裂罪
 
 第20条 何人も次の各号に掲げる、国家の分裂、国家の統一破壊を狙う
 行為の一つを組織し、画策し、実施しまたは実施に加わったときには、
 武力を使用し、または武力で威嚇したか否かに関わらず、犯罪となる。
 
  一 香港特別行政区または中華人民共和国のどこか他の部分を中華人
   民共和国から分離させること。
 
  二 香港特別行政区または中華人民共和国のどこか他の部分の法的地
   位を不法に変更すること。
 
  三 香港特別行政区または中華人民共和国のどこか他の部分を外国の
   統治に帰させること。
 
  前項の罪を犯したときは、首魁(首謀者)または犯罪行為の重大な者
 を無期懲役または10年以上の懲役に処する。積極的に参加した者は、3
 年以上10年以下の懲役に処する。その他の参加者は、3年以下の懲役、
 拘留または管制に処する。
 
 第21条 何人も他人が第20条に定める犯罪を行うのをせん動し、ほう
 助し、教唆し、金銭または他の財物で援助したときには、犯罪となる。
 情状が重い者は、5年以上10年以下の懲役に処する。情状が軽い者
 は、5年以下の懲役、拘留または管制に処する。
 
 
    第2節 国家政権転覆罪
 
 第22条 何人も次の各号に掲げる、武力、武力使用の威嚇またはその他
 の不法な手段によって、国家政権の転覆を狙う行為の一つを組織し、画
 策し、実施しまたは実施に加わったときには、犯罪となる。
 
  一 中華人民共和国憲法で確立された中華人民共和国の根本的制度を
   覆し、壊すこと。
 
  二 中華人民共和国の中央政権機関または香港特別行政区の政権機関
   を覆すこと。
 
  三 中華人民共和国の中央機関または香港特別行政区の政権機関の法
   に基づく機能遂行を著しく妨害し、阻害し、破壊すること。
 
  四 香港特別行政区の政権機関の職責履行の場所とその施設を攻撃、
   破壊し、正常な機能を遂行できないようにすること。
 
  前項の罪を犯したときは、首魁または犯罪行為の重大な者を無期懲役
 または10年以上の懲役に処する。積極的に参加した者は、3年以上10年
 以下の懲役に処する。その他の参加者は、3年以下の懲役、拘留または
 管制に処する。
 
 第23条 何人も他人が第22条に定める犯罪を行うのをせん動し、ほう
 助し、教唆し、金銭または他の財物で援助したときには、犯罪となる。
 情状が重い者は、5年以上10年以下の懲役に処する。情状が軽い者
 は、5年以下の懲役、拘留または管制に処する。
 
 
    第3節 テロ活動罪
 
 第24条 中央人民政府、香港特別行政区政府もしくは国際機構を脅迫し
 または公衆を威嚇して政治的主張の実現を図るため、次の各号に掲げ
 る、社会に著しい害を与えまたはそれを意図するテロ活動の一つを組織
 し、画策し、実施し、実施に加わりまたは実施すると脅しときには、犯
 罪となる。
 
  一 人に対する重大な暴力。
 
  二 爆発、放火または有毒性、放射性、感染症病原体等の物質散布。
 
  三 交通手段、交通施設、電力設備、ガス設備またはその他の可燃・
   爆発設備を破壊すること。
 
  四 水、電気、ガス、交通、通信、ネットワークなど公共サービス・
   管理の電子制御システムを著しく妨害し、破壊すること。
 
  五 その他の危険な方法で公衆の健康または安全を著しく害するこ
   と。
 
  前項の罪を犯して、重傷、死亡を招きまたは公私の財産に重大な損失
 に与えたときには、無期懲役または10年以上の懲役に処する。その他の
 場合は、3年以上10年以下の懲役に処する。
 
 第25条 テロ活動組織を作り、指導した者は、犯罪となり、無期懲役ま
 たは10年以上の懲役に処し、財産没収を併科する。積極的に参加した者
 は、3年以上10年以下の懲役に処し、罰金を併科する。その他の参加者
 は、3年以下の懲役、拘留または管制に処し、罰金を併科することもで
 きる。
 
  この法律でテロ活動組織とは、第24条に定めるテロ活動の犯罪行為を
 実施しもしくはそれを意図しまたは第24条に定めるテロ活動犯罪行為の
 実施に参加し若しくは協力する組織をいう。
 
 第26条 テロ活動組織、テロ活動人員及びテロ活動実施のために訓練、
 武器、情報、資金、物資、役務、輸送、技術もしくは場所などの支援、
 協力、便宜を提供し、または爆発性、有毒性、放射性、感染症病原体な 
 どの物資を製造し、不法に管理・所有し及びその他の形式でテロ活動を
 準備したときには、犯罪となる。情状が重い者は、5年以上10年以下の
 懲役に処し、罰金または財産没収を併科する。その他の場合は、5年以
 下の懲役、拘留または管制に処し、罰金を併科する。
 
  前項の行為をし、同時に他の犯罪を構成するときには、処罰のより重
 い規定によって罪を定め罰に処する。
 
 第27条 テロリズムを主張し、テロ活動をせん動したときには、犯罪と
 なる。情状が重い者は、5年以上10年以下の懲役に処し、罰金または財
 産没収を併科する。その他の場合は、5年以下の懲役、拘留または管制
 に処し、罰金を併科する。
 
 第28条 この節の規定は、香港特別行政区の法律によって、他の形式の
 テロ活動犯罪の刑事責任を追及し、かつ財産凍結等の措置を講じること
 には影響しない。
 
 
    第4節 外国または域外勢力と結託して国家の安全を害する罪
 
 第29条 外国または域外の機構、組織、人員のために国家の安全に関わ
 る国家の秘密または情報を盗み、探り、買収、不法に提供した場合、以
 下の行為のいずれか一つを外国または域外の機構、組織、人員に実施す
 るよう求め、外国または域外の機構、組織、人員と共謀して実施し、も 
 しくは外国または域外の機構、組織、人員の指図、コントロール、資金
 援助またはその他形式の支援を直接または間接的に受けて実施した場合
 は、いずれも犯罪に属する。
 
  一 中華人民共和国に対して戦争を発動し、もしくは武力または武力
   による脅しを以て、中華人民共和国の主権、統一、領土保全に対し
   重大な危害をもたらした場合。
 
  二 香港特別行政区政府または中央人民政府が法律、政策を制定、執
   行するのをひどく妨害し、かつ重大な結果を招く恐れのある場合。
 
  三 香港特別行政区の選挙に対し操作、破壊を行い、かつ重大な結果
   を招く恐れのある場合。
 
  四 香港特別行政区または中華人民共和国に対して制裁、封鎖または
   その他の敵対行動を行った場合。
 
  五 各種の不法な方式を通じ、香港特別行政区住民の中央人民政府ま
   たは香港特別行政区政府に対する憎しみを引き起こし、かつ重大な
   結果を招く恐れのある場合。


  前項の罪を犯したときは、3年以上10年以下の懲役に処する。犯罪行
 為が重大な場合は、無期懲役または10年以上の懲役に処する。
 
  本条第1項の規定に関連する海外の機構、組織、人員は、共同犯罪と
 して罪を定め刑に処する。
 
 第30条 本法第20条、第22条に規定する犯罪を実施するため、外国ま
 たは域外の機構、組織、人員と共謀し、もしくは外国または域外の機
 構、組織、人員の指図、コントロール、資金援助またはその他形式の支
 援を直接または間接的に受けた場合は、本法第20条、第22条の規定に
 従って厳しく処罰する。
 
 
    第5節 その他の処罰規定
 
 第31条 会社、団体などの法人または非法人の組織が本法に規定する犯
 罪を実施した場合は、その組織に対し罰金を科する。
 
  会社、団体などの法人または非法人の組織が本法に規定する犯罪行為
 をしたために刑事処罰を受けた場合は、運営を一時停止するよう命じ、
 もしくはその免許または営業許可証を取り消さなければならない。
 
 第32条 本法に規定する犯罪を実施することで得た資金援助、収益、報
 酬などの違法所得及び、犯罪に用いまたは用いることを意図した資金と
 ツールは、差し押さえ、没収しなければならない。
 
 第33条 以下のケースに該当する場合、関係する犯罪行為者、犯罪被疑
 者、被告人については軽く罰し、処罰を軽減することができ、犯罪が比
 較的軽いものである場合は、処罰を免除することができる。
 
  一 犯罪の過程で、犯罪を自発的に放棄しまたは犯罪結果の発生を自
   発的かつ効果的に防止した場合。
 
  二 進んで自首し、自身の犯罪行為をありのままに供述した場合。
 
  三 他者の犯罪行為を告発して、事実であることを証明し、または重
   要な手掛かりを提供して他の事案の捜査・解決を助けた場合。
 
  強制措置を取られている犯罪被疑者、被告人が、法執行機関、司法機
 関がまだ把握していない、本法に規定された他の犯罪行為をしたことを
 ありのままに供述した場合は、前項第2号の規定に従って処理する。
 
 第34条 香港特別行政区の永住民の身分を備えない人が本法に規定する
 犯罪を実施した場合は、国外追放を独立して適用または付加的に適用す
 ることができる。
 
  香港特別行政区の永住民の身分を備えない人が本法の規定に違反した
 とき、何らかの原因によりその刑事責任を追及されない場合でも、国外 
 追放することができる。
 
 第35条 何人も法院から国家の安全を害する罪を犯したと判決を言い渡
 された場合は、候補者として香港特別行政区が行う立法会、区議会選挙
 に参加する資格、もしくは香港特別行政区のいずれかの公職または行政
 長官選挙委員会委員に就任する資格を直ちに失う。かつて中華人民共和
 国香港特別行政区基本法を擁護し、中華人民共和国香港特別行政区に忠
 誠を尽くすと宣誓または声明した立法会委員、政府職員及び公務員、行
 政会議メンバー、法官及び他の司法人員、区議員は即座にこれらの職務
 を失うとともに、選挙に参加または上記の職務に就任する資格を失う。
 
  前項に規定する資格または職務の喪失は、責任ある組織、関係の選挙
 または公職の任免を管理する機構が発表する。


 
    第6節 効力の範囲
 
 第36条 何人も香港特別行政区内で本法に規定する犯罪を実施した場合
 は、本法を適用する。犯罪の行為または結果が一つでも香港特別行政区
 内で発生した場合は、香港特別行政区内での犯罪と見なす。
 
  香港特別行政区に登記されている船舶または航空機内で本法に規定す
 る犯罪を実施した場合も本法を適用する。
 
 第37条 香港特別行政区の永住民または香港特別行政区に設立された会
 社、団体などの法人または非法人の組織が香港特別行政区外で本法に規
 定する犯罪を実施した場合は、本法を適用する。
 
 第38条 香港特別行政区の永住民の身分を備えない人が香港特別行政区
 外で香港特別行政区に対し、本法に規定する犯罪を実施した場合は、本
 法を適用する。
 
 第39条 本法施行後の行為は、本法を適用して罪を定め刑に処する。
 
 
 
  第4章 事案の管轄、法律の適用及び手続き
 
 第40条 香港特別行政区は本法に規定する犯罪事案に対して管轄権を行
 使する。ただし本法第55条に規定するケースは除外する。
 
 第41条 香港特別行政区が管轄する国家の安全を害する犯罪事案の立件
 捜査、訴追、裁判、刑罰の執行などの訴訟手続き事項については、本法
 と香港特別行政区の現地法を適用する。
 
  律政司長(司法官)の書面による同意を経ずに、何人も国家の安全を 
 害する犯罪事案について訴追を行うことはできない。ただし、この規定
 は関係する犯罪について法に基づいて犯罪被疑者を逮捕し、留置するこ
 とに影響せず、また、これらの犯罪被疑者が保釈を申請することにも影
 響しない。
 
  香港特別行政区が管轄する国家の安全を害する犯罪事案の裁判は公訴
 手続きに従って行う。
 
  裁判は公開して行わなければならない。国家の秘密、公共の秩序など
 に関わるため公開審理しない方がよい場合は、マスコミと公衆が全部ま
 たは一部の審理手続きを傍聴することを禁止する。しかし、判決の結果
 は一律に公表しなければならない。
 
 第42条 香港特別行政区の法執行、司法機関は香港特別行政区現行法の
 留置、審理期限などの方面に関係する規定を適用するときは、国家の安
 全を害する犯罪事案が公正、適時に処理されることを確実にし、国家の
 安全を害する犯罪を効果的に防止、阻止、処罰しなければならない。
 
  犯罪被疑者、被告人については、国家の安全を害する行為を引き続き
 実施することはないと信じる十分な理由が裁判官にないのなら、保釈を
 認めてはならない。
 
 第43条 香港特別行政区政府警務処の国家安全維持部門が国家の安全を
 害する犯罪事案を処理するときは、香港特別行政区の現行法が、警察な
 どの法執行部門が重大な犯罪事案を調査するときに取ることを認めてい
 る各種の措置を取るとともに、以下の措置を講じることができる。
 
  一 犯罪の証拠が残っている可能性のある居所、車両、船舶、航空機
   およびその他の関係する場所と電子設備を捜査する。
 
  二 国家の安全を害する犯罪行為を実施した疑いのある人員に旅行証
   の提出を求め、またはその出国を制限する。
 
  三 犯罪に用いまたは用いることを意図した財産、犯罪により得た収
   益などの犯罪に関係する財産を凍結し、制限令、抵当令、没収令及
   び公有化を申請する。
 
  四 情報の発出者または関連のサービスプロバイダーに対し、情報の
   削除または協力の提供を要求する。
 
  五 外国及び域外の政治的組織、外国及び域外の当局または政治的組
   織の代理人に対し、資料の提供を要求する。
 
  六 行政長官の承認を経て、国家の安全を害する犯罪を実施したこと
   を疑う合理的理由のある人員に対し、通信傍受と秘密監察を行う。
 
  七 捜査に関係のある資料を保有し、または関連のデータを管理・所
   有していることを疑う合理的理由のある人員に対し、質問に回答
   し、資料またはデータを提出するよう求める。
 
  香港特別行政区の国家安全維持委員会は警務処の国家安全維持部門な 
 どの法執行機構が本条第1項に規定する措置を講じることに対し、監督
 責任を負う。
 
  香港特別行政区行政長官に対し、香港特別行政区国家安全維持委員会
 と合同して、本条第1項に規定する措置を講じるため関連の実施細則を
 制定する権限を授ける。
 
 第44条 香港特別行政区の行政長官は裁判官、地域法院法官、高等法院
 の原訟法廷法官、上訴法廷法官及び終審法院の法官の中から若干名の法
 官を指名して、国家の安全を害する犯罪事件の処理に当たらせなければ
 ならない。暫委または特委法官の中から若干名の法官を指名することも
 できる。行政長官は法官を指名する前に香港特別行政区国家安全維持委
 員会と終審法院首席法官の意見を求めることができる。上記の指名法官
 の任期は1年とする。
 
  およそ国家の安全を害する言動があった場合は、国家の安全を害する
 犯罪事案を審理する法官に指名してはならない。指名法官の担当期間
 中、国家の安全を害する言動のあった場合は、その指名法官の資格を終
 了する。
 
  裁判法院、地域法院、高等法院、終審法院において、国家の安全を害
 する犯罪事案について提起された刑事訴追手続きはそれぞれ各当該法院
 の指名法官が処理しなければならない。


 第45条 本法に別途規定がある場合を除き、裁判法院、地域法院、高等
 法院、終審法院は香港特別行政区のその他法律に従い、国家の安全を害
 する犯罪事案について提起された刑事訴追手続きを処理しなければなら
 ない。
 
 第46条 高等法院の原訟法廷が扱う国家の安全を害する犯罪事案につい
 て提起された刑事訴追手続きに対し、律政司長は国家秘密を保護する、
 事案が渉外要素を備えている、または陪審員及びその家族の人身の安全
 を保障するなどの理由に基づき、証書を発行して、関連の訴訟は陪審団
 のいる状況の下で審理を行う必要がないと指示することができる。律政
 司長が上記の証書を発行した場合、高等法院の原訟法廷は陪審団のいな
 い状況の下で審理を行うとともに、3名の法官が裁判法廷を構成しなけ
 ればならない。
 
  律政司長が前項に規定する証書を発行したとき、関連の訴訟に適用さ
 れる香港特別行政区のいかなる法律条文の「陪審団」または「陪審団の
 評決」に関する部分も、いずれも法官または法官の事実の裁断者として
 の機能を指すと理解しなければならない。


 第47条 香港特別行政区の法院は審理の過程で、関連の行為が国家の安
 全に関わるものなのか、または関連の証拠資料が国家の秘密に関わるも
 のなのかという認定問題に遭遇したときは、行政長官がこれらの問題に
 ついて発行する証明書を取得しなければならず、上記の証明書は法院に
 対して拘束力を持つ。
 
 
 
  第5章 中央人民政府の駐香港特別行政区国家安全維持機構
 
 
 第48条 中央人民政府は香港特別行政区に国家安全維持公署を設立す
 る。公署は法に従い基づいて国家安全維持の職責を履行し、関係の権力
 を行使する。
 
  公署の人員は中央人民政府国家安全維持に関係する機関が合同で派遣
 する。
 
 第49条 駐香港特別行政区香港国家安全維持公署の職責は次の通りとす
 る。
 
  一 香港特別行政区の国家安全維持情勢を分析、判断し、国家安全維
   持の重大な戦略と重要な政策について意見と提案を出す。
 
  二 香港特別行政区の国家安全維持の職責履行を監督、指導、調整、
   支持する。
 
  三 国家安全に関する情報を収集、分析する。
 
  四 国家安全に危害を与える犯罪事件を法に基づいて処理する。
 
 第50条 駐香港特別行政区国家安全維持公署は法に厳格に法に基づいて
 職責を履行し、法に基づいて監督を受け、いかなる個人や組織の合法的
 権益も侵害してはならない。
 
  駐香港特別行政区国家安全維持公署の人員は必ず全国的法律を順守し
 なければならず、また香港特別行政区の法律も順守しなければならない
 
  駐香港特別行政区国家安全維持公署の人員は法に基づいて国の監察機
 関の監督を受ける。
 
 第51条 駐香港特別行政区国家安全維持公署の経費は中央財政でまかな
 う。
 
 第52条 駐香港特別行政区国家安全維持公署は中央人民政府駐香港特別
 行政区連絡弁公室、外交部駐香港特別行政区特派員公署、中国人民解放
 軍駐香港部隊との業務上の連携と協同を強化しなければならない。
 
 第53条 駐香港特別行政区国家安全維持公署は香港特別行政区国家安全
 維持委員会との調整メカニズムを作って、香港特別行政区の国家安全維
 持業務を監督、指導しなければならない。
 
  駐香港特別行政区国家安全維持公署の実務部門は香港特別行政区の国 
 家安全維持関係機関と協業メカニズムを作って、情報の共有と行動の連
 携を強化しなければならない。
 
 第54条 駐香港特別行政区国家安全維持公署、外交部駐香港特別行政区
 特派員公署は香港特別行政区政府と共同で必要な措置を講じて、外国及
 び国際機構の駐香港特別行政区機構並びに香港特別行政区にある外国と
 域外の非政府組織及び報道機関に対する管理とサービスを強化する。
 
 第55条 次の各号の一つに該当するときには、香港特別行政区政府また
 は駐香港特別行政区国家安全維持公署が申し立て、かつ中央人民政府の
 承認を受けて、駐香港特別行政区国家安全維持公署がこの法律に定め
 る、国家の安全を害する犯罪事案に対し管轄権を行使する。
 
  一 事案が外国または域外勢力の介入という複雑な状況に関わり、香
   港特別行政区による管轄が確かに難しいこと。
 
  二 香港特別行政区政府がこの法律を有効に執行できない重大な状況
   が生じること。
 
  三 国家の安全が現実の重大な脅威に直面している状況が生じるこ
   と。
 
 第56条 第55条の規定に基づいて国家の安全を害する犯罪事案を管轄
 する際は、駐香港特別行政区国家安全維持公署が立件・捜査を担当し、
 最高人民検察院が関係検察機関を指定して検察権を行使し、最高人民法
 院が関係法院を指定して裁判権を行使する。
 
 第57条 第55条の規定に基づいて管轄する事案の立件・捜査、審査・
 起訴、裁判及び刑罰の執行等の訴訟手続きには、「中華人民共和国刑事
 訴訟法」の関連法律規定を適用する。
 
  第55条の規定に基づいて事案を管轄する際は、第56条に定める法執
 行、司法機関が法によって関連の権限を行使するものとし、それらが強
 制措置、捜査措置の決定及び司法裁判について交付する法律文書は香港
 特別行政区で法的効力を有する。駐香港特別行政区国家安全維持公署が
 法によって講じる措置には、関係機構、組織及び個人は必ず従わなけれ
 ばならない。
 
 第58条 第55条の規定に基づいて事案が管轄される際、犯罪容疑者は
 駐香港特別行政区国家安全維持公署によって尋問を受けまたは強制措置
 をとられた日から、弁護士を弁護人として依頼する権利を有する。弁護
 をする弁護士は、法によって犯罪容疑者、被告人に法的支援を与えるこ
 とができる。
 
  適法に逮捕された犯罪容疑者、被告人は、早期に司法機関の公正な裁
 判を受ける権利を有する。
 
 第59条 第55条の規定に基づいて事案が管轄される際、何人もこの法
 律に定める国家の安全を害する犯罪事案の状況を知っている場合は、正
 しく証言する義務を負う。
 
 第60条 駐香港特別行政区国家安全維持公署とその人員による、この法
 律に基づく職務執行行為は、香港特別行政区の管轄を受けない。
 
  駐香港特別行政区国家安全維持公署が発行した証明書または証明文書
 を所持する人員及び車両等は職務執行にあたって香港特別行政区の法執
 行人員の検査、捜査及び差し押さえを受けない。
 
  駐香港特別行政区国家安全維持公署とその人員は香港特別行政区の法
 律に定めるその他の権利及び免除を有する。
 
 第61条 駐香港特別行政区国家安全維持公署がこの法律の定めるところ
 によって職責を履行する際、香港特別行政区政府の関係官庁は必要な便
 宜と協力を与えなければならず、職務執行を妨げる行為については、法
 によってこれを阻止しかつ責任を追及する。
 
 
 
  第6章 付則
 
 第62条 香港特別行政区の現地法の規定とこの法律が一致しないときに
 は、この法律の規定を適用する。
 
 第63条 この法律に定める、国家の安全を害する犯罪事案の処理に関わ
 る法執行、司法機関とその人員または国家の安全を害するその他の犯罪
 事案を処理する香港特別行政区の法執行、司法機関とその人員は、事案
 の処理過程で知り得た国家機密、商業秘密及び個人のプライバシーを守
 らなければならない。
 
  弁護人または訴訟代理人を務める弁護士は、業務活動で知り得た国家
 機密、商業秘密及び個人のプライバシーを守らなければならない。
 
  事案処理に協力する関係機構、組織及び個人は事案の関連状況につい
 て秘密を守らなければならない。
 
 第64条 香港特別行政区にこの法律を適用する際、この法律に定める
 「懲役」「無期懲役」「財産没収」及び「罰金」はそれぞれ「監禁」
 「終身監禁」「充公犯罪所得」及び「罰款」を指し、「拘留」には香港
 特別行政区の拘置や労役センター、教導所への収容に関する法律規定を
 準用し、「管制」には香港特別行政区の「社会服務令」「感化院への収
 容」に関する法律規定を準用し、「免許または営業許可証取り消し」は
 香港特別行政区の関連法律に定める「登録や登録免除の取り消し、ライ
 センスの抹消」を指す。
  
 第65条 この法律の解釈権は全国人民代表大会常務委員会に属する。
 
 第66条 この法律は公布の日から施行する。
 
 





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<専制国家中国の姿>「声を上げ続けなくては」 拷問された中国の元弁護士 =BBC NEWS JAPAN 2015.11.24.

2020-07-05 18:29:30 | Weblog
               左、元弁護士 右、BBC記者

2020-07-05
<専制国家中国の姿>「声を上げ続けなくては」 拷問された中国の元弁護士 =BBC NEWS JAPAN 2015.11.24.
2020-07-17
<香港接収> 資料掲載 『香港特別行政区国家安全維持法』 全66条 中国国営新華社通信日本語訳
2020-07-23
<香港接収> 資料掲載 香港特別行政区政府新聞公報 2020.7.6.「香港特別行政区国家安全維持法第43条実施細則」
2020-07-25
習近平中国政権の実質的香港接収に見る中国対外膨張政策と国内抑圧政策の両輪
2020-07-27
<専制国家中国の姿> 古いニュースを振り返る香港・銅鑼湾書店関係者5人消息不明、中国指導部のスキャンダルを出版 =BBC NEWS 2016.1.11.


<BBC NEWS JAPAN 2015.11.24. > (2分間ビデオ文字化)

中国当局が多数の人権派弁護士を拘束・取り調べていることが今年(2015年)大きな問題になった。人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルが今月公表した報告書でも、当局が法律の抜け穴を利用し、逮捕することなく長期間拘束していると指摘されている。BBCのシリア・ハットン記者が警察による暴行を受けた元弁護士に取材した。

――シリア・ハットン記者

 中国政府は自国の法制度をより公正で透明性のあるものに改革している事実を事あるごとに吹聴しています。しかし、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが新たに公開した分厚い報告書はこれに異を唱えます。

 警察当局が自国の法律の抜け穴を巧みに利用して、容疑者を逮捕することなく、家族や弁護士の目の届かない秘密の施設に連行して最大半年間拘束するケースが増加していると指摘しています。これらの施設では自白を引き出すための精神的肉体的な拷問がしばしば行われていると言います。

 ここは、北京にあるレストランです。警察の不正を調査しようとしたがゆえに、数週間にわたり激しい暴行を受けた弁護士と会うためです。

 タン・ジーチェン元弁護士です。

――タン・ジーチェン元弁護士

 警官が私を手首から吊るし、水の詰まったペットボトルで頭や顔を殴りました。そのうちの一人に顔を殴られたとき、歯が欠けました。肋骨も10本骨折しました。

 中国では裁判の手続きの大部分が、警察が集めた証拠をもとに行われるため、拷問で引き出した自白がより多い結果になるのです。

――シリア・ハットン記者

 多くの中国人は警察に対して無力です。犯罪者のうち弁護士を立てられたのは全体のわずか2割だとアムネスティは言います。タンさんは弁護士資格を失いましたが、だからといって口をつぐむことはありません。

――タン・ジーチェン元弁護士

 誰にも恐怖心があります。でも一連のできごとを乗り越えたあと、何も怖くなくなりました。市民の権利と強力な政府との間のバランスをとることが弁護士の務めだと思います。

 中国当局によるこれまでにない厳しい統制に対して声を上げつづけなければ、自分が弁護士時代に積み上げた努力が無意味になってしまうでしょう。


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