9月28日、臨時国会召集、衆議院冒頭解散、10月29日投票 (※9.16報道の後に投票日は10.22と確定しました)、というニュースが昨晩(9月16日)から一斉に伝えられています。
晩秋から年末が北朝鮮問題の山場だという説が流れています。冬場の北朝鮮の寒気は日本よりはるかに厳しい。国連経済制裁の効果が北朝鮮軍民に及ぼす影響を推し量ってのことでしょう。
そのころに、万一、米国による北朝鮮軍事力行使があるかもしれない。来年9月の自民党総裁選挙で総裁3選を勝ち取って長期政権に臨みたい安倍晋三首相は、それには解散は今しかないと判断したと、ニュースは伝えています。
北朝鮮軍事力行使とは北朝鮮攻撃であり、戦争です。
北朝鮮側では、戦争になるならば、しろうと考えですが、38度線にあるという長距離砲の大群でソウルの壊滅を狙うでしょう。
グアムを狙える性能のミサイルの数はわずかでしょうから、北朝鮮のミサイルがまず狙うのは日本かもしれません。
沖縄及び日本列島は強力な米軍の攻撃基地ですし、一昨年の憲法9条解釈変更後の日本自衛隊はこれまで以上に、米軍と一体化した作戦行動をすることになります。日本自衛隊には、護衛及び補給任務に従事する米軍の東アジア方面軍ともいうべき役割が与えられています。
この場合、通常弾頭ミサイルなら、日米の北朝鮮攻撃力を減じるために日本列島内の米空軍出撃基地(三沢・横田・嘉手納)をねらうかもしれません。あるいは原発をねらうかもしれません。一発勝負の核弾頭ミサイルなら、東京そのものか、東京に電力喪失や放射能の被害を大きく与える位置の原発を狙うことだって考えられます。
こういう想像をさせるほどの不安を国民に与えているのが現下の北朝鮮情勢です。
安倍首相は北朝鮮問題について、毅然として対応すべきという持論です。これはよろしいが、毅然として対応するという内には、安倍首相の数々のスピーチから、軍事対応が含まれている、と確信をもって言えます。軍事対応とは戦争のことです。
安倍首相はトランプ大統領を鼓舞しているように見えます。それだけでなく、アメリカが万一、北朝鮮攻撃を始めた時には、安倍首相の内心では、自衛戦争の名目ができる機会を作って参戦する決心でいるかもしれません。これまで安倍首相を観察してきて、そういう恐れを抱きます。
安倍首相は、晩秋から年末のころに北朝鮮と戦争が始まる可能性があると踏んでいます。北朝鮮問題について安倍首相には、米国トランプ大統領と何度も協議しています。安倍首相は、米軍が北朝鮮攻撃を始める確率がどれくらいか、胸算用があるはずです。万一の開戦の危うさの前に、衆院解散・総選挙をしておこうという算段です。
もう一つ言われていることは、加計問題です。
森友問題では、近畿財務局の官僚がクローズアップされていて、安倍昭恵首相夫人の罪は今のところ逃げ切りしそうな気配です。小学校設立条件の規制緩和をして森友学園の瑞穂の國小学院設立に手を貸した、維新の橋下前大阪府知事と松井現大阪府知事の道義的政治的責任を問う声も出ていません。
森友学園問題は、「規制緩和」の旗印がうさんくさいものだということが、露わになった事件です。
「後援者への支援」という政治的配慮をきっかけにして小学校設立認可基準の規制緩和が行われたと、橋下徹氏のことばで明白になっています。審議会議事録からも、事務局と会長が議論内容に整合しない方向へ結論を導くありさまを読み取ることができます。
一方、加計学園獣医学部新設の戦略特区は、安倍首相が議長を務める諮問会議の決定案件です。これもまた、森友学園と同様に、「規制緩和」の旗印が「利益誘導の道具」に使われています。
これを逃げ切るのは苦しい。たとえ罪にならずとも、安倍首相が親友・加計孝太郎氏と協同して香川県今治市に獣医学部を誘致し、国・県・市の大金の補助金を投入することにしたと、大方の国民は見ているでしょう。
状況証拠という点では疑惑満載の加計学園問題です。通常国会閉会後も新しい事実が出ています。
衆院解散・総選挙の:
第一の理由は、「北朝鮮戦争が始まるとして、その前に」。なぜそうしなければいけないのか。来年9月の自民党総裁選挙に勝って3期目総裁として総理大臣を継続して務めて、憲法改正をしたい。
第二の理由は、臨時国会が始まって加計戦略特区問題の追及が始まると、安倍人気はまた落ちるだろう。7月にあれほど極端に安倍内閣支持率が落ちたのだから、その二の舞は来年9月の自民党総裁3選に不利である。だから臨時国会冒頭解散。
第一、第二の理由は、「自民党総裁選挙3期目に勝利したい」という、安倍首相個人の特別に私的な野心です。
第三の理由は、民進党の山尾志桜里衆院議員の不祥事離党を手始めに、民進党の先行き低迷が見込めること。これを好機と見て解散に利用することは、どの政治家でも考えることでしょう。
許せないのは、日本には落ちないから自衛隊も動かないと説明する状況でありながら、Jアラートで国民を不安に追う一方、Jアラート警報地域内の原発は平常運転をしているという矛盾した政治判断をしていることです。これは北朝鮮問題を政治的に利用している行為です。
そして、迎撃ミサイル「パトリオット」の配備をしたり、日本領空や近接空域で日本戦闘機と米国最新鋭爆撃機との共同訓練や、日本海で日本補給艦が米海軍に洋上補給をしたり、日本イージス艦による米空母護衛というように、対北朝鮮日米示威共同作戦が継続的に行われている緊張した情勢のさなかで、あろうことか、衆議院解散・総選挙をする。
安倍首相は、加計学園や森友学園で私情から発する優遇をしただけでなく、北朝鮮情勢のこの緊迫した国情をも、「自民総裁3選=総理大臣権力離さず」という私的野望に利用しようとしています。