川本ちょっとメモ

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大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(3) 事件に対する大分県警の対応

2016-11-05 23:13:15 | Weblog
左図は、ビデオカメラと建物との盗撮監視位置関係図。右写真は、隠しカメラが見つかった別府地区労働福祉会館。出入りする人が写るように、手前の木の幹に1台が取り付けられていた。 =西日本新聞8月4日から転載。


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この事件は、監視されていた側の別府地区労働福祉会館の被害関係者が盗撮ビデオカメラを発見し、設置した側の顔や音声が偶然に記録されていたことから、明るみに出ました。設置した側の顔と音声が残されていなければ、警察に届けていても、犯人不明のまま処理されていたであろうことは容易に想像できます。

しかしながら余りに明白な映像・音声が盗撮監視被害関係者の手に渡ったため、労働組合・政党・県議会・市議会など関係各方面や世論の批判が大きく巻き起こりました。このため大分県警は犯人として警察官4人を建造物侵入容疑で8月26日に書類送検し、9月27日、別府簡易裁判所が罰金を科する略式命令を出して、事件の処理が終わりました。

略式命令というのは、事件の内容が軽微で罰金が科される犯罪で被疑者が犯罪事実を認めている場合に、簡易裁判所が検察官からの提出資料のみで審理を行い、罰金を科する手続きです。不起訴処分ではありません。

この略式命令という結果について、毎日新聞(2016/10/04)は次のように伝えています。

   ◇

<毎日新聞(2016/10/04)記事>
 大分県警別府署が参院選の公示前後に野党支援団体の敷地に無断で隠しカメラを設置した事件で、別府簡裁は、建造物侵入罪で略式起訴された当時の署員4人に対し、罰金5万〜10万円の略式命令を出した。9月27日付。

 大分地裁によると罰金額は当時同署刑事官だった阿南和幸・県警地域課次席(53)が10万円、刑事2課長だった守口真一・同署留置管理課長(49)が7万円。カメラを設置した当時警部補(33)と巡査部長(31)は5万円。大分地検などによると4人は共謀して参院選前の6月18〜21日、大分県別府市の別府地区労働福祉会館の敷地に5回侵入した。県警監察課は略式命令について「再発防止に努めたい」としている。

   ◇

 9月6日、大分県警本部長の定例記者会見が一方的な事件説明のみで、報道陣の質問を受け付けず1分半で打ち切られました。また、この事件について大分県警の説明が変転していました。
 
 ビデオカメラ設置場所について、8月3日、公有地だと思っていた、と説明しました。8月5日、私有地だとわかって侵入した、と説明しました。
 
 ビデオカメラ設置の許可権限について、8月3日、所轄警察署が判断する、と説明しました。8月26日、今回のような重要事案では県警本部の判断を受けるべきだった、と説明しました。

 このような大分県警の対応について、西日本新聞(2016/09/07 02:28 )がくわしく伝えています。

   ◇

<西日本新聞(2016/09/07 )記事>
 大分県警別府署による隠しカメラ事件について、県警の松坂規生(のりお)本部長(50)が6日の定例記者会見で、事件後初めてテレビカメラの前に現れ、「関係者におわび申し上げる」などと陳謝した。だが、質問は一切受け付けず、わずか1分半で終了。実は事件発覚以降、大分県警記者クラブは再三、記者会見で事件を説明するよう求めたが、県警は会見や、本部長がテレビカメラの前で説明することを拒み続けてきた。この間の県警と記者クラブのやりとりを明らかにする。

 「警察に対する県民の期待と信頼を損なう事態となった」「県民の皆さまに申し訳ない」。6日、松坂本部長は時折、手元に目を落としながら陳謝の言葉を述べた。だが、最後まで頭を下げることはなく、コメントが終わるとテレビカメラを退席させた。

 事件発覚翌日の8月4日、県警記者クラブは県警幹部による記者会見を要請。だが、県警はこれを拒み、同5日にあった定例記者会見で、松坂本部長はテレビカメラを退席させた後、「他人の管理する土地に無断で立ち入ったことは不適切な行為だった」と述べた。

 同26日、県警は別府署の捜査員4人を建造物侵入容疑で書類送検。だが、松坂本部長は「適正捜査の指導を徹底する」と紙でコメントを出しただけ。江熊春彦首席監察官ら幹部3人は謝罪文を読み上げた後、「これは記者会見ではないので、撮影はできない」とテレビ・新聞のカメラマンを退席させた。

 県警はカメラの前で記者会見を開かない理由を「複雑な事案であり、カメラが入り、ミスが許されない会見では受け答えが紋切り型になり、真意が正しく伝わらないため」と説明した。

 記者クラブ側は同じ26日、9月の定例会見では、松坂本部長が(1)書類送検や処分についてどう考えるか(2)ビデオカメラを使った捜査の在り方への見解-などについて、カメラの前で記者の質問に答えるよう要請。

 だが、県警は「(8月26日の)発表コメントと重複する」などと拒否。クラブ側の再三の抗議で、松坂本部長がカメラの前で「所感」を述べるが、「記者クラブからの質問に答えるのではなく、県民への説明なので質問は控えてほしい」という条件を付けた。クラブ側も一定の理解を示し、この条件を受け入れた。

 松坂本部長は質問を拒んだ「所感」で、こう述べた。「損なわれた信頼を回復するため、組織を上げて適正捜査の推進に尽力してまいる所存であります」

 ■質問拒否あきれる ジャーナリストの大谷昭宏氏の話

 この期に及んで大分県警が隠しカメラの件を本部長に質問しないよう、記者クラブに要請したとはあきれるばかりだ。本部長がカメラの前で記者の質問を受け、説明することを拒んでいるのは、間違った捜査手法と本心では思っていない証拠だ。1日に警察庁の坂口正芳長官がカメラの前で「不適正な捜査で誠に遺憾」と先に頭を下げてしまい、今回は仕方なくという態度がみえみえだ。

 ■トップこそ説明を 京都産業大の成田秀樹教授(刑事訴訟法)の話

 今回の隠しカメラ事件はプライバシー侵害というレベルでなく、選挙の公正や結社の自由など民主主義の根幹を揺るがす問題。大分県警には別府署を指導、監督しなければいけない責任があり、本部長がしっかりと事実関係を述べ、謝罪しなければいけなかった。本部長が記者会見で説明することで自浄作用を発揮し、県警への不信感も拭えたはずなのに、今回、対応が遅れた感は否めない。

 ■大分県警の説明二転三転

 隠しカメラ事件で大分県警は、事件への説明も二転三転させた。

 事件が発覚した8月3日、県警本部刑事企画課は「署員は公有地と誤認してカメラを設置した」と説明。捜査におけるカメラの設置は「ケース・バイ・ケースで署が判断する」としていた。

 だが、同5日の定例会見で小代義之刑事部長は「(署員は)私有地だと分かっていて侵入した」と説明を一転させた。県警に対する批判が強まる中、同26日には設置目的を「選挙運動が禁止されている特定の人を録画するため」と明かした。さらに、「今回のような重要事案では(カメラの設置は)本部に報告し、判断すべきだった」と説明を変えた。

 県警は9月6日の定例会見では再発防止策として、各署が捜査でカメラを使う場合、県警本部との事前協議を義務付けたと発表した。

 一方、今回の事件は「別府署独自の判断で、県警本部は関知していない」という立場は一貫。6日も「(別府署から)報告や相談があれば防げた。本当に残念」と説明した。

 事件については6日、市民団体「平和をめざすオールおおいた」が県警に真相究明を申し入れた。7日に開会する県議会で与野党が追及する構え。臨時国会でも取り上げられる見通しで、幕引きとはなりそうにない。


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