神なる冬

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[SF] SFマガジン2011年05月号

2011-04-17 18:32:42 | SF
『S-Fマガジン 2011年5月号』 (早川書房)



「チャールズ・ストロス&コリィ・ドクトロウ特集」と銘打っているが、この二人に限らず、デジタル技術特集とでもいう感じ。

カラーで紹介されている『リトル・ブラザー』(コリィ・ドクトロウ)はデジタル世代のためのバイブル的存在。世界を憂うなら、世界を変えろというメッセージ性が強烈。今や古典となって、寓話化したオーウェルの『1984年』を21世紀に語りなおし、現実とリンクした物語へと生まれ変わらせている。

「SF IN THE DIGITAL AGE」はローカス誌からの特集翻訳。SF作家たちのデジタル社会に対するスタンスが見えて面白すぎる。これは毎月連載して欲しいくらい。

特集以外にも「大森望の新SF観光局」が電子書籍ネタ。途中までは、先月会社で作ったレポートにそっくりでワロス。まぁ、なんというか、そういうことなんだよね、電子書籍って。

SF大賞受賞の長山靖生「僕がSFでマンガでアニメで、おたくと呼ばれた頃」は80年代SFファンダムの回顧録。自分は10年ぐらいずれているんだけれど、80年代ファンダムの出来事の発端が70年代にあるように、80年代は90年代に地続きであり、なんかいろんな昔のことを思い出したり、もだえたり。



◎「無線人」 チャールズ・ストロス&コリィ・ドクトロウ
インターネット規制だとか、携帯ネット監視だとか、実名強制だとかなんだとか、その先にディストピアが繋がっているのが見える。そんな社会で自由を求めて戦う人々。『リトル・ブラザー』のマーカスは、こんな社会が来ないように立ち上がったわけだし、自分も仕事柄、何かしないわけにはいかないだろうと思うんだけれど、何をしていいのかがわからない。そんな焦りを感じさせられる短編。

△「酔いどれマンモス」 チャールズ・ストロス
ドタバタハチャメチャスラップスティック。

○「エインダのゲーム」 コリィ・ドクトロウ
まずはタイトルに爆笑。読んだら、ネット社会に持ち込まれた南北格差問題に泣く。ネットでは誰もが平等とかいう時代はすでに終わってしまっているんだよ。

×「ヒロシマをめざしてのそのそと〈後篇〉」 ジェイムズ・モロウ
危惧した通りだ。中篇からのどんでん返しもないし、日本のトクサツに対するリスペクトもあるんだかないんだか。ゴジラの偉業をアメ公に横取りされた気分。

△「《現代SF作家論シリーズ》第四回 スタニスワフ・レム論 境界線の幻想」 島村山寝
一言で言うと、散漫。論としての主題が良くわからない。



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