川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
★自分用メモは、新聞・Webなどのノート書きです。

このごろの六十代のやることは…… 高速道に夫を置き去り、 キレて前車を追う

2016-07-29 16:24:46 | Weblog


六十代夫婦げんか 高速道に夫を置き去り (毎日新聞 2016年7月27日)

 北海道音更(おとふけ)町の道東自動車道で25日、乗用車で走行中に夫婦げんかをした60代の男性会社員が車から降ろされ、道路上を歩いていたところを、道警十勝機動警察隊に保護されていたことが27日、分かった。

 同警察隊によると、25日午前11時40分ごろ、通りかかった乗用車から「男の人が歩いている」と110番があった。60代の妻が運転する車で札幌方面に移動中、夫婦げんかとなり、妻から「インターチェンジの先にいるから、あんたは歩いて来なさい」と言われた夫が車から降ろされたという。

 妻は音更帯広インターチェンジ近くで車を駐車しており、警察隊は駐停車禁止違反で妻を摘発した。安全確保のため、音更帯広と池田の両インターチェンジ間は約7分間通行止めとなった。

 2人は「迷惑をかけてしまい申し訳ない」と反省しているという。警察隊は「高速道路では原則駐車できないし、ましてや歩いてもいけない」とあきれていた。(共同)


六十代、キレて前車を追う

昨年、綿パンの家着姿で軽自動車に乗っていたときのことでした。居住地の住宅団地の2車線両側歩道付きの道路を時速40kmで走って、前の白クラウンに追いつきました。すぐ前を走っている白のクラウンはゆっくり走ってマイペースです。住宅団地の道路ではときどき、目的の家を探しているらしくもたついて走る車がいます。前を走る白クラウンがじれったくて、私は追い越しました。そのとたんに白クラウンが私の車を追い上げてピタリと張りついてきます。こちらがスピードを時速50kmくらいまで上げても、後ろから張りついてきます。

これはまずいと気がついて、住宅地の6m幅街路に曲がって入って停車しました。白クラウンも2車線道路を折れ曲がって、音を立てて軽自動車に横付け急停車しました。2台並列ですから住宅地の中の街路を塞いでいます。白クラウンから、大声で何かわめきながら、男が飛び出してきました。

その白クラウン男は、お金のありそうな立派な身なりをしていました。年のころは六十代後半、と見受けました。しかし、身なりと年齢に似合わず、怒りに突き動かされた異様な目つきをしていました。

男は時速50km近くで私を追い上げ、危険なことにピタリと後ろに張り付き、ほとんどスピードダウンしない勢いで6m巾街路に折れて入り、その街路を塞いで急停車したのです。

「ここは30kmやぞ、わかってんのかっ。おまえ、どこから来たんや。どこのもん(者)やっ、どこから来たんや、言うてみい」

停車場所の住宅の家人が、何事かとばかりに出てきました。白クラウン男は、大声でわめきつづけています。私はひたすら、すみません、すみません、と謝りつづけました。相手は完全にキレています。私が謝る一方なので、白クラウン男はひとしきり大声でわめきつづけた後に、それでもわめきながら車に戻り、運転席の窓ガラスを下げて、また大声でわめきつづけて何事か捨てぜりふを残し、急発進して去りました。

走っていた2車線道路はセンター白線標示があって、制限時速は30kmではありません。いつの時代かの自治会で時速30kmで走ろうという申し合わせがあったのかもしれませんが、私が住むようになって以後に、自治会報でもそのような申し合わせを見たことがありません。

しかし私は、焦れて追い越したことを反省しました。その後は、前車の走行状況をもっと慎重に見るよう留意しています。



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自民党の体質あらわ 「子供たちを戦場に送るな」教員狩り ホームページで密告募集

2016-07-23 14:49:33 | Weblog

関連記事
自民党の体質あらわ 東京都連通知の「親族等含む」連座制が話題に


今回紹介するケースは、自民党中央のホームページ内で、教員摘発を目的にして学校内部からの密告を促すものです。前回紹介の自民党都連「連座」処分予告よりもっと多くの媒体で紹介されています。川本ちょっとメモでも、記録に残しておく意味で紹介します。

このケースは、「政治的中立を逸脱するような不適切な事例」を募集していて、「以下、政治的中立を逸脱するような不適切な事例を具体的(いつ、どこで、だれが、何を、どのように)に記入してください」と、記入要領を付してあります。

これは、「学校内部からの密告を促す」もので、「密告奨励フォーム」への非難が集中しました。非難を受ける中で、「政治的中立を逸脱するような不適切な事例」がほかの表現に入れ替えられたりしたそうですが、今では閉じられました。

しかし非難を浴びて短期間で閉じられたといえども、自民党中央のホームページに顕れた事実は、①教育現場への密告奨励という手口、②「平和」という人間の基礎的価値教育を排除しようとする政治介入の立場を示しています。自民党の現今の体質を示す事実として、今後も注目していかねばなりません。

非難を浴びた「学校教育における政治的中立性についての実態調査」という表題のメールフォームは、7月上旬、自民党のホームページに掲載されました。そしてほぼ2週間後に削除されました。

本文は次のようなものです(ただし今は削除されています)。ご覧ください。

   ◇   ◇   ◇   ◇


学校教育における
政治的中立性についての
実態調査


党文部科学部会では学校教育における政治的中立性の徹底的な確保等を求める提言を取りまとめ、不偏不党の教育を求めているところですが、教育現場の中には「教育の政治的中立はありえない」、(注)あるいは「子供たちを戦場に送るな」と主張し中立性を逸脱した教育を行う先生方がいることも事実です。(注)指定している「戦場に送るな」は平和を語るときの決めことばです。平和を語る言葉をもって「教育の中立性を損なう」と見える側の価値観の反人間性がうかがえます。

学校現場における主権者教育が重要な意味を持つ中、偏向した教育が行われることで、生徒の多面的多角的な視点を失わせてしまう恐れがあり、高校等で行われる模擬投票等で意図的に政治色の強い偏向教育を行うことで、特定のイデオロギーに染まった結論が導き出されることをわが党は危惧しております。

そこで、この度、学校教育における政治的中立性についての実態調査を実施することといたしました。皆さまのご協力をお願いいたします。

   ◇   ◇   ◇   ◇


上の文章に続いて、次の項目に記入してメール送付するフォームになっています。

①姓 ②名 ③フリガナ ④性別 ⑤年齢 ⑥職業 ⑦勤務先・学校名(教職員の場合のみ) ⑧連絡先電話番号 ⑨連絡先FAX番号 ⑩連絡先のご住所 ⑪E-mail ⑫政治的中立を逸脱するような不適切な事例

⑫には、次の注意書きを付けてあります。「以下、政治的中立を逸脱するような不適切な事例を具体的(いつ、どこで、だれが、何を、どのように)に記入してください。」

冒頭画像には、⑤年齢、までが写っています。


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自民党の体質あらわ 東京都連通知の「親族等含む」連座制が話題に

2016-07-19 20:52:33 | Weblog


東京都連通知の「親族等含む」連座制が話題に

現在進行中の東京都知事選は自民党推薦の増田寛也氏、自民党衆院議員の小池百合子氏、野党共闘候補の鳥越俊太郎氏の三つ巴になっています。自民党は分裂選挙になりました。

この分裂選挙のため、自民党東京都連が出した「都知事選挙における党紀の保持について」という文書が注目を集めています。猪瀬直樹元都知事のツィッターに発して、このニュースは数多くの媒体で広く紹介されています。

自民党都連「都知事選党紀保持」文書では、推薦候補は増田候補で、各級議員が小池候補に肩入れするならば、党紀に照らして除名等の処分をすると通知しています。小池候補は党員ですが、党の決定に反して立候補したので、これを応援すれば反党行為になります。そこで、「小池応援は処分をする」と通知を出しました。

問題になったのは、この文書中では「各級議員(親族等含む)」と書かれていたからです。連座制で罪を問う姿勢が問題になりました。さらに、党員親族等とは書かれていないので、自民党員でない親族にまで網をかけているのです。

自民党の各級議員たちは、なんらかの事情で自分が表だって応援するわけにいかない人に、自分の親族を身替りに応援に行かせてきた経験をお持ちなんでしょう。そうした経験があるから、そうはさせないという文書を出したのでしょう。

しかしながら、「連座制で罪を問う」という感覚は歴史時代のことです。現代民主国家では特殊な例外を除いて、連座制を認める法や組織はありません。

時代逆行的な自民党の体質がここに鮮明に顕れています。安倍自民党は、民主主義の健全な感覚に欠けています。


下に文書を転載します。興味がおありの方は、ネットの画像検索をしていただくと、見ることができます。

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                           平成28年7月11日
地域総支部長・選挙区支部長 殿
各級議員 殿
                      自由民主党東京都支部連合会
                            会長 石原伸晃
                            幹事長 内田茂
                         党紀委員長 野沢太三


    都知事選挙における党紀の保持について

今般の参院選では多大なるご尽力を賜り感謝申し上げます。
引き続きの都知事選は、本日開催いたしました都連支部長・常任総務合同会議において、わが党の都知事選挙推薦候補に元総務大臣の増田寛也氏(64歳)を決定いたしました。

都知事選挙は、東京オリンピック・パラリンピックを控えた東京都政の舵取り役を決める極めて重要な戦いであります。都連並びに総支部、各級議員が組織総力を挙げて臨まなければなりません。更に党員・党友は団結し、より一層の挙党一致で勝利を目指して奮闘しなければなりません。

このような折、下記に挙げる事項を遵守され、わが党の候補者を強力にご支援下さるよう何卒、ご理解とご強力をお願いいたします。

                    記

1、党員は、党の決定した公認・推薦候補者を応援し、党公認・推薦候補者以
 外の者を応援してはならないこと。

2、党員は、反対党の候補者を応援し、または党公認・推薦候補者を不利に陥
 れる行為をしてはならない。

3、各級議員(親族等含む)が、非推薦の候補を応援した場合は、党則並びに
 都連規約、賞罰規定に基づき、除名等の処分の対象となります。




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<憲法9条> 産経ニュースの憲法9条改正論が余りに粗雑なので批判してみました

2016-07-15 00:13:16 | Weblog

[クリック]
2016/07/01 明治憲法下の日本は戦争つづきでした 憲法9条を護ろうではありませんか
2016/04/06 自爆テロと旧日本軍特攻の類似性について――わが内なる血に心せよ
2005/07/06 憲法9条についてどう考えるか-自衛力整備も考慮に入れて



きょうネットで、2016/05/03 産経ニュースの憲法記事を読みました。余りにも粗雑、理屈の通らない憲法9条改正論議なので、批判してみたくなりました。

下に、記事本文を転載し、青字番号をつけて、一つづつ批判をしてみます。


   ◇   ◇   ◇   ◇   ◇

   憲法記念日 施行69年、国民を守れない憲法…
  今こそ9条の改正や緊急事態条項の創設が欠かせない


産経ニュース 2016/05/03
http://www.sankei.com/premium/news/160503/prm1605030030-n3.html


 現憲法は3日、施行69年を迎えた。

 連合国による占領、東西冷戦とその終結、中国の海洋覇権の追求や北朝鮮の核・弾道ミサイル開発…。

 日本を取り巻く環境は大きく変容してきたが、「戦力不保持」をうたう憲法は一文字も変わることはなく、日本の安全保障政策はその都度、大揺れを繰り返してきた。

 集団的自衛権の行使を限定的に認める安全保障関連法が今年3月末、施行された。それでもなお、「憲法9条の呪縛」は解かれておらず、[1] 緊急事態への備えも不十分なままだ。

[1] 集団的自衛権の行使を限定的に認められただけでは、緊急事態への備えが不十分である――と決めつける理由・根拠は何か? 何の説明もない。従って、「根拠のない主観的決めつけ」と批判されてもしかたありません。

[2] 日米安保条約の見直しや在日米軍撤退に言及する米大統領選の候補も現れた。[3] 大規模災害が多発する時代に適した憲法が今ほど求められているときもない。

[2] 米大統領候補トランプ氏が言うように日米安保条約見直しや在日米軍撤退という環境が来たとしても、日本の安全保障政策の変更という問題であって、「だから憲法9条改正」と言うのは筋違い、問題のすり替えです。安倍首相も、この類の問題すり替え答弁が得意です。

[3] 「大規模災害が多発するから憲法改正」というだけでは、改憲の理由になりません。必要な法整備をすることで解決できるでしょう。東日本大震災、熊本地震に便乗する論でしかありません。災害で困っている人々を憲法改正に利用するなんてあさましい。しかも、こういう立論をする論者でありながら、福島原発事故で土地を追われた十万という被災者を見ても、「原発廃止」とは言いません。

[4] しかし、9条は日本の守りを損ない続けている。

[4] 1945年(昭和20年)敗戦後の被占領時代、1952年(昭和27年)被占領終了後の日米安保条約下日本において今日まで、日本が侵略されたことは一度もありません。従って、憲法9条が日本の守りを損ないつづけている――とは、事実無根の言いがかりです。

[5] 4月20日午前、航空自衛隊那覇基地に緊急発進(スクランブル)の指令が入った。航空警戒管制のレーダーが、沖縄本島と宮古島の間の公海上空に機影を捉えたからだ。数分後、F15戦闘機2機が南西海上に向けて飛び立った。

 確認されたのは中国の早期警戒機。空自機を無視するように数時間飛行し、大陸方面へ去った。

 中国機へのスクランブルはこの5年で激増した。平成23年度は156回だったが、27年度は3・7倍の571回に上った。

[5] これは領空侵犯ではありません。だから日本側から先に攻撃することは、できません。この場合、どこの国にあっても同じです。論者は当然、このことを知ったうえで書いているでしょう。読者の中国への危機感を煽って、敵愾心をかきたてるためにする、文章です。

[6] 9条の下では、空自機から領空侵犯機を撃つことはできない。相手が警告を無視して領空を自由に飛び回っても、攻撃されない限り空自機は退去を呼びかけるだけだ。

 相手からミサイルや機関砲を撃たれて初めて「正当防衛」や「緊急避難」で反撃できるが、編隊を組む別の空自機は手出しができない。爆弾を装着した無人機が領空に侵入しても、攻撃を仕掛けてこない限りは、指をくわえて見ていることになる。

 9条が羽交い締めにしているのが、日本の守りの実態である。自衛隊に普通の国と変わらない、実効性ある防衛を認めるには、憲法を改正して軍隊とするほかない。

 「あらゆる軍事手段を繰り出せる相手と対峙しているのに、『自衛隊は土俵の中央で相手を投げてはいけない。土俵際でうっちゃる程度ならいい』と、ハンディキャップを負わされている」

[6] 憲法9条規制下の空自機は、他国機が領空を自由に飛び回っても撃つことができない、無人爆撃機が領空侵犯しても撃つことはできない――よくもまあこんなウソ話を書けるものだ。これは真実ではありません! この事態では、憲法9条規制下であっても、攻撃は法的に可能です。領空侵犯は、法的には自衛行動発動の対象になります。ただし、実際に攻撃するかどうかは政治的判断になります。その攻撃が大戦争の発火点になるかもしれないので。

 元陸上自衛隊幕僚長の火箱芳文氏はこう嘆く。

 9条2項は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とする。自衛隊を「違憲」とみなす憲法学者は多い。

[7] 世論の理解が徐々に進んできた安全保障関連法にしても、冷戦時代の政府の憲法解釈に固執し、廃止を求める声が野党や憲法学界では大きい。今の憲法が、現実の危機に備える取り組みを妨げる方向へ作用しているのは明らかだ。

[7] 憲法9条が戦争のやり方を制限しているのは事実です。これを良しとするか、悪しとするかは価値観の相違です。

[8] 自衛隊を憲法上、軍隊だと明確化していないことは自衛隊員の身を余計な危険にさらしている。

 国際平和協力などのために自衛隊が米国や他国の軍隊に対し、物品や役務を提供する「後方支援」は、安保関連法で活動範囲が戦闘現場以外の幅広いエリアに拡大された。しかし、自衛隊員が敵対的な国の軍隊に身柄を拘束されたら、どんな扱いを受けるのか…。

 普通の国の軍人であれば捕虜となり、国際法上の保護を受けられるが、自衛隊員は曖昧だ。岸田文雄外相は昨年7月1日の衆院平和安全法制特別委員会で「後方支援は武力行使にあたらない範囲で行われる。自衛隊員は紛争当事国の戦闘員ではないので、ジュネーブ条約上の『捕虜』になることはない」と述べた。

 自衛隊員は、同条約が義務付ける、捕虜への人道的待遇が保障されない。自国民である自衛隊員を害するのが、「平和憲法」の実態なのだ。

[8] 安保法制反対論に立つ人々は、「後方支援」は危険だからダメと言ってきました。後方支援のない戦闘部隊などあり得ず、それゆえに後方支援は戦闘行動とワンセットになっているからです。しかし、「後方支援は安全だ」と政府・与党は言い切ってきました。

政府と一体になって安保法制実現の論陣を張ってきた産経ニュースで、安保法制が成立してしまえば、「自衛隊員が敵対的軍隊の捕虜になったら」などと、とんでもないことを言い出す。報道・言論の一員として「恥を知れ」と言いたい。

しかし仮に南スーダンなどPKO自衛隊員に被害が出たとするならば、政府は「テロ」とか、「治安」とかの言葉を使って、安保法制による責任を回避するでしょう。

さらに、もう一つ問題があります。PKO派遣されている南スーダンにしてもその他の紛争地にしても、反政府軍、アルカイダ系戦闘組織、ISなど、それら戦闘組織が国軍同士の国際法を守るかどうか、当てになりません。


[9] 日大教授(憲法学)の百地章氏は「9条2項で自衛隊を『軍隊』と位置付けてこそ、本当の意味で『切れ目のない防衛』が可能になる。自衛隊員も万一の際に人道的な扱いを受ける」と指摘し、9条改正の必要性を訴える。

[9] 自衛隊員が捕虜になったときに国際法上の扱いを受けられない――わざわざ政府側論者が宣伝して、それが引き金になってさらに自衛隊員を危険にさらすのではないか、と私は疑っています。安倍首相の「私には国民を守る責任がある」という政治姿勢によって、国民がテロにさらされる危険度が増しているように思われることと同じように、政府や政府側論者を疑っています。

[10] 憲法に緊急事態条項を設け、大規模自然災害などに対処する態勢をつくることも急務だ。東日本大震災の際に陸幕長だった火箱氏は「各省庁の対応がバラバラで支援物資が十分に行き渡らなかった」と振り返る。

 政府が一時的に、強力に被災者を救う態勢をとることが望ましかった。

 安全保障も災害対策でも今の憲法は現実に追いついていない。国民のため、憲法改正が必要なゆえんである。

[10] 災害対策に憲法改正が必要とは、唐突な議論でむちゃくちゃな話です。理由、根拠もまったく説明がありません。

東日本大震災は、自然災害の地理的な広域性において、原発災害という最悪の人災を伴った点で、戦争災害を除けば、近代日本最大の災害でした。この経験を防災、災害対応に生かすことは大変重要なことです。しかしこれは政策と法整備で対応できることで、憲法改正でなければできないという理由は何でしょうか? 理解に苦しみます。

東日本大震災の経験を大切にして憲法改正のネタにするのなら、同じ経験を大切にして「原発廃止」の提案がなければ、整合性がありません。こんな荒っぽい立論ならばそのうちに、テロ対策を憲法改正のネタにするのではありませんか。


(政治部 内藤慎二、力武崇樹)

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二条城お堀端にて 十八歳、夏の夜

2016-07-11 15:41:41 | Weblog


きょうは永六輔さんの訃報を知りました。

♪見上げてごらん 夜の星を
 小さな星の 小さな光りが
 ささやかな幸せを うたってる

♪上を向いて歩こう
 にじんだ星をかぞえて
 思い出す夏の日
 一人ぽっちの夜

うろ覚えのこんな歌を1フレーズか2フレーズ、ちょっと口ずさんでみて、手を腰の後ろにまわして、胸を張って上を向いてみました。その時代にはよく口ずさんだ歌ですが、夜の星を見てささやかな幸せを感じたことって、あったやろか? しまりのないスタイルで、しまりのないことをぼんやり思っていると、ふいと二条城お堀端のできごとを思い出しました。

その夏、毎晩のようにして野口君と連れだって、二条城のお堀端を歩いていました。当時、彼は東堀川二条辺りに住んでいて、同志社商学部の1年生。ぼくは二条から200メートル北の竹屋町辺りに住んでいて、立命館の法学部1年生。二人は、京都府庁南西端向かいの滋野中学、二条城裏のお堀に面した朱雀高校の同級生でした。こう書くだけでもなつかしい。

なんでそんなに夜ごと会っていたのか覚えていません。どんな話をしていたのか、さっぱり覚えていません。二人の共通点は下駄ばきが好きだったことでした。暑い夏の夜に下駄でぶらぶら歩く感覚が、二人ともそんな下駄ばき散歩の味わいそのものが好きだったように思います。

そんなある夜のこと、南側の堀端を西から東に向いてぶらぶら歩いていました。帰り道です。堀川通が近くなってきた辺りにさしかかったとき、堀端の生垣から外へ出ている人の足らしいものが遠目に見えました。「?」 夜目遠目のことでしたが、靴をはいていたので「足?」と思いました。それでも「?」の方が勝っていて、人の足という認知感覚がありません。

二人とも「?」感覚のままで近づき、足が出ている所で立ち止まりました。足を見下ろして観察しました。ちょっと怖気づいて立ちすくんだまま、目いっぱい力を入れて観察しました。

まちがいなく足2本です。革靴をはいていてズボンもはいていて、それらは乾いた土をまぶしたようになっていました。

見えているのは、ふくらはぎから足先まで。すねではなく、ふくらはぎの側が見えているのですから、その姿勢はうつ伏せです。

お堀は生垣で囲まれていて、その葉が下から上まで密集していて、生垣の内側が見えません。両手を地に着けて顔を地面にすりつけるようにして、ふくらはぎのその先を覗きこみました。それでも足の向こうは見えません。

死んでいると思いました。携帯電話がなくコンビニもない時代でした。警察に110番通報するのは家に帰りついてからのことになります。そうするには少し距離がありました。

それで二人で相談をして、足を引っぱってみようということになりました。死んでいるとは思いましたが、そのことを確かめるために引っぱることにしました。死体を引っぱるために、勇気をふりしぼりました。

生垣には焼木杭を打って鉄条網を巡らしてありました。いちばん下の鉄条網の位置が低すぎて、生垣に潜りこんでいる体にひっかかる恐れがありました。いちばん下にある鉄条網を持ち上げるようにして、二人で引っぱりました。そのときです。足が動きました。二人ともびっくりして、手を離しました。

動かない死体のように見えていたものが急に動きだし、ぐいぐいと後ずさりをして、腹這いの姿が見えて、その姿のままで後ずさりをつづけて、その人は生垣から抜け出てきました。ぼくら二人は、びっくりして、あっけにとられて、立ちすくんだまま見ていました。鉄条網にひっかからずに抜け出てきたのが不思議でした。

その人はぼくら二人より年上で勤め人風の、学生だったぼくらから見れば社会人の男性でした。三十代であったようにも思いますし、四十代であったようにも思います。そこのところは忘れてしまいました。

なんでこんなところに潜りこんで、しかもなんで足先だけ出したままになっていたのか。どうしたんですか? 聞いてもぼんやりした風情で答えてくれません。どうも酔いざめのような様子でした。体に異常はなさそうなのでその場を後にして、ぼくらは下駄の音を楽しみながら帰り道を歩きました。

  ――酔っぱろうてお堀の中へ入ろうとしたんやで、きっと。それで、鉄条網の下を腹這いになってかいくぐって、難儀してるうちに酔い疲れて、寝てしもうたんや。

 ――いや、もがいたんと違うやろか。それで疲れて寝てしもうたんと違うか。あほやなあ。
 
 ――二条城お堀端殺人事件? 一瞬そう思うて、どうしよう思うたなあ。びっくりしたなあ。
 
 …と、そんなことを話したように思います。
 
‥‥ぶらりぶらりと下駄の音を楽しみながら歩いた十八歳の夏の夜を、「♪見上げてごらん夜の星を」につれて思い出しました。
 



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明治憲法下の日本は戦争つづきでした 憲法9条を護ろうではありませんか

2016-07-07 01:37:18 | Weblog

[クリック]
2016/07/01 <改憲発議> 安倍首相 「改憲発議は参院選後」(毎日新聞 2015年02月04日)
2016/04/06 自爆テロと旧日本軍特攻の類似性について――わが内なる血に心せよ
2005/07/06 憲法9条についてどう考えるか-自衛力整備も考慮に入れて



幕末から続いた日本の内戦は1877年(明治10年)西南戦争でやっと終わりました。そして、明治憲法が1889年(明治22年)2月11日に公布、1890年(明治23年)11月29日に施行されました。

明治憲法下の日本は戦争続きでした。
自民党の憲法草案は明治型の日本をめざしています。
安倍内閣が軍備増強を続けています。防衛予算は4年連続で伸びています。
2016年度予算では、5兆円の大台に乗りました。

社会保障・社会福祉のために必要だと言って、政府は消費税を5%から8%に上げました。

しかし、その後に実施されたものは、生活保護費の削減、年金支給額の削減、介護事業所の基本報酬引き下げ等々、社会保障切り下げです。児童手当も削減しました。

安倍内閣は、昔の「富国強兵」明治型日本を夢見ています。憲法9条を護ろうではありませんか。


 1894(明治27)―1895(明治28) 日清戦争 戦勝で台湾領有
 1904(明治37)―1905(明治38) 日露戦争 戦勝で清国・旅順、大連
                 租借権、鉄道権益、樺太領有など獲得
 1910(明治43) 日本が韓国併合
 1912(明治45) 中華民国成立
 1914(大正03)―1918(大正7) 第一次世界大戦に参戦
                 ドイツの中国・山東省権益を継承
                 ドイツ領南洋諸島を日本の委任統治領に
 1918(大正07)―1922(大11) シベリヤ出兵(ロシア革命干渉戦争)
 1920(大正09) 国際連盟に加入
 1927(昭和02) 第一次中国・山東省出兵
 1928(昭和03) 第二次山東省出兵、第三次増派出兵、日中両軍衝突
          関東軍の工作 → 中国・瀋陽駅近くで張作霖・列車爆殺
 1931(昭和06) 関東軍の謀略(鉄道爆破)で満州事変(=戦争)始まる
 1932(昭和07) 満州国建国、 第一次上海事変 ※事変=戦争
 1933(昭和08) 日中両軍が山海関で衝突
           国際連盟脱退
 1937(昭和12) 盧溝橋事件を機に日中戦争始まる、 第二次上海事変
          12月、日本軍が南京占領
 1938(昭和13) 張鼓峰事件―満州ソ連国境で日ソ両軍戦闘
 1939(昭和14) ノモンハン―満州ソ連国境で日ソ大規模戦闘、日本完敗
 1940(昭和15) 日中戦争を因として戦争を一気に拡大 北部仏印進駐
          ※仏印=仏領植民地=ベトナム、カンボジア、ラオス
 1941(昭和16) 日中戦争を因として戦争拡大の一途 南部仏印進駐
           太平洋戦争始まる(ハワイ・真珠湾攻撃))
 1942(昭和17) シンガポール占領、フィリピン・マニラ占領
           ミッドウェー海戦敗北、以後戦勢悪化の一途
 1943(昭和18) ガダルカナル島大敗、アッツ島全滅
 1944(昭和19) サイパン島全滅、南洋島嶼戦で全滅つづく
          日本本土爆撃始まる
          日本軍50万を投入して中国大陸打通作戦
          食料補給がないため、進軍途次で徴発略奪をくり返す
          東南アジアでも補給途絶のため徴発略奪をくり返す
 1945(昭和20) 日本全国都市で敗戦まで無差別爆撃つづく
          広島・長崎原爆投下、 沖縄戦で県民悲惨なめに遭う


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<私のアピール> 安倍総理退陣を願う

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍総理退陣まで、国政で安倍自民党に“No”を !
安倍総理を支持する政党、政治家、安倍総理にすり寄る候補者に、
次の国政選挙で彼ら彼女らに“No”を !

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍首相は「戦後レジームからの脱却」をめざしています。
安倍首相の抱く国家像は「明治リメーク日本」です。
平和な暮らしで栄えてきたデモクラシー日本。なぜ壊すのですか?

2012年12月26日、安倍内閣が成立しました。
アベノミクス効果で円安・株高が実現しました。
それは、日銀の巨額な国債購入、年金資金による巨額株式投資を伴っています。

円安効果で輸出大企業が栄えました。同じ円安効果で食品など生活関連品、電気代などエネルギー費が値上がりして、大衆には生活費切り詰め効果がありました。

アベノミクスの円安・株高効果の本質とは、なんでしょう?
国民大衆の生活費で、少数の大企業や株投資家の金庫を富ませている結果ではありませんか?
国の財政を浪費して危険度を高め、年金資金を危ないリスクに賭けることではありませんか?
アベノミクスで国民一般が潤うときは来ません。2015年夏以降、明らかに失敗しています。

安倍内閣下で特定秘密保護法が成立しました。安保関連諸法が成立しました。内閣法制局長官と、自民党・高村副総裁と、公明党・北側副代表の三者で手を握って、憲法違反の集団的自衛権を合憲だと、押し通しました。NHKの経営委員や会長には、安倍首相の息のかかった人が座りました。

政府に「批判的な」テレビ論調に政府・自民党の圧力がかかりました。
政府に「同調的な」テレビ論調に、圧力はありません。政府・自民党が「公平でない」のです。
テレビ局や公共の会館管理者などに自主規制が広がっているように見えます。
安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。安倍総理退陣を願っています。

コメント

年金運用損失5兆数千億円 官房長官、公明党は運用収益30兆円以上を誇る ダマシの数字を公言する詐欺師の類だ

2016-07-05 02:12:01 | Weblog


<クリック! 安倍内閣の大罪 年金シリーズ>
2016/01/10 年金運用(1)株式投資もつまり、バクチの類
2016/01/13 年金運用(2)1月年初に連続下げ相場
2016/01/16 年金運用(3止)東証続落 年金積立金5兆円目減りか
2016/01/23 安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入
               運用の株式比率は20%から50%へ(1)

2016/01/26 安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入
               運用の株式比率は20%から50%へ(2)

2016/02/06 安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入
               運用の株式比率は20%から50%へ(3)

2016/02/11 安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入
               運用の株式比率は20%から50%へ(4止)


改稿しました。


年金積立金 運用損失5兆数千億円

公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、2015年度の決算で5兆数千億円の運用損失を計上することが1日分かった。GPIFが同日までに厚生労働省に財務諸表を提出した。(毎日新聞 2016/07/01 13:18)

「5兆数千億円の運用損失」ニュースは全国一斉に伝えられましたが、これくらいの運用損失が出ることは早くから予見されていました。

今年2016年1月12日衆院予算委では、井坂信彦議員が「年金積立金5兆円目減り」質問をしています。私は2016/02/06記事で、「損失8兆円プラス」について言及しています。


菅義偉官房長官 遊説先で「運用損失5兆円超でも、30数兆円の運用益
 確保」
 ※後で説明します 30数兆円は「ダマシ」の数字です

この年金運用損失に対して、菅義偉官房長官は次のように話しています。

菅義偉官房長官は7月2日午後、参院選遊説のため訪れた新潟市内で街頭演説し、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2015年度の運用損失が5兆円超だったことに関し、「政権交代してから株価は倍になった。30数兆円の運用益はしっかりと確保している」と強調した。(時事通信 2016/07/02-15:51)

この言葉を評価すれば、「30数兆円の運用益」はダマシです。こういう数字が出るように計算法を組んだのでしょうが、こんなダマシの数字は「ウソつき」のすることです。

また、「年金運用損失5兆円超」質問に対して、「政権交代から株価は倍になった」という言葉は、別のテーマであって、答えになっていません。この焦点ずらしの逃亡論法は、特に安倍首相に顕著です。官房長官も感染したのでしょう。


5兆円超損失に対する公明党の見解
 ※後で説明します 30数兆円は「ダマシ」の数字です

この年金運用損失に対して、公明新聞では次のように述べています。

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が2015年度に5兆円超の運用損を出していたことが明らかになったと、1日に各紙で報じられました。しかし、2012年の自公政権発足以降の運用益は約38兆円で、今回の損失を引いてもなお30兆円以上に上ります。(公明新聞 2016年7月2日 )

公明党も上の菅義偉官房長官と同じことを言っています。連立政権ですから当然です。しかし、これもダマシ、ウソつきの手合いです。

私は今年1月から2月にかけて、平成13年度以後の運用実績をGPIFの「業務概況書」で閲覧確認しています。


安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入
 運用の株式比率は20%から50%へ(1)~(4)


菅義偉官房長官と公明新聞が自分たちの成績を自慢するように話している「30数兆円」「38兆円」という数字が嘘っぱちであることを理解していただくために、このページ冒頭のリンク集から、安倍内閣の大罪‥‥(1)~(4止)に対応する内容を、次に紹介します。


(1)の記事では、年金積立金がアベノミクスの「円安株高」政策に利用されていく背景を説明しています。そして年金積立金運用のポートフォリオ変更、すなわち債券運用中心から株式運用中心(50%)への転換の経緯を説明しています。

(2)の記事では、GPIFが「クジラ」と呼ばれて、巨大機関投資家として金融証券界から大歓迎されていくありさまを書いています。

もう一つ別に、GPIFの年金積立金運用の債券・株式比較をすると、運用赤字年度の内訳が債券運用黒字・株式運用赤字になっていることを説明しています。株式運用の赤字危険度は高い。比率50%になれば、損失ダメージが大きいことを物語っています。

(3)の記事では、運用赤字6ヵ年度分について分析しています。内訳は、債券運用黒字・株式運用赤字になっています。「表1」「表2」を見れば、一目でわかります。

(4止)の記事では、GPIFの「業務概況書」から各年度の年金運用の経済環境を取り出して、簡潔に説明しました。安倍内閣の運用が特に優れているわけではないと、わかります。

株式運用の現実は今日では、主に国際的な金融環境に支配されています。
安倍内閣の対処能力によって大きく変わることなどありません。
あっても色合いの変化ていどで大勢は変わりません。
「表3」を見ていただくと、このことが一目でわかります。
株式投資の比率が高いと収益幅も損失幅も大きく振れる。
年金積立金にとって、儲けと安全性と、どちらを大切にしますか?



安倍内閣による公開済み年金運用は平成25・26年度だけ
 安倍自公政権による年金運用の正しい数字


第二次安倍政権の成立は2012年12月26日です。これは平成24年度第3四半期末に当たります。

安倍自公政権が年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の年金積立金運用に関わることができるのは、平成24年度第4四半期です。しかし政権交代直後のこの時期、運用は従来通りに続いています。

従って平成24年度の運用結果は、その前の野田内閣(民主党)によるものと言えます。

安倍内閣による運用結果が公表されているのは、平成25年度と平成26年度の2ヵ年度分だけです。平成27年度分の公表は参院選後の7月29日と発表されていて、今はまだわかりません。ただし、平成27年度分について、運用損失5兆数千億円と報道されています。

安倍内閣の大罪 年金積立金を 「株高」 誘導に投入 運用の株式比率は20%から50%へ(4止)をクリックしてご覧ください。この記事の表3、表4から、「株式の運用収益額」と「運用資産収益比率」を、下に転記します。
                        
             (株式運用収益)(運用資産収益比率)
平成24年度(2012年度)   7兆 934億円   21.87%   野田内閣
平成25年度(2013年度)   7兆9242億円   19.53%   安倍内閣
平成26年度(2014年度)   11兆6968億円   18.94%   安倍内閣
平成27年度(2015年度)   ー5兆円(概算)   ?    安倍内閣

この4ヵ年度で見ると、平成24年度(野田内閣)の収益比率がいちばん高い。分母である株式運用資産は32兆4,333億円です。

平成26年度は第3四半期に、GPIFと公的3共済が東京株式市場に10兆円規模と思われる増額参入をしています。株式投資比率を一気に50%で高めた結果です。この刺激的効果で、11兆6968億円の収益が上がりました。分母の株式運用資産は61兆7,476億円。しかしその効果は短くて、翌る平成27年度第1四半期まででした。


収益比率は、安倍内閣より野田内閣が上

株式運用収益額の大小は、分母である株式運用資産の金額にも影響されます。

そこで株式運用の有効性の大小を見るには、「株式運用資産収益比率」が大切です。

野田内閣(民主党)時代の平成24年度21.8%よりも、安倍内閣運用の平成25年度、平成26年度の収益比率が下回っています。

このことは、安倍内閣の運用が特に優れているわけではないことを示しています。株式相場を張るということは、誰がやっても損失のリスクがつきまといます。安全第一。株式運用比率を小さくするのが一番です。

菅官房長官や公明党が30数兆円とか38兆円とかの収益額は、どんな数字を組み上げているのでしょうか? おそらく過去10年間とか20年間の年金積立金運用実績の合計をした数字なんでしょう。

安倍内閣の実績として語ることができるのは、2013年度(平成25年度)以後の分だけです。それ以前の他内閣の業績を加算しているならば、人ダマシの数字であり、この数字を語る人は詐欺師です。


予測通り、計算通りにいかないものをバクチと言います。株式投資はスマートに言えば「リスク資産」、悪く言えば「バクチ」です。安倍自公政権が威張れるものは何もありません。


株式は債券より危険率が高い
「年金運用は長期で見るべき」専門家はアベノミクス株高歓迎業界人


運用損失の問題点は、アベノミクスの一環としての高株価誘導政策のために、年金積立金を利用したことです。年金運用のうち債券比率を下げ、金融用語で「リスク資産」に分類される株式の運用比率を50%まで高めたことにあります。

運用収益を高めるとの安倍自公政権の名目ですが、年金運用は安全第一でなければなりません。運用収益より安全第一です。

「年金積立金運用は長期で見るべきで、赤字単年度で見るべきでない」という意見があります。専門家の立派な肩書があっても、この意見の人は、金融・証券・保険など株高歓迎業界人です。政府・自公は政治的利害関係人です。こんな意見に惑わされてはいけません。


リスク資産に分類される株式運用を飛躍的に高めたことは、アベノミクスのために国民の老後を利用し、リスクにさらしていることになります。


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<私のアピール> 安倍総理退陣を願う

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍総理退陣まで、国政で安倍自民党に“No”を !
安倍総理を支持する政党、政治家、安倍総理にすり寄る候補者に、
次の参院選・衆院選で彼ら彼女らに“No”を !

安倍内閣はデモクラシー日本を食い破る強権内閣です。
安倍首相は「戦後レジームからの脱却」をめざしています。
安倍首相の抱く国家像は「明治リメーク日本」です。
平和な暮らしで栄えてきたデモクラシー日本。なぜ壊すのですか?

2012年12月26日、安倍内閣が成立しました。
アベノミクス効果で円安・株高が実現しました。
それは、日銀の巨額な国債購入、年金資金による巨額株式投資を伴っています。

円安効果で輸出大企業が栄えました。同じ円安効果で食品など生活関連品、電気代などエネルギー費が値上がりして、大衆には生活費切り詰め効果がありました。

アベノミクスの円安・株高効果の本質とは、なんでしょう?
国民大衆の生活費で、少数の大企業や株投資家の金庫を富ませている結果ではありませんか?
国の財政を浪費して危険度を高め、年金資金を危ないリスクに賭けることではありませんか?
アベノミクスで国民一般が潤うときは来ません。2015年夏以降、明らかに失敗しています。

安倍内閣下で特定秘密保護法が成立しました。安保関連諸法が成立しました。内閣法制局長官と、自民党・高村副総裁と、公明党・北側副代表の三者で手を握って、憲法違反の集団的自衛権を合憲だと、押し通しました。NHKの経営委員や会長には、安倍首相の息のかかった人が座りました。

政府に「批判的な」テレビ論調に政府・自民党の圧力がかかりました。
政府に「同調的な」テレビ論調に、圧力はありません。政府・自民党が「公平でない」のです。
テレビ局や公共の会館管理者などに自主規制が広がっているように見えます。
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コメント

<資料掲載> 「あたらしい憲法のはなし」 1947年文部省発行 中学校教科書

2016-07-03 16:01:12 | Weblog

[クリック]
2016/07/01 <改憲発議> 安倍首相 「改憲発議は参院選後」(毎日新聞 2015年02月04日)

2005/07/06 憲法9条についてどう考えるか-自衛力整備も考慮に入れて



1947年(昭和22年)5月3日、日本国憲法が公布されました。同年8月、中学生用教科書として『あたらしい憲法のはなし』が文部省から発行されました。

この教科書の原文は、「青空文庫」で読むことができます。フリーソフトのビューワー「Aris Viewer」で読むと、目に優しく読みやすいです。興味がおありの方はそちらでどうぞ。良い挿絵も載っています。

ここに転載するに当たり、多少、現代表記に改めたところがあります。原文はタテ書きです。そのままヨコ書きにすると、全体に空白が少なくて読みづらい。そのため、段落を多くする変更を加えました。

このブログでは1記事当たりの文字量が2万字未満になっていることを契機にして、「一 憲法」から「七 基本的人権」までを青空文庫から転載することにしました。


下記「五 天皇陛下」の叙述中、以下の文章は事実に反する

「こんどの戦争で、天皇陛下は、たいへんごくろうをなさいました。なぜならば、古い憲法では、天皇をお助けして国の仕事をした人々は、国民ぜんたいがえらんだものでなかったので、国民の考えとはなれて、とうとう戦争になったからです。」

この叙述は、昭和天皇を守るためのもので、事実ではありません。私はこの一文を見て、社会科教科書が政権の政治的意思を反映するということを思い知らされました。

昭和天皇を守るための降伏条件を検討している間に、東京大空襲始め全国で爆撃被害がありました。広島・長崎の原爆被害がありました。アジア全域の日本軍将兵を加えて降伏条件検討の間に少なくとも数十万の人々が殺されました。しかもこれとは比較にならない多数の人々が、アジア全域で日本軍によって殺されました。

[クリック] 沖縄米軍基地―1968年佐藤首相沖縄訪問演説と1947年昭和天皇沖縄メッセージ

敗戦後の占領下。昭和天皇が占領軍に政治的意思を伝えていたことが今では明らかになっています。それは明らかに、新しい日本国憲法で禁じられている天皇の行為です。

昭和天皇は1947年(昭和22年)9月、使者を通じて日本占領連合軍のマッカーサー総司令官に、沖縄の軍事占領を継続してくれるよう希望を伝えました。悲惨な沖縄戦が終わって2年。沖縄県民への思いやりは微塵も感じられません。

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<資料掲載>
「あたらしい憲法のはなし」
文部省1947年発行 中学校教科書


    目次
        一 憲法
        二 民主主義とは
        三 国際平和主義
        四 主権在民主義
        五 天皇陛下
        六 戦争の放棄
        七 基本的人権
        八 国会
        九 政党
        十 内閣
       十一 司法
       十二 財政
       十三 地方自治
       十四 改正
       十五 最高法規



一 憲法

 みなさん、あたらしい憲法ができました。そうして昭和二十二年五月三日から、私たち日本国民は、この憲法を守ってゆくことになりました。このあたらしい憲法をこしらえるために、たくさんの人々が、たいへん苦心をなさいました。ところでみなさんは、憲法というものはどんなものかごぞんじですか。じぶんの身にかかわりのないことのようにおもっている人はないでしょうか。もしそうならば、それは大きなまちがいです。(注)昭和22年5月3日=1947年5月3日

 国の仕事は、一日も休むことはできません。また、国を治めてゆく仕事のやりかたは、はっきりときめておかなければなりません。そのためには、いろいろ規則がいるのです。この規則はたくさんありますが、そのうちで、いちばん大事な規則が憲法です。

 国をどういうふうに治め、国の仕事をどういうふうにやってゆくかということをきめた、いちばん根本になっている規則が憲法です。

 もしみなさんの家の柱がなくなったとしたらどうでしょう。家はたちまちたおれてしまうでしょう。いま国を家にたとえると、ちょうど柱にあたるものが憲法です。もし憲法がなければ、國の中におおぜいの人がいても、どうして国を治めてゆくかということがわかりません。

 それでどこの国でも、憲法をいちばん大事な規則として、これをたいせつに守ってゆくのです。国でいちばん大事な規則は、いいかえれば、いちばん高い位にある規則ですから、これを国の「最高法規」というのです。

 ところがこの憲法には、いまおはなししたように、国の仕事のやりかたのほかに、もう一つ大事なことが書いてあるのです。それは国民の権利のことです。

 この権利のことは、あとでくわしくおはなししますから、ここではただ、なぜそれが、国の仕事のやりかたをきめた規則と同じように大事であるか、ということだけをおはなししておきましょう。

 みなさんは日本国民のうちのひとりです。国民のひとりひとりが、かしこくなり、強くならなければ、国民ぜんたいがかしこく、また、強くなれません。国の力のもとは、ひとりひとりの国民にあります。

 そこで国は、この国民のひとりひとりの力をはっきりとみとめて、しっかりと守ってゆくのです。そのために、国民のひとりひとりに、いろいろ大事な権利があることを、憲法できめているのです。この国民の大事な権利のことを「基本的人権」というのです。これも憲法の中に書いてあるのです。

 そこでもういちど、憲法とはどういうものであるかということを申しておきます。

 憲法とは、国でいちばん大事な規則、すなわち「最高法規」というもので、その中には、だいたい二つのことが記されています。

 その一つは、国の治めかた、国の仕事のやりかたをきめた規則です。
 もう一つは、国民のいちばん大事な権利、すなわち「基本的人権」をきめた規則です。

 このほかにまた憲法は、その必要により、いろいろのことをきめることがあります。こんどの憲法にも、あとでおはなしするように、これからは戰爭をけっしてしないという、たいせつなことがきめられています。

 これまであった憲法は、明治二十二年にできたもので、これは明治天皇がおつくりになって、国民にあたえられたものです。しかし、こんどのあたらしい憲法は、日本国民がじぶんでつくったもので、日本国民ぜんたいの意見で、自由につくられたものであります。この国民ぜんたいの意見を知るために、昭和二十一年四月十日に総選挙が行われ、あたらしい国民の代表がえらばれて、その人々がこの憲法をつくったのです。それで、あたらしい憲法は、国民ぜんたいでつくったということになるのです。

 みなさんも日本国民のひとりです。そうすれば、この憲法は、みなさんのつくったものです。みなさんは、じぶんでつくったものを、大事になさるでしょう。こんどの憲法は、みなさんをふくめた国民ぜんたいのつくったものであり、国でいちばん大事な規則であるとするならば、みなさんは、国民のひとりとして、しっかりとこの憲法を守ってゆかなければなりません。そのためには、まずこの憲法に、どういうことが書いてあるかを、はっきりと知らなければなりません。

 みなさんが、何かゲームのために規則のようなものをきめるときに、みんないっしょに書いてしまっては、わかりにくいでしょう。国の規則もそれと同じで、一つ一つ事柄にしたがって分けて書き、それに番号をつけて、第何条、第何条というように順々に記します。こんどの憲法は、第一条から第百三条まであります。そうしてそのほかに、前書が、いちばんはじめにつけてあります。これを「前文」といいます。

 この(※憲法)前文には、だれがこの憲法をつくったかということや、どんな考えでこの憲法の規則ができているかということなどが記されています。

 この(※憲法)前文というものは、二つのはたらきをするのです。

 その一つは、みなさんが憲法をよんで、その意味を知ろうとするときに、手びきになることです。つまりこんどの憲法は、この前文に記されたような考えからできたものですから、前文にある考えと、ちがったふうに考えてはならないということです。

 もう一つのはたらきは、これからさき、この憲法をかえるときに、この前文に記された考え方と、ちがうようなかえかたをしてはならないということです。

 それなら、この前文の考えというのはなんでしょう。いちばん大事な考えが三つあります。それは、「民主主義」と「国際平和主義」と「主権在民主義」です。


 「主義」という言葉をつかうと、なんだかむずかしくきこえますけれども、少しもむずかしく考えることはありません。主義というのは、正しいと思う、もののやりかたのことです。それでみなさんは、この三つのことを知らなければなりません。まず「民主主義」からおはなししましょう。


二 民主主義とは

 こんどの憲法の根本となっている考えの第一は民主主義です。

 ところで民主主義とは、いったいどういうことでしょう。みなさんはこのことばを、ほうぼうできいたでしょう。これがあたらしい憲法の根本になっているものとすれば、みなさんは、はっきりとこれを知っておかなければなりません。しかも正しく知っておかなければなりません。

 みなさんがおおぜいあつまって、いっしょに何かするときのことを考えてごらんなさい。

 だれの意見で物事をきめますか。もしもみんなの意見が同じなら、もんだいはありません。もし意見が分かれたときは、どうしますか。ひとりの意見できめますか。二人の意見できめますか。それともおおぜいの意見できめますか。どれがよいでしょう。

 ひとりの意見が、正しくすぐれていて、おおぜいの意見がまちがっておとっていることもあります。しかし、そのはんたいのことがもっと多いでしょう。そこで、まずみんなが十分にじぶんの考えをはなしあったあとで、おおぜいの意見で物事をきめてゆくのが、いちばんまちがいがないということになります。そうして、あとの人は、このおおぜいの人の意見に、すなおにしたがってゆくのがよいのです。このなるべくおおぜいの人の意見で、物事をきめてゆくことが、民主主義のやりかたです。

 国を治めてゆくのもこれと同じです。わずかの人の意見で国を治めてゆくのは、よくないのです。国民ぜんたいの意見で、国を治めてゆくのがいちばんよいのです。つまり国民ぜんたいが、国を治めてゆく――これが民主主義の治めかたです。

 しかし国は、みなさんの学級とはちがいます。

 国民ぜんたいが、ひとところにあつまって、そうだんすることはできません。ひとりひとりの意見をきいてまわることもできません。そこで、みんなの代わりになって、国の仕事のやりかたをきめるものがなければなりません。それが国会です。

 国民が、国会の議員を選挙するのは、じぶんの代わりになって、国を治めてゆく者をえらぶのです。だから国会では、なんでも、国民の代わりである議員のおゝぜいの意見で物事をきめます。そうしてほかの議員は、これにしたがいます。これが国民ぜんたいの意見で物事をきめたことになるのです。これが民主主義です。

 ですから、民主主義とは、国民ぜんたいで、国を治めてゆくことです。みんなの意見で物事をきめてゆくのが、いちばんまちがいがすくないのです。だから民主主義で国を治めてゆけば、みなさんは幸福になり、また国もさかえてゆくでしょう。

 国は大きいので、このように国の仕事を国会の議員にまかせてきめてゆきますから、国会は国民の代わりになるものです。この「代わりになる」ということを「代表」といいます。

 まえに申しましたように、民主主義は、国民ぜんたいで国を治めてゆくことですが、国会が国民ぜんたいを代表して、国のことをきめてゆきますから、これを「代表制民主主義」のやりかたといいます。

 しかしいちばん大事なことは、国会にまかせておかないで、国民が、じぶんで意見をきめることがあります。こんどの憲法でも、たとえばこの憲法をかえるときは、国会だけできめないで、国民ひとりひとりが、賛成か反対かを投票してきめることになっています。このときは、国民が直接に国のことをきめますから、これを「直接民主主義」のやりかたといいます。

あたらしい憲法は、代表制民主主義と直接民主主義と、二つのやりかたで国を治めてゆくことにしていますが、代表制民主主義のやりかたのほうが、おもになっていて、直接民主主義のやりかたは、いちばん大事なことにかぎられているのです。だからこんどの憲法は、だいたい代表制民主主義のやりかたになっているといってもよいのです。

 みなさんは日本国民のひとりです。しかしまだこどもです。

 国のことは、みなさんが二十歳になって、はじめてきめてゆくことができるのです。国会の議員をえらぶのも、国のことについて投票するのも、みなさんが二十歳になってはじめてできることです。

 みなさんのおにいさんや、おねえさんには、二十歳以上の方もおいででしょう。そのおにいさんやおねえさんが、選挙の投票にゆかれるのをみて、みなさんはどんな気がしましたか。いまのうちに、よく勉強して、国を治めることや、憲法のことなどを、よく知っておいてください。

 もうすぐみなさんも、おにいさんやおねえさんといっしょに、国のことを、じぶんできめてゆくことができるのです。みなさんの考えとはたらきで国が治まってゆくのです。みんながなかよく、じぶんで、じぶんの国のことをやってゆくくらい、たのしいことはありません。これが民主主義というものです。


三 国際平和主義

 国の中で、国民ぜんたいで、物事をきめてゆくことを、民主主義といいましたが、国民の意見は、人によってずいぶんちがっています。しかし、おおぜいのほうの意見に、すなおにしたがってゆき、またそのおゝぜいのほうも、すくないほうの意見をよくきいてじぶんの意見をきめ、みんなが、なかよく国の仕事をやってゆくのでなければ、民主主義のやりかたは、なりたたないのです。

 これは、一つの国について申しましたが、国と国との間のことも同じことです。

 じぶんの国のことばかりを考え、じぶんの国のためばかりを考えて、ほかの国の立場を考えないでは、世界中の国が、なかよくしてゆくことはできません。世界中の国が、いくさをしないで、なかよくやってゆくことを、国際平和主義といいます。


 だから民主主義ということは、この国際平和主義と、たいへんふかい関係があるのです。

 こんどの憲法で民主主義のやりかたをきめたからには、またほかの国にたいしても国際平和主義でやってゆくということになるのは、あたりまえであります。

 この国際平和主義をわすれて、じぶんの国のことばかり考えていたので、とうとう戦争をはじめてしまったのです。

 そこであたらしい憲法では、前文の中に、これからは、この国際平和主義でやってゆくということを、力強いことばで書いてあります。またこの考えが、あとでのべる戦争の放棄、すなわち、これからは、いっさい、いくさはしないということをきめることになってゆくのであります。


四 主権在民主義

 みなさんがあつまって、だれがいちばんえらいかをきめてごらんなさい。いったい「いちばんえらい」というのは、どういうことでしょう。勉強のよくできることでしょうか。それとも力の強いことでしょうか。いろいろきめかたがあってむずかしいことです。

 国では、だれが「いちばんえらい」といえるでしょう。もし国の仕事が、ひとりの考えできまるならば、そのひとりが、いちばんえらいといわなければなりません。

 もしおおぜいの考えできまるなら、そのおゝぜいが、みないちばんえらいことになります。もし国民ぜんたいの考えできまるならば、国民ぜんたいが、いちばんえらいのです。

 こんどの憲法は、民主主義の憲法ですから、国民ぜんたいの考えで国を治めてゆきます。そうすると、国民ぜんたいがいちばん、えらいといわなければなりません。

 国を治めてゆく力のことを「主権」といいますが、この力が国民ぜんたいにあれば、これを「主権は国民にある」といいます。

 こんどの憲法は、いま申しましたように、民主主義を根本の考えとしていますから、主権は、とうぜん日本国民にあるわけです。そこで前文の中にも、また憲法の第一条にも、「主権が国民に存する」とはっきりかいてあるのです。主権が国民にあることを、「主権在民」といいます。

 あたらしい憲法は、主権在民という考えでできていますから、主権在民主義の憲法であるということになるのです。

 みなさんは、日本国民のひとりです。主権をもっている日本国民のひとりです。

 しかし、主権は日本国民ぜんたいにあるのです。ひとりひとりが、べつべつにもっているのではありません。ひとりひとりが、みなじぶんがいちばんえらいと思って、勝手なことをしてもよいということでは、けっしてありません。それは民主主義にあわないことになります。

 みなさんは、主権をもっている日本国民のひとりであるということに、ほこりをもつとともに、責任を感じなければなりません。よいこどもであるとともに、よい国民でなければなりません。


五 天皇陛下

 こんどの戦争で、天皇陛下は、たいへんごくろうをなさいました。なぜならば、古い憲法では、天皇をお助けして国の仕事をした人々は、国民ぜんたいがえらんだものでなかったので、国民の考えとはなれて、とうどう戦争になったからです。そこで、これからさき国を治めてゆくについて、二度とこのようなことのないように、あたらしい憲法をこしらえるとき、たいへん苦心をいたしました。ですから、天皇は、憲法で定めたお仕事だけをされ、政治には関係されないことになりました。

 憲法は、天皇陛下を「象徴」としてゆくことにきめました。みなさんは、この象徴ということを、はっきり知らなければなりません。日の丸の国旗を見れば、日本の国をおもいだすでしょう。国旗が国の代わりになって、国をあらわすからです。みなさんの学校の記章を見れば、どこの学校の生徒かがわかるでしょう。記章が学校の代わりになって、学校をあらわすからです。いまこゝに何か眼に見えるものがあって、ほかの眼に見えないものの代わりになって、それをあらわすときに、これを「象徴」ということばでいいあらわすのです。こんどの憲法の第一条は、天皇陛下を「日本国の象徴」としているのです。つまり天皇陛下は、日本の国をあらわされるお方ということであります。

 また憲法第一条は、天皇陛下を「日本国民統合の象徴」であるとも書いてあるのです。「統合」というのは「一つにまとまっている」ということです。つまり天皇陛下は、一つにまとまった日本国民の象徴でいらっしゃいます。これは、私たち日本国民ぜんたいの中心としておいでになるお方ということなのです。それで天皇陛下は、日本国民ぜんたいをあらわされるのです。

 このような地位に天皇陛下をお置き申したのは、日本国民ぜんたいの考えにあるのです。これからさき、国を治めてゆく仕事は、みな国民がじぶんでやってゆかなければなりません。

 天皇陛下は、けっして神様ではありません。国民と同じような人間でいらっしゃいます。ラジオのほうそうもなさいました。小さな町のすみにもおいでになりました。ですから私たちは、天皇陛下を私たちのまん中にしっかりとお置きして、国を治めてゆくについてごくろうのないようにしなければなりません。これで憲法が天皇陛下を象徴とした意味がおわかりでしょう。


六 戦争の放棄

 みなさんの中には、こんどの戦争に、おとうさんやにいさんを送りだされた人も多いでしょう。ごぶじにおかえりになったでしょうか。それともとうとうおかえりにならなかったでしょうか。

 また、くうしゅうで、家やうちの人を、なくされた人も多いでしょう。

 いまやっと戦争はおわりました。二度とこんなおそろしい、かなしい思いをしたくないと思いませんか。

 こんな戦争をして、日本の国はどんな利益があったでしょうか。何もありません。ただ、おそろしい、かなしいことが、たくさんおこっただけではありませんか。

 戦争は人間をほろぼすことです。世の中のよいものをこわすことです。

 だから、こんどの戰爭をしかけた国には、大きな責任があるといわなければなりません。
このまえの世界戦争のあとでも、もう戦争は二度とやるまいと、多くの国々ではいろいろ考えましたが、またこんな大戦争をおこしてしまったのは、まことに残念なことではありませんか。

 そこでこんどの憲法では、日本の国が、けっして二度と戦争をしないように、二つのことをきめました。

 その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戦争をするためのものは、いっさいもたないということです。これからさき日本には、陸軍も海軍も空軍もないのです。これを戦力の放棄といいます。

 「放棄」とは「すててしまう」ということです。しかしみなさんは、けっして心ぼそく思うことはありません。日本は正しいことを、ほかの国よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。

 もう一つは、よその国と争いごとがおこったとき、けっして戦争によって、相手をまかして、じぶんのいいぶんをとおそうとしないということをきめたのです。おだやかにそうだんをして、きまりをつけようというのです。なぜならば、いくさをしかけることは、けっきょく、じぶんの国をほろぼすようなはめになるからです。

 また、戦争とまでゆかずとも、国の力で、相手をおどすようなことは、いっさいしないことにきめたのです。これを戦争の放棄というのです。

 そうしてよその国となかよくして、世界中の国が、よい友だちになってくれるようにすれば、日本の国は、さかえてゆけるのです。

 みなさん、あのおそろしい戦争が、二度とおこらないように、また戦争を二度とおこさないようにいたしましょう。


七 基本的人権

 くうしゅうでやけたところへ行ってごらんなさい。やけただれた土から、もう草が青々とはえています。みんな生き生きとしげっています。草でさえも、力強く生きてゆくのです。

 ましてやみなさんは人間です。生きてゆく力があるはずです。天からさずかったしぜんの力があるのです。この力によって、人間が世の中に生きてゆくことを、だれもさまたげてはなりません。

 しかし人間は、草木とちがって、ただ生きてゆくというだけではなく、人間らしい生活をしてゆかなければなりません。

 この人間らしい生活には、必要なものが二つあります。それは「自由」ということと、「平等」ということです。


 人間がこの世に生きてゆくからには、じぶんのすきな所に住み、じぶんのすきな所に行き、じぶんの思うことをいい、じぶんのすきな教えにしたがってゆけることなどが必要です。

 これらのことが人間の自由であって、この自由は、けっして奪われてはなりません。また、国の力でこの自由を取りあげ、やたらに刑罰を加えたりしてはなりません。

 そこで憲法は、この自由は、けっして侵すことのできないものであることをきめているのです。

 またわれわれは、人間である以上はみな同じです。

 人間の上に、もっとえらい人間があるはずはなく、人間の下に、もっといやしい人間があるわけはありません。男が女よりもすぐれ、女が男よりもおとっているということもありません。

 みな同じ人間であるならば、この世に生きてゆくのに、差別を受ける理由はないのです。差別のないことを「平等」といいます。

 そこで憲法は、自由といっしょに、この平等ということをきめているのです。

 国の規則の上で、何かはっきりとできることがみとめられていることを、「権利」といいます。

 自由と平等とがはっきりみとめられ、これを侵されないとするならば、この自由と平等とは、みなさんの権利です。これを「自由権」というのです。しかもこれは人間のいちばん大事な権利です。

 このいちばん大事な人間の権利のことを「基本的人権」といいます。あたらしい憲法は、この基本的人権を、侵すことのできない永久に与えられた権利として記しているのです。これを基本的人権を「保障する」というのです。


 しかし基本的人権は、ここにいった自由権だけではありません。まだほかに二つあります。

 自由権だけで、人間の国の中での生活がすむものではありません。たとえばみなさんは、勉強をしてよい国民にならなければなりません。国はみなさんに勉強をさせるようにしなければなりません。

 そこでみなさんは、教育を受ける権利を憲法で与えられているのです。この場合はみなさんのほうから、国にたいして、教育をしてもらうことを請求できるのです。

 これも大事な基本的人権ですが、これを「請求権」というのです。争いごとのおこったとき、国の裁判所で、公平にさばいてもらうのも、裁判を請求する権利といって、基本的人権ですが、これも請求権であります。

 それからまた、国民が、国を治めることにいろいろいろ関係できるのも、大事な基本的人権ですが、これを「参政権」といいます。

 国会の議員や知事や市町村長などを選挙したり、じぶんがそういうものになったり、国や地方の大事なことについて投票したりすることは、みな参政権です

 みなさん、いままで申しました基本的人権は大事なことですから、もういちど復習いたしましょう。

 みなさんは、憲法で基本的人権というりっぱな強い権利を与えられました。この権利は、三つに分かれます。第一は自由権です。第二は請求権です。第三は参政権です。

 こんなりっぱな権利を与えられましたからには、みなさんは、じぶんでしっかりとこれを守って、失わないようにしてゆかなければなりません。しかしまた、むやみにこれをふりまわして、ほかの人に迷惑をかけてはいけません。ほかの人も、みなさんと同じ権利をもっていることを、わすれてはなりません。国ぜんたいの幸福になるよう、この大事な基本的人権を守ってゆく責任があると、憲法に書いてあります。

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<改憲発議> 安倍首相 「改憲発議は参院選後」  (毎日新聞 2015年02月04日)

2016-07-01 16:41:10 | Weblog


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昨年2015年2月の、簡潔な、毎日新聞記事を転載します。

次の日曜日、7月10日参院選で、自民党並びにその友党が勝利すれば、当然に昨年の新聞記事通りに進むでしょう。その前段階として、「緊急事態法案」の強行成立の可能性も大きい。

安倍首相は、政治家としての使命の第一が「憲法9条」だと思っています。

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<改憲発議>
安倍首相 「改憲発議は参院選後」 条項絞り込み指示

              (毎日新聞 2015年02月04日 21時26分)


 安倍晋三首相は4日、自民党の船田元・憲法改正推進本部長と首相官邸で会談し、憲法改正の発議や国民投票の実施時期は来年夏の参院選後になるとの認識を示した。改正する条項は国会や党で丁寧に議論して絞り込むよう指示した。

 会談では、船田氏が「議論の進み具合を考えると、発議や国民投票は参院選後になるのではないか」と指摘。首相は「それが常識だろう」と応じた。

 船田氏はまた、改憲する条項について「環境権」や「緊急事態条項」の新設が候補に挙がっているとも説明したが、首相は具体的な言及はせず、「大いに議論し、1回目の改正の中身を絞ることを丁寧にやっていくべきだ」と指示。最初の改憲で一度に多くの条項を改正するのではなく、絞り込むべきだとの意向を示した。

 船田氏は会談後、記者団に、衆参両院の憲法審査会で改憲項目についての検討作業に着手する考えを示し、「来年度予算案の基本的質疑が終わるころには始めたい」と語った。


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