『スターファイター』 ロバート・A・ハインライン (創元推理文庫)
創元“推理”文庫版が『スターファイター』。創元SF文庫版が『大宇宙の少年』。読んだのは古本で買った『スターファイター』の初版。
ハインラインの思想というのは単純で、「常にヒーローたれ」ということなのだと思う。そこに、自己責任と自己犠牲がぶら下がっている。
つまりは、やりたいことがあるならば、何が何でもやりぬけ。人に頼るな。しかし、人には頼られろ。弱きものを救え。例え命を賭けても。ということだ。
そして、主人公は割とナード系だ。自己責任論を振りかざしながらも、けしてマッチョじゃないし、DQNでもない。
さらに、ロリコンだ。
ハインライン=ロリコン説は『夏への扉』でも有名だが、この小説でもヒロインは勝気なおちびさんである。
このロリコン性は、いわゆる性的なものというより、守るべきものを守る、あるいは、守るべき存在を探すというヒーロー指向の結果に過ぎないとは思うのだけれど。
で、結局のところ何が言いたいかというと、昨今のネット弁慶なネトウヨどもは意外にハインラインの思想に合っているんじゃないかと思うのだ。
自己責任を振りかざしながらも、本人は非マッチョ(肉体的にも精神的にも)であり、ロリコンである。
多くのネット弁慶はハインラインの思想を親和性を持って受け入れ、かつ、うまくいけばヒーロー性への憧れで、他者本位の考えに染まってくれるんじゃなかろうか。
そうすれば、ネットの中の不毛な争いは少なくなり……いや、世の中、そんなにうまくいかないか。
強いアメリカという過剰な正義を振り回した結果が現在の世界情勢であることも、一方では忘れてはいけないわけで。
で、要するに、ハインラインおじさんの思想がよくわかるジュブナイルでありました。
ついでに、共訳の人が同じ会社でびっくり!
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