神なる冬

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コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] ベヒモス

2012-08-26 10:55:13 | SF

『ベヒモス―クラーケンと潜水艦―』 スコット・ウエスターフェルド (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 

読んだのは随分前なんだけど、記録のために。

蒸気機関文明のクランカーと、遺伝子工学文明のダーウィニスト。第一次世界大戦をモチーフに、二つのありえた歴史がぶつかり合う。『リヴァイアサン』に続く第2弾。

この物語はいろいろな対立を融合させていこうということがテーマなのかもしれない。世界を二つに割った最初の大戦を、機械工学と生命工学の対立と融合に託して、少年少女たちへ伝えるジュブナイル。

今回の舞台はトルコ。西洋と東洋の融合する国であり、政治的にも連合国と同盟国の間で揺れるという、まさにテーマにうってつけの国。ダーウィニストとクランカーという二項対立のわかりやすい図式から、もっと複雑な社会情勢に巻き込まれていく公子と男装少女。

男装少女のデリンは公子アレックへの気持ちに自覚的になるも、ライバルの美少女リリトの登場に揺れる乙女心(笑)

アレックは自分の国際的使命に目覚め、この戦争を終結させる決心をする。

そして、遂に目覚めた謎の卵。なんと中身は天才スローロリス。なんで卵からサルが生まれるんだか。さすがダーウィニストは違うわ。このロリスが絶妙。天才的な分析力で、周囲の会話から的確なキーワードをボソッとしゃべるだけなのだが、これがまた面白すぎる。

動物型ロボットという、ある意味折衷型の技術はトルコというごちゃまぜ文化の地にふさわしく、なるほどと思わせる。はたして、この世界の日本はどうなっているのか、第3巻が待ち遠しい。

 



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