盛夏です。私の住んでいるところは奈良県の戸建て住宅地です。近くには田んぼも里山もあります。今は蝉しぐれの中。とくに私の家は風通しがとてもいい。で、真夏でも開け放して風を通していることが多いのです。エアコンをつけっぱなしにしていると体が冷えすぎるので、家にいるときはエアコンをつけたり消したりしています。
そうすると蚊もよく入ってきます。風呂上りの夜遅くひとり茶の間に座っていると、蚊が寄ってきます。こちらが蚊に気づくときは、いつも額の前上方でふらふらと旋回しています。
「来たな!」 そうして注視していると少しづつ高度を下げて寄ってきます。私は、飛んでいる方に腕を差し出します。そうして静かにしていると、蚊はすうっと寄ってきて、留まろうとします。そして指先や手の甲や手首付近に着地するかしないかの瞬間に、パチン! 着地するかしないかの瞬間を襲撃すれば、必ずしとめることができます。
この「着地するかしないかの瞬間」が大切です。このとき蚊は留まろうとする態勢です。蚊はすばやく逃げることができません。留まっているときには、蚊が向いている方向から襲撃しなければなりません。でもけっこう難しい。逃げられてしまいます。顔の近くなんかを飛行中の蚊を両掌でパチンとすることは、もっと難しい。