中日新聞 2020.5.23. 22:20
「訓告」、首相と法相で食い違い 黒川氏問題、答弁に「疑義」も
辞職した東京高検の黒川弘務検事長(63)に対する「訓告」処分を決めた過程について、安倍晋三首相と森雅子法相との間で、説明が大きく食い違っている。森氏は、内閣と法務省が実質的に決めたと説明。これに対し、首相は「検事総長が事情を考慮し、処分を行ったと承知している」と強調した。法務・検察内からは「首相の説明がおかしい」との声が上がっており、「軽い」と批判される訓告を巡り、首相答弁に疑義が出た。
検事長は、内閣が任命し、天皇が認証する「認証官」だ。任命権者は内閣で、その首長は安倍首相。国家公務員法では、懲戒処分は任命権者が行うと規定しており、過去には内閣が検事総長や検事長を懲戒処分したこともある。
懲戒処分より軽い訓告は、法務省の内規に基づく。今回の黒川氏の処分は、上司に当たる検事総長が主体なのは事実だ。
問題は過程にある。森氏は22日午前の記者会見で「法務省内、任命権者である内閣とさまざまな協議を行った」とした上で「最終的に内閣において決定がなされたものを、私が検事総長に『こういった処分が相当であるのではないか』と申し上げ、検事総長から訓告処分にするという知らせを受けた」と語った。
(川本コメント) 森氏は法務大臣である。大臣が「内閣と協議を行った」ので
あれば、官房長官と総理大臣は当然、知っているはず。勝手に法律の解釈変
更だと言い出して閣議決定までして、黒川弘務氏の定年延長をさせたのは安
倍首相です。黒川処分は政権を揺るがす大事件だから、法務大臣と検事総長
のやり取りだけですむはずがない。
つまり、まずは内閣と法務省で調査・検討し、内閣が行う懲戒処分には当たらず、内規の訓告以下であると判断し、検事総長に最終判断を委ねた―という流れだ。
関係者によると、実際、週刊文春報道が出た当初、法務省内では「退職金が全額出ることになるのは理解が得られない」(幹部)との見方もあり、黒川氏を懲戒処分することも含めて調査が進められたという。
一方、安倍首相は22日午後、衆院厚生労働委員会で、野党から「(黒川氏に)重い処分が必要では」と追及され、「検事総長が事案の内容など、諸般の事情を考慮し、適切に処分を行ったと承知している」と何度も繰り返した。内閣という言葉は使っておらず、処分の検討過程に関わっていないかのような印象を与える。 (共同)
スポニチ 2020.5.25. 05:30
懲戒相当の判断が…賭け麻雀・黒川前検事長の“激甘”処分
官邸が決めた「訓告」 退職金も満額か
賭け麻雀で辞職した黒川弘務前東京高検検事長(63)の処分を巡り、事実関係を調査し首相官邸に報告した法務省は、国家公務員法に基づく懲戒が相当と判断していたが、官邸が懲戒にはしないと結論付け法務省の内規に基づく「訓告」となったことが24日、分かった。複数の法務・検察関係者が共同通信の取材に証言した。
安倍晋三首相は国会で「検事総長が事案の内容など、諸般の事情を考慮し、適切に処分を行ったと承知している」と繰り返すのみだった。訓告処分の主体は検事総長だが、実質的には事前に官邸で決めていたといい、その経緯に言及しない首相の姿勢に批判が高まるのは避けられない。
高検トップの検事長は、内閣が任命し、天皇が認証する「認証官」。任命権者は内閣で、その首長は安倍首相。国家公務員法は、任命権者が懲戒処分をすると規定しており、そもそも検事総長には懲戒の権限はない。
複数の法務・検察関係者によると、調査を始めた法務省は、賭博をした職員は「減給」または「戒告」の懲戒処分とする人事院指針などに照らし、懲戒が相当と判断し内閣として結論を出す必要があると考えていた。
法務・検察関係者は「当然、懲戒だと思っていたので驚いた」と話した。
黒川氏は「訓告」にとどまったことで、7000万円ともみられる退職金が満額支給される見通し。“大甘処分”を官邸が主導したことで、毎日新聞の世論調査で支持率が27%にまで急落した安倍政権の、さらなる支持率低下に拍車が掛かるのは必至。「安倍1強」で長期政権を築いてきたが“末期”の足音は着実に近づいている。
▽黒川前検事長定年延長問題
政府が1月31日、黒川弘務東京高検検事長の定年を半年間延長する閣議決定。先例はなく、官邸に近いとされる黒川氏を次期検事総長にするための布石だと臆測を呼んだ。その後の国会で政府は「定年延長は検察官に適用されない」とする従来の解釈を変更したと説明。続いて定年延長を認める検察庁法改正案に対し、著名人らがツイッターで相次いで非難し、検察OBらも反対意見を表明。政府与党は改正案の今国会での成立を断念した。
共同通信 2020.5.25. 10:27
黒川氏処分、首相官邸が実質決定
法務省は懲戒と判断、軽い訓告に
賭けマージャンで辞職した黒川弘務前東京高検検事長(63)の処分を巡り、事実関係を調査し、首相官邸に報告した法務省は、国家公務員法に基づく懲戒が相当と判断していたが、官邸が懲戒にはしないと結論付け、法務省の内規に基づく「訓告」となったことが24日、分かった。複数の法務・検察関係者が共同通信の取材に証言した。
安倍首相は国会で「検事総長が事案の内容など、諸般の事情を考慮し、適切に処分を行ったと承知している」と繰り返すのみだった。確かに訓告処分の主体は検事総長だが、実質的には事前に官邸で決めていたといい、その経緯に言及しない首相の姿勢に批判が高まるのは必至だ。
共同通信 2020.5.25. 12:27
安倍首相「虚偽答弁」、野党が追及へ 前検事長の訓告処分決定巡り
立憲民主党など野党4党は25日、国対委員長会談を国会内で開いた。賭けマージャンで辞職した黒川弘務前東京高検検事長への訓告処分を巡り、安倍晋三首相が国会で虚偽の答弁をした疑いが強まったとして徹底追及する方針で一致した。
法務省は懲戒が相当としたのに、官邸が懲戒にしないと結論付けたとの共同通信の報道を踏まえた。
菅義偉官房長官は記者会見で、訓告処分を決めた過程に官邸側は関与していないと説明。
「法務省が検事総長に訓告が相当と考えると伝え、検事総長も訓告が相当であると判断して処分したと承知している。法務省から内閣に報告があり、異論がないと回答した」と語った。
毎日新聞 2020.5.25. 15:40
官房長官記者会見 菅氏、黒川氏の訓告決定は「法務省と検事総長」
25日午前の菅義偉官房長官の記者会見で、東京高検の黒川弘務前検事長の「賭けマージャン」問題について、 質疑があった。 主なやりとりは以下の通り。
--辞職した東京高検の黒川前検事長の処分に関して「法務省が国家公務員法に基づく懲戒処分が相当と判断したが、官邸が内規に基づく訓告処分を決定した」との報道があったが、事実関係は。
〇官房長官
黒川氏の処分については、法務省において2020年5月21日、検事総長に対し、訓告が相当と考える旨を伝え、検事総長においても訓告が相当であると判断して処分をした。
そのように承知しています。なお、同日、法務省から任命権者である内閣に報告があり、法務省としての決定につき異論がない旨、回答したところであります。
--森雅子法相は「最終的には任命権者である内閣において決定がなされた」と説明している。この説明と食い違うのではないでしょうか。
〇官房長官
法務省の調査結果や黒川氏の処分内容については、あくまでも法務省、および検事総長において決定したものと承知しています。その後、法務省から総理や私に対して、報告があったものであります。
--そうなると官邸側は全く処分の決定には関与していないということになるのでしょうか。
〇官房長官
今、申し上げた通りです。
毎日新聞 2020.05.25.18:34
黒川氏「訓告」追及へ 野党「官邸が判断 濃厚」
立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党は25日の国対委員長会談で、賭けマージャン問題で辞職した東京高検の黒川弘務前検事長が訓告処分を受けた経緯を追及する方針を決めた。
政府・与党は「処分の判断主体は法務省」と主張するが、立憲の安住淳国対委員長は記者団に「法務省はもっと重い処分を提起したが、官邸がはねつけた疑いが濃厚だ」と語った。
森雅子法相は22日の記者会見で、黒川氏の処分について「最終的に内閣で決定された。私が検事総長に『こうした処分が相当』と伝え、総長から訓告処分にする、との知らせを受けた」と説明した。
一方、安倍晋三首相は衆院厚生労働委員会で「法務省で事実確認などしながら、検事総長が処分した。その報告が法相からなされ、私も了とした」と答弁した。
野党4党は説明の「食い違い」を問題視。特に森氏の「内閣で決定」発言から、官邸が処分を判断したとの見方を強める。安住氏は会談後、自民党の森山裕国対委員長に対し、首相が出席する衆参両院の予算委員会を週内に開くよう要求した。
一方、森氏は25日の参院決算委員会で「法務省内で協議を行い、任命権者である内閣とも並行して協議した。検事総長に法務省から『訓告相当だ』と伝え、総長からも『訓告相当だ』と連絡があった」と釈明。自身の「内閣で決定」発言を軌道修正した。
参院法務委員会の与党理事も「官邸が処分内容を覆した事実はない。森法相の『内閣で決定』発言は、表現の誤りだ」と強調した。【宮原健太】
朝日新聞 2020.5.25. 22:48
賭けマージャン、黒川弘務前検事長を告発 朝日新聞社員ら3人も
告発人弁護士「常習性は明らか、違法性は高い」
東京高検の黒川弘務・前検事長(63)=22日付で辞職=が新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言中に産経新聞記者や朝日新聞社員と賭けマージャンをしていた問題で、岐阜県の弁護士らが25日、常習賭博の疑いで黒川氏と記者ら計4人に対する告発状を東京地検に郵送した。
告発内容は、黒川氏ら4人は常習として5月1日と13日、産経記者の自宅で、マージャンをして金銭を賭けていたというもの。1回で現金のやりとりは数千円から2万円程度だったと指摘。4人は3年前から月に数回、同様の賭けマージャンをしていたとした。
その上で「常習性は明らかで、賭け金も多額だ」と指摘。4人はいずれも「高度の倫理観を維持して、社会に範を示し、法律を遵守(じゅんしゅ)すべき立場にあることからすれば、違法性は極めて高い」と主張している。
告発した岐阜県弁護士会の美和勇夫弁護士は「賭博の常習性があることは明らかだ」と話している。
朝日新聞社広報部の話 社員が、定年延長などの問題の渦中にあった前東京高検検事長と賭けマージャンをしていたことは、緊急事態宣言中だったこととあわせ、極めて不適切でした。告発に至ったことを重く受け止め、皆さまの信頼を損ねたことを改めておわびします。すでに役職を外して人事部付としており、処分を含めて適切に対応いたします。
2020.5.26. 05:00
東京高検検事長に林氏 引責辞職の黒川氏後任
法務省は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言中に、新聞記者らと賭けマージャンをし、辞職した東京高検の黒川弘務前検事長(63)の後任に、名古屋高検の林真琴検事長(62)を充てる26日付発令の人事を発表した。
黒川氏と司法修習同期の林氏は、早くから総長レースの本命と目されていた。愛知県出身で、1983年検事任官。法務省勤務が長く、刑事局総務課長や人事課長を歴任。法務省刑事局長を経て2018年1月に名古屋高検検事長に就任した。
検事総長の稲田伸夫氏は、7月で在任2年。林氏が7月に検事長の定年となる63歳を迎える前にバトンタッチするとの見方が強い。 (共同)
(川本コメント) 検察首脳の意中では、林真琴氏を法務事務次官、東京高等
検察庁検事長を歴任させて、稲田伸夫氏次の検事総長に想定していまし
た。安倍首相はその林真琴氏を排して、黒川弘務氏に法務事務次官、 東
京高検検事長を歴任させ、次の検事総長に据えようとして、今の混乱を
招きました。
林真琴氏の東京高検検事長就任は、次期検事総長含みと思われます。
黒川弘務氏の訓告処分と林真琴氏の東京高検検事長就任をめぐって、安
倍首相側と検察首脳側に駆け引きがあったかもしれません。
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