神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[映画] バードマン

2016-10-18 21:47:01 | 映画

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

 

スカパーの無料期間に録画したものを今さら視聴。

この手の感想はWebで発表すべきではないのかもしれないが、個人的なメモとしても残しておきたいことがあったので。

この作品について、見る前に知っていたのは以下の通り。
 ・アカデミー賞作品賞をはじめ、4冠
 ・主演男優は『バットマン』のひと
 ・ヒーロー映画のパロディ
 ・ブラックコメディ
 ・ヒーロー物ではないが、ファンタジー要素あり

で、見た感想としては、コメディにしては笑いどころが分からない、だ。クスりとしたのは、BGMのドラムを叩いているドラマーが画面に出てきたところぐらいで、それ以外はクスりともできなかった。

どっちかというと、過去の栄光にとらわれて、家族がバラバラになってしまった男の再生が失敗した、あるいは(成功した)物語という印象。

ラストシーンは、ちょっと疑問だった。主人公が引き金を引いた最後のひと押しは、舞台の出来に無関係に、酷評されて打ち切りとなる未来が決まっているからだと思ったので、なんでこんなラストシーンが付いているのかと。

あれは死後の世界、もしくは妄想の可能性ありとの解説があり、なるほどと納得。問題は、あれが誰の妄想なのかということで、娘の妄想だったらあまりに悲しいなと思った。

実はファンタジー要素が主人公の幻覚ではなく、すべて本物だったらということも考えたのだけれど、この映画ではちょっとそれは無理だった。

それはともかく、一番言いたいのは、これは“ヒーロー”映画のパロディではなく、ヒーロー“映画”のパロディだということだ。

たとえば、俺にとってはブリキの甲冑を着込んでいるのはロバート・ダウニー・Jrではなく、トニー・スタークなのである。したがって、あくまで、彼はシャーロック・ホームズとは別人だ。

なので、『バットマン』で主演をした男が『バードマン』で落ちぶれたヒーロー役者を演じることの“おかしさ”が良くわからない。へーそうなの、というトリビアの泉的な興味深さを覚える程度だ。

たぶん、この映画のコメディとしての面白さは、そういったメタな部分に集中していて、俺にとっては良くわからなかったのだろうと思う。

不思議なことに、SF小説界隈だと、そういったメタな面白さや場外乱闘の楽しさもわかる。きっと、俺は映画ファンではないということなんだろうな。