川本ちょっとメモ

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国土交通省交通政策審議会報告書の「踏みまちがい防止装置」で高齢者のアクセル「踏みまちがい件数」は減りません

2016-11-30 03:24:55 | Weblog
2016/11/21
免許保有者事故1位16~19歳、2位75歳以上、3位20~24歳 / 運転操作不適事故1位75歳以上、2位40~49歳、3位50~59歳
2016/11/23
2005年(H17)高速道路バイク2人解禁に見る交通政治とバイクメーカー
2016/11/28
高齢者運転事故続発……自動車メーカーには製品責任がありませんか? 国土交通省・警察庁には製品改良・補助装置普及の責任がありませんか?
2016/11/30
国土交通省交通政策審議会報告書の「踏みまちがい防止装置」で高齢者のアクセル「踏みまちがい件数」は減りません




国土交通省交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会技術安全ワーキンググループが、「交通事故のない社会を目指した今後の車両の安全対策のあり方について 平成 28 年 6 月 24 日」という報告書をまとめていますが、時期的に見てこの報告書をもとにした施策はこれからの目標といった段階ではないでしょうか。

この報告書62~63ページに「3.高齢者が加害者となる事故への対策」の(イ)具体的な対策の方向性、で次のように記載されています。

   ◇

○ 高齢者が操作を誤っても、車両側の技術により事故を防止し、被害を軽減で
  きる対策の開発・普及の促進


自動ブレーキ、車線維持装置、踏み間違い防止装置など高齢者が操作を誤っても事故を防止し、被害を軽減できる対策の開発・普及を促進すべきである。また、踏み間違い防止装置など実用化済みの技術については自動車アセスメント等を通じた普及促進策を検討する。

【参考】

▽踏み間違い防止装置採用メーカー(音順):
 スズキ、スバル、ダイハツ、トヨタ、日産、ホンダ、マツダ

▽新車搭載率: 32.2%(平成 26 年) 日本自動車工業会調べ

▽踏み間違い防止装置(※トップ写真の説明)
 ① 万一アクセルペダルを誤って踏み込んでしまったとき、ドライバーにメーター内の警告灯とブザーで警告
 ② 自動的にエンジン出力やブレーキを制御することで、障害物への衝突防止や過度の加速の防止を支援

   ◇

上の交通政策審議会の報告書に、高齢者の「踏みまちがい防止装置」と記載されています。その内容を読めば、踏みまちがいの防止ではありません。これは、踏みまちがいを予防するものではなくて、踏みまちがってアクセルペダルをグイッと踏みこんでしまったら……ということへの対処策です。

本来なら、踏みまちがいの発生を未然に防ぐ装置を開発し、踏みまちがいそのものの発生件数を減らすことが施策の目標であるはず。それなのに、踏みまちがいの原因である既存の装置はそのままです。なんということでしょうか。このお粗末な高齢者事故防止策を国の審議会の技術安全ワーキンググループが出していて、国土交通省の交通安全行政に反映されていくのです。


上記「踏みまちがい防止装置①」の警告灯とブザーで警告することは、実際には役に立ちません。

まちがって急前進して、コンビニ駐車場の車が店に突っこんだり、開業医の駐車場から飛び出して通りがかりの通行人をはねたりした事故例があります。運転者に警告灯を視認するゆとりがないでしょうし、警告ブザーに対応できる動作をするまでに対人対物事故が起きてしまっているでしょう。

上記「踏みまちがい防止装置②」はセンサーとマイコン制御による対策装置です。これは、センサーやマイコンの誤作動への疑念がつきまといます。パソコンを使っていてつきまとうことは、こうした電子装置にもつきまとうと考えておいた方が良いでしょう。


なぜ従来ペダル前提の対策なのか

報告書では、従来型「右足踏み2ペダル」方式が前提になっています。既存の製品を改良しなければいけないときに、既存の製品を改良しないで対策を立てる理由は何なんでしょうか。

考えられる一つの理由。免許証を取得してからずっとオートマチック車=「右足踏み2ペダル」だけを運転してきた人が余りに多いことです。そのためにこれとは違う方式で運転するとなれば、一時的に運転者が手慣れないことで事故が増えるかもしれません

考えられるもう一つの理由。国土交通省が自動車メーカーあるいは部品メーカーの製造効率や製造経済性を尊重して、従来型「右足踏み2ペダル」方式の継続を前提にした対策を自明のこととしているのかもしれません。

食品の場合、スーパーマーケットで売った商品から異物が発見されたり、食中毒が報告されたりすると、食品メーカーは同種全商品を回収します。自主回収の場合もあれば、保健所命令による回収の場合もあります。

自動車のフットペダル事故が社会問題化している現状を考慮すれば、本来、事故を起こしやすい欠陥構造商品として、国土交通省がメーカーに回収を命じるべき状況だと考えます。高齢者個人に事故責任を押しつけて済ませるだけでは問題解決になりません。



報告書の「踏みまちがい防止装置」で「踏みまちがい」件数は減りません

この交通政策審議会報告書93ページ、図3-2-2 踏みまちがい防止装置(※このブログ記事の冒頭写真)の写真と説明を見てください。

「踏みまちがい防止装置」という用語であれば、読む人は、踏みまちがい予防のための装置であると誤解します。しかし正しくは「踏みまちがい後対策装置」というべきもので、踏みまちがいを予防するための装置ではありません。したがって「踏みまちがい」そのものの発生件数が減ることはないでしょう。増えることはあるとしても。

アクセルとブレーキを足と手の動作に分けるとか、足の動作を使わずに手の動作にするとかして、とにかく現状のペダル配置と右足動作のセットに変更改良を加えて、現状の「ペダル踏みまちがい」件数を減らすことを目指さなければ、根本的な解決にならないと考えます。

これには、身体障害者向け運転補助装置 などが参考になりますし、そのまま使えます。しかしながら、上のピンク②をクリックして見ていただきたいのですが、手動運転補助装置の価格は27万円です。余りに高い。いくら良いものであっても、これでは普及の障害になります。

自動車ブレーキとアクセルのフットツーペダル方式から片方または両方ハンド式、あるいはフットとハンドのどちらからも制御できるフット・ハンドのダブル制御方式などの開発は、今の自動車技術ならば難しくないことだろうし、無理を承知で言えば数万円ていどの車両価格上昇で抑えられるはず。


国が力を入れて自動車メーカーを督励するよう望みます。円安誘導をして自動車メーカーに売り上げ利益誘導をするだけが政府の役割ではありません。



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高齢者運転事故続発……自動車メーカーには製品責任がありませんか? 国土交通省・警察庁には製品改良・補助装置普及の責任がありませんか?

2016-11-28 23:30:23 | Weblog
2016/11/21
免許保有者事故1位16~19歳、2位75歳以上、3位20~24歳 / 運転操作不適事故1位75歳以上、2位40~49歳、3位50~59歳
2016/11/23
2005年(H17)高速道路バイク2人解禁に見る交通政治とバイクメーカー
2016/11/28
高齢者運転事故続発……自動車メーカーには製品責任がありませんか? 国土交通省・警察庁には製品改良・補助装置普及の責任がありませんか?
2016/11/30
国土交通省交通政策審議会報告書の「踏みまちがい防止装置」で高齢者のアクセル「踏みまちがい件数」は減りません



朝日新聞デジタル記事 2016/11/28 19:10
78歳運転の車が急発進、2人はねた疑い

 乗用車を急発進させて20代の男性2人をはね、軽傷を負わせたとして、大阪府警は28日、同府羽曳野市はびきの4丁目の無職の男(78)を、自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致傷)の疑いで現行犯逮捕し、発表した。「車を駐車させる際にフェンスにぶつけ、あわててアクセルを一気に踏み込んでしまった」と供述した。28日中に釈放したという。

 羽曳野署によると、男は28日午前8時55分ごろ、自宅近くの市道沿いの診療所の駐車場に車を止めようとした際、車の後部がフェンスに衝突し、直後に急発進。道を横切って自転車に乗っていた1人をはね、さらに急ハンドルを切ってUターンする形で診療所北側の歩道に乗り上げて歩行者をはね、2人に打撲などを負わせた疑いがある。

 車は学習塾のシャッターにぶつかって停止した。男に認知症などの病気は確認されていないという。

  ◇   ◇   ◇

ベビーブーム世代が後期高齢世代に

2006年9月27日、厚生労働省の「介護施設等のあり方に関する委員会」第1回が開催されました。その資料4 今後の高齢化の進展~2025年の超高齢社会像~ の冒頭には、「平成 27(2015)年には『ベビーブーム世代』が前期高齢者(65~74 歳)に到達し」とあります。

「べビーブーム世代」はその成長に伴って常に、日本の特徴的な社会現象を表してきました。この世代が中卒高卒の年齢時期に達してからというもの、日本経済の高度成長期を実現する労働力として大きく貢献してきました。この世代の貢献がなければ日本経済のこんにちは無かったはず。しかし日本社会はかつてのこの世代の功労を顧みることなく、社会問題や財政問題を悩ます対象として認識するようになりました。

高齢者の自動車運転加害事故が続発して、これについても社会的な問題と認識されるようになりました。ただ、今のところ社会の反応は、高齢者運転事故加害者の無謀運転に対する非難と、高齢免許保有者への運転免許返上運動が始まったことくらいに止まっています。いずれも高齢者個人の責任を追及する事柄です。


75歳以上免許保有者の「運転操作不適」事故死率は24%
自動車メーカーに製品責任、監督官庁に行政責任

警察庁の統計にある「運転操作不適」事故死は343件、うち75歳以上運転当事者が84件で、24%の比率を占めています。「運転操作不適」項目の内訳はわかりませんが、ペダルの踏みまちがいはこの項目に入るでしょう。

この統計を見ると、高齢者のうちでも「75歳以上運転者」がからむ事故死率がほかにくらべて大幅に高い。若い人は「高齢者(65歳以上)は運転するな」と思うかもしれません。けれども同じ若い就労世代でも、地方居住者は単純にそうは思っていません。車なくして生活が成り立たず、自分たちの親世代が免許証を取り上げられたら、自分たち自身の生活に負担がかかるからです。

こういうわけで、高齢者の安全運転の方策を講じることは地方生活者にとって日常生活の質を保つために必須なのであり、厚生労働省の主要な高齢者政策である「健康長寿」増進にとっても、高齢者の外出交流や自立生活は大切な事柄です。さらに高齢世帯のみならず、その子世代の生活にも影響を与える社会問題なのです。

社会問題にまで広がっていることについて原因を追及すれば、「運転者の誤動作を引き起こしやすい運転操作系統」という製品問題に突き当たります。メーカーは改良責任を自覚するべきでしょう。監督官庁はまた改良装置の開発普及を図る行政責任を自覚するべきでしょう。


ペダルに問題がある

高齢者運転事故では、物損事故と人身事故のいずれにあっても、アクセルとブレーキの踏みまちがいが原因であるとニュースで伝えられています。このペダル踏みまちがいにニュース価値があるらしく、ほかの事故原因は余り伝えられていません。

ペダルの踏みまちがいではありませんが、私も非常に焦った経験があります。四十近くの年ごろのことでした。通行車両が少なく、車間距離が十分にあった直線道路で、アクセルペダルに乗せていた右足がすべって足の甲が左に傾き、傾いたままで左のブレーキペダルの下に少し入ってしまいました。一瞬か二瞬かの間、アクセルとブレーキの間に挟まって抜けなくなったのです。幸いに一息か二息の間に足が抜けました。お尻の運転席への座り方に問題があり、そのせいで足の付け根から足首までの動き方に影響を及ぼしたものと、あとで考えました。

このときの経験では、ちょっとしたミスでペダルの間に足先が落ち込んで危ない思いをするなど、製品としての欠陥ではないかと思いました。自動車は簡単に人を死傷させる危険物です。運転者の人為ミスを避けるためのフェイルセーフを追及しつづけることは、自動車メーカーの使命でしょう。


マニュアルシフト車なら…

高齢者のペダル踏みまちがい事故には、製品欠陥としての要素があります。非常に稀なケースですが、駐車場ビルから転落した車だってありました。そしてこれは、オートマチックに特有の事故です。マニュアルシフト車にはなくて、その発展形のオートマチック車に続発するという操作ミスですから、自動車メーカーは事故防止のために改良するべき責務があります。

マニュアルシフトの車ではペダルの踏みまちがい事故は考えられません。前進後進にかかわらず、まちがって急発進をすれば、車は、ガクンときて動かないか、動きかけるとガクガクと振動してすぐに止まってしまいます。


自動車メーカーと監督官庁の怠慢

より便利なオートマチック車を市場に送り出して以後、オートマチック車に特有のペダル原因の事故が続発しているのですから、自動車メーカーに製品改良の責務があるのは明らかです。けれども自動車メーカーが事故防止のために、オートマチック車の操作系の改良に取り組んでいる様子は見えませんし、このことで批判を受けることもありません。

製品としての自動車の監督官庁は国土交通省です。交通安全の観点から自動車を監督しているのは警察庁です。今のところこのことで、両省庁ともに自動車メーカーに事故防止製品対策を要求しているとは聞いておりません。


自動車メーカー・国土交通省・警察庁は
 ペダルを使わない運転装置の改良・普及の促進を

身体障害者の方が運転免許を取って自動車運転をしているのを知っていましたから、ネットを検索してみました。左手でアクセルとブレーキの操作をし、右手で安全にハンドル操作をする装置が簡単に見つかりました。

ユーチューブでも、
身体障害のあるドライバーのための運転補助装置1(旋回グリップの使い方)
運転補助装置 ハンドル旋回装置
【手だけで運転】手動運転装置
など、いくつもの動画がアップされています。
これならペダルを踏まないのですから、アクセルとブレーキの踏みまちがいがありません。

こういう運転補助装置の存在は、身体障害者の方やご家族、あるいは福祉関係の方々の間ではよく知られていることだと思います。しかし、私はこれまで、こういうものがあることをよくは知りませんでした。高齢者の運転事故と身体障害者の運転需要との関連について、連想が働かなかったのです。多くの高齢者やご家族の方々も、私と同じではないかなあと思います。

警察庁や国土交通省は、事故防止のために、こういう運転補助装置の普及・改良をなぜ促進しないのでしょうか? 自動車メーカーはなぜこういうことに取り組まないのでしょうか? なぜ、高齢運転者の事故発生後に、個人の責任に帰することで済ませるのでしょうか?

ついでに言えば、自動運転車や障害物を感知して自動停止する車は、制御している部分のマイコンが故障すればアウトでしょう。マイコンの故障や誤作動は必ず発生します。パソコンがそうですから、マイコン制御の故障や誤作動があるものと私は思っています。「止まらない」という故障はこわい。

それよりも、運転者の操作ミスが起こりにくい製品作りの方が先決だし、こちらの方が価格も安くつくのではないでしょうか。






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2005年(H17)高速道路バイク2人解禁に見る交通政治とバイクメーカー

2016-11-23 23:56:48 | Weblog
2016/11/21
免許保有者事故1位16~19歳、2位75歳以上、3位20~24歳 / 運転操作不適事故1位75歳以上、2位40~49歳、3位50~59歳
2016/11/23
2005年(H17)高速道路バイク2人解禁に見る交通政治とバイクメーカー
2016/11/28
高齢者運転事故続発……自動車メーカーには製品責任がありませんか? 国土交通省・警察庁には製品改良・補助装置普及の責任がありませんか?
2016/11/30
国土交通省交通政策審議会報告書の「踏みまちがい防止装置」で高齢者のアクセル「踏みまちがい件数」は減りません




交通警察の現場では日夜、警察官が事故処理と事故防止に労を重ねています。事故死者数はその功あって、国民の労あって、年々減りつつあります。

誰が見ても危ないのは、バイクです。二輪走行でスピードが出るのですから、こけたらどうなるかぐらいはわかりきったことです。だけどバイクは魅力的。私は独身時代、ヤマハXT200で山間を走るのが好きでした。息子は黄色いドゥカッティに乗っています。

高速道路でバイクの2人乗りは違法でした。あたりまえです。ところがこのアタリマエが追いやられて道路交通法改正、高速道路2人乗りが解禁になりました。2005年(H17)のことです。

50ccの原付バイクなんか、スピード違反だか一旦停止違反だかしらないけれど、そこかしこで警官のお叱りを受けています。現場ではそうなのに、雲の上では道路交通法を変更して高速道路2人乗り解禁です。こけたら死亡事故まちがいなしなのに。

交通行政は事故死者減少を至上命題にしています。これと正反対のことが実行される背景には、バイクの需要不振傾向がありました。このため、バイクメーカーが2人乗り解禁運動をしました。業界の利害が政治を動かしたのです。

需要低下傾向は今もつづいています。需要低下による振り上げ不振の挽回策が、単価の高い大型バイクの売り上げを伸ばすことであり、そのための高速道路2人乗り解禁でした。現場の交通警官がかわいそうです。嘆いたことでしょう。


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免許保有者事故1位16~19歳、2位75歳以上、3位20~24歳 / 運転操作不適事故1位75歳以上、2位40~49歳、3位50~59歳

2016-11-21 22:37:51 | Weblog
2016/11/21
免許保有者事故1位16~19歳、2位75歳以上、3位20~24歳 / 運転操作不適事故1位75歳以上、2位40~49歳、3位50~59歳
2016/11/23
2005年(H17)高速道路バイク2人解禁に見る交通政治とバイクメーカー
2016/11/28
高齢者運転事故続発……自動車メーカーには製品責任がありませんか? 国土交通省・警察庁には製品改良・補助装置普及の責任がありませんか?
2016/11/30
国土交通省交通政策審議会報告書の「踏みまちがい防止装置」で高齢者のアクセル「踏みまちがい件数」は減りません




高齢者の自動車運転加害事故がつづいて、社会的な問題になっています。自動車運転事故は第一義的には運転者個人の責任です。

しかし、引き続いて多発するものであれば、個人的な注意不足等に帰して放置しておくわけにはいきません。

高齢者の運転免許を有効期間1年更新にするとか身体テストのあり方とか、代替交通手段の整備とかは行政上の課題です。行政の責任に帰する課題です。

ペダルの踏み違えなどが原因で事故が続いています。アクセルとブレーキ、前進と後進の操作まちがいがくり返して起きています。

ここまでくれば個人の不注意というよりも、運転ミスが起きやすい自動車、すなわち欠陥自動車を供給しつづけている自動車メーカーの製造責任が問われますし、こういう欠陥自動車の市販を許可している国土交通省の責任も問われるべきです。

高齢者バッシングをして済ますのではなく、欠陥自動車の製造会社と監督官庁の責任に目を向けなければいけません。しかしながらまずは、警察庁の統計を見ておきます。

警察庁「交通事故統計(平成28年10月末)」を閲覧してみました。これは、2016年(H28)1月~10月の間の統計です。


原付以上運転者(第1当事者)年齢層別統計(平成28年1月~10月)
 ※第1当時者……過失の比重がより重い方の事故当事者
 ※運転操作不適……ハンドル操作とかペダルの踏み違えなど


① 免許保有者10万人当たり  ②「運転操作不適」原因
  死亡事故件数         死亡事故件数

16~19歳   11.28 件        21 件
20~24歳   4.70 件        27 件
25~29歳   2.93 件        12 件
30~39歳   2.43 件        33 件
40~49歳   2.88 件        48 件
50~59歳   2.74 件        36 件
60~64歳   2.85 件        26 件
65~69歳   3.11 件        23 件
70~74歳   3.59 件        33 件
75歳以上   7.89 件         84 件
                計  343 件

◎免許保有者10万人当たり死亡事故件数で1位16~19歳、2位75歳以上、3位20~24歳。特に「16歳~19歳」区分が突出しています。免許保有者対策の注力点は第一に24歳以下、第二に高齢者という結果です。

◎「運転操作不適」原因事故で、60~69歳の件数が10区分のうちの8位と、意外に低いことに注目です。

◎高齢者では「75歳以上」が突出しています。75歳以上については免許更新を1年にし、身体機能や認知機能の適格性の認定条件を厳しくしなければいけないと思います。それで合格すれば良し。

◎免許証を返上して車なしになれば、日本の大方を占める地方では、地方都市でさえ、人間らしい生活の維持が困難です。「サファリパークに放し飼いされたヒト」生活状態に陥って、食品スーパーで日々の食べ物を買うことさえ難しくなります。




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トランプ氏へのスタートダッシュは良いけれど安倍批判の立場に立てば

2016-11-19 11:41:20 | Weblog


2016年11月17日、安倍首相とトランプ米国次期大統領の会談が、わが国だけでなく並みいる諸外国の注目を集めました。18日~21日の外交日程を考慮に入れたトランプ氏訪問でしたから、安倍首相にとって大きな成果です。

安倍首相は11月18日、ペルーを訪問してクチンスキ大統領と会談しました。11月19日・20日は同国首都リマでAPEC首脳会議があり、21日にはプーチン・ロシア大統領との会談、21日にアルゼンチン訪問が予定されています。

大統領選中に語られてきたトランプ政策は従来のアメリカとは大きく異なります。そのうえ政治歴がないので、世界中がトランプの米国を注視しています。日本の現在の安倍路線にとっても、経済政策のTPP、日米安保、対中外交のうえで、政権の安定度をゆるがしかねません。

安倍首相にとってはリマAPECの前にトランプ会談を実現して、トランプ氏との間に、相互に政治的感触を得、相互に値踏みをし、相互に友好的人間関係の端緒をつかむことが緊急事でした。

安倍首相のトランプ氏へのスタートダッシュはこのような観点で、日本の指導者としては国内で評価の高いものでしょう。しかしながら安倍路線を貫く目的での会談ですから、安倍批判の立場に立てば、歓迎できるところがありません。

沖縄基地問題はどうなる? TPP推進で食品の遺伝子問題はどうなる? TPP推進で医療費・薬品価格はどうなる? 南スーダンPKOは海外武力行使の突破口か? 原発推進政策も年金削減政策も介護保険適用切り下げもそうですが、安倍路線には国民生活のプラスにならないことが山ほどあります。


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警察は選挙で自民党の味方? 私のちょっとした見聞をご紹介します

2016-11-12 23:57:04 | Weblog

2016/09/13
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(1)ターゲットは労組拠点、目的は参院選監視
2016/09/14
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(2)事件の概要
2016/11/05
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(3)事件に対する大分県警の対応
2016/11/05
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(4)連合大分の公開質問状 / 大分県警の回答
2016/09/04
2012年東京三鷹ビラ配り逮捕事件――警察による政治活動の自由並びに言論の自由への干渉
2016/09/09
もう一度「2012年東京三鷹ビラ配り逮捕事件」について 民法テレビ電波と郵便受けの視点で
2016/11/12
警察は選挙で自民党の味方? 私のちょっとした見聞をご紹介します



大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件
通報を好機にして特定政治陣営に打撃を図る
もう20年から昔のことだったと思います。あるとき、会社で何十万円かのお金がなくなって、地元警察署に盗難届を出しに行きました。応対してくれた警官は初対面でしたが、お互いにうちとけた感じになってよもやま話に転じました。

庶民的で好感の持てる警官はこんなことを話しました。匿名の通報者の存在です。選挙には匿名の通報者が次々現れるものだというお話でした。

選挙になったら電話がしょっちゅうかかってくる。今どこそこの家へ金持っていっとる、今どこそこの家へ戸別訪問しとる、というような電話が次々入ってくると言います。そのたびにパトカー出さんならん。そんなもん電話かかってからパトカー行ってもなあ、誰も居よらへんのはわかってんのや。それでも電話かかったらパトカー行かんならん。

今年2016年7月の参議院選がらみで起きた大分県警別府警察署ビデオ盗撮監視事件で、この話を思い出しました。

ビデオ盗撮監視事件のきっかけは、特定の政治的陣営をを貶めようとする匿名あるいは匿名とされる通報者によるものであり、警察は渡りに船とばかりに乗ったのではないか。匿名あるいは匿名とされる通報が、警察の政治的取り締まりに「情報提供があったからという正当性」を与えているのではないか。

連合大分の公開質問状への9月9日付け大分県警回答書では、ビデオ設置の動機・目的・経過を次のように述べています。

(9月9日付け大分県警回答書から)
別府警察署では、第24回参議院議員通常選挙の違反取締りにおいて、①公示日(※6月22日)より前に、公職選挙法で選挙運動が禁止されている特定の人物が、これに反して選挙運動をしていると疑われる複数の情報を入手したことから、この特定の人物の違反行為に関する証拠を採取する目的で、平成28年6月18日の夜に、別府地区労働福祉会館敷地内にビデオカメラ2台を設置し、同会館関係者に発見される同月24日までの間、断続的に同敷地内を撮影していました。

毎日新聞西部朝刊は次のように伝えています。

(毎日新聞西部朝刊2016年8月14日付から)
大分県警別府署が野党支援団体の施設の敷地に無許可で隠しカメラを設置した問題で、②同署の目的が選挙運動を禁じられた自治体の特定公務員「徴税吏員」の出入りを確認するためだったことが、捜査関係者への取材で分かった。③署に事前に情報が寄せられたが、カメラを設置した参院選公示前後の6月18~24日の間、この公務員の出入りは確認されなかったことも判明した。

 徴税吏員は地方税法に基づき首長から委任され、税金を徴収するなどの権限がある。県警は2013年の前回参院選後、県内の別の市の税務課職員を公職選挙法違反(特定公務員の選挙運動の禁止)容疑で書類送検しており、今回も同様の立件を狙ったとみられる。

上の①~③下線箇所から、特定公務員「徴税吏員」すなわち県税事務所や市町税務課の職員を目標の一つに定めていたところへ、個人名を特定した通報があったのでしょう。それは匿名の通報者であったかもしれないし、警察の意を受けた通報者であったかもしれません。

いずれにしても、私が昔に聞いた話のように、通報があってパトカーが出動するというような単純なものではありません。特定の政治陣営に的をしぼり、きっとやるだろうという予断を持って、計画的に網を張って待っていたのです。


ええ話あったら頼んまっせ
上の盗難届を出しに行ったとき受け付けてくれた警官は人の好い庶民肌でした。よもやま話をする中で、「ええ話あったら頼んまっせ」とも言いました。

この話の流れは選挙のことでなく、市町村の首長・議員・公務員の不始末に絡んでのことでした。私は汚職のことと受け取りました。奈良県で公共土木工事は主要産業でしたし、工事業者と公職者の間で贈収賄が珍しくありませんでしたから。1990年代の古い記憶がよみがえりました。


1996年(平成8年)新進党選挙
職務質問で足止め 特定政治陣営に打撃を図る
もう一つ、警察が一方の政治的陣営に打撃を与えるやり方を見聞した経験があります。

1993年(平成5年)8月、細川内閣発足、自民党下野
1994年(平成6年)6月、村山内閣発足、自民党・社会党・新党さきがけの
           連立政権
1994年(平成6年)12月、新進党結党大会、初代党首・海部俊樹
         結成時の所属国会議員数は214人(衆176人、参38人)
1995年(平成7年)12月、新進党党首選、党首・小沢一郎
1996年(平成8年)10月20日、政権交代を賭けた第41回衆議院議員総選挙
         解散前よりー4議席、政権交代成らず

この平成8年衆議院選挙は、自民党と新進党の政権を賭けた激しい選挙戦になりました。もちろん、選挙戦の渦中にあってはどちらが勝利を得るのかわからないほどの激戦でした。

奈良3区の選挙では、自民党・奥野誠亮と新進党・森本晃司の対決になりました。奥野候補は奈良県では自民党の天皇とも言われる大物議員で、これが落ちれば奈良県の自民党がつぶれるようなもので負けられない。当時、新進党の人気は高く、「奥野危うし」と囁かれる選挙情勢でした。

新進党は「小沢党首来る」というようなビラをあちこちに貼っていました。投票日3日前だったと思います。たぶん10月17日木曜日、奈良3区に異変が起きました。警察が一斉に、新進党支持者の尾行や職務質問をしました。

そのうちの一人の話を直接に聞きました。

ショッピングセンター近くを原付バイクで通りがかったところ、電柱に貼られた「小沢党首来る」というビラが垂れ下がっていたので、剥がれている部分を貼りなおした。どのようにして貼り付けたのか子細は聞き漏らしました。しかしその人は、選挙事務所の関係者でもなく運動員でもない、ただの新進党支持者でした。

何事もなく家に帰ったら、すぐに刑事が2人やってきた。貼りなおしたところを見ていたうえに、原付バイクのナンバーを控えたらしく、家に来た。ナンバーで住所を調べて来たのか、尾行して来たのかはわからない。二人の刑事は、たいしたことを聞かなかった。何をしていたのかとか、なんでそんなことをしたのかとか、を聞き取って帰って行った。

話してくれた人はたいへん怖がっていました。通りがかりに見たビラが垂れているのを見て、ふと気が向いてを貼りなおして、家に帰って来た。刑事が自分を見張っていたということと、刑事が自分の住所を知っていたということで、その人は怖がっていました。

ずっと後に、奈良3区の地域で似たようなことが一斉に起こっていたと聞きました。

投票日3日前(だったと記憶しています)の異変。
警察はただ単に職務質問をするだけ。
普通に生活をしているただの支持者。
彼ら彼女らに畏怖を与えて足止めをする。
こんな、警察の動きがありました。

下馬評では「奥野誠亮危うし」でしたが、投票結果は「奥野当選」でした。このことで当落の結果が左右されたとは思っていません。

しかし、選挙干渉と受け取られるような警察の動きは、「自民党政権を守るための治安組織」という、隠された警察の顔が姿を現したものと言えます。




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大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(4) 連合大分の公開質問状 / 大分県警の回答

2016-11-06 21:12:40 | Weblog
上左図は、ビデオカメラと建物との盗撮監視位置関係図。上右写真は、隠しカメラが見つかった別府地区労働福祉会館。出入りする人が写るように、手前の木の幹に1台が取り付けられていた。 =西日本新聞8月4日から転載。

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2012年東京三鷹ビラ配り逮捕事件――警察による政治活動の自由並びに言論の自由への干渉
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もう一度「2012年東京三鷹ビラ配り逮捕事件」について 民法テレビ電波と郵便受けの視点で
2016/11/12
警察は選挙で自民党の味方? 私のちょっとした見聞をご紹介します



連合大分「公開質問状」と大分県警「回答」
 盗撮監視目的のビデオカメラ設置について


事件について2016年8月30日付で、連合大分が大分県警に次の事柄について公開質問状を出し、9月9日付で、県警から回答を得ました。この質問と回答を下記にまとめてみました。原文は本稿の末に資料掲載してありますので、正確を期したい方はご覧ください。

<質問1> ビデオカメラ設置指示者(発案者)は誰か?

<回答1> 発案者は、別府警察署刑事官である。
刑事官を含む警察官4人を、8月26日、大分地検に任意送致した。

     ※1.任意送致……身柄拘束をしない書類送検のこと。
      ※2.警察官4人……署の刑事部門を統括する刑事官(警視)、刑事2課長(警
        部)、刑事2課の捜査員2人(警部補と巡査部長)と8月26日に警察発表。


<質問2> ビデオカメラ設置の目的は「参議院選挙における監視」ということだが監視対象が特に「別府地区労働福祉会館」に限定された理由と経緯は何か? 具体的に詳細に説明を聞きたい。

<回答2> 刑事官が入手した容疑情報から、別府地区労働福祉会館の駐車場で、容疑情報特定人物が選挙運動をする可能性があると判断した。

このため、駐車場撮影目的でビデオカメラを設置した。さらに、違反行為をした者を識別するために、同会館撮影目的で2台目のビデオカメラを設置した。

<質問3> ほかの労働組合関連施設へのビデオカメラ設置を行っていないのか?

<回答3> 一切ない。

<質問4>「警察のプライバシー侵害」という観点について、大分県警の見解を聞きたい。

<回答4> 県警本部の調査で次のように判断した。
他人地に無断で立ち入りビデオカメラを設置した行為は、建造物侵入罪に該当する違法行為である。
別府地区労働福祉会館を撮影するだけの必要性及び相当性も認められなかった。
人権尊重への配慮も全くなされていなかった。

<質問5> 今回の事件は、労働組合の政治活動への違法干渉行為や国民の自由と権利を侵害する行為につながるものであり、大分県警の再発防止策を明示されたい。

<回答5> 刑事部長、刑事部幹部による巡回教育等を実施した。
捜査用カメラの使用について、任意捜査としての許容性の確認の徹底、カメラ設置個所等の確認及び捜査幹部による具体的な捜査指揮を指示した。
捜査活動における設置型ビデオカメラの使用について、その事案を主管する県警本部所属と事前協議するよう義務づけた。
      
   ◇

連合大分は、9月9日付大分県警回答を得たのち、県警宛に重ねて10月7日付で次の疑問点を提示しました。この5つの疑問点について、私たちも考えを巡らせて、認識を深めておくべきだろうと考えます。

1.公職選挙法で選挙運動が禁止されている特定の人物に関する「複数の情
  報」とは、どの様な内容で、また、「認められる」としている容疑性と
  は何だったのか。
2.「駐車場で行われると想定していた違反行為」とは何か、また、違反行
  為をした者が会館を出入りするとは限らない中で、なぜ、不特定多数が
  通る会館の出入り口を撮影する必要があったのか。
3.プライバシーの侵害については認めつつも、再発防止策にプライバシー
  の侵害に対する対応が反映されていないのはなぜか。
4.特定人物に対する容疑性があり、建造物侵入等の違法行為が無ければ、
  不特定多数が撮影されることとなる隠しカメラの設置による捜査活動も
  可能という判断なのか。
5.必要性も相当性もないにもかかわらず、違法行為を犯してまで隠しカメ
  ラを設置した背景には何があったのか。


次に、後々の参照データに役立てる意味で、連合大分に掲載されているPDF3点をテキスト化して資料掲載します。

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(資料1)連合大分「公開質問状」、大分県警宛
                           2016年8月30日
大分県警察本部長
 松坂 規生 様

〔公開質問状〕
大分県警別府暑「別府地区労働福祉会館への
隠しカメラ設置」について


             日本労働組合総連合会大分県連合会(連合大分)
                            会長 佐藤寛人


 貴職におかれましては、「日本一安全な大分」をつくるペく、県民とともに歩む力強い警察の実現に向けて、日夜ご努力されていますことに対し深く敬意を表します。
 
 また、連合大分が例年の取り組みとして進める「政策・制度要請Jに対し、真筆にご対応いただいていることに対し感謝を申し上げます。

 さて、8月3日の大分合同新聞朝刊において大分県警別府署の別府地区労働福祉会館(以下、会館)への隠しカメラの設置が掲載されて以降、マスメディアでの報道が続いています。

 当会館には、連合大分の地域組織である連合大分東部地域協議会(以下、東部地協)が入居しており、東部地協傘下組織の組合員だけではなく、労働相談などで-般市民も出入りしています。

 連合大分として、プライバシ…の侵害等の観点からも極めて重たい問題であると判断し、隠しカメラの発見後速やかに別府署はもちろん大分県警に対し、隠しカメラ設置の経緯と目的等について質したところです。

 しかしながら、「個別の事案について、特定の人物の動向を把握するため」としたうえで、捜査中であり説明は出来ない旨の見解に終始しました。その-叫一方で、別府署に対する調査は厳格に進めるとしたことから、連合大分としては当面の間、その動向を見極めることとしたところです。

 この間、捜査関係者の話としてマスコミを通じて様々な情報が報じられています。既に、隠しカメラの設置目的は「選挙違反事件の捜査目的」であり、「事案の捜査を断念した」等の報道もありましたが、大分県警からは被害者である私たちに対し説明が全くなされておりません。

 つきましては、以下の質問について、2016年9月10日までに回答をお願いいたします。

1.隠しカメラ設置の経緯と目的について
 隠Lカメラの設置は、マスコミ報道によれば「参議院選挙における監視」が目的であったとされています。会館には、東部地協を含め2組織の労働組合しか入居しておらず、今回、何故、別府署において「別府地区労働福祉会館」に隠しカメラを設置するに至ったのか、その指示者(発案者)を含めた具体的な経緯と目的についてお聞かせください。)
 
 また、現在、公表されているのほ「別府地区労働福祉会館Jの2台のみとなっていますが、労働組合関連施設において、同カメラの設置を行っていないのかお聞かせ下さい。

2.隠しカメラの設置に伴うプライバシーの侵害について
 大分県警は、「他人の管理する敷地内に無断で立ち入ったことは、不適切な行為だった」との談話を発表していますが、隠しカメラの設置に伴うプライバシーの侵害等の観点については、一度も見解を示しておりません。この点についての考え方をお聞かせください。
 
3.再発防止策について
 今回の隠しカメラ問題については、別府署の判断によるものとして、既に別府署関係者の処罰が確定しておりますが、仮に特定の労働組合組織を対象としたのであれば、労働組合の政治活動が法的にも認められている中で、労働組合の政治活動に対する違法・不当な干渉行為につながるばかりか、主権者国民の自由と権利を侵奪することとなりかねません。

 大分県警としての再発防止策について明示してください。

 なお、本質間状およびご回答につきましては、連合大分のホームページで公開するとともに、メディアにもリリースいたします。

--------------------------------------------------------------------------------

(資料2)大分県警「回答」、連合大分宛
                           大刑企第1559号
                           平成28年9月9日
日本労働組合総連合会大分県連合会長 殿


  公開質問状に対する回答について(回答)


 別府警察署における不適正事案は、違法行為によってビデオカメラが設置され、必要性及び相当性が認められない撮影が行われていたものであり、関係者の皆様に卸し、心よりお詫び申し上げます。

 平成28年8月30日付けの公開質問状について、下記のとおり回答します。

                  記


1 ビデオカメラ設置の経緯と目的について

  県警本部において調査したビデオカメラ設置の経緯等については、次の
 とおりです。

(1)別府警察署では、第24回参議院議員通常選挙の違反取締りにおいて、
   公示日より前に、公職選挙法で選挙運動が禁止されている特定の人物
   が、これに反して選挙運動をしていると疑われる複数の情報を入手した
   ことから、この特定の人物の違反行為に関する証拠を採取する目的で、
   平成28年6月18日の夜に、別府地区労働福祉会館敷地内にビデオカ
   メラ2台を設置し、同会館関係者に発見される同月24日までの間、断続
   的に同敷地内を撮影していました。

(2)ビデオカメラを設置して撮影する必要があると判断したのは、別府警察
   署刑事官です。同人は、入手した容疑情報から同会館東側に位置する
   駐車場において、公職邁拳法で選挙運動が禁止されている特定の人物
   による選挙運動が行われる可能性があると判断し、同会館西側の雑草
   地にビデオカメラを取り付け同駐車場を撮影するとともに、ビデオカメ
   ラから駐車場まで距離があることから、違反行為をした者を識別する
   ために、同会館出入口付近を撮影することにしました。

   しかし、県警本部における調査結果では、特定の人物に対する容疑性
   は認められますが、他人の管理する土地に無断で立ち入り、ビデオカメ
   ラを設置するという行為は建造物侵入罪に該当する違法行為である上、
   同所を撮影するだけの必要性及び相当性も認められないことから、不適
   正な捜査と判断し、同年8月26自付けで、本件に関与した警察官4人を
   大分地方検察庁に任意送致するとともに、監督上の責任を含めて、警
   察署長以下6人に対し、懲戒処分等の措置を行いました。

   なお、別府警察署では、同会館に出入りする全ての人物を撮影すること
   はもちろん、同会館に入居する団体の活動を監視する目的はなく、ま
   た、ビデオカメラで撮影された人物等を特定する作業も一切行われてい
   ませんでした。

   また、他の労働組合関連施設に対するビデオカメラ設置は、一切ありま
   せん。


2 ビデオカメラ設置に伴うプライバシーの侵害について

 今回の事案に関する県警本部の調査では、他人の管理する土地に無断で立ち入り、ビデオカメラを設置するという行為は建造物侵入罪に該当する違法行為である上、同所を撮影するだけの必要性及び相当性も認められないことから、不適正な捜査と判断しました。

 県警としても、個人の私生活上の自由の一つとして、何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう等を撮影されない自由を有することは十分に承知しています。

 これまでも、捜査に当たっては、人権の尊重に留意するように指導してきたところですが、今回の事案では、この点についての配慮が全くなされていなかったと言わざるを得ません。

 このような事案が二度と発生しないよう、適正な職務執行を期すために必要な教育を行ってまいります。


3 再発防止策について

 大分県警察では、これまでも適正捜査の推進及び業務管理の徹底について指導・教育を行ってきたところですが、今回の不適正事案を受けて、さらに、警察本部長により、組織的な捜査管理を徹底し、指導・教育を実施するなど、業務上の不適正事案の防止に向けて万全を期すよう指示す るとともに、刑事部長及び刑事部幹部による巡回教育等を実施しました。

 特に、捜査用カメラの使用については、任意捜査としての許容性の確認の徹底、捜査用カメラ設置箇所等の確認等及び捜査幹部による具体的な捜査指揮等を指示し、その徹底を図るとともに、いわゆる設置型のビデオカメラを捜査活動に使用する際は、必ず、当該事案を主管する本部所属と事前協議を行うことを義務づけたところです。

 今後も、あらゆる機会を通じて、捜査幹部を含む全捜査員に対して、適正捜査に関する指導・教育を継続的に実施し、同種事案の再発防止に努めてまいります。
                               以 上

--------------------------------------------------------------------------------

(資料3)連合大分「県警回答への見解」、大分県警宛
                           2016年10月7日
大分県警察本部長
 松坂 規生 様

 
   大分県警別府署「別府地区労働福祉会館」
  への隠しカメラ設置」に関わる公開質問状
  に対する回答への見解について


            日本労働組合総連合会大分県連合会(連合大分)
                          会長 佐藤 寛人


 私たち連合大分が、8月30日付で提出した公開質問状に対する回答が、大分県警より9月9日に示されました。この質問状および回答は「連合大分のホームページ」にも掲載し、連合大分加盟組織の組合員はもとより、広く県民・市民に対しても開示を行ったところです。
 
 大分県警が示した回答では、カメラ設置にあたっての違法行為と、必要性及び相当性が認められないとする撮影についてのお詫びを述べたうえで、全ての質問項目に回答がありました。とりわけ、それまでの間、明言を避けていたプライバシーの侵害に関する見解や、再発防止策について示されたことについては、真筆な対応がなされたものと考えるところです。
 
 しかしながら、回答内容の大部分は既にマスメディアで報じられている枠を出ておらず、また、新たな疑問も生じており、「会館への出入りだけでも選挙違反の容疑になるJとの誤解を招くことも懸念され、組合員の不安を払拭するまでには至っていません。
 
 したがって、先ずは、以下の疑問点について、回答方法は問わないことから、早急な説明を求めておきます。

1.公職選挙法で選挙運動が禁止されている特定の人物に関する「複数の情
  報」とは、どの様な内容で、また、「認められる」としている容疑性と
  は何だったのか。
2.「駐車場で行われると想定していた違反行為」とは何か、また、違反行為
  をした者が会館を出入りするとは限らない中で、なぜ、不特定多数が通
  る会館の出入り口を撮影する必要があったのか。
3.プライバシーの侵害については認めつつも、再発防止策にプライバシーの
  侵害に対する対応が反映されていないのはなぜか。
4.特定人物に対する容疑性があり、建造物侵入等の違法行為が無ければ、不
  特定多数が撮影されることとなる隠しカメラの設置による捜査活動も可能
  という判断なのか。
5.必要性も相当性もないにもかかわらず、違法行為を犯してまで隠しカメラ
  を設置した背景には何があったのか。


 労働組合は「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善、その他経済的地位の向上をはかる」ことを主たる目的として組織しており、労働組合法第2条にあるとおりです。そのために私たちは、政策・制度要請やそれを実現するための政治活動に、法令遵守を大前提に取り組んでいます。その意味で、労働組合の政治活動の観点を十分に踏まえた回答が示されなかったことは、誠に残念と言わざるを得ません。また、回答全体が、別府署独断での行動・問題として整理されている感が否めず、大分県警組織全体の問題として捉えられていないのではないかと懸念するところです。
 
 今回事件は、労働組合組織が入居する施設で「選挙違反が行われるはず」との見込み捜査が原因であったことは論を俟たず、労働組合に対する予断と偏見の現れと受け止められ、今後の政治活動への影響を考えれば、極めて遺憾であり、大変憂慮すべき事態となっています。

 必要性も相当性もないにもかかわらず、違法行為を犯してまで隠しカメラを設置した、その動機が明らかにされない限りは、再発防止策の実効性にも疑問を抱かざるを得ません。
 
 連合大分の見解に対する大分県警としての誠意ある対応を求めておきます。
 
 これまでの間、各団体が、それぞれの立場で抗議や申し入れ行動、集会等を開催しており、各級議会においても様々なかたちで対応が行われています。今後、国会の場を含め真相を究明していくことを明言している政党もあります。
 
 既に、私たち労働組合だけの問題とは言えない状況となっており、大分県警として、それぞれに対し真摯な対応を行っていただくことで、労働組合組織はもちろん、県民・市民の信頼回復に全力で取り組み、真に県民とともに歩む警察となることを強く求めます。               以 上



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大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(3) 事件に対する大分県警の対応

2016-11-05 23:13:15 | Weblog
左図は、ビデオカメラと建物との盗撮監視位置関係図。右写真は、隠しカメラが見つかった別府地区労働福祉会館。出入りする人が写るように、手前の木の幹に1台が取り付けられていた。 =西日本新聞8月4日から転載。


2016/09/13
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(1)ターゲットは労組拠点、目的は参院選監視
2016/09/14
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(2)事件の概要
2016/11/05
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(3)事件に対する大分県警の対応
2016/11/05
大分県警別府警察署 ビデオ盗撮監視事件(4)連合大分の公開質問状 / 大分県警の回答
2016/09/04
2012年東京三鷹ビラ配り逮捕事件――警察による政治活動の自由並びに言論の自由への干渉
2016/09/09
もう一度「2012年東京三鷹ビラ配り逮捕事件」について 民法テレビ電波と郵便受けの視点で
2016/11/12
警察は選挙で自民党の味方? 私のちょっとした見聞をご紹介します



この事件は、監視されていた側の別府地区労働福祉会館の被害関係者が盗撮ビデオカメラを発見し、設置した側の顔や音声が偶然に記録されていたことから、明るみに出ました。設置した側の顔と音声が残されていなければ、警察に届けていても、犯人不明のまま処理されていたであろうことは容易に想像できます。

しかしながら余りに明白な映像・音声が盗撮監視被害関係者の手に渡ったため、労働組合・政党・県議会・市議会など関係各方面や世論の批判が大きく巻き起こりました。このため大分県警は犯人として警察官4人を建造物侵入容疑で8月26日に書類送検し、9月27日、別府簡易裁判所が罰金を科する略式命令を出して、事件の処理が終わりました。

略式命令というのは、事件の内容が軽微で罰金が科される犯罪で被疑者が犯罪事実を認めている場合に、簡易裁判所が検察官からの提出資料のみで審理を行い、罰金を科する手続きです。不起訴処分ではありません。

この略式命令という結果について、毎日新聞(2016/10/04)は次のように伝えています。

   ◇

<毎日新聞(2016/10/04)記事>
 大分県警別府署が参院選の公示前後に野党支援団体の敷地に無断で隠しカメラを設置した事件で、別府簡裁は、建造物侵入罪で略式起訴された当時の署員4人に対し、罰金5万〜10万円の略式命令を出した。9月27日付。

 大分地裁によると罰金額は当時同署刑事官だった阿南和幸・県警地域課次席(53)が10万円、刑事2課長だった守口真一・同署留置管理課長(49)が7万円。カメラを設置した当時警部補(33)と巡査部長(31)は5万円。大分地検などによると4人は共謀して参院選前の6月18〜21日、大分県別府市の別府地区労働福祉会館の敷地に5回侵入した。県警監察課は略式命令について「再発防止に努めたい」としている。

   ◇

 9月6日、大分県警本部長の定例記者会見が一方的な事件説明のみで、報道陣の質問を受け付けず1分半で打ち切られました。また、この事件について大分県警の説明が変転していました。
 
 ビデオカメラ設置場所について、8月3日、公有地だと思っていた、と説明しました。8月5日、私有地だとわかって侵入した、と説明しました。
 
 ビデオカメラ設置の許可権限について、8月3日、所轄警察署が判断する、と説明しました。8月26日、今回のような重要事案では県警本部の判断を受けるべきだった、と説明しました。

 このような大分県警の対応について、西日本新聞(2016/09/07 02:28 )がくわしく伝えています。

   ◇

<西日本新聞(2016/09/07 )記事>
 大分県警別府署による隠しカメラ事件について、県警の松坂規生(のりお)本部長(50)が6日の定例記者会見で、事件後初めてテレビカメラの前に現れ、「関係者におわび申し上げる」などと陳謝した。だが、質問は一切受け付けず、わずか1分半で終了。実は事件発覚以降、大分県警記者クラブは再三、記者会見で事件を説明するよう求めたが、県警は会見や、本部長がテレビカメラの前で説明することを拒み続けてきた。この間の県警と記者クラブのやりとりを明らかにする。

 「警察に対する県民の期待と信頼を損なう事態となった」「県民の皆さまに申し訳ない」。6日、松坂本部長は時折、手元に目を落としながら陳謝の言葉を述べた。だが、最後まで頭を下げることはなく、コメントが終わるとテレビカメラを退席させた。

 事件発覚翌日の8月4日、県警記者クラブは県警幹部による記者会見を要請。だが、県警はこれを拒み、同5日にあった定例記者会見で、松坂本部長はテレビカメラを退席させた後、「他人の管理する土地に無断で立ち入ったことは不適切な行為だった」と述べた。

 同26日、県警は別府署の捜査員4人を建造物侵入容疑で書類送検。だが、松坂本部長は「適正捜査の指導を徹底する」と紙でコメントを出しただけ。江熊春彦首席監察官ら幹部3人は謝罪文を読み上げた後、「これは記者会見ではないので、撮影はできない」とテレビ・新聞のカメラマンを退席させた。

 県警はカメラの前で記者会見を開かない理由を「複雑な事案であり、カメラが入り、ミスが許されない会見では受け答えが紋切り型になり、真意が正しく伝わらないため」と説明した。

 記者クラブ側は同じ26日、9月の定例会見では、松坂本部長が(1)書類送検や処分についてどう考えるか(2)ビデオカメラを使った捜査の在り方への見解-などについて、カメラの前で記者の質問に答えるよう要請。

 だが、県警は「(8月26日の)発表コメントと重複する」などと拒否。クラブ側の再三の抗議で、松坂本部長がカメラの前で「所感」を述べるが、「記者クラブからの質問に答えるのではなく、県民への説明なので質問は控えてほしい」という条件を付けた。クラブ側も一定の理解を示し、この条件を受け入れた。

 松坂本部長は質問を拒んだ「所感」で、こう述べた。「損なわれた信頼を回復するため、組織を上げて適正捜査の推進に尽力してまいる所存であります」

 ■質問拒否あきれる ジャーナリストの大谷昭宏氏の話

 この期に及んで大分県警が隠しカメラの件を本部長に質問しないよう、記者クラブに要請したとはあきれるばかりだ。本部長がカメラの前で記者の質問を受け、説明することを拒んでいるのは、間違った捜査手法と本心では思っていない証拠だ。1日に警察庁の坂口正芳長官がカメラの前で「不適正な捜査で誠に遺憾」と先に頭を下げてしまい、今回は仕方なくという態度がみえみえだ。

 ■トップこそ説明を 京都産業大の成田秀樹教授(刑事訴訟法)の話

 今回の隠しカメラ事件はプライバシー侵害というレベルでなく、選挙の公正や結社の自由など民主主義の根幹を揺るがす問題。大分県警には別府署を指導、監督しなければいけない責任があり、本部長がしっかりと事実関係を述べ、謝罪しなければいけなかった。本部長が記者会見で説明することで自浄作用を発揮し、県警への不信感も拭えたはずなのに、今回、対応が遅れた感は否めない。

 ■大分県警の説明二転三転

 隠しカメラ事件で大分県警は、事件への説明も二転三転させた。

 事件が発覚した8月3日、県警本部刑事企画課は「署員は公有地と誤認してカメラを設置した」と説明。捜査におけるカメラの設置は「ケース・バイ・ケースで署が判断する」としていた。

 だが、同5日の定例会見で小代義之刑事部長は「(署員は)私有地だと分かっていて侵入した」と説明を一転させた。県警に対する批判が強まる中、同26日には設置目的を「選挙運動が禁止されている特定の人を録画するため」と明かした。さらに、「今回のような重要事案では(カメラの設置は)本部に報告し、判断すべきだった」と説明を変えた。

 県警は9月6日の定例会見では再発防止策として、各署が捜査でカメラを使う場合、県警本部との事前協議を義務付けたと発表した。

 一方、今回の事件は「別府署独自の判断で、県警本部は関知していない」という立場は一貫。6日も「(別府署から)報告や相談があれば防げた。本当に残念」と説明した。

 事件については6日、市民団体「平和をめざすオールおおいた」が県警に真相究明を申し入れた。7日に開会する県議会で与野党が追及する構え。臨時国会でも取り上げられる見通しで、幕引きとはなりそうにない。


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