今日は吟行会。相変わらず気温は低いのですが、良い天気で真っ青な空が身を引き締めるようでした。今回の場所は近場でということで、市内の郊外です。
まず最初の吟行地は、国指定天然記念物の〝吉部の大岩郷〟(きべのおおいわごう)。岩郷とは、岩塊が累々と堆積し、奇観を呈した「石海」のことです。石質は石英閃緑岩で、その大きさは最大径約4メートルにも及び、これらの巨岩が約3ヘクタールにわたって広がっています。この成因には二つの説があって、大地変のため山崩れが起り、岩石を堆積させたという説と、洪積世における河川作用の結果による堆積という説です。石海は標高260メートルの地点から南に広がっており、岩間には蘚類・地衣類が繁殖し、また周辺には暖地性植物が見られます。例えば、アオガネシダ・シンラン・ウドカズラなど。ここには今でも、「昔、大男が担いでいた天秤から大岩がこぼれ落ちてきた」という民話が語り継がれているそうです。
これは藪柑子で、冬の季語です。 また近くの美祢市には同じような〝万倉の大岩郷〟(まぐらのおおいわごう)というのがあり、二ヶ所とも日本でも類例を見ない珍しい景観を持ち、その地学的見地から昭和10年12月24日、国指定天然記念物に指定されました。また植物学的にみても興味深い研究資料があるということです。
この後、吉部八幡宮へ。1261年創建(鎌倉時代)、毎年11月3日に行われる「芋煮の神事」が有名で、大内義隆が寄進したと言われる楼門は、室町時代の面影を残していて、なかなかの風格がありました。しかし、今回久し振りに来てみると、何だかさっぱりとしすぎて、以前の荘厳な雰囲気がなくなっていました。そう言えば、この楼門が確か台風か何かで破損したニュースがあったような…今はその復元が待たれているということでした。
ここには珍しい尾を上げた狛犬もありました。
ところで、この八幡宮の有名な「芋煮の神事」とは、鎮座当時の神徳に起源しているそうです。それは以下。
鎮座祭に領主を迎えたとき、賄い役を申しつけられた主人が、もてなしの時間が早まり、献立の中にあった芋の煮物を慌てて出し、後になって残りのものを吟味すると半煮えでした。これは一族の命にかかわる一大事と、この鎮座された産土神に一心に祈願したところ、領主より「今日の芋煮はことのほか美味であった」と、お褒めの言葉をいただいたという逸話より、この神事が現在まで引き継がれているのです。また、私も以前観に来たことがあるのですが、この祭の時に吉部名物の「村芝居」も上演されます。が、これは3年に1度ということなので、今年はどうだったのでしょう。また機会があれば観に来たいと思っています。
まだ続きがありますが、今日はこのぐらいで…では、またね。