川本ちょっとメモ

★所感は、「手ざわり生活実感的」に目線を低く心がけています。
★自分用メモは、新聞・Webなどのノート書きです。

2023 G7広島サミット

2023-05-21 07:32:08 | Weblog


 (はじめに) 原爆資料館の正式名は広島平和記念資料館です。


 一昨日2023年5月19日、G7広島サミットに参集した各国首脳が広島平和公園原爆慰霊碑献花に続いて、広島原爆資料館を訪問しました。


 7年前のG7伊勢志摩サミットでは …… 。


 2016年5月27日、G7伊勢志摩サミット終了後に他国首脳と別れて、当時の米国オバマ大統領が単独で広島に移動し、原爆慰霊碑献花、原爆資料館を訪問しています。当時の安倍首相が案内し、岸田外相が随伴しました。

 慰霊碑献花では、被爆米兵を調査してきた被爆者の森重昭さんをオバマ大統領がそっと抱き寄せた、立ち姿のシーンが人々の共感を呼びました。

 そうではありましたが、オバマ大統領は原爆資料館に入ったものの館内の観覧もせず、ロビーにおいて10分間、館長からレビューを受けたにとどまったと、当時の館長が残念そうにNHKニュースで述懐していました。


 前回オバマ大統領の広島原爆慰霊碑献花と原爆資料館訪問と今回のサミット首脳の献花・資料館訪問とでは、世界への「非核あるいは核制限」ニュース発信訴求力の差は比較にならず、段違いと言えます。


 2016年と2023年とで、「広島原爆」のニュース発信力にここまで大きな差異ができたのは、G7議長国の主催者である2016年安倍首相と2023年岸田首相の思い入れの違いにあると、私は強く思っています。


 2016年G7議長国の折に、オバマ大統領を広島原爆慰霊碑と原爆資料館に呼び込む力になったのは、当時の安倍首相の主導ではなく、当時の岸田外相の主導によるものだと、私は考えます。

 2016年G7で、当時の安倍首相の気持ちは「伊勢神宮」にありました。そしてG7サミットを伊勢神宮のひざ元で開催しました。


一方、同じ2016年G7で、当時の岸田外相の気持ちは「広島原爆」にありました。そしてG7外相会合を広島で開催し、G7外相そろって原爆慰霊碑献花と原爆資料館視察を行いました。

 資料館視察は40分間でした。オバマ米大統領(当時)のロビーで10分間とは大きく異なります。

 ケリー米国務長官(当時、他国の外相相当)は特に感じ入ることが大きかったと言われています。

 ですから、オバマ大統領を原爆慰霊碑献花に押し出すことには、ケリー国務長官の提言もあったのだろうと推察します。要は岸田外相(当時)の思いが通じたということでしょう。



〇 2016年G7サミット、安倍首相(当時)の背景

 2016年のG7伊勢志摩サミットで、当時の安部晋三首相はG7首脳に「伊勢神宮」をアピールしました。

 2016年G7伊勢志摩サミット当時の総理大臣は故安部晋三氏でした。

 故安倍晋三首相がG7サミットを伊勢神宮の地を選んだことには、彼の政治信条があったでしょう。バックボーンとして彼を支える神道政治連盟議員や日本会議所属議員たちは、きっと喜んだに違いありません

 2016年5月26日、G7各国首脳が伊勢神宮訪問。


 2016年のオバマ米国大統領の広島原爆慰霊碑献花は日本国内では広く知られていますが、日米間のこととして諸外国の注目を得てはいません。

 おまけに米国内では、広島原爆投下の正当性否定につながるようなことを歓迎しないのが世論の多数派ですから、アメリカ国内報道の扱いは小さなものでした。

 2016年5月27日、オバマ米国大統領(当時)がG7首脳会議解散後に、広島訪問。


 それでも、広島原爆慰霊碑オバマ献花は、当時の岸田外務大臣の思い入れが実ったものと推察できます。

 なぜならば、2016年G7外相会合は広島市で行われ、G7外相がそろって原爆慰霊碑献花をし、原爆資料館で40分ほど過ごし、特に当時の米国ケリー国務長官(※外務大臣に相応)は1時間近くも資料館に滞在したと言われているからです。このときのG7外相会合のコースは、今回の2023年G7首脳会合と同じものです。



〇 今回の2023年G7サミットの慰霊碑献花・資料館視察

 5月19日 G7首脳 …… 原爆慰霊碑献花、原爆資料館40分視察
     〈日本〉岸田首相、〈アメリカ〉バイデン大統領、
     〈イギリス〉スナク首相、〈イタリア〉メローニ首相、
     〈カナダ〉トルドー首相、〈ドイツ〉ショルツ首相、
     〈フランス〉マクロン大統領、〈EU〉フォンデアライエン委員長 

 5月21日 G7招待8カ国 …… 原爆慰霊碑献花
   〈インド〉モディ首相 …… 主要20カ国・地域(G20)議長国
   〈インドネシア〉ジョコ首相 …… 東南アジア諸国連合 ASEAN 議長国
   〈オーストラリア〉アンソニー・アルバニージー首相 … クアッド議長国
   〈韓国〉ユン・ソンニョル(尹錫悦)大統領
   〈クック諸島〉マーク・ブラウン首相 …… 太平洋諸島フォーラム議長国
   〈コモロ〉アザリ・アスマリ大統領 …… アフリカ連合(AU)議長国
   〈ブラジル〉ルーラ大統領 …… 新興5カ国(BRICS)構成国
   〈ベトナム〉ファム・ミン・チン首相 …… 東南アジアの主要国 

 5月21日 G7招待国際7機関トップ …… 原爆慰霊碑献花
     国連、国際エネルギー機関(IEA)、国際通貨基金(IMF)、
     経済協力開発機構(OECD)、世界銀行、世界保健機関(WHO)、
     世界貿易機関(WTO)
      ※国連事務総長の姿をニュースで見ましたが、ほかは見当つきません。

 5月21日夕方 G7招待国 …… 原爆慰霊碑献花、原爆資料館視察
   〈ウクライナ〉ゼレンスキー大統領 …… アラブ連盟会議からフランス政府
                       専用機で20日午後広島入り


 このように、諸国トップ・諸国際機関トップの広島原爆慰霊碑献花は過去最多であって、これだけでも私はこのたびの岸田外交を歓迎します。

 もちろん人それぞれに、日ごろ、岸田政治へのさまざま注文、批判がおありのことでしょう。私だって同じです。しかし、平和への歩みは遅々として進まずが常態。一歩前進二歩後退のウクライナ戦争、台湾・南シナ海不安の国際情勢に応じた今回の「核兵器使用への戒め」横並び一歩について、G7議長国岸田首相とG7首脳、招待国首脳、グテーレス国連事務総長はじめ招待国際機関トップの広島参集を私は高く評価します。



〇 2023年G7サミット首脳の広島平和記念資料館芳名録5・19公開  

〇 岸田文雄首相
 歴史に残るG7サミットの機会に議長として各国首脳と共に「核兵器のない世界」をめざすためにここに集う。

〇 アメリカのバイデン大統領
 この資料館で語られる物語が、平和な未来を築くことへの私たち全員の義務を思い出させてくれますように。世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう。信念を貫きましょう!

〇 イギリスのスナク首相
 シェークスピアは、「悲しみを言葉に出せ」と説いている。しかし、原爆の閃光に照らされ、言葉は通じない。広島と長崎の人々の恐怖と苦しみは、どんな言葉を用いても言い表すことができない。しかし、私たちが、心と魂を込めて言えることは、繰り返さないということだ。

〇 イタリアのメローニ首相
 本日、少し立ち止まり、祈りを捧げましょう。本日、闇が凌駕するものは何もないということを覚えておきましょう。本日、過去を思い起こして、希望に満ちた未来を共に描きましょう。

〇 カナダのトルドー首相
 多数の犠牲になった命、被爆者の声にならない悲嘆、広島と長崎の人々の計り知れない苦悩に、カナダは厳粛なる弔慰と敬意を表します。貴方の体験は我々の心に永遠に刻まれることでしょう。

〇 ドイツのショルツ首相
 この場所は、想像を絶する苦しみを思い起こさせる。私たちは今日ここでパートナーたちとともに、この上なく強い決意で平和と自由を守っていくとの約束を新たにする。核の戦争は決して再び繰り返されてはならない。

〇 フランスのマクロン大統領
 感情と共感の念をもって広島で犠牲となった方々を追悼する責務に貢献し、平和のために行動することだけが、私たちに課せられた使命です。

〇 欧州連合(EU)のミシェル首脳会議常任議長
 80年近く前、この地は大いなる悲劇に見舞われました。このことは、われわれG7が実際何を守ろうとしているのか、なぜそれを守りたいのか、改めて思い起こさせます。それは、平和と自由。なぜならば、それらは人類が最も渇望するものだからです。

〇 欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長
 広島で起きたことは、今なお人類を苦しめています。これは戦争がもたらす重い代償と、平和を守り堅持するというわれわれの終わりなき義務をはっきりと思い起こさせるものです。



 2016年G7にくらべて、2023年G7をとりまく世界事情は大きく変化しました。今回のG7では、ロシアの戦術核威嚇やザポリージャ原発・チェルノブイリ原発がロシア軍に占領されているという原発危機に対する認識が目前にあります。


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<原発> 運転可能年数、一気に60年超へ 南日本新聞が賛否調査

2023-05-10 15:32:56 | Weblog



2023年2月28日、「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、同日、開会中である第211回通常国会に提出されました。  経済産業省関係サイトから←クリック

こう紹介されても普通の人なら、それがどうしたん、私に何の関係があるのん、と煩わしい思いで聞き流して記憶にも残りません。


しかしこれは、次の新聞記事に関わる重要なことなんです。

(2023.4.27. 17:04  毎日新聞記事から)  電気事業法など五つのエネルギー関連法を改正し、原発の60年超運転を可能にする束ね法案「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」は4月27日、衆院本会議で賛成多数により可決され、衆院を通過した。参院に送付される。(毎日記事引用おわり)


毎日新聞記事が伝えているように、当該原子力発電炉(以下、原子炉)供用開始後の正味運転可能年数を現行40年から、60年に延長し、そのうえ点検・修理のために運転休止していた年月数合計を加算することを認める話です。法案は衆議院を通過し、参議院審議待ちですから、これで決まりです。

もともとの原子炉運転年数規制は30年でした。
それが40年に延長されました。
そしてこのたび一気に60年を超えた。

点検・修理等の運転休止年月を加算すれば、運転可能70年くらいまでいくかもしれません。


 
〇 川内原発、運転延長40年超・60年超に関する賛否調査

九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)が2022年10月に、20年の運転延長(運転期限60年まで)を原子力規制委員会に申請しています。現行40年の期限が迫っているそうです。

先月、2023年4月に、南日本新聞が鹿児島県民を対象に、川内原発運転20年延長に関する意識調査をしました。


  原則40年の運転期限が迫っている川内原発の運転延長について賛否は?
    ・賛成 48.2%  ・反対 45.6%

 ▽60年を超える原発の運転延長を可能にする国の方針について賛否は?
    ・反対 31.5%  どちらかといえば反対 26.6%  横計 58.1%
    ・賛成 15.4%  どちらかといえば賛成 19.0%  横計 34.4%
    ・分からない 7.5%


 ▽運転延長賛成の理由は
    ・電力供給量が不足するから 37.5%
    ・再生可能エネルギーが普及するまで必要 31.3%
    ・40年を過ぎても安全性に問題ない 15.8%
    ・地域の活性化に必要 12.3%


 ▽運転延長反対の理由は
    ・安全性に疑問がある 37.6%
    ・原発は廃止するべき 31.2%
    ・できるだけ早く再生可能エネルギーに移行するべき 25.0%
    ・電力供給量は足りている 3.3%

 ▽調査は4月15日、16日に行われた。回答数は1062人でした。



〇 上記調査のうち「原発運転延長賛成の理由」について考えること

 ▽「電力供給が不足するから」という理由

  ・2011年3月、福島第一原発メルトダウン。
   その年の夏は全国の原発が停止していたが、電力不足を回避できた

  ・だから、電力不足を回避することはできない相談ではない。


 ▽「再生可能エネルギーが普及するまで必要」という理由

   ・1997年12月 京都市で地球温暖化防止京都会議(COP3)開催。
           京都議定書が採択された。
  ・2005年  2月 京都議定書発効。

  ・京都会議、京都議定書は、脱炭素推進への大きな契機になっているが、
   日本政府に実質的な熱意が見られない。
 
  ・大きな課題である発送電分離について有効な進展がない
   政府にやる気がない

  ・新規の個人住宅・事業所建築物・公共建築物などに太陽光発電装置据え付け
   を義務付け、売電でなく、電力の自家発電自家消費を制度化すれば、脱原発
   は飛躍的に進捗するだろう


 ▽「40年を過ぎても安全性に問題はない」という理由

  経年劣化は供用年数が増えるごとに危険性が増加するこれ、常識

  ・全国の原発で、配管の損傷修理が常に発生している。

  ・人々の多くにとって原発の脆弱性情報に接する機会がない。

  ・福島第一原発に関わった一流の人士、すなわち有力政治家・官僚・技術者・
   学者のすべてが、「想定外」の事故と言う。

  「想定外」とは正確に予見できる技術」を持たないという意味に
   なるので「安全性」に問題があるのです
  


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