明日元気になれ。―part2

毎日いろいろあるけれど、とりあえずご飯と酒がおいしけりゃ、
明日もなんとかなるんじゃないか?

日常を日常として過ごすことのひっかかり

2011-03-25 13:48:39 | 美味しいもの
仕事が一段落したら温泉に行きたいと思い、金沢のパンフをそっと夫の机の上に置いてアピールしておいた。

すると、夫が私の部屋に入って来て、「温泉は行けなくなった」と。
「え。なんで?」

「募金したから」

!!!

温泉旅行用にとっていたお金を全部募金したというのだ。
「全部しちゃった……!しちゃったよ……!」と、自分でも若干、興奮している様子の夫……

怖いので、いくらあったのかは聞かないことにした。
まあ、「温泉に行ったつもり募金」ということで、いいかな。

これは「自粛」ではない。
うちのようにローンを抱えた一般庶民家庭が、まとまったお金を募金しようと思ったら、何かをあきらめないとそのお金は捻出できないのである。
柳井さんみたいに、個人で10億円もできるような資産がまずないのである

やっぱり金持ちにならないとあかんな……としみじみ思う今日この頃。
そう思いながらも、地道に文章を書いて、売り歩くしかないというしがないライター

我が家の例のように、「~つもり募金」はいいが、自粛はダメだと思う。
もちろん、むやみにバカ騒ぎをする必要もないし、無理やりお金を遣う必要もないが。

日本経済が心配で仕方がない。
元気な人々まで自粛していたら、本当に日本は沈没してしまう。

一昨日、仕事をいただいている会社の社長さんと打合せをして、その後、そういう話で盛り上がった。
同じような考え方でよかったと思った。

「今、我々ができるのは、目の前にある自分の仕事を一生懸命やることでしょう。それでまたお金が入れば、募金もすればいい」

社長がそう言ったので、私も深く頷いた。

そして、この日は、また社長においしいものを食べさせていただいた。
北新地で、社長も初めて行くお店。
大将は「喜川」で修業された方と聞き、わくわく

「割烹 さか本」

店の大きさの割りに、大勢の板前さんが働いていて、活気があった。
カウンターに座ると、手書きの長い長いメニューが……

写真を撮りたかったけど、こんな高そうな店で携帯を取り出すのもはばかられ……

「好きなもの注文していいよ」と社長が言ってくれたけど、値段が全く書いていないので、怖くて注文できない

「どうぞ、私なんでも好きなので、お任せします!」と言うと、
お造り盛り合わせ、フグの白子の塩焼き、蛍烏賊の木の芽田楽、蓮根まんじゅうを注文してくれた。

社長、素晴らしい!

私はフグの白子がこの世の中で何よりもおいしいと思っているくらい、大好き!
ふわふわの大きな白子が出てきたときは、本当に嬉しくて涙が出そうになった。

お造り盛り合わせも、鰹、オコゼ、鯛、イカなど、とても新鮮でおいしい~

しかし、大好きな白子よりも強烈に旨かったのは、蛍烏賊の木の芽田楽!
蛍烏賊が3つ串に刺さっていて、その上に田楽味噌と木の芽が乗っている。
これがまあ……

たまらんっ!!

蛍烏賊の濃厚な旨味と田楽味噌が香ばしくまろやかに合わさって、さらに木の芽がいいアクセントになっている。
この絶妙なハーモニーにやられた。

「酒が進むねぇ」と社長。
「酒が進みますねぇ」と私。

日本酒があまり種類がなく、高知の「船中八策 純米」を冷やで。
こりゃ、酒とあわせると、またたまらん。

それから追加で、鯛の子の卵とじ、焼きアワビ、山菜の天ぷらを注文。

心の中で「鯛の子、鯛の子、鯛の子……」と願っていたら、社長が「鯛の子」と言ったので、飛び上がりそうだった

「私、鯛の子って思ってたんですよ~」と思わず言ってしまった。
それくらい、心の中を読まれたのかと思ったほどのタイミングだった。

アワビもおいしかったのだが、横に付け合せてあったアスパラをクリーミーなソースにつけて食べて、「菊姫 山廃純米」に合わせるのがまた旨かった。

山菜の天ぷらも、10種類くらいを1つずつ揚げてあって、すごく贅沢な感じ。
大将自ら採りに行ったものもあるとか。
野蒜なんて久しぶりに食べたなぁと思った。

どれもこれもおいしく、また大将も優しそうな人柄で、お店も活気があって明るくて、とても気に入った。
残念なのは値段がわからないので、自分では「また来よう」と思えないところ……

おいしいものをご馳走になって、幸せ気分いっぱい
ふわ~っとしていた。

社長のお話もいつも面白く、時間があっと言う間に過ぎる。
哲学や経済、スーパー業界の話などをいろいろ聞いて、また勉強になった。

「いつもごちそうになって、すみません」と言うと、
「いやいや、こっちがおいしいもの食べたいだけやから、また付き合って」と言ってくださる。

あー、私はなんて恵まれているんだと、心の底から感謝する。
そして、社長のところの仕事を一生懸命やらせてもらうのは当たり前だけど、私も自分より年下の人たちには還元していかないといけないなと思う。

私は昔から、仕事場の年下の人を食事に連れていってあげるのが好きだ。
たぶん自分じゃあまり行けないだろうなと思うお店に連れていって、ご馳走してあげる。
でも、それは、私もそうやって、年上の人たちにかわいがってもらってきたからだ。
だから、私がご馳走してあげた人たちも、また自分の後輩ができたときに、同じようにちょっとイイモノをご馳走してあげてほしいなと思っている。

この日も、社長にたくさんお世話になった分、また誰かにお返ししたいなと思った。

結構長居して、そろそろ帰ろうか……となった時、5、6人で来ていたサラリーマンの団体さんが先にお勘定していた。
団体が先に外に出て、それを取り仕切っていた社長さんみたいな人が支払いをしていた。
大将と話していたので、何気に見ると、ナニワ金融道に出てきそうな、いかにも大阪の「社長!」みたいな人だった

仕立てのいい、ちょっと濃くて太目のストライプの入ったスーツに身を包み、
少し色の入ったサングラスをかけて、セカンドバッグを持っている……みたいな

接待なのかな。
それにしても、羽振り良さそう……
不況だといっても、新地でこうやって団体の支払いする人もいるんやよね。
こういうナニワ金融道みたいなおっちゃんが、経済を潤してくれているのか。

同じ日本で、おにぎり1個で寒さに震えている人がいる人がいることを思い出し、白子やアワビを食べていた自分を少し後ろめたく思ってしまった。
こういう気持ちはかえってよくないと思うのだけど。
でも、そういう気持ちを抱いてしまうことも、また健全だとも思ったり。

日常を、日常として過ごすことの難しさが今はある。
いちいちこういう「ひっかかり」を処理しなければならないわけで。

世界があんなにも日本に同情し、人やお金やモノを贈ってくれる一方で、リビアを攻撃しているという……、わかるんだけど、わからない「事情」。
それを考えている時と、今の自分が抱いた想いが似ているな、と思った。

いろいろと複雑な気持ちを抱えつつ、しかし、楽しくおいしい時間を過ごさせてもらって、本当に嬉しかった。

また、一生懸命仕事しよ。

家に帰ると、いろんな意味で気が晴れていた。
最近、調子悪かったけど、もう大丈夫だ。
私の中のブルーな時間はまた通り過ぎた。

イライラは、もうない。
全ては小さなことだった。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
むじゅん (もんちゃん)
2011-03-25 22:32:11
わたしも、栃木に住みつつ大阪に帰る自分に
後ろめたさを感じたよ。こっちにも友達いるから。
でも、いったん大阪に帰ってよかったと思った。
明日からまたこっちで頑張れる。
これまでよりいっそう頑張ろうという気持ち。
体力も大事やけど、やっぱり気持ちがより大事やなと思ったりした。


柳井氏の10億円・・・びっくりしたけど
この人って、あんまりヘンな豪遊とかしたりしないで、普通に暮らしてるから、こんなに資産があるんじゃないかなと思った。
(小室哲哉と比較 
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金は… (かどや)
2011-03-26 12:33:30
本当に、自然の驚異に改めて人間の無力さと強さを感じます。そして国内外の有名人がボンボン何千万、億という義援金を出す事にも私のような低所得者としては驚くばかりです。けど…お金は回さないと経済がなりたたないだからお金持ちはたくさん回してまたたくさん帰ってくる…そうでない者はそれなりに…がツライとこだけどこれから私が、私たちがしなければいけないことを確かな足取りで進みたいなぁと思ってます。もんちゃん、頑張ってね
さんちゃん、ご主人は本当に素晴らしい人だね。私の周りには素晴らしい人達がいっぱいいるだから私も頑張れるわ。
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Unknown (かおり)
2011-03-27 18:36:00
>もんちゃん

とりあえず、息抜きができてよかったんじゃないかなと思う。
でも、全然しゃべったりできなかったのが残念……。
こんな近くにいるのに……と生殺し気分でした(笑)
またしんどくなったら大阪へ!!

柳井氏。
芸能人と企業家の違いかなぁと思う。
企業家は、基本的には社会のためになることを考えているので……。
まあ、全員じゃないけれど。
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Unknown (かおり)
2011-03-27 18:39:05
>かどや

「お金はたくさん持っている人が払えばいい」というのが昔からの私の持論で。
そうやって、まわるものだと考えています。

私たちみたいな庶民は、庶民なりにできることをやっていければいいね。

夫を褒めてもらえるのは嬉しいこと。
ありがとう!
ほんまにええ人に貰ってもらえたわ(笑)
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やれることやろう (ひのき学習塾  堀)
2011-03-27 20:53:24
私は、被災した子供たちに大きくなって使わなくなった、ランドセル・絵本・文房具・参考書・マンガなどを集めて届けています。柳井さんが10億、松坂は100万ドルを寄付したそうですね。私はそんなお金がないので、地元の学校のPTAの方にお願いに行ったり、ツイッターで叫んだりしています。
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おもい。 (床床。)
2011-03-27 23:09:10
探したわけではないのですが、
塾長のツイートから辿り着きました。



ご心配をおかけしました。
あたたかいメール嬉しかったです。本当に。
ありがとうございました。



最近、親の携帯電話が街に出れば通じるようになり、ずいぶんと安心が増しました。

昨日初めて水が出て、昼間に2回もお風呂に入ったのだそうです。
固定電話は時々は通じるようになりました。

有り難いことです。

少しずつ少しずつ進んでいるのが遠くからも感じられます。ただ復興に関しては、主観ですが元通りにはならないと思っています。神戸とは違うからです。


わたしは何もできないけれど、毎日目のまえのことを、小さなことを丁寧に暮らしていけたらと考えているところです。

友達のお父さんがまだ見つからない、お母さんのご遺体が戻ってきた、そういう話もたくさん聞きます。

だけど仕方がないなと。本当に「しようがない」のです。
だから普通に暮らしていく、ことかなと。


お会いしてゆっくりお話がしたいです。

塾長もとても心配して下さいました。

岩手を離れ被災しなかった自分、大阪の方々とのあたたかい出会い。

いろんなことを考えます。


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Unknown (かおり)
2011-03-28 00:01:16
>堀先生
私のブログを宣伝に使わないでくださいよ~
まあ、いいですけど(笑)

たくさん集まってきているようで、よかったです。
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Unknown (かおり)
2011-03-28 00:11:50
>床床。さん

とりあえず、ご両親が無事であり、少しずつ状況が良くなってきているとのこと。
本当によかったです!何よりです!

あまりしつこくメールして聞くのもなぁ……と思っていたので、コメント嬉しかったです。
ありがとう。

「元通り」にはならないかもしれない……
でも、生き残った人たちが毎日普通に日常を送れるようになるまで、皆でできるだけのことをしていなかければならないと思っています。

そして、おっしゃる通り、目の前の小さなことを丁寧に暮らしていく……、それしかないですね。

ご家族が被災され、故郷が無残に形を変え、お知り合いの悲しい知らせをたくさん聞く。
そんな状況で、
「しようがない」
そう受け止められることが、私には人としての強さのように思えます。

ゆっくりお話しましょう。
またメールします。
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