拝啓、世界の路上から

ギター片手に世界を旅するミュージシャン&映画監督のブログ(現在の訪問国:104ヶ国)

2008年5月9日(ニズワ/オマーン)

2008-05-20 | 旅メモ&旅日記(中東・アフリカ)


7時朝食。

7時30分にホテル前でピックアップ。
(10分遅れで昨日チャーターしたタクシー運転手イブラヒムが到着)

7時40分~9時 移動。世界遺産となっている最大級のアフラージュ(灌漑用水路)、ファラジュ・ダリスへ。

このファラジュは地元民の子供達が上半身はだか、下半身は短パンで皆泳いだり、楽しそうに水遊びをしている。
(※成人男性も混じっていたが、自分がファラジュに入ると、他人に肌を見せるのはタブーなのか、ファラジュから出て服を着てしまった)

川底(用水だが)がすきとっており川魚が沢山泳いでいる。
飲料水にもなっているらしく、とてもきれいな水だ。

自分も水着に着替えて泳ぐことに。


トンボが飛び交う下、透き通った川底を川魚達が並んで泳ぎ、川辺には花が咲き乱れる。

父親がまだ子供だった頃、50年前の日本もこのような風景が当たり前のように、家の近所にあったと聞く。


アラビア半島南部のオアシス都市で、50年前の日本の光景に出会うとは思っていなかった。何だが不思議な感じがする。


アラビア半島はシリアやヨルダン等北部の「岩のアラビア」、サウジアラビア等に代表される砂漠の「砂のアラビア」そして、ここオマーンやイエメンといった南部の「幸福のアラビア」に区分されるといわれる。

南部は金や宝石と同等以上の価値で取引された「乳香」の産地(乳香の木からとれるお香)で、今でいう石油と同様、昔この南部アラビアは乳香の貿易で潤っていたことから「幸福のアラビア」と言われていたと聞いたことがある。

あのアラビアンナイト物語で知られるシンドバットもここオマーンの港から出航したのだとか。

しかし緑と水と子供達の笑顔があふれるこの国は、現代も変わらず「幸福のアラビア」なのだなと思う。


10時 ファラジュ・アルグァンタへ。
ここは村の中のファラジュで、皆野菜を洗っていたり、洗濯をしたりして生活に密着している。比較的下流のファラジュなのかもしれない。


公共交通機関のアクセスが無いこと、アフラージュが世界遺産に登録されてまだ2年程ということもあり、観光客の姿は皆無。
シーズンは4月の春までらしく、すでに5月は真夏でシーズンオフということも関係しているかもしれない。


そういえば自分がこの世界遺産を知ったのも、自宅で日本のTV番組を見ていて偶然ここニズワ郊外のファラジュの映像が流れ、砂漠のイメージしかなかったアラブで、600年以上昔に作られた用水の中を泳ぐ子供達がものすごく印象的で、アラビア半島の旅を計画した時、ぜひ1度このオアシス都市に来てみたいと思ったからだ。

もしその番組を見ていなければ、ここに来ることも無かったと思う。
これもきっと何かの縁なのだろうと思う。


10時30分 ニズワフォートへ

ニズワは6世紀~7世紀にオマーンの首都として栄えた古都。
日本でいうところの京都や奈良のような場所。

周りにはオアシスが点在しデーツ(ナツメヤシの実。アラブ人が好きなお菓子はこのデーツから作られる)や野菜、果物の農園なども多い。

ここニズワフォートは17世紀頃に作られた防衛用の砦で、オマーンでも屈指の観光地となっている。

中に入るとオマーンの歴史を綴ったビデオが流れていたり、伝統的な生活用品等の民族博物館になっていたり、ドイツ人(ドイツ語や英語がよく聞こえてくる)などの外国人観光客の姿も多く見られる。

ニズワーフォートの入場料、0.5RO(約140円)

フォートの砦の上は見晴らしがよく市街が一望できる。

またこの日は金曜日マーケットの日らしく地元民の姿も非常に多い。
この金曜日の青空市場では、牛や羊もセリで取引されるらしく、そういえば今朝方、トラックの荷台に子牛が乗せられて運ばれていったのを思い出す。
まさにドナドナの世界。(苦笑)

フォートの後、金曜日マーケットを覗いてみるが、もう11時過ぎということもあって、殆ど終わりがけ。生活用品が中心のようだ。

気温もあがってきたので、マスカットへ移動することに。
帰り道は順調で1時間半程でニズワからホテルに戻ってくる。

帰り道はあちこちのモスクで沢山車がとまっており、ドライバーのイブラヒムに聞くと、金曜日の朝はイスラム教の礼拝日で皆モスクへお祈りにいくのだという。
キリスト教徒が日曜日の朝に教会へ礼拝にいくのと同じようだ。



13時頃ホテルについてしばし休む。

13時30分 歩いてホテル近くの地元民向けシーフードレストランに。
白身魚のグリル(ハーブ、ニンニク、ピクルスがかかり、オリーブオイルでいためてある)が2.5RO(約700円)、シーフードスープ(タコやイカ、エビ、白身魚が入ったハーブスープ)が1.5RO(約420円)、350ml缶コーラ0.2RO(約56円)

なかなかウマイ。

15時~16時 ホテル近くの公営ビーチで泳ぐ。
男性が肌を露出することさえためらわれるここオマーンで公営ビーチがあることが驚き。地元民のおっさん達もはしゃいでいる。
もちろん女性の姿は無い。

アラビア海はキレイだと聞いていたが、ここのビーチは遠浅の海が続いているものの、濁った深緑という感じで決して美しくない。
(むしろ伊豆あたりの海水浴場を思い出す程。汗)

「君の方がこの海の何倍もキレイだよ」などという恋人達(バカップル?)の会話があるが、ここならば、「嘘ついちゃいけません」と子供の頃に教わった自分でも、いくらでも言えそうだ。
(ほめてない。むしろ失礼。)

オマーンの海はビーチではなくダイビングがメインなことから、おそらくモータボートか何かでかなり沖合いに出ないときれいな海には出会えないのだろう。


16時~17時 ホテルのプールで過ごす。他の客は誰もいない。小さいプールなので貸切という感じはしない。(苦笑)

17時 ホテルから少し歩いて地元商店で買い物。
マンゴージュース0.15RO(約42円)
アイス0.1RO(約28円)
缶コーラ0.2RO(約56円)
フルーツパンチ風?変なジュース0.15RO(約42円)

18時 ホテルのPCでインターネット利用 日本語読み書きOK。1時間1RO(約280円)

19時 ホテルの高級インド料理レストラン MIRCHIで夕食。

・スウィートラッシー 1.5RO(420円)
・プレーンナン 1RO(280円)
・Fish Tikka Masala(魚のマサラカレー)+前菜のトルティーヤ(ディップ付) 4.9RO(約1372円)
・ミネラルウォーター(500ml)0.8RO(約224円)
上記に9%税と8%サービス料付。かなり高級。まあ東京でも少しこじゃれたインド料理レストランはこれ位の値段はするが。

魚のカレーはすごく沢山の種類のミックススパイスが入っており、胡椒もかなり大粒。お値段も欧州並みだが味はかなりウマイ。またインドカレーだけあってしっかり辛い。
(アラブカレーは辛くなく、インドやパキスタンのカレーとはっきり区別される)

ナンも香ばしくて激ウマ。ラッシーもGood。

しかしインドで魚のカレーというのは聞いたことが無い。
ゴア方面等の南インドかスリランカ料理か?と思い店員に聞くが北インド料理とのこと。洗練されたスパイスの技法と地元の魚を使ったアレンジ料理なのだろうか。

ちなみにウェーターはスリランカ人と言っていた。


アラビアは元々のアラビア人よりも、出稼ぎのインド人、パキスタン人やフィリピン人といった外国人労働者の数の方が多く、このようなウマイインド料理やパキスタン料理にありつける。

仕事等でよく行くイギリスのインド料理は値段のわりにイマイチだと思うことが少なくないが、アラビアで食べるインド、パキスタン料理は、激安レベルから高級レベルまであるが、いずれもかなりレベルが高い。

インドで食べるインド料理よりも、東京で食べるインド料理の方が正直ウマイと思っていたが、アラビアの高級インド料理は東京で食べるものとレベル的に遜色がなく、スパイスの違いからか、東京で食べるものよりも本場に近い気がする。
現地の素材やスパイスもふんだんにつかってあり、これはかなりイケル。
中東で意外な楽しみを発見。

アラブに来たらレバノン料理だけでなく、ぜひインド、パキスタン料理もお試しあれ。


夕食後ホテルの部屋に戻りこの日は22時頃就寝。

※写真:ファラジュ・ダリスで水遊びをする地元の子供達