神なる冬

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[映画] ダークナイト ライジング

2012-08-26 09:39:30 | 映画

ダークナイト ライジング - goo 映画

(C)2012 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES FUNDING, LLC

 

ネットでは「前作に比べて……」という酷評も見るのだけれど、それはヒース・レジャーのジョーカーに引っ張られすぎなんじゃないかと思う。『ダークナイト』は確かに傑出した作品ではあったけれど、それが『バットマン』すべてではない。

たしかに、ヒースが演じたジョーカーは映画史上、屈指の狂気と恐怖を与える存在だったけれども、ダークナイト・ライジングで描かれるのはジョーカーの復活ではなく、バットマンの復活であることは実際問題として変えられはしないのだ。

今回の敵役、べインは肉体的にも頭脳的にも強大でバットマンを追い詰めるのだが、その動機がいまひとつつかめない。いったい、こいつは何をしようとしているのか。

真の黒幕が明らかになったとき、『バットマン ビギンズ』の記憶と相まって、べインの行動がストンと腑に落ちる感じがいい。まったくもってベタだけど、それで動くことこそ人間の証。


『ビギンズ』から見直してもらえばわかるけれど、すべての話は最初からつながっている。たとえば、蝙蝠とともにブルース・ウェインのトラウマとなった、下から見上げる井戸の口がこのような形で登場するとは。そして、すべて伏線はブルースの人生の中に、最初から『ライジング』の結末を予見していたかのようにちりばめられている。

そして、みんな忘れていないか。『バットマン』はヒーロー物なんだっていうことを。

ヒーローとは何か。いったいどういう存在なのか。そして、バットマンは本当にヒーローだったのか。

彼は最初からヒーローたりえず、正義ではなく、復讐のために生きた男だった。『ダークナイト』においてすべての罪をかぶり、闇に葬られた存在だからダークナイトになったのではない。彼は最初から“ダークナイト”だった。その男がいかにして生き、いかにして最期を迎えたか。そういう形のヒーロー物であり、そういう映画だ。

そして、真のヒーローと言えばゴードン警部だろう。唯一、バットマンの無実を知っているがゆえに葛藤に苦しむ男。バットマンの復活を信じ続け、特殊訓練など受けた超人でもないのに、べインたちと渡り合う。デント法によって存在意義を失った警官隊を組織して規律の乱れを押さえ込み、数か月間にわたる幽閉の間、士気を保ち続けて逆襲の時を待ったりと、彼こそが影の立役者だ。

彼もまた、ブルースとの出会いの瞬間から、すべてのエピソードは『ライジング』の結末に至る伏線である。彼に感情移入して見てしまったせいで、バットマンサインを見上げた時には本当に涙が出そうになった。

さらに、ゴードン警部、執事のアルフレッド、フォックス社長といったオッサンたちの役どころがなかなか泣かせてくれる。ブルースの墓の前でアルフレッドが流す涙の重たさは計り知れない。


記憶が曖昧だったので、『ビギンズ』を見直してみたけれど、彼らが今後にどうなるかを知っていながら見ると、またいろいろ発見があって感慨深かった。『ライジング』があんまりおもしろくなかったという人は『ビギンズ』を見直してみるべきだと思うよ。

 



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