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神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[映画] アンドロメダ…

2010-10-11 09:24:21 | 映画
『アンドロメダ…』 - goo 映画




マイクル・クライトンの『アンドロメダ病原体』の映画化作品である。これもTSUTAYAの発掘良品フェアから。

うーむ。やっぱり、今見ると退屈ですかね。

宇宙からやってきた致死性の病原体(菌やウィルスではなさそうな結晶物質なのだが、やっぱりウィルス扱いなのか)が爆発的に広がるかもというパンデミックへの恐怖が今一つ表現しきれずに、科学者のヒステリックさだけが印象に残る。

一方の大統領側や軍の対応も確かに杓子定規なお役所仕事の典型でイライラがつのるのは確かだが、どちらに理があるのかということを観客に理解させることができていないのではないかと思う。

レベル5まである防護施設への入室体制もほとんどギャグ扱いだ。これで、バイオハザードに対する恐怖が十分に表現できているのかというのは疑問が残る。はたして、公開当時はどのような評判だったんだろうか。

映像的には、画面分割や防疫処理の描写など、この映画で確立した斬新な表現手法もあるのだろうが、映画の歴史を見ているわけではなので、それだけではちょっとね。

他の発掘良品フェアに上がっている作品だと、『カプリコン1』は文句なしに名作だから、未見の人は見ておくように。『アンドロメダ…』は、どうでもいいや。


[映画] 未知への飛行 フェイル・セイフ

2010-09-27 21:37:38 | 映画
未知への飛行 - goo 映画




TSUTAYAの名作発掘フェアでレンタル。

創元SF文庫の『未確認原爆投下指令』が原作なのだが、そっくりのそのまま。原作じゃなくてノベライズかと思うくらい。

いやもう、小説と同じくらい退屈な映画だ。画面は白黒だし、舞台はほとんど会議室の中だけだし、ホットラインの先のソ連は声しかしないし、爆撃機のシーンは模型丸出しなうえ、撃墜シーンはレーダーから光が消えるだけというお粗末さ。

音楽もほとんど無く、緊迫した会話だけが続く単調なシーンの連続で、寝落ちせずに見るのは困難。

しかし、最終戦争の馬鹿さ加減と、大統領の過酷な選択は、油断して見ていた観客の心臓をわしづかみにするだろう。あのシーンは、先に小説でそっくりそのままを読んでいても、心が凍る思いがする。いわば、そのシーンのための一発ネタ映画なのだが……。

とりあえず、寝ないでがんばって観るべき。


[映画] エアベンダー

2010-08-03 22:45:43 | 映画
『エアベンダー』 - goo 映画


(C) 2010 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved


M・ナイト・シャマラン監督。アメリカのTVアニメが原作。予告編のカンフーアクションとド派手なCG。RPG風ファンタジー大作映画なので、いくら酷くてもそれなりに面白いだろうと期待していったのだが、……なんじゃこりゃ。

はっきり言って、映画版『ドラゴンボール』の方が笑えた分だけまし。なに、この素人が書いたみたいな脚本。同人誌レベルのRPGパクリ小説だって、これよりは楽しめるんじゃないだろうか。

タイトルの原題は『The Last Air Bender』。“The Last”を取っ払っちゃったら意味無いだろうに、相変わらず日本タイトルはひどいな。実は、タイトルは『アバター』(原作のアニメタイトル?)になるはずだったという。アバターの本来の意味は神の化身の意味。おそらく、ダライラマの転生輪廻をパクったエピソードが示すように、とっても偉い人の現世での現し身である。

アバターであるはずの子供が偉い人になるための重圧を嫌い、修行から逃げ出してから100年。仲良く暮らしていた火、水、土、風の部族だったが、火の国の侵略によって世界を巻き込む戦争へと突き進んでいった。

そんな舞台設定で、どこに行っていたのか再び子供の姿で帰ってきたアバターくんが、周囲の助けを借りて真のアバターとなり、世界を平和に導くという筋立てなのだろう。

ところが、これがまったくもって、すんなりと頭に入ってこない。舞台設定も世界情勢もひたすらナレーションと登場人物の台詞のみで説明されるので、まったく退屈な限り。しかも、その説明すら無い部分にいたっては、想像で補おうにも物語が駆け足過ぎて無理。

火の国の王子が何をしたいのかも、なんで青い精霊の仮面をかぶってるのかも、月の精霊って何とか、火の国はどうして他の三国よりも強いのかも、なーんにもわかりません。っていうか、それ、物語にどう絡んでるの、ただの障害物として置かれてるだけじゃないの。おつかいRPGに出てくる小道具だって、もっとストーリーに絡めた必然性があるだろうに。

それでも、CG多用のカンフーシーンで見せてくれればいいのだが、これもなんだか退屈。

どうせCGなんでしょという意識が先に立ちすぎて、ジャッキー・チェンが生身で屋根から転げ落ちるような緊迫感がない。肉体を極限まで使ったスタントの技よりも、CGバリバリな超能力が強すぎて、さっぱり盛り上がらない。

ブルース・リーを見ろ。ジャッキー・チェンを見ろ。トニー・ジャーを見ろ!!!!!

そういえば『マトリックス』のカンフーシーンも、いかにもワイヤーで吊り下げましたって感じのお笑いシーンだったよな。いわば、これはそのお笑いカンフーシーンと退屈な設定の説明だけで出来上がっている映画。これでいったい何を楽しめばいいというのか。

もう、要素だけ見ればこれだけ面白そうなのに、こんなに退屈だなんてビックリだわさ。

見たのが比較的小さなスクリーンで2Dだったせいなのか。3Dならもっとすごいのか?


[映画] インセプション

2010-08-02 23:36:49 | 映画
『インセプション』 - goo 映画


(C)2010 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved


他人の夢の中に入って何かするという話は、小説ではディックやら夢枕獏やら宮部みゆきやらが手垢のつくくらいにやり尽くしている感があるが、ここまで綺麗に映画化したものは、これまでに無かったのではないだろうか。

「ポスト・マトリックス」といわれるのもむべなるかな。これは巨大ロボットものがマジンガーZ⇒ガンダム⇒エヴァンゲリオンというかたちで時代を塗り替えていったように、マトリックス系の人工現実ものを一変させる力を持つ映画だといっても過言ではないが過言かもしれない(笑)

今生きている世界が本当の現実では無いという意識は、厨ニ病的見地からも、希望は戦争的見地からも、あまりにも甘美で誘惑度が高い。それに対し、エヴァ(旧劇場版)がヲタクの姿をスクリーンへ映し出すことによって夢から醒めろと諭したように、インセプションは観客を現実の世界へキックアウトする。それでいながら、この世界が現実ではないかもしれないというミームはしっかりと脳髄の奥深くに植え込まれ(inceptionされ)ているのだ。

以下、果てしなくネタバレ……








アクションシーンを多用しながらも、夢の中で繰り広げられるのは、父親との和解であり、妻との思い出の昇華である。くしくも、劇中で誰かが言っていたように、まるでなにかのセラピーであるかのようだ。

しかし、これがおぞましさを残すのは、すべてが夢の中での出来事であるがゆえに、偽者であり、いかさまであるということだ。

ロバートが金庫の中から取り出した風車はコブのチームによって作られた小道具であり、父親は用意周到に設計された影でしかない。このため、ロバートは父と和解したという夢を見ただけに過ぎず、実際に和解できたわけではない。ともあれ、ロバートの精神にとって、この和解の夢は救いであったに違いない。

しかし、コブの場合はどうだろう。彼は妻の亡霊を振り切り、現実に帰還することができたのだろうか。いや、やはり、セラピーとしての夢を見せられただけに過ぎないのだろうか。現実に帰還したという夢を。だとすれば、誰に……。



ラストシーンでコブがたどり着いた家(ホーム)は現実なのか、まだ夢の中なのかで、観客は答えの無い議論を続ける。これはそのような意図を持って作られた映画だ。しかし、待って欲しい。コブの他にも目覚めたのかどうかが議論されるべき登場人物がいる。渡辺謙演じるサイトーだ。

この映画は、故・野田昌弘(だと思ったけど)が言う「大嘘は吐いても小嘘は吐くな」というSF的なモラルに沿って作られている。共通の夢を見させる機械と、それによる夢へのダイブという大嘘な設定を軸に、夢見る機械の特性や限界を観客に提示し、それを忠実に守る。小嘘を吐かずに細かい整合性を守ることにより、荒唐無稽な大嘘に現実感を与えているのだ。ノーラン監督ができるだけ小嘘を吐かず、演出よりも整合性を取ったのだとみなした場合、サイトーの加齢の理由を考えることが重要なキーポイントになるだろう。

サイトーとコブの年齢差はどのようにして生まれたのか。これは夢の世界の特性を考えた場合、サイトーの方が下層に潜ってしまったということを示すとしか考えられない。

ロバートが潜り、コブとアリアドネが追いかけた夢の世界は、本当の意味でのリンボではなく、あくまで第4層だったのではなかろうかと思える。サイトーはさらにそこを越えてリンボに落ちた。

この差は何か。それは映画の中で何度も言われている。

夢の中で死ねば、その上層の夢(第0層であれば現実)の中で覚醒することになる。このとき、上層の身体が鎮静剤で深く眠らされていたり、あるいは死んでいたりすると、覚醒することがかなわずに、どこでもない場所=リンボへとらわれてしまう。

ロバートは第3層で死に掛け、第4層へと潜ったが、ここはまだリンボではない。なぜなら、ロバートは第3層で生き返ることにより、目覚めることができたからだ。

すなわち、リンボとは、「行ってしまった場所」ではなく「帰れなくなった場所」を示すものだという解釈をしてみる。そして、本当に帰れなくなったのは誰か。もちろんサイトーである。

コブは仲間意識からなのか、自分の犯罪記録を消してもらうためか、サイトーを追って潜っていった。しかし、サイトーはこのとき、下層での時間の流れが速いために老人になってしまっている。

コブと再開した、サイトーはコブの拳銃で自殺するわけだが、そもそもどうしてサイトー自身が目覚めるためにもっと早くに自殺しなかったのかという疑問がある。これはサイトーが自分の第3層での死を知っていたため、自殺しても戻れないことを知っていた(知っていると思っていた)ためではないか。

それでは、コブはともかく、サイトーはどうやって現実まで戻ってきたのか。それまでに劇中で説明された制限事項を信じるならば、第3層で死んだサイトーは、第3層で目覚めることができないために、それより上の層まで戻ることはできないはずだ。

そして、もうひとつ。リンボ(第5層?)でサイトーが拳銃を持ったとき、“あの音楽”は鳴っていたのか?

キックに合わせて死ななければ、第0層まで一気に覚醒することはできず、覚醒が遅れれば第3層の病院爆破、第2層のエレベータ爆破、第1層のバン沈没に巻き込まれて身体が死ぬことにより覚醒ができなくなるはずではないか。

もちろん、第5層まで潜ることにより、時間の流れが速くなり、大きな違いはなくなっているのかもしれないが、それにしてもサイトーがあそこまで老化する時間である。30年や40年はたっているのだろう。

以上のようなもろもろを考えた場合、サイトーは“夢見る機械”の仕組みとしては帰還できなかったと考える方がリーズナブルである。もちろん、最後に奇跡が起きた、もしくは、経験者であるコブは、リンボからの帰還方法を知っていたという解釈もありうるが、そこはオッカムの剃刀が容赦なく削り落とす。

そして、第0層。飛行機の中で目覚めたサイトーのうつろな目。ラストシーンで回り続けるコマ。

コブもリンボに囚われ、現実に戻れていない。あの世界でのサイトーは「影」でしかない。いや、あの仲間たち全てが「影」なのかもしれない。



ロバートの物語、コブとモルの物語、そして、ラストシーンのコマの回り方を見る限り、一見してハッピーエンドに見えるのは確かだ。二人の魂は救われ、現実に戻ってくることができた。しかし、それならば、なぜサイトーのエピソードがついて回るのか。なぜ、冒頭のシーンにサイトーとの再開が描かれるのか。それこそが、物語全体を解釈する鍵なのだ。というのが、インセプションされちゃった男の独白。



[映画] 宇宙ショーへようこそ

2010-07-20 23:07:38 | 映画
『宇宙ショーへようこそ』 - goo 映画


(c)A-1 Pictures/「宇宙ショーへようこそ」製作委員会


借りっぱなしだの、3Dだのに押されて、まったく話題にならないが、これは文部省推薦でもおかしくないくらいの秀作。

SFのフォーマットがしっかりしているので、変な突っ込みどころが少ない。月探査機「かぐや」のものと思われる月面の映像や、超新星のシミュレーション映像があったり、夢の世界と現実の宇宙観測がコラボしている。ただ、宇宙観測映像をもっと使うようにしても良かったんじゃないか。

犬型(しかも眉毛犬!)宇宙人が地球にやってきて……という設定はあまりにも荒唐無稽だが、そんなものも素直に受け止めてしまうのが子供ならでは。これで大人のキャラがひとりでも入っていたら、ちょっと収集が付かないだろう。そこで子供だけの夏休みキャンプ@小学校の校舎という設定が生きてくるわけだ。

学校の壁に貼られた将来の夢。大統領、ヒーロー、アイドル、宇宙博士、そして、人の役に立ちたい。これがまさしく、テーマのひとつ。スーザン・ボイルが歌う主題歌、「Who I Was Born To Be」も、まさしく将来の夢を歌う。

そして、もうひとつのテーマが、「かわいいは正義!」。……嘘です。

弱く儚いものはどうやって生きていくべきか。いや、かれらは本当に弱いのか。これも学校の壁に貼られた目標。「自分のことは自分でしよう」

そういえば子供の頃、親に「あれ取って来い」といわれたときに、「自分のことは自分でしよう」と言い返して殴られたのもいい思い出(笑)

さらに、もうひとつの目標。「みんなはひとりのために、ひとりはみんなのために」。ベタだけど、燃えるよね。泣けるよね。

宇宙ステーションに取り残された子供たちの何でもできるという全能感と、自分の限界を知る挫折。そして、謎の植物“ズガーン”を巡る大冒険で、子供たちは成長し、知らぬ間に、少しずつ夢に近づいていく。

清く、正しく、美しいSFアニメ。子供は夢を思い描き、大人は子供時代を懐かしみ、しみじみとご覧ください。

なんと、公式サイトにて冒頭22分をノーカット配信中。これで興味を持った人は、劇場へぜひ!



[映画] アデル

2010-07-20 22:33:27 | 映画
『アデル/ファラオと復活の秘薬』 - goo 映画


(c)2010 EUROPACORP-APIPOULAI PROD-TF1 FILMS PRODUCTION Photos:Magali BRAGARD


女ヒーロー版『インディー・ジョーンズ』! フランス版『ハムナプトラ』!
って感じで予告編が流れていたが、そういうのを期待してはいけない。
これはテンドン(繰り返しギャグ)でクスクス笑えるゆるーいコメディ。

恐竜とエジプトが出てくるので、これは是非とも見ねばと思っていた。事前にアクション映画じゃないよという情報は仕入れ済みだったのだが、予想をさらに斜め上に超えるおかしな映画。

目当ての恐竜&エジプトネタについては、翼竜プテロダクティルスのはばたきが思いっきり鳥っぽかったり、卵が巨大すぎるとか、羊食わないだろとか、ギザから王家の谷までラクダ半日かよ船使えとか、そこルクソールだと思うけど王家の谷じゃないし、おい医者のその頭飾りは王位の証じゃねーかとか、もう、いろいろおかしい。

しかし、のっけから、この映画はコメディですというフラグが立っているので、無知による誤解と言うよりは、雰囲気を出すためにわざとやっている感じ。

昔見た『ピンクパンサー』みたいなゆるーいドタバタコメディのノリ。いや、もっと『バックスバニー』みたいなアニメに近いかも。

主演の女優はかわいいけど、入浴シーンもあるし、うんちは空から降ってくるし、ギロチンも落ちてくるし、けっこう品が悪くてブラックな笑いが満載。一緒に見てた観客も、最初のうちは「何、これ笑うところ?」という態度だったのだが、最後は笑い声も聞こえるようになってた。

こういうのが好きな人は好きだけど、観る人を選ぶかも。リュック・ベンソン監督作品だの、謎に挑むアクション巨編だのといったイメージを湧かせる宣伝が、かえってマイナスイメージなんじゃないかなぁと思ったりもする。

ところで、ラストシーンでは……。
「ウッシッシ、これで船ごと沈めてやる!」
「あら、もうやんなっちゃったから、出航前に下りちゃったわ」
という展開だと思うんだけど……。
続編があれば確認しよう。



……そういえば、コンコルド広場にオベリスクがあるはずなんだけど、出てきませんでしたね。


[映画] プレデターズ

2010-07-19 15:38:36 | 映画
『プレデターズ』 - goo 映画


(c)2010 TWENTIETH CENTURY FOX


これでフォーマットの完成だな。いくらでも続編が作れる。創る方も観る方も、飽きるまで続けられる(笑)

世界中から集められた戦士たち。傭兵、軍人、特殊部隊、マフィア、やくざ……。プレデターズのタイトルどおり、同族の“捕食者”である。異星人から見た場合に、同族同士で殺しあっているということ以外、戦争も犯罪も喧嘩も関係がないという事実!

この惑星はプレデターの狩場であり、闘技場であるわけだ。生死の危険がある狩りこそが、至上の狩り。狩り、狩られ、生き延びたものだけがホンモノのプレデターとして賞賛される。これぞ戦闘種族。

対する人類軍は連携もいまいちで自分勝手。出自も武装もさまざまな戦士たちが集まれば、『天装戦隊ゴセイジャー』か『ハートキャッチプリキュア!』かという活躍が期待されるものだが、そんな方向には話は進まない。これでは全滅して終わりかと思いきや、集団プレーではなく、個人プレーでもプレデターを屠っていく。

特殊技能や特殊武器を持ったキャラクターが次々に現れて、最強の敵と戦うという構図は、ヒーロー物の逆であって大変興味深い。しかし、基本フォーマットは一致しているので、男の子としてはワクテカせざるを得ない。

特に、ヤクザ・ハンゾーの殺陣のシーンは馬鹿すぎ。この人、高知東生か誰かかと思ったら、向こうの役者さんだった。剣道2段らしいけど、そんな風には見えんがな。

いや、こんなもんじゃないだろ、人類。今度は、『片腕マシンガール』とか、『鉄男』と戦ってもらおうぜ!


[映画] プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂

2010-06-20 22:23:27 | 映画
『プリンス・オブ・ペルシャ/時間の砂』 - goo 映画


(C)Disney Enterprises, Inc. and Jerry Bruckheimer, Inc. All rights reserved.

ディズニー映画だし、どうせ予定調和なんだろう、と思ってあんまり見る気がなかったのだが、なんとなく見に行ってしまった。結果、意外に面白くて驚いた。

予定調和はその通りなのだが、“時間の砂”の使い方がこなれている。RPGファンにも、ファンタジーファンにも納得のシナリオだろう。

テレビゲームの『プリンス・オブ・ペルシャ』の映画化とのことだが、タイトル以外の共通点は無し。完全に別物。そういうときには、原作のいいところをなぜか外して不要なオリジナリティを出そうとするのが、まったく不思議なことにハリウッドの常なのだが、これはそんなことはなく、素直に楽しめる作品だ。もっとも、ゲームの方をやっていないので、実はゲームファンは激怒ものかもしれないんだけど。

“時間の砂”をどの場面で使うのか、時間を遡ることによって何が起こるのか。このネタははっきり言って、古今東西、いろいろなSFやファンタジーやRPGで用いられてきた。それによって、お約束な出来事や、守るべきルール見たいなものが出来上がってしまっている。それをしっかりと踏まえたうえで、“時間の砂”という設定を効果的に使えるというのは、シナリオライターが映画の世界には数少ない「こちら側の人間」だということを示している。

いや、そこまで言うと、ほめすぎかもしれないけど。

とにかく、予定調和のすばらしさを感じられる作品(笑)でも、ツボを外さないで2時間にまとめるっていうのは、本当に難しいと思うんだよ。


あと、主演のジェイク・ギレンホールは笑うとアルビレックス新潟へレンタル中の西大伍に似てると思うんだけど、どう?


[映画] アイアンマン2

2010-06-17 21:18:51 | 映画
『アイアンマン2』 - goo 映画


Iron Man 2, the Movie: (c) 2010 MVL Film Finance LLC. Iron Man, the Character: TM & (c) 2010 Marvel Entertainment, LLC & subs. All Rights Reserved.


砂漠のテロリストを倒してアメリカの守護者となったアイアンマンだったが、これを面白く思わないのが政治家、軍、ライバル会社。そんなわけで、トニーを追い込んでパワード・スーツを取り上げようとする。さらに、トニーの父親の共同開発者ながら、スパイ容疑で追放された男の息子が敵として登場。

この息子というのが、あのミッキー・猫パンチ・ローク! 筋肉ムキムキで両手に電磁ムチを振りかざし、グフさながらにアイアンマンを追い詰める。やっぱり対“スーツ”用秘密兵器といえば、ヒートロッドだよね。ザクとは違うのだよ、ザクとは!

一方のトニーの相棒は空軍中佐のローディがアイアンマン予備機に搭乗。こいつは敵になったり味方になったり忙しい。

そしてなんといっても、セクシー・コマンドーなロマノフ。ありゃミスティコの動きをパクってるだろ。どこのディーバかと思ったら、『プレステージ』の彼女かよ。スカーレット・ヨハンソン。フツーの女優じゃん。がんばったな(笑)

強大なアイアンマンの力を抑止力として使用するとき、その力を民間人、しかも兵器会社の社長になんて託してもいいのか(抑止力の民営化)という問題は、かなり深いテーマになりうると思うのだが、この映画はそんなことはきっぱり忘れてしまっている。「力が正義なのではない、正義が力だ!」なんていう何十年も前のプロレスアニメにすらテーマ性では負けているじゃないか(笑)

親子の絆とか、迫りくる死を意識した時の葛藤とか、そんなものすらおざなりの背景に過ぎない。なにせ、ライバル会社の社長がわかりやすいぐらいにアホすぎて話にならんからな。アメリカ人が天然で馬鹿なのか、狙って書いたシナリオなのかはさっぱりわかりません。

パワードスーツ、かっけー!
ミッキーローク、なにやってんの(笑) かっけー!
ロマノフ、何者! かっけー!
量産型ドローン vs パイロット入りオリジナル機ってのもパターン通りだが、これが男の子(≠漢)のロマンなのだよ!
やっぱパワードスーツすげー! 腕にマシンガンはいいよね、マクロス思い出すよ!
やっぱり、必殺技は一発しか使えないから必殺技なんだよ!

なんて騒ぎながら見るヒーロー映画。なに、それなら仮面ライダーの映画見たほうがマシだって? そんなの両方見ればいいんだよ!

で、ラストシーンからすると、アヴェンジャーズやるんですか。アメリカのリバイバルブームはどこまで続くのやら。

ところで、ORACLEってなんか噛んでたのか? ホンモノのロゴだよね、あれ。

[映画] 9 <ナイン> ~9番目の奇妙な人形~

2010-05-23 23:25:42 | 映画
『9 〈ナイン〉~9番目の奇妙な人形~』 - goo 映画


(C) 2009 Focus Features LLC. All Rights Reserved.


麻を縫い合わせて作ったような人形に宿る意識。人間と機械の戦争で滅亡した世界で生きる9体の人形による、世界の謎解き冒険譚。

人形の造詣は愛らしいのに引き換え、世界観は陰鬱。人形たちは戦うべきか、隠れて生き残るべきかで衝突しあう。そして、9番目の人形の好奇心と、幾多の仲間犠牲により、世界の謎への扉が開かれる。

スチームパンクの世界観に、フォーマットどおりの冒険譚。たった9人のキャラクターはきれいに色分けされ、物語の中で明確な役割を担う。まさしく、SFファンの見たい世界、思い描いた世界がそこにある。

しかし、あまりにも定型どおり過ぎて物足りないのも事実。エピローグっぽいラストシーンもどうなのかなぁ。あの終わり方では、せっかくたすけ出した意味が無いと思うんだが。やっぱり宗教観の違いか。

あれだけきれいにキャラクターを分けていることと、科学者の言葉からすると、別なラストがあったんじゃないかと思うんだが、あまりに皮肉すぎて変えられたとか?

人間の心を形作るもの。生存本能、知恵、勇気、好奇心……。あの科学者は、絶対に、アレに足りないものを作って、それを人形に託したんだと思うんだけどなぁ。違うかなぁ。