免許保有者事故1位16~19歳、2位75歳以上、3位20~24歳 / 運転操作不適事故1位75歳以上、2位40~49歳、3位50~59歳
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2005年(H17)高速道路バイク2人解禁に見る交通政治とバイクメーカー
2016/11/28
高齢者運転事故続発……自動車メーカーには製品責任がありませんか? 国土交通省・警察庁には製品改良・補助装置普及の責任がありませんか?
2016/11/30
国土交通省交通政策審議会報告書の「踏みまちがい防止装置」で高齢者のアクセル「踏みまちがい件数」は減りません
国土交通省交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会技術安全ワーキンググループが、「交通事故のない社会を目指した今後の車両の安全対策のあり方について 平成 28 年 6 月 24 日」という報告書をまとめていますが、時期的に見てこの報告書をもとにした施策はこれからの目標といった段階ではないでしょうか。
この報告書62~63ページに「3.高齢者が加害者となる事故への対策」の(イ)具体的な対策の方向性、で次のように記載されています。
◇
○ 高齢者が操作を誤っても、車両側の技術により事故を防止し、被害を軽減で
きる対策の開発・普及の促進
自動ブレーキ、車線維持装置、踏み間違い防止装置など高齢者が操作を誤っても事故を防止し、被害を軽減できる対策の開発・普及を促進すべきである。また、踏み間違い防止装置など実用化済みの技術については自動車アセスメント等を通じた普及促進策を検討する。
【参考】
▽踏み間違い防止装置採用メーカー(音順):
スズキ、スバル、ダイハツ、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ
▽新車搭載率: 32.2%(平成 26 年) 日本自動車工業会調べ
▽踏み間違い防止装置(※トップ写真の説明):
① 万一アクセルペダルを誤って踏み込んでしまったとき、ドライバーにメーター内の警告灯とブザーで警告
② 自動的にエンジン出力やブレーキを制御することで、障害物への衝突防止や過度の加速の防止を支援
◇
上の交通政策審議会の報告書に、高齢者の「踏みまちがい防止装置」と記載されています。その内容を読めば、踏みまちがいの防止ではありません。これは、踏みまちがいを予防するものではなくて、踏みまちがってアクセルペダルをグイッと踏みこんでしまったら……ということへの対処策です。
本来なら、踏みまちがいの発生を未然に防ぐ装置を開発し、踏みまちがいそのものの発生件数を減らすことが施策の目標であるはず。それなのに、踏みまちがいの原因である既存の装置はそのままです。なんということでしょうか。このお粗末な高齢者事故防止策を国の審議会の技術安全ワーキンググループが出していて、国土交通省の交通安全行政に反映されていくのです。
上記「踏みまちがい防止装置①」の警告灯とブザーで警告することは、実際には役に立ちません。
まちがって急前進して、コンビニ駐車場の車が店に突っこんだり、開業医の駐車場から飛び出して通りがかりの通行人をはねたりした事故例があります。運転者に警告灯を視認するゆとりがないでしょうし、警告ブザーに対応できる動作をするまでに対人対物事故が起きてしまっているでしょう。
上記「踏みまちがい防止装置②」はセンサーとマイコン制御による対策装置です。これは、センサーやマイコンの誤作動への疑念がつきまといます。パソコンを使っていてつきまとうことは、こうした電子装置にもつきまとうと考えておいた方が良いでしょう。
■なぜ従来ペダル前提の対策なのか
報告書では、従来型「右足踏み2ペダル」方式が前提になっています。既存の製品を改良しなければいけないときに、既存の製品を改良しないで対策を立てる理由は何なんでしょうか。
考えられる一つの理由。免許証を取得してからずっとオートマチック車=「右足踏み2ペダル」だけを運転してきた人が余りに多いことです。そのためにこれとは違う方式で運転するとなれば、一時的に運転者が手慣れないことで事故が増えるかもしれません
考えられるもう一つの理由。国土交通省が自動車メーカーあるいは部品メーカーの製造効率や製造経済性を尊重して、従来型「右足踏み2ペダル」方式の継続を前提にした対策を自明のこととしているのかもしれません。
食品の場合、スーパーマーケットで売った商品から異物が発見されたり、食中毒が報告されたりすると、食品メーカーは同種全商品を回収します。自主回収の場合もあれば、保健所命令による回収の場合もあります。
自動車のフットペダル事故が社会問題化している現状を考慮すれば、本来、事故を起こしやすい欠陥構造商品として、国土交通省がメーカーに回収を命じるべき状況だと考えます。高齢者個人に事故責任を押しつけて済ませるだけでは問題解決になりません。
■報告書の「踏みまちがい防止装置」で「踏みまちがい」件数は減りません
この交通政策審議会報告書93ページ、図3-2-2 踏みまちがい防止装置(※このブログ記事の冒頭写真)の写真と説明を見てください。
「踏みまちがい防止装置」という用語であれば、読む人は、踏みまちがい予防のための装置であると誤解します。しかし正しくは「踏みまちがい後対策装置」というべきもので、踏みまちがいを予防するための装置ではありません。したがって「踏みまちがい」そのものの発生件数が減ることはないでしょう。増えることはあるとしても。
アクセルとブレーキを足と手の動作に分けるとか、足の動作を使わずに手の動作にするとかして、とにかく現状のペダル配置と右足動作のセットに変更改良を加えて、現状の「ペダル踏みまちがい」件数を減らすことを目指さなければ、根本的な解決にならないと考えます。
これには、身体障害者向け運転補助装置 ①、② などが参考になりますし、そのまま使えます。しかしながら、上のピンク②をクリックして見ていただきたいのですが、手動運転補助装置の価格は27万円です。余りに高い。いくら良いものであっても、これでは普及の障害になります。
自動車ブレーキとアクセルのフットツーペダル方式から片方または両方ハンド式、あるいはフットとハンドのどちらからも制御できるフット・ハンドのダブル制御方式などの開発は、今の自動車技術ならば難しくないことだろうし、無理を承知で言えば数万円ていどの車両価格上昇で抑えられるはず。
国が力を入れて自動車メーカーを督励するよう望みます。円安誘導をして自動車メーカーに売り上げ利益誘導をするだけが政府の役割ではありません。