神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] SFマガジン2013年5月号

2013-04-18 23:05:07 | SF

『S-Fマガジン 2013年5月号』 (早川書房)

 

《星界》シリーズ特集。

《星界》はそんなに思い入れのあるシリーズではなかった。アーヴ語も、返ってややこしいだけであまり魅力的に見えなかった。それでも、《星界》を読み続けていたのは、キャラクターやアーヴ語のような設定だけではなく、スペース・オペラとして面白いと思っていたのだろう。

しかし、新刊が出なくて久しくなり、すっかり忘れてしまっていた。もう出ないものだと思っていた。

それが遂に、復活である。SF作家クラブ50周年、ハヤカワ文庫JA 40周年ということもあるのか、いろいろなシリーズの新刊が企画、出版されている。これもその一つかと思いきや、本格的に復活するらしい。今回の『星界の戦旗V』で第一部完。続いて第二部開始が宣言された。

表紙イラストに引っ張られてラノベ的イメージが強い作品だが、ラノベ界の変遷によって、今の時代のラノベとは言い難い。だからこそ、ハード・スペース・オペラとしての《星界》に期待したい。

 


△「介入 星界の断章」 森岡浩之
 アーヴらしいアーヴ。理屈はわかるが、感情がついていかないのもわかる。アーヴがどういう存在なのかということがわかりやすい。

○「エンジン」 ジェイムズ・S・A・コーリイ
 成功したが故の事故という皮肉。長編の方も読んでみようか。

○「荒巻義雄のブヨブヨ工学」 タヤンディエー・ドゥニ
 今年の日本SF評論賞はなんとフランス人。選評では日本語についての指摘が多くあったが、さすがに雑誌掲載分は修正済みなのでまったく違和感なく読めた。残念なのが、題材である荒巻義雄の「柔らかい時計」が日本ではいまいちメジャーじゃないところ。同時掲載してくれるぐらいのことがあっても良かったんじゃないのか。

 


職業サッカークラブ社長

2013-04-18 22:30:21 | コンサ

『職業サッカークラブ社長』 野々村芳和 (ベースボール・マガジン社)

 

すごい。これは、コンサドーレ札幌にかかわる社員、スタッフ、選手、サポーター、スポンサーすべての人が読むべき。

野々村社長からの期待が明確に書かれているうえに、サッカー選手としてのセカンドキャリア、サードキャリアを考えるうえで、非常に参考になるので、特に若手の選手は100回でも読むべきだ。

野々村さんに期待をしている人も、不安に思っている人も、これを読んで欲しい。そして、今後、株式会社北海道フットボールクラブがどうなっていくべきか、考えて欲しい。

 

これを読んでも、残念ながらサッカークラブ社長がどんな仕事なのかはわからない(笑)が、ノノさんがサッカークラブ社長として何を成し遂げようとしているのかはビンビンに伝わってくる。

最強のクラブは目指せないかもしれないけれど、最良のクラブを目指そう。この理念はH.F.C.の発足当時から言われていたことだと思うのだけれど、それをちゃんと言葉にした経営陣はいただろうか。

それはもろ刃の剣であり、勝利だけを求めるサポーターやスポンサーは離れていくかもしれない。しかし、そこを出発点にしない限り、このチームに未来は無い。

リーグ優勝だけでなく、勝ち負けだけでなく、何を商品として提供できるのか。そこがまず重要なのだ。

そして、我々サポーターが試合に関して払っているものはチケット代だけではない。たとえば、釧路や北見といった道内でも札幌から遠方の地域、さらには関東関西といった日本全国からやってくるサポたちは、何の対価として数万円を(そして少なからぬ時間を)払っているのか。経営者としてはそこを理解しなければならない。

そして、自らが提供しているモノの価値を高めていかなければいけない。それは、チームとしてもそうだし、選手としてもそう。さらには、サッカー試合のイベントとしての価値をどうやって高めていくのかを、チームにかかわる人々がそれぞれの視点で考え続けなければならない。

もちろん、サポーターも例外ではなく、一人一人が価値を作り上げるメンバー(社員とまではいかなくても)なのだ。

この方向で成功している例を知っている。それは、SF大会であり、コミックマーケットだ。これらのイベントの参加者はイベントの主催者と同様、イベントを作り上げる提供者側であり、一方的に価値を受け取るお客様ではない。(昨今ではそれが崩れつつあって歪も生まれているようだけれども)

野々村社長は、その例としてAKB48を上げる。選手一人ひとりはスーパースターではなくても、その成長を一緒に見守り、応援してほしい。それこそがエンターテインメントになりうるのだと。いずれ、コンサドーレの前売りチケットには握手券がつくかも。(もちろん冗談ですが)

“夢を売る”なんていうと、ありがちな話になってしまうが、それを具体的に考えよう。H.F.C.が商売として売っているもの、これから売っていくものは何なのか。

 

正直言って、選手としてはたった2年間しか在籍していなかった野々村さんが、どうしてここまでコンサドーレに思い入れを持ってくれるのか不思議だったのだけれども、その点もちゃんと書かれているし、納得できる。

書かれている言葉にいちいち共感できる。だからこそ、協力したいと思う。遠隔地だし時間も限られているけれども、俺もサポーターとして、何ができるか考えてみようと思う。