「モノの製造現場から離れるほど所得が高くなる」という印象を持っています。私は、前線で働く、現場で働く、ということに重きを置きます。ですから、不合理だという印象を持っています。
大企業同士の中でも、一般的に言って、製造業よりも金融・証券関係や商社系統の方が給与水準が高い。
企業の中では、職務の中で労働管理=人間管理の要素が高い人の方が、実際に事務・販売・製造等の仕事に携わる人より、給与水準が高い。
研究職に典型的なように、知的作業に特化している人の方が、そうでない人より給与水準が高い。ただ、研究職や調査職などは、前線・現場の仕事だと私は思っています、
同じ商人でも、衣料品や食料品や製造器材など、モノを扱う商人と、保険や株の売買、クレジット・サラ金など金融商品を扱う商人をくらべると、後者の方が給与水準が高い。
給与格差は、能力の問題ということになっています。でも、それは、給与水準の良い人たちが言っていることです。給与水準の良くない人たちから見れば、また別の話がたっぷりとあるでしょう。
富の源泉は地球上に元々あったものです。それを採取し、育て、加工し、あっちこっちやりとりしたりして、経済が成り立っています。地球上に元々あったものがすべての源泉ということであれば、すべての人々に平等に富が行き渡ってもいい。
それが平等に行き渡らない。富の偏在です。これを否定すれば、人間社会が成り立ちません。富の偏在はありのままに受け入れましょう。
しかし、富の偏在があるという事実も、すなおに認めましょう。富の偏在とは、さまざまな理屈によって、ある人がほかの人よりたくさん取り込むということです。
所得の良い人は多少は罪悪感をもって、謙虚に自制心をもって、その分、他人のために、社会のために尽くしましょう。「ほかよりたくさん税金を払うて貢献してるやないか、税金をちょっとしか払うてない奴がえらそうなこと言うな」などと、傲慢なことは決して言わないでくださいね。