拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

ウィーンフィルのニューイヤーコンサートをみながら感じたこと

2013-01-02 | 旅人のひとりごと

元旦の夜は恒例のウィーンフィルのニューイヤーコンサートをみていました。

同オケを聴きながら欧州で過ごした日々が脳裏に浮かび、なんだかノスタルジックな気持ちになりました。

当時は正直、楽しかったことよりも、苦しかったことや大変だったことの方が何倍も多く、日本での生活をよく懐かしんでいたのに、不思議なものです。


ウィーンフィルの奏でる上質なウィーンナーワルツは、シュトラウスの時代から200年経った現在、世界的にもウィーンの代名詞といえる同街の象徴となっています。

一方、最近ミュージシャン仲間の間では、「今や日本の音楽業界はアイドルとアニメソングだけで、ポップスやロックは絶滅寸前だ」という声が溢れています。

欧州在住時に目にしたのは、ベルリンフィル等、世界最高峰のクラシック文化を持つドイツでも、若者のクラシック離れが進み、コンサートホールに足を運ぶ聴衆の多くは年配の人たちか、外国人という状況でした。

それでもその古き良き文化を何とか残そうと、欧州各地で色々な活動がされています。

一例として、音楽が盛んなアイルランドでは、普段オフィスで仕事をしている人たちが、週末にはパブに楽器を持ち寄りあちこちでセッションが始まります。

中にはプロ顔負けの凄腕の人たちがいて、そうやってアイリッシュ=音楽というイメージが世界的にも確立されています。


自国の若者のリスナー人口は減ったとしても、その音楽が素晴らしければ、その聴衆の分母は世界人口に変わります。
例えばドイツ語圏の人口は1億ちょっとですが、世界人口なら60億以上です。

我々日本人も嘆くのではなく、同じように外に向けたアプローチをし続けることが大切だと感じています。


島国に生まれ育った我々日本人は、色々な物事の分母を1億2千万で考えてしまいますが、音楽に限らず、身近なものからその分母を60億に頭を切り替えていくことが重要だと、海外で生活しながら日々感じていました。

JPOPSやJROCKを世界に広める入り口は、ひょっとしたら既に世界でも地位を確立している日本のアニメやゲームとのコラボなのかもしれません。

日本の音楽、そして日本という国全体が、既に転換期に入っていますが、これまでと大きく発想をジャンプさせ、新しいチャレンジをしていかなくてはいけないと感じる、今日この頃です。

※写真:ウィーンフィルの本拠地、ウィーン楽友協会。