川本ちょっとメモ

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安倍研究(2) 日本防衛の対象は遠くインド・中東、アデン湾・ホルムズ海峡・インド洋・太平洋・南シナ海まで

2015-04-03 23:49:23 | Weblog




<2013年2月22日、日米首脳会談に見る課題別比重>

安倍内閣成立は2012年(平成24年)12月26日。2ヵ月後の2013年(平成25年)2月22日(米ワシントン現地時間、日本時間は23日)、総理就任後初訪米でオバマ大統領と日米首脳会談が行われました。

会談内容が外務省ホームページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/kaidan/s_abe2/vti_1302/us.html に、『日米首脳会談(概要)平成25年2月22日』として掲載されています。

この記事の内訳は――
  ① 日米関係       1020文字
  ② アジア太平洋地域情勢 950文字
  ③ 中東・北アフリカ情勢 331文字
  ④ 経済         1278文字
  ⑤ その他(子の親族)   95文字
              3674文字

①②③は、外交・安全保障問題で2281文字になります。文字量から見ますと、内閣発足から翌年(平成25年)7月参院選までの間国内的に力説していた「経済第一」よりも外交・安全保障分野の方に比重がかかっていることがわかります。これは総理就任記者会見時の文字量比較と同じ結果です。


<日米同盟、一級国家を志向>
2013(H25).2.22. ワシントンCSISでの政策スピーチ

上の首脳会談と同日、現地時間2012年2月22日ワシントンで、安倍首相はCSIS(戦略的国際研究センター)で『日本は戻ってきました』と題してスピーチをしました。CSISは「日米同盟政策提言 アーミテージ・ナイレポート」(参照:当ブログ 2015/3/14、3/18、3/24)という報告書を出したシンクタンクで、安倍首相はこの路線上を走っています。官邸ホームページからスピーチの一部を下に転載しますが、これは安倍首相の外交・安全保障に関する基本路線を簡潔に示しています。


アーミテージさん、わたしからお答えします。日本は今も、これからも、二級国家にはなりません。それが、ここでわたしがいちばん言いたかったことであります。繰り返して申します。わたくしは、カムバックをいたしました。日本も、そうでなくてはなりません。

 総理の職を離れて、5年という長い年月を送りました。それは、わたしにとって省察の時となりました。何はともあれ、これからの日本はどこに立つべきか、ということについてであります。あれこれが、果たして日本にはできるだろうかとは考えませんでした。何を、日本はなし続けねばならないかに、関心が向くのが常でした。そのような場合、変わらず胸中にありましたのは、次の3つの課題であります。

 いまや<アジア・太平洋地域、インド・太平洋地域は、ますますもって豊かになりつつあります。そこにおける日本とは、ルールのプロモーターとして主導的な地位にあらねばなりません。ここで言いますルールとは、貿易、投資、知的財産権、労働や環境を律するルールのことです。

 第二に、日本はこれからも、誰しもすべてを益すべく十分に開かれた海洋公共財など、グローバルコモンズの守護者であり続けねばなりません。

 日本とはかような意欲を持つ国でありますからこそ、第三に、わが国は米国はじめ、韓国、豪州など、志を同じくする一円の民主主義各国と、いままで以上に力を合わせなくてはなりません。

 ルールの増進者であって、コモンズ(※公共財)の守護者、そして米国など民主主義諸国にとって力を発揮できる同盟相手であり、仲間である国。これらはすべて、日本が満たさなくてはならない役割なのです。



<安倍首相の「安全保障」基本認識>
2013(H25).9.12. 第四十八回自衛隊高級幹部会同 安倍内閣総理大臣訓示

2月訪米から7月参議院選勝利を経た9月。自衛隊での訓示では、日米同盟を前提として「法の支配」「海洋の自由」という価値観を共有する豪州、インド、
ASEAN諸国など海洋アジア諸国と力を合わせていきたいとし、「日米安保体制は公共財」であるとしています。

ここで、東南アジアからインド、中東までという諸国・海域の安定が日本の安全のために必要だと明示されました。そして安倍首相は、日米安保条約は、海洋の平和と安定を守るために必要な公共財だと言っています。通商交通路の安全と自由確保という海洋公共財の考え方と、特定国の安全保障条約を同列に公共財とするのは、理屈に合いません。

自衛隊高級幹部会同総理大臣訓示から「安全保障」基本認識を示すものを下に転記します。


① 我が国の主権に対する相次ぐ挑発。我が国を取り巻く安全保障環境が厳し
  さを増す「現実」から、私たちは、目を背けることはできません。
② ペルシャ湾、ホルムズ海峡の安定、マラッカ海峡から南シナ海の平和など
  、世界に広がるシーレーンの確保は、資源小国の我が国にとって、死活的
  な問題であります。
③ 世界の平和と安定に寄与し、積極的な責任を果たすことなくして、我が国
  自身の平和を守ることはできません。
④ 日米安保体制は、地域の平和と安定のための大切な公共財であります。こ
  の抑止力を高めるためにも、我々は、更なる役割を果たしていかねばなり
  ません。
⑤ 地球儀を俯瞰する視点で、豪州、インド、ASEAN諸国など海洋アジア
  諸国をはじめ、「法の支配」や「海洋の自由」といった価値観を共有する
  国々と連携し、外交・安全保障面での結びつきを強めてまいります。


<安倍研究シリーズ・リンク>
2015-04-02
安倍研究 (1) 政治の混乱の中で生まれた安倍総理就任記者会見
2015-04-03
安倍研究 (2) 日本防衛の対象は遠くインド・中東、アデン湾・ホルムズ海峡・インド洋・太平洋・南シナ海まで
2015-04-06
安倍研究 (3) 安倍首相の「積極的平和主義」は「強い日本」を志向する
2015-04-07
安倍研究 (4) 「積極的平和主義」への安倍首相の使命感は自衛隊に向う
2015-04-08
安倍研究 (5) 首相外交演説で「祝詞(のりと)ことば」! そこに安倍晋三の本性を見る
2015-04-11
安倍研究 (6) 東京育ちの長州人――敗戦で滅びた明治維新型日本のリメーク版をめざす
2015-04-12
安倍研究 (7) 吉田松陰の日本国防策、そして滅びた明治維新型日本
2015-04-13
安倍研究 (8) 「戦後レジームからの脱却」は「戦後70年の平和からの脱却」だ
2015-04-15
安倍研究 (9) 思想的バックボーンは「維新長州」、 心の支えは祖父・岸信介
2015-04-17
安倍研究 (10) 安倍首相は神道政治連盟会長、神道政治連盟と神社本庁と伊勢神宮の関係
2015-06-16
安倍研究 (11) 安倍首相―長谷川NHK経営委員―日本会議
2015-06-17
安倍研究 (12) 安倍「神道」政権そのもの――日本会議をご紹介
2015-06-23
安倍研究 (13止) アトランダムなまとめ――天皇と伊勢神宮を精神世界の頂点に置く


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<私のアピール>
2012年末の安倍政権成立以後の短年月、武器輸出3原則を廃し、特定秘密保護法の新設、憲法9条解釈変更の7・1閣議決定(集団的自衛権ほか)と、先行き不安な政策ばかり急激に推進されています。安倍内閣の政治手法は民主主義下の独裁と見えて、危険です。安倍総理退陣まで、来夏参議院選挙で自民党に“No”を。



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