神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[映画] おかえり、はやぶさ

2012-04-08 23:47:46 | 映画
『おかえり、はやぶさ』 - goo映画


(C)2012「おかえり、はやぶさ」製作委員会


“はやぶさ”の映画は3作同時に作られていたのだが、その3作目。

実は予告編の段階では、“はやぶさ”のすごさをストレートに伝えてくれそうな気がして、一番期待していた。まえだまえだ(兄ちゃんの方?)という子供の視点を持って、単純に「すげぇ!」という描写があるかと思って。しかし、すっかり期待外れ。本当にすべてが期待外れで、なんとも言いようがない。

なんでお母さんが病気にならないといけないんでしょうか。そんなことがないと、“はやぶさ”を感動的に描けないんでしょうか。父親と息子の葛藤を無理矢理にでも描かないと、“はやぶさ”の感動を描けないんでしょうか。

宇宙空間で機械の作動音がしているのは、まあ有りがちだからしょうがないにしても、ロケット打ち上げのシーンでも音がずれないとか、スタッフは実際の打ち上げ見たことないんだろうか。もう、科学的、工学的な部分はすべてダメダメで、ウーメラ砂漠のシーンも合成バレバレ。なんというか、悪い意味でのテレビ東京クオリティ。もう、馬鹿さ加減を笑うことしか楽しみがない。

なんというか、日本映画の限界を見せられたような気がして気分が悪かったですよ。


結局、3作見終わって一番良かったのは、最初の『はやぶさ/HAYABUSA』だったかもしれない。竹内結子の役は不要だったにせよ、竹内結子の演技自体は非常によかったし、『はやぶさ君の冒険日誌』は“はやぶさ”ファンには有名なので、巷の「はやぶさがしゃべるなんて」っていう批判は失笑ものだからな。

とは言え、『はやぶさ/HAYABUSA』が映画として面白かったかどうかは微妙なところだし、『はやぶさ 遥かなる帰還』はプロジェクトXの出来損ない。『おかえり、はやぶさ』にいたってはテレビ東京の2時間ドラマレベル。←アニメではなくてドラマというところで察しろ!

“はやぶさ”の何がすごかったを知りたい人は、こんな映画なんか見ないで、ニコニコ動画で“はやぶさ”を検索した方が勉強になるし、泣けるし、笑える。つまり、日本の映画人はニコ動の素人に負けっ放しなんだよ。

ちゃんとしたSFの人を監修に付けるだけで随分変わったと思うんだけど、それはSF作家のステータスがいかに低いかの証拠でもあるわけだよな。たとえば、野尻抱介(一部には空飛ぶパンツの人とか、尻Pとかの方が分かりやすいSF作家)がウーメラ砂漠で何をやったかということを知っていれば、それだけで2時間の映画にできると思うんだけど。はやぶさ映画のスタッフは誰もそんなことに興味なかったんだろうな。

[SF] SFマガジン2012年5月号

2012-04-08 23:12:08 | SF
『S-Fマガジン 2012年5月号』 (早川書房)




特集記事はイアン・マクドナルド。

日本では『火星夜想曲』で有名なんだけど、実は俺には全然合わなくって、退屈なだけの存在だったんだよね。しかし、最近のインド系SFはむちゃくちゃ面白い。

『火星夜想曲』は描きたいシーン優先のファンタジーみたいな感じで、俺みたいにそのビジョンを共有できない読者にとっては、読むのが苦痛なくらいに退屈だったのですよ。しかし、最近のインド系SFは現実のインドが持つパワーと神秘性をものすごく現実的に描写していて、現実の神秘的なインド(という言い方がすでに矛盾しているけど)と地続きの未来が見えて、ファンタジックなマンンデーンSFという矛盾した世界をしっかりと描き出しているように見える。と言っても、SFマガジンに過去に掲載された2作しか読んでないけど。

しかし、今回掲載の2作は火星ファンタジーでも、インド系未来物語でもなく、どちらかというと本格SF。イアン・マクドナルドもこんな作品を書いていたんだと驚いた。もちろん、『火星夜想曲』だって読み方によってはハードSFであることは理解しているんだけどさ。


そして、日本SF評論賞の発表。去年から話題になっている「評論とは何か」という提議が再び。今回受賞した論文(←敢えてこう呼ばせてもらう)も、評論というより解説ではないかという議論があったようだ。

本当に、評論って何なんだろうね。読書感想文でも、書評でもなく、解説でもなく、評論。選考会採録では「論文」という単語が出てきてるんだけど、やっぱり論文なわけ?

うーん、正直言って、読んでて面白く無いんだよね。去年のも、今年のも。なんだろう、この感覚。これが評論ならば、俺は別に評論を読まなくてもいいやというか、なんというか。たとえば、このブログでは何度も言っているけど、たとえば俺は巽孝之が書いていることを、まったく面白いとも思えないし、欠片も理解できない。それが評論ならば、やっぱり俺は評論を読まなくてもいいや。と思った。




○『ソロモン・ガースキーの創世記』 イアン・マクドナルド
月曜日から始まって日曜日へ続く創世記。ネタバレなんだけど、そういう構成なんだから仕方がない。遥かな未来、遥かな宇宙の果てへ、どんどん壮大な世界へと連れていかれて眩暈がする。これぞSFといった感じ。しかし、なんとなく個々のエピソードの繋がりが弱い感じがするのがマイナスポイント。最後の結末を無理やりと見るか、予定調和と見るか、読み方が変わりそう。

○『掘る』 イアン・マクドナルド
掘り続けるために生まれ、掘り続けるために生きた人々が辿り着いた現実。皮肉な結末の最後のセリフ。これまた解釈が難しい作品だな。

○「錬金術師」 パオロ・バチガルピ
むむ。バチガルピ的なアイロニーにあふれた作品ではあるけれど、ファンタジーとして書いたために、返ってその刺が鈍っているような気がする。すぐそこの未来、明日にも訪れるディストピアを描くのがバチガルピの魅力だと思っていた。しかし、いったい何のアナロジーかと考えさせることによるワンクッションによって、ファンタジーに託した危機感は薄れてしまっているように感じる。

△「独身者たちの宴」 渡邊利道
『華竜の宮』は面白いと思った作品だけれど、こうやって解説されたものを読んでも、自分が面白い、興味深い、すげーえ!と思った部分が再現されていないような気がして困る。なんだろうね、この“コレジャナイ”感。だったらお前が書けと言われても、さらに困るし。



桜リベンジ

2012-04-08 20:17:05 | Weblog
昨日は、晴れていたのは朝だけで、正午過ぎからちょっと曇っていたので、実はあんまり桜は綺麗じゃなかった。

思い返せば上京(って古いな)して2年目の春に、多摩川サイクリングの途中で残堀川の桜を見た感動はもの凄かったのだけど。

ってことで、今日は晴れたので、昼飯食いがてら残堀川再び。

そうそう、こんな感じ。ピンクに黄色に緑に青に、色の奔流。光が強い晴れた正午ぐらいだけの景色ですよ。

そして、おなじみのカメぇー! このカメ、結構デカいよね。ミドリガメだと思うんだけど。誰だよ、捨てたのは!