
上野の国立博物館で開催中の『土偶展』を見てきた。
我らが土偶が展示のためにイギリスへ遠征した凱旋企画とのこと。
科学博物館じゃないほうの博物館へ入るのは久し振り。
展示室ひとつを使っただけの、こじんまりとした感じだったが、お目当ての遮光器土偶ホンモノをじっくり見られたので満足じゃ。
恒例のガチャガチャも遮光器土偶が一発で出たしな(笑)
それにしても、縄文時代、今から5000~3000年前に北海道、東北という雪深い地で文化が栄えていたというのは興味深い。
北海道からの出土地も、函館や小樽といった沿岸部だけでなく、千歳や江別といった、ちょっと内陸地にまで及んでいる。
沿岸部だけならば、北欧のバイキングの様に夏季の寄港地として栄えた可能性もあるが、これだけ内陸ならば季節的なキャンプ地というのは考えずらい。
電気もガスも無い時代にこんなところで越冬なんてマジ無理っす。越冬無理。
一方、弥生時代、古墳時代になると、東北以北は極端に出土品が少なくなる。やっぱり、縄文時代は現代よりも温暖だったんじゃね?
話を土偶へ戻すと、展示内容でいくつか気になる点が……。
音声ガイド(ちなみに、ダウンロード済みで持っていった)の説明によれば、すべての土偶は女性(乳房、妊娠により膨れた腹部が特徴)とのことだが、「国宝 中空土偶」なんかは、細かい○印でヒゲと、腹毛(いわゆるギャランドゥ)が描写されており、あれはどう見ても男性に見える。また、「膨れた腹と臍」といわれる描写も、実は性器なんじゃねーのかと思うんだが。
同様に説明の中で、首の上に顔が無く、穴が並んだ土偶に対して、省略された描写という説明がされていた。中には「目や鼻の位置に合わないが、顔を示すと思われる」などという苦しい説明も。あれって、実は木製かなにかの仮面があって、それを穴に挿し込んで使ったんじゃなかろうか。仮面土偶の仮面部分がはがれたようにしか見えないんだけど。
そして、遮光器土偶。巨大な目が宇宙人っぽくて有名なヤツ。この目がイヌイットなどが使用する遮光器に似ていると名付けられたのだが、縄文時代に遮光器は出土していないらしい。雪国であれば遮光器があっても不思議は無いのだが、本当に遮光器なのかは良くわからん。
他の土偶だと、目はただの穴(なぜかどれも釣り目で細長い)か、タラコ唇みたいな形の凸型で描写されている。凸部分の細かいヘラ跡は、菅浩江の小説のように、お化粧を示しているのだろう。この凸部分が大きくなったものが遮光器のように見えるのではないかというのが、現在の通説らしい。しかし、遮光器部分にはお化粧に相当する模様が見られないことから、まったく別の意味があるんじゃなかろうかと考えてしまう。
それに、目と目の間にあるひとつの穴も気になる。あれは口なのか、そうであれば、その下の凸部分は何なのか。逆に、凸部分が口ならば、ひとつ穴は何なのか。(ちなみに、鼻の描写は初期型からふたつ穴)そして、もうひとつの穴は、やっぱり臍より下だと思う。
……やっぱり、謎だわ。ロマンがあるわ。
実は、平成館の通常展示にも遮光器土偶が置いてあった。こっちは「撮影禁止」が付いてなかったので、写真を撮ってきた。土偶展の方と違って五体満足版だが、装飾はちょっと荒いかも。こちらも巨大な両目の真ん中に謎の一つ穴が開いている。ついでに、下の穴もはっきり見える(笑)
平成館の展示は土偶あり、埴輪あり、銅鏡や銅鐸ありで、思ったより充実していた。ただし、説明が「土偶」とか「土板」とかしか書かれておらず、かなり残念な感じ。美術品として眺めてる訳じゃないんだから、もうちょっと説明を付けてもいいんじゃね、と思った。

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