実家の両親は、ちょっと変わっている。
現在は二人とも退職しているのだが、
定年になると、遊び人の父親は喜んで仕事を辞め、
ワーカーホリックの母は急いで次の仕事を探した。
そんなわけで、母は週休2日フルタイムで働き、父が料理などの家事をするという、変な状況になっている。
先日、彼が「『美味しんぼ』が読みたい」というので、実家に取りに行ってきた。
ちょうど夕食時で、その日のメニューは天ぷらだった。
いつものように、ガツガツ・モリモリ食べている二人。
油ものは見るのもイヤだという年よりもいるだろうに・・・。
母はツヤツヤした顔をしているし、父は70歳とは思えない生命力。
最近はもうずっと父が料理を担当しているらしく、母は大喜び。
父は父で、「かおりー、見て見てー」と嬉しそうにノートを持ってくる。
中を見ると、この9月から毎日何を作ったかをきちんと記録しているのだ。
「参考レシピ」という欄に、たまに「細木」とあるのが気になった。
おそらくテレビで細木数子が料理しているのを参考にしているのではないかと思うのだが……。
「9月からまだ1回も同じ料理作ってないんや~」
と嬉しそうに自慢する父。
「毎日、いろいろ食べれて嬉しいわー」とお気楽な母。
『美味しんぼ』を数十冊自転車のカゴに乗せ、家まで帰る途中、思った。
この食い意地の張ったところは母親似だと思っていたが、これは意外にも父の血ではないか?!
父が見せてくれた、きっちりメモされたノートや、レシピを切り取ったファイルなどを思い出す。
あの変なマメさ……。
熱しやすいところ……。
ああ~、そっくりだ、私に!!
この歳になって、初めて知る事実。
絶対父の血は薄いと思っていたのだがなぁ。
ちなみに、我が姉も食にはうるさい。
私がこんなに食道楽になったのは、バブルの頃の姉の影響ではないかと思う。
姉はなんだか高くて旨いものばっかり食べていた。
結婚してからは、ずっとお菓子を習いに行っていて、ケーキ屋さんでバイトをしたりしていた。
ちょっと前にそこを辞めたと聞いていたのだが、今度は有名な某和菓子屋が経営する洋菓子部門の店で、製造アシスタントの仕事をするらしい。
これも、血か。
血は関係ないのに、最近、彼が食道楽になってしまい、困っている。
「食」への執着がやたらすごくて、「この人、こんな人やったっけ?」とよく思う。
「太るから、食べるのやめて!」と怒るのだけど、絶対やめない。
私のように雑誌を見ては「ここ、美味しそうちゃう?今度行ってみーひん?」と持ってくる。
そして、最近は毎日『美味しんぼ』を読んでいる。(まあ、私のだけどさ)
器にも目覚めたようで、私のコレクションを机に並べて眺め、
「これいいなぁ}」「これはあんまりやな」と批評したり、「あの大皿見せて」と私の秘蔵の皿を出させたりする。
一番やっかいなのは、家で飲むときにいちいちグラスを替えること!
1杯目は焼き締めのビアグラスで飲んだかと思えば、2杯目はお気に入りのシャンパングラスで飲みたがったりする。同じビールを、だ。
(洗うのは私ですからね)
実は、今週末、初めてうちに実家の両親と姉夫婦と姪っ子・ひなのが遊びに来る。
母が「楽しみだ」と電話をしてきて、
「お腹すごーーーく減らしていくからね!」と言う。
怖い、怖い。
そういえば、姉夫婦にご飯を食べてもらうのは、生まれて初めて。
(私と姉は仲が悪い)
とにかくみんな舌が肥えているので、プレッシャーがかかる。
そのうえ、全員が大食漢。
一体何をどれくらい作ればいいんだろうか・・・。
絶対間違いのない、自分のもっている一番美味しいレシピで勝負だ!
まあ、大変だけど、外に一緒にご飯を食べに行くよりはいいだろう。
彼は、前に私の両親とご飯を食べに行ったときの衝撃を、いまだに言う。
「あれは、ほんまにびっくりした」と。
みんなで頼んだはずのキンメの煮付けを、父親が1人で食べようとしたからだ。
「これはお父さんが頼んだんやから!」と子供のように自分の前に皿を置き、食べてしまった。
さらに、お造りの盛り合わせも、珍しく海ぶどうがあって、私も彼も食べたかったのに、父親が1人で一気に箸ですくい上げ、一口で食べてしまった。
あのときの衝撃・・・
ああ、私の食い意地は、やっぱり父親の血なのかもしれない。
現在は二人とも退職しているのだが、
定年になると、遊び人の父親は喜んで仕事を辞め、
ワーカーホリックの母は急いで次の仕事を探した。
そんなわけで、母は週休2日フルタイムで働き、父が料理などの家事をするという、変な状況になっている。
先日、彼が「『美味しんぼ』が読みたい」というので、実家に取りに行ってきた。
ちょうど夕食時で、その日のメニューは天ぷらだった。
いつものように、ガツガツ・モリモリ食べている二人。
油ものは見るのもイヤだという年よりもいるだろうに・・・。
母はツヤツヤした顔をしているし、父は70歳とは思えない生命力。
最近はもうずっと父が料理を担当しているらしく、母は大喜び。
父は父で、「かおりー、見て見てー」と嬉しそうにノートを持ってくる。
中を見ると、この9月から毎日何を作ったかをきちんと記録しているのだ。
「参考レシピ」という欄に、たまに「細木」とあるのが気になった。
おそらくテレビで細木数子が料理しているのを参考にしているのではないかと思うのだが……。
「9月からまだ1回も同じ料理作ってないんや~」
と嬉しそうに自慢する父。
「毎日、いろいろ食べれて嬉しいわー」とお気楽な母。
『美味しんぼ』を数十冊自転車のカゴに乗せ、家まで帰る途中、思った。
この食い意地の張ったところは母親似だと思っていたが、これは意外にも父の血ではないか?!
父が見せてくれた、きっちりメモされたノートや、レシピを切り取ったファイルなどを思い出す。
あの変なマメさ……。
熱しやすいところ……。
ああ~、そっくりだ、私に!!
この歳になって、初めて知る事実。
絶対父の血は薄いと思っていたのだがなぁ。
ちなみに、我が姉も食にはうるさい。
私がこんなに食道楽になったのは、バブルの頃の姉の影響ではないかと思う。
姉はなんだか高くて旨いものばっかり食べていた。
結婚してからは、ずっとお菓子を習いに行っていて、ケーキ屋さんでバイトをしたりしていた。
ちょっと前にそこを辞めたと聞いていたのだが、今度は有名な某和菓子屋が経営する洋菓子部門の店で、製造アシスタントの仕事をするらしい。
これも、血か。
血は関係ないのに、最近、彼が食道楽になってしまい、困っている。
「食」への執着がやたらすごくて、「この人、こんな人やったっけ?」とよく思う。
「太るから、食べるのやめて!」と怒るのだけど、絶対やめない。
私のように雑誌を見ては「ここ、美味しそうちゃう?今度行ってみーひん?」と持ってくる。
そして、最近は毎日『美味しんぼ』を読んでいる。(まあ、私のだけどさ)
器にも目覚めたようで、私のコレクションを机に並べて眺め、
「これいいなぁ}」「これはあんまりやな」と批評したり、「あの大皿見せて」と私の秘蔵の皿を出させたりする。
一番やっかいなのは、家で飲むときにいちいちグラスを替えること!
1杯目は焼き締めのビアグラスで飲んだかと思えば、2杯目はお気に入りのシャンパングラスで飲みたがったりする。同じビールを、だ。
(洗うのは私ですからね)
実は、今週末、初めてうちに実家の両親と姉夫婦と姪っ子・ひなのが遊びに来る。
母が「楽しみだ」と電話をしてきて、
「お腹すごーーーく減らしていくからね!」と言う。
怖い、怖い。
そういえば、姉夫婦にご飯を食べてもらうのは、生まれて初めて。
(私と姉は仲が悪い)
とにかくみんな舌が肥えているので、プレッシャーがかかる。
そのうえ、全員が大食漢。
一体何をどれくらい作ればいいんだろうか・・・。
絶対間違いのない、自分のもっている一番美味しいレシピで勝負だ!
まあ、大変だけど、外に一緒にご飯を食べに行くよりはいいだろう。
彼は、前に私の両親とご飯を食べに行ったときの衝撃を、いまだに言う。
「あれは、ほんまにびっくりした」と。
みんなで頼んだはずのキンメの煮付けを、父親が1人で食べようとしたからだ。
「これはお父さんが頼んだんやから!」と子供のように自分の前に皿を置き、食べてしまった。
さらに、お造りの盛り合わせも、珍しく海ぶどうがあって、私も彼も食べたかったのに、父親が1人で一気に箸ですくい上げ、一口で食べてしまった。
あのときの衝撃・・・
ああ、私の食い意地は、やっぱり父親の血なのかもしれない。