川本ちょっとメモ

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安倍研究(4) 「積極的平和主義」への安倍首相の使命感は自衛隊に向う

2015-04-07 23:44:14 | Weblog



<安倍首相の使命感>

安倍首相は強い使命感を持って政治に臨んでいます。


①「次元を超えた」発想がなければ、現下の国家的な危機は、乗り越えられ
 ません。 ―― 2013(H25).4.3. 第47回 国家公務員合同初任研修開講式
                    安倍内閣総理大臣訓示


② 私達には、世界の行く末に対し、善をなし、徳を積む責務があります。
 ―― 2013(H25).4.28. 主権回復・国際社会復帰を記念する式典 内閣総理大臣式辞

③ そして、日本の力を取り戻し、豊かにしていくこと。それが、私の役割
 、天命です。
   ―― 2013(H25).6.19. 安倍総理大臣・経済政策に関する講演 (於・ロンドン)

④ みなさま、私は、私の愛する国を積極的平和主義の国にしようと、決意
 しています。いまや私にはわかりました。私に与えられた歴史的使命とは
 まずは日本に再び活力を与えること、日本人に、もっと前向きになるよ
 う励ますこと、そうすることによって積極的平和主義のための旗の、誇ら
 しい担い手となるよう、促していくことなのだと思います。
     ―― 2013(H25).9.25. ハーマン・カーン賞受賞に際しての安倍内閣総理
                  大臣スピーチ(ワシントン Hudson Institute)


なお上の②は、1952年(昭和27年)4月28日、敗戦国日本の被占領統治が終わったことを記念して祝う式典での言葉です。

しかし沖縄は日本と切りはなされて解放されず、その後も20年間米国統治がつづきました。このため、沖縄では「屈辱の日」とされている4月28日、1万人規模の抗議集会が開かれました。基地問題への抗議であり、日本政府への抗議でもありました。


<深刻な危機意識の源は北朝鮮と中国>

安倍首相に旺盛な使命感をもたらしたものは、上の①に言う「国家的な危機」という意識です。そして、日本アカメディアでのスピーチが安倍首相に深刻な危機意識をもたらしたものが何であるか、端的に明らかにしています。北朝鮮と、そしてそれ以上に、大国化していく中国です。


⑤ 北朝鮮による核・ミサイルの問題があります。中国が、一方的に、防空
 識別区を設定しました。尖閣諸島周辺では、領海侵入が相次いでいます。
 力による現状変更の試みは、決して受け入れることはできません。南西地
 域をはじめ、我が国周辺の広い海、そして空において、安全を確保するた
 め、自らの防衛態勢を強化することが必要です。
  ―― 2013(H25).12.19. 日本アカデメイア 安倍内閣総理大臣スピーチ(政策抱負)



<「積極的平和主義」とは強い国、一級国家のこと>

安倍首相の言う「積極的平和主義」とは、強い日本をめざす政策です。(参照、前記事安倍研究(3) 安倍首相の『積極的平和主義』は『強い日本』を志向する) そして、ワシントンの保守系シンクタンク「戦略問題研究センター(CSIS)」で語ったように、一級国家であるための「積極的平和主義」です。


⑥ アーミテージさん、わたしからお答えします。日本は今も、これからも、
 二級国家にはなりません。それが、ここでわたしがいちばん言いたかっ
 たことであります。繰り返して申します。わたくしは、カムバックをいた
 しました。日本も、そうでなくてはなりません。
    ―― 2013(H25).2.23. 日本は戻ってきました(CSISでの政策スピーチ)



<「積極的平和主義」を担うのは自衛隊である>

結局、どのようなことばで語ろうとも、安倍首相に「積極的平和主義」を発動させた唯一の理由は中国の大国化による「東シナ海・南シナ海の波高し」なのです。

そして、第一次安倍政権から引き続いての課題はペルシャ湾~ホルムズ海峡の原油ルート、紅海~アデン湾の貿易ルートでした。

安倍首相は「積極的平和主義」の拠るべき力の中心が日米同盟にあり、自衛隊にあると語っています。

⑦ 日本は、世界の平和と安定のため、これまで以上に積極的に貢献してい
 かねばなりません。私は、「積極的平和主義」こそが、我が国の21世紀
 の看板であると考えます。日米同盟が、その「鎖」の中心であるべきは言
 うまでもありません。
 ―― 2013(H25).10.27. 平成25年度自衛隊記念日観閲式
                             安倍内閣総理大臣訓示

 

⑧ そして、この「積極的平和主義」の実践は、その士気と能力の高さで、
 世界から評価される、諸君たち自衛隊の存在を抜きに、語ることはできま
 せん。   ―― 2014(H26).10.26. 防衛省・自衛隊60周年記念航空観閲式
                      安倍内閣総理大臣訓示



<「積極的平和主義」は「抑止力」の言い替えにすぎない>

安倍首相の持論は「自衛隊の防衛力強化と日米同盟強化による抑止力」であり、そのことを「積極的平和主義」と言い替えているにすぎない、と言えるでしょう。

しかし、日本側から見る「抑止力」は、日米同盟の枠外にある中露からは自国への「攻撃力」と見えます。当然のことです。「抑止力」とは相手国への脅しなのですから。

尖閣への中国の圧力が、日本の危機感を高めました。しかしそれ以前に、日米安保の基地列島でもある日本列島・沖縄は、中国を威圧してきました。自国からの一方的な観点に熱を上げるだけでなく、相手側からの視点も冷静に見ておきたい。

安倍首相は日米同盟に熱を上げ、太平洋~インド洋の海洋守護神であるかのように振る舞っています。不安でなりません。


⑨ 周知の通り、北朝鮮の脅威に関連して、日本はミサイル防衛分野におけ
 る努力を活発化させている。ミサイル防衛分野に関する日本の計画に、中
 国というファクターも影響を与える、と考えても間違いではないか。私の
 理解では、日本のミサイル防衛システムは、米国の進めるグローバルなミ
 サイル防衛システムの一部になろうとしている。ロシアはこれまでアメリ
 カの計画に対して懸念を示し、米国政府に対し、このシステムがロシアに
 向けられたものではないという法的保証を要求した。もし、同様の要求を
 行った際、日本はロシアに対してそのような法的保証を与えてくれるのか
 。   ―― 2014(H26).2.8. 内外記者会見(ロシア・ソチ)
                  インターファクス通信・ドミトリー記者の質問

       (参照)安倍首相のスピーチなど → 官邸ホームページ


<安倍研究シリーズ・リンク>
2015-04-02
安倍研究 (1) 政治の混乱の中で生まれた安倍総理就任記者会見
2015-04-03
安倍研究 (2) 日本防衛の対象は遠くインド・中東、アデン湾・ホルムズ海峡・インド洋・太平洋・南シナ海まで
2015-04-06
安倍研究 (3) 安倍首相の「積極的平和主義」は「強い日本」を志向する
2015-04-07
安倍研究 (4) 「積極的平和主義」への安倍首相の使命感は自衛隊に向う
2015-04-08
安倍研究 (5) 首相外交演説で「祝詞(のりと)ことば」! そこに安倍晋三の本性を見る
2015-04-11
安倍研究 (6) 東京育ちの長州人――敗戦で滅びた明治維新型日本のリメーク版をめざす
2015-04-12
安倍研究 (7) 吉田松陰の日本国防策、そして滅びた明治維新型日本
2015-04-13
安倍研究 (8) 「戦後レジームからの脱却」は「戦後70年の平和からの脱却」だ
2015-04-15
安倍研究 (9) 思想的バックボーンは「維新長州」、 心の支えは祖父・岸信介
2015-04-17
安倍研究 (10) 安倍首相は神道政治連盟会長、神道政治連盟と神社本庁と伊勢神宮の関係
2015-06-16
安倍研究 (11) 安倍首相―長谷川NHK経営委員―日本会議
2015-06-17
安倍研究 (12) 安倍「神道」政権そのもの――日本会議をご紹介
2015-06-23
安倍研究 (13止) アトランダムなまとめ――天皇と伊勢神宮を精神世界の頂点に置く


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<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。



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