ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

八代の〝つるの里〟へ吟行(その3)

2020年02月23日 | 俳句

 相変わらず新型肺炎の感染が広がっているニュースばかり…死者も3人目が出たという。現在クルーズ船には634人、それ以外では135人と発表されていますが、その700人以上の感染者で快復しているのは一体何人ぐらいいるのでしょうか?それを考えると怖ろしい…。なのに24日が私の○○回目の誕生日なので、明日から3日間ほど八重山諸島めぐりのツアーへ主人と出かけます。これは山口宇部空港からのチャーター便で、石垣空港へ直行しますので、大丈夫かと…それでも、義母は心配して辞めてはと言っているんですが…。もうダメです。行くしかありません!帰って来たらまた、報告しますね。

 さて、八代の〝つるの里〟のつづきがまだありますので、よろしかったらどうぞ… 

 今年は特に異常気象がひどっかったので、人間だけでなく自然界のリズムも壊されたようでした。そのせいで鶴の渡来にも影響が及んだんでしょう。今年の飛来が例年より大幅に遅れて、まさか来ないのではと危惧されましたが、やっとその第1陣が11月29日に来たと。例年では早くて10月中旬、遅くても11月始めには来ていたんですから、今年のようなことは初めてだったんですよ。その喜びを子供たちが〝つる日記〟に伝えていました。この日記は、毎年渡って来る鶴たちを観察して八代小学校の5・6年生たちが作成したもので、野鶴観察所にいつも貼ってあります。(その1に写真あり)

 以前観に来たときに、この〝つる日記〟を読んで、次のような句を詠んだんです。

  まづ来る鶴に名付けて力太郎まづきたるつるになづけてりきたろう・平成17年作・句集『甘雨』所収)

 これを俳人協会の「俳句大賞」に応募し入選した句ですから、懐かしい思い出なんです。

 この鶴のねぐらの環境を維持するため、毎年「八代のツルを愛する会」を中心に、ねぐらの整備や維持作業が実施されていますが、地域内外の人たちに加え、この子供たちも協力しています。私も、以前ねぐら整備に来たり子供たちと一緒に餌撒きを手伝ったりしたことがあるんですよ。

 かつてナベ鶴は身近な鳥として、日本各地で見ることができましたが、戦中戦後の食料難による捕獲によって、その数は激減し、今では八代が本州で唯一のナベ鶴の飛来地となってしまいました。
 元来、海や川の沿岸など湿地帯を好むナベ鶴が、なぜ山里の八代だけに飛来するのでしょうか?不思議だと思いませんか?それは明治時代から続く、八代の人たちの取り組みにあったのです。

 明治20年、日本各地で鳥が乱獲され、その数が減少したことから、密かに猟師がナベ鶴を捕獲しようと、八代に来るようになりました。しかし八代の人々は、半鐘を打ち鳴らし、手に鋤や鍬を持って猟師からナベ鶴を守りました。そして『八代村のツルの捕獲を禁じる県令』をつくったんだそうです。これが日本初の自然保護条例であると言われています。その後、明治24年には県下の鶴捕獲禁止、明治37年は山口県令を以て八代村猟銃禁止区域となりました。ヘエッ、そこまで知らなかった!このようにして大正10年3月3日、八代地区は「八代村鶴渡来地」として天然記念物指定を受けたんですね。

 江戸時代には日本全国に鶴が飛来していた記録があり、ここ周南市でも広い範囲で鶴が見られていたようです。しかし、八代地区については、江戸期の山口県内の様子を記録した『防長風土注進案』に鶴の記述がなく、いつごろから鶴がやってくるようになったかはっきりとわかっていませんが、その鶴がいたことを示すものとして、今も〝つる塚〟というものが残っています。

 この”つる塚”にまつわる話とは、文政3年(1820)、魚切地区の林此面(はやしこのも)という人が村人2人とともに傷ついた鶴を保護・看病したものの死んでしまったので、供養のための塚を作ったというものです。

 また、明治28年(1895)頃、他所者の猟師に撃たれた鶴が飛べなくなったとき、八代の農民・瀬来幸蔵さんがその鶴を自宅につれて帰り看病しましたが、死んでしまったので手厚く葬り、自分で墓を刻み裏山に建てたそうです。その後、市に改葬されて、それからも八代で死んだ鶴を葬って、毎年12月の初めにここで慰霊祭が行われているんですって。

 八代へ来ると、地元の人々の鶴への思いがいろいろなところに見かけられます。どこを歩いても懐かしい昔の田舎の匂いがして、心がほっこりしますよ。機会があれば、是非一度は〝おいでませ〟!

 この日はちょうど〝雨水〟でしたが、よく晴れた日でクロガネモチの実がまるで花が咲いたようでした。八代の鶴はこれでオシマイですが、ついでに吟行に行った寺がありますので、それはまた次に…

 

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